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【番外編】
10.※結婚初夜
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※リクエスト第十弾。短いですが二人の結婚式と初夜のお話。
****************
光降り注ぐステンドグラスが綺麗なチャペルで今日、俺はノルに愛を誓った。
ノルにとってもよく似合った薄青灰色の花婿の衣装は凄くかっこよくて、もう目に焼き付けたくなるほど俺を魅了していたと言っても過言ではない。
(カッコいい、カッコいい、カッコいい…!)
頭の中は『今日のノル最高!』しかなかったかもしれない。
実はこの結婚式、結果的に二か月早まって行われたんだ。
あと二か月くらい待ったらいいのにと最初は思ったものの、ノルから早く俺と結婚したくてなんて言われて胸がきゅんとして即『嬉しい!』となってしまった。
うん。べた惚れってブラウンに呆れられても仕方ないよな。
なんでもノルの話では目当ての教会に空き状況を問い合わせてみたところ、たまたま良い日に予約の空きがあったらしく、即決めたとかなんとか。
招待状を手にした父が『謀ったな!今すぐキャンセルしろ!』とギリギリ歯を鳴らしながらノルに抗議してたけど、ノルは『そうは言ってももうその日程で招待状を各国に出してしまいましたし、教会の方も今からだと本来の日程は全部埋まっているようですよ?二か月なら誤差範囲ですしこのままいきましょう?』と困ったように返していた。
国王相手に言い切れるその胆力は凄いなぁと感心してしまう。
流石未来の宰相。心強い。
まあ何はともあれ、俺は今日皆から祝福されながらノルと幸せな結婚式を迎えたのだった。
そしてお祝いのパーティーも終えて、夜────俺はベッドの上で緊張を隠せないでいた。
ノルとはもう何度も身体を重ねてきたけど、実質今日は初夜だ。
流石に緊張してしまう。
なにせ場所は今日から夫婦の部屋となる真新しく整えられた部屋の特大ベッドの上。
緊張するなという方が無理だ。
「うぅ…緊張する……」
この日のために夜着をどんなものにするか散々悩んだけど、『やっぱりこれが一押しですよ!』と嬉しそうにした侍女達から勧められたものにしてみた。
繊細なレースをあしらった透け感のある前開きの白の夜着。
しかもベールもかぶってベッドで待機と言われたのでまさに花嫁という感じだ。
結婚式では男同士だったこともあってベールはつけなかったんだけど、まさか初夜でこんな風に使うことになるとは思ってもみなかった。
まあ恥ずかしくて真っ赤になった顔がノルに見られなくていいと言えばいいんだけど…。
(三つ指ついてお願いします、だったよな?)
初夜の作法なるものをしっかり思い出してドキドキしながらノルを待つ。
そしてようやく寝室の扉がカチャッと音を立て開かれた。
入ってきたのは当然ノルだ。
「よ、よろしくお願いします。……?」
なんとか噛まずにそう言ってペコッと頭を下げたものの、全く何も言ってこないのでそっと顔を上げてみると、何故か両手で顔を覆って耳まで真っ赤にしているノルがそこにいた。
「え?ノル?」
「ダリィ…頼むから俺を悩殺しないでくれ…」
「へ?」
(初夜の作法をしただけで何故悩殺?)
そんな気持ちが思い切り顔に出て思わず首を傾げてしまったのだけど、いいからと言ってそのままベールを上げられそっと口づけられた。
そしてその後何度も何度も角度を変えて唇を重ねられる。
「ダリィ、ダリィ」
「ん…ノル……」
愛おし気に見つめてこられてなんだかすごく幸せな気持ちでいっぱいになった。
花嫁って皆こんな風に初夜を迎えるのかな?
