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【番外編】
6.※転生者の話 Side.ノルディック
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※リクエスト第六弾。転生者について話す二人のお話です。
短めですがラブラブな二人を楽しんで頂ければと思います。
宜しくお願いします(^^)
****************
その話を聞いたのはダリィと結婚した日の翌日だった。
「転生者?」
「そう。これまで黙っててゴメン」
でも結婚したし隠し事はしたくなかったんだとダリィは物凄く気まずそうに言ってきた。
どうやら言うか言わないか相当悩んでの打ち明け話だったらしい。
最初はとても信じられなかったのだけど、他にも同じような人はいるらしく、元婚約者であるカトリーヌ嬢や最初にダリィが気にしていたカナリア嬢もその転生者らしいと聞かされた。
ダリィ曰く、この世界は転生前にいた世界の『ゲーム』という遊具の中の世界と酷似した世界らしく、それによると俺とダリィは『攻略対象者』というものだったのだとか。
それと共に過去にあった王太子事件なんかもその『ゲーム』という存在が関与していた可能性が高いとのこと。
「俺はノルのお陰で回避できたけど、多分過去の件も踏まえると定期的に同じようなことは起こると思うんだ」
それは子供世代と限った話ではなく、未来のどこで起こってもおかしくはない話なのだとダリィは言う。
「だから、折角だし俺もその辺の法律を充実させていきたいなと思ってるんだけど…協力してもらうことってできないかな?」
どこか不安げにそんなことを言われて俺はそういうことならと笑顔でキスを落とし了承した。
愛しいダリィのお願いならなんだって聞いてやりたい。
普通に考えれば信じにくい話ではあるけれど、他にもその転生者というのがいるのであれば裏を取れば本当かどうかなんてすぐにわかる話だし、トラブル防止に法律関係を整えておくに越したことはない。
だからその『転生者』についてより詳しくダリィから聞き出し、大体どういった行動を起こすことが多いのかを教えてもらうことにした。
でも聞けば聞くほど迷惑な存在のようなので、これは法制度を整えるだけではなく、王家や貴族家に『転生者への注意点』とでも称して文献として残しておいたほうがいいのではと考えた。
どうも王家の者が一番狙われると判明したからだ。
支える貴族達に迷惑がかからないようこの『転生者』については周知徹底しておくべきだろう。
後は『真実の愛』を持ち出して来たら要注意ということも書いておかないと。
王族以外にも騎士団長の息子や公爵家嫡男などが狙われやすいようだし、ハーレムとやらが構築された場合のことも書き足して『要観察』としておこうか。
「攻略されてしまったその多くの者が証拠を提示することなく暴走傾向になるので要確認っと…」
しっかりとメモを取りながら話を聞き、大体こんなものかなと書き終わったところで、ふと思った。
(ダリィもその『転生者』…なんだよな?)
俺のお陰で回避できたと言ってはくれているが、そのあたりどうなんだろう?
「ダリィ…俺との関係はそのゲームでの強制力とやらが働いてるってことはないよな?」
「え?ないと思うけど?」
本来俺とダリィは仲の良い友人関係しか築かない存在だったらしい。
それがこうして結婚にまで至っているのだから、最早強制力なんてないようなものだろうと言われる。
「カトリーヌ嬢もカナリア嬢もどっちもゲームの攻略対象者以外とくっついてるし、そこは気にしなくても大丈夫だと思う」
「そうか」
そんな言葉にホッと息を吐く。
ダリィが本心から俺との関係を望んでくれているとわかって安心することができた。
これなら確かにゲームの強制力的なものは皆無と言っていいのだろう。
ここはゲームと酷似した世界なだけであって、その世界そのものではない。
だから大丈夫だ。
「え…もしかしてゲームとかが絡んできて、急に心配になったとか?」
「ああ。だってそんな訳の分からないものがあるなら、俺からダリィをかすめ取ろうとする奴がこの先出てこないとも限らないだろう?」
「あははっ!ないない。だって俺、もうノルと結婚したし」
「まあ…それもそうか」
ダリィは笑って言うが、ゲーム云々は別として男同士の結婚ということで実はダリィを狙っている女は皆無ではない。
今は愛し合って男同士でくっついているけれど、そのうち子供が欲しくなる日も来ると虎視眈々と隙を狙っている輩もいるにはいるのだ。
それに関しては全く油断なんてできない。
流石に一年くらいはおとなしくしているだろうが、それを過ぎれば子供さえできたらこっちのものだと貴族連中は娘を嗾けようとしてくるだろう。
でもダリィはきっとそんな事、考えることすらしていないと思う。
次の王太子はブラウン殿下の子供からと公言してるし、結婚もしたから何も問題はないと楽観しているのが手に取るようにわかる。
でも俺はそんなダリィの可愛い所が好きだから何も言わない。
まだ何も起こっていないし、やっているのは牽制くらいのものだ。
何かされても返り討ちにしてやる気満々だし、裏で蹴落とし表ではダリィに優しく笑うんだ。
それくらいの事は俺になら楽勝でできる。
愛しいダリィに勘付かせるつもりはない。
そんなことをつらつら考えていたらダリィに袖を軽く引かれたので、そっとそちらへと目を向けた。
「ノル」
「なんだ?」
「あのさ」
「ん?」
「俺、凄くノルの事頼りにしてるんだ」
「…ああ」
「それにその…凄く好き、だし。だから、その……ノルに浮気されないように頑張るから!」
そう言いながら何故か俺は頬を染めたダリィにソファへと押し倒された。
(え?)
「…最近皆、ノルの事見てるだろ?俺、それが凄く心配で…」
『ノルはカッコいいから』とダリィは見当違いの事を口にしてどこか思い詰めたような、拗ねたような顔で俺を見下ろしてくる。
「いや、あれは…」
どう見てもあれは牽制し合ってるだけだと思うんだけどな?
『その座は今だけですよ?』『ふざけんな。誰が明け渡すか!』という視線の応酬であって、そこにラブな要素は一切ない。
なのにダリィは可愛く焼きもちを妬いてくれていて、そんな姿にきゅんとしてしまった。
「だから、俺がノルの奥さんだってこれからは皆にわかってもらうんだ!」
何だこの可愛い俺の新妻は────。
真っ赤になってキリッと言い切るこの可愛さがたまらないんだけど?
もうこれは襲わない方がおかしいだろう。
この可愛い嫁を今すぐ美味しく食べてしまいたい。
「ダリィ。可愛い」
俺の語彙が死ぬ。
もう『可愛い』しか出てこない。
「あ…」
たまらず引き寄せチュッと唇を奪うと共によいしょと身を起こし、そのまま抱き上げるようにダリィを俺の膝の上に乗せた。
「今日はこのままソファでやろうか」
「え?あ…」
「可愛いダリィを沢山可愛がってやるからな」
そして服を剥いで胸の突起を舌で可愛がり、ダリィがのけぞりすぎて後ろに倒れないよう腰をしっかり支えてたっぷり対面座位で堪能させてもらった。
(結婚したって場所を問わず襲うことはできるんだぞ?)