胸がドキドキするのに愛されてるなって感じられてお互い離れられないって感じで沢山キスを交わすんだ。
気づけば自然とベッドに横たわっていて、どこかいつもと違った優しい顔でノルが俺に聞いてきた。
「ダリィ。今日は初夜だし、優しく抱いた方がいいか?」
「え?」
優しく…か。
確かにその方が初夜には相応しいと思う。
でもこれまで散々抱かれた俺がそれで満足できるのかという気持ちもなくはなかった。
折角なので沢山愛されてるなって実感できる最高の初夜がいい。
「えっと…その……」
「ん?」
「いっぱいキスしたいから正常位で激しくがいいな…なんて」
「…………ダリィ。そんな人の理性を壊す様な事は言っちゃダメだ」
「へ?」
「ダリィが可愛すぎて暴走したらどうするんだ…!」
「別にいいけど?」
きょとんとしてそう言ったらノルは顔を赤くしながら『わかったから口を閉じようか』と言って、俺の望み通り沢山キスをしながら慣らしてくれた。
「んぅ…」
それとは別に合わせの間から滑り込んだ手が俺の肌を愛撫し、その温かな手の温もりを感じさせてくれる。
ノルに全身を愛されるような至福の時間────。
そしてすっかり後孔がほぐれ俺がトロンと気持ちよさそうに脱力したところで、ノルはゆっくりと正常位で挿れてくれた。
「はぁ…ノル…気持ちいい……」
「うん。俺も気持ちいい。ダリィ。これからはずっと一緒だからな」
「ん…。俺、ノルと結婚出来てよかった」
「俺も」
そう言ってお互いに幸せな笑顔で笑い合い、コツンと額をくっつけて、また何度も何度も唇を合わせた。
その後俺が望んだように燃えるような熱の籠った眼差しで情熱的に抱かれて凄く幸せだったんだけど……。
「あっあっ、ノル、好きっ、大好きっ…!」
「ダリィっ!」
ちょっと途中でお互い暴走してしまったのはまあご愛敬ということで。
でも凄く愛してもらって最高の夜になったのは確かだ。
「ノル…愛してる」
「うん。俺も」
ちゃんと事後にそうやって微笑み合って、幸せな気持ちで腕枕で寝ることができたんだから俺は幸せ者だと思う。
(これからは毎日ノルと寄り添い合って眠れるのかぁ…)
それはなんて幸せな日々だろう?
できれば隠し事なんてしないような夫婦になっていけたらいいな。
そんな事を考えながら俺は大満足な初夜を終えた。
ノルも同じくらい満足してくれてたらいいけれど────。
****************
※ノルは色々ダリィに悩殺されまくり、当然大満足な初夜となりました。
順序的にこの翌日に転生者話を打ち明けられると言った感じです。
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光降り注ぐステンドグラスが綺麗なチャペルで今日、俺はノルに愛を誓った。
ノルにとってもよく似合った薄青灰色の花婿の衣装は凄くかっこよくて、もう目に焼き付けたくなるほど俺を魅了していたと言っても過言ではない。
(カッコいい、カッコいい、カッコいい…!)
頭の中は『今日のノル最高!』しかなかったかもしれない。
実はこの結婚式、結果的に二か月早まって行われたんだ。
あと二か月くらい待ったらいいのにと最初は思ったものの、ノルから早く俺と結婚したくてなんて言われて胸がきゅんとして即『嬉しい!』となってしまった。
うん。べた惚れってブラウンに呆れられても仕方ないよな。
なんでもノルの話では目当ての教会に空き状況を問い合わせてみたところ、たまたま良い日に予約の空きがあったらしく、即決めたとかなんとか。
招待状を手にした父が『謀ったな!今すぐキャンセルしろ!』とギリギリ歯を鳴らしながらノルに抗議してたけど、ノルは『そうは言ってももうその日程で招待状を各国に出してしまいましたし、教会の方も今からだと本来の日程は全部埋まっているようですよ?二か月なら誤差範囲ですしこのままいきましょう?』と困ったように返していた。
国王相手に言い切れるその胆力は凄いなぁと感心してしまう。
流石未来の宰相。心強い。
まあ何はともあれ、俺は今日皆から祝福されながらノルと幸せな結婚式を迎えたのだった。
そしてお祝いのパーティーも終えて、夜────俺はベッドの上で緊張を隠せないでいた。
ノルとはもう何度も身体を重ねてきたけど、実質今日は初夜だ。
流石に緊張してしまう。
なにせ場所は今日から夫婦の部屋となる真新しく整えられた部屋の特大ベッドの上。
緊張するなという方が無理だ。
「うぅ…緊張する……」
この日のために夜着をどんなものにするか散々悩んだけど、『やっぱりこれが一押しですよ!』と嬉しそうにした侍女達から勧められたものにしてみた。
繊細なレースをあしらった透け感のある前開きの白の夜着。
しかもベールもかぶってベッドで待機と言われたのでまさに花嫁という感じだ。
結婚式では男同士だったこともあってベールはつけなかったんだけど、まさか初夜でこんな風に使うことになるとは思ってもみなかった。
まあ恥ずかしくて真っ赤になった顔がノルに見られなくていいと言えばいいんだけど…。
(三つ指ついてお願いします、だったよな?)
初夜の作法なるものをしっかり思い出してドキドキしながらノルを待つ。
そしてようやく寝室の扉がカチャッと音を立て開かれた。
入ってきたのは当然ノルだ。
「よ、よろしくお願いします。……?」
なんとか噛まずにそう言ってペコッと頭を下げたものの、全く何も言ってこないのでそっと顔を上げてみると、何故か両手で顔を覆って耳まで真っ赤にしているノルがそこにいた。
「え?ノル?」
「ダリィ…頼むから俺を悩殺しないでくれ…」
「へ?」
(初夜の作法をしただけで何故悩殺?)
そんな気持ちが思い切り顔に出て思わず首を傾げてしまったのだけど、いいからと言ってそのままベールを上げられそっと口づけられた。
そしてその後何度も何度も角度を変えて唇を重ねられる。
「ダリィ、ダリィ」
「ん…ノル……」
愛おし気に見つめてこられてなんだかすごく幸せな気持ちでいっぱいになった。
花嫁って皆こんな風に初夜を迎えるのかな?
胸がドキドキするのに愛されてるなって感じられてお互い離れられないって感じで沢山キスを交わすんだ。
気づけば自然とベッドに横たわっていて、どこかいつもと違った優しい顔でノルが俺に聞いてきた。
「ダリィ。今日は初夜だし、優しく抱いた方がいいか?」
「え?」
優しく…か。
確かにその方が初夜には相応しいと思う。
でもこれまで散々抱かれた俺がそれで満足できるのかという気持ちもなくはなかった。
折角なので沢山愛されてるなって実感できる最高の初夜がいい。
「えっと…その……」
「ん?」
「いっぱいキスしたいから正常位で激しくがいいな…なんて」
「…………ダリィ。そんな人の理性を壊す様な事は言っちゃダメだ」
「へ?」
「ダリィが可愛すぎて暴走したらどうするんだ…!」
「別にいいけど?」
きょとんとしてそう言ったらノルは顔を赤くしながら『わかったから口を閉じようか』と言って、俺の望み通り沢山キスをしながら慣らしてくれた。
「んぅ…」
それとは別に合わせの間から滑り込んだ手が俺の肌を愛撫し、その温かな手の温もりを感じさせてくれる。
ノルに全身を愛されるような至福の時間────。
そしてすっかり後孔がほぐれ俺がトロンと気持ちよさそうに脱力したところで、ノルはゆっくりと正常位で挿れてくれた。
「はぁ…ノル…気持ちいい……」
「うん。俺も気持ちいい。ダリィ。これからはずっと一緒だからな」
「ん…。俺、ノルと結婚出来てよかった」
「俺も」
そう言ってお互いに幸せな笑顔で笑い合い、コツンと額をくっつけて、また何度も何度も唇を合わせた。
その後俺が望んだように燃えるような熱の籠った眼差しで情熱的に抱かれて凄く幸せだったんだけど……。
「あっあっ、ノル、好きっ、大好きっ…!」
「ダリィっ!」
ちょっと途中でお互い暴走してしまったのはまあご愛敬ということで。
でも凄く愛してもらって最高の夜になったのは確かだ。
「ノル…愛してる」
「うん。俺も」
ちゃんと事後にそうやって微笑み合って、幸せな気持ちで腕枕で寝ることができたんだから俺は幸せ者だと思う。
(これからは毎日ノルと寄り添い合って眠れるのかぁ…)
それはなんて幸せな日々だろう?
できれば隠し事なんてしないような夫婦になっていけたらいいな。
そんな事を考えながら俺は大満足な初夜を終えた。
ノルも同じくらい満足してくれてたらいいけれど────。
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※ノルは色々ダリィに悩殺されまくり、当然大満足な初夜となりました。
順序的にこの翌日に転生者話を打ち明けられると言った感じです。
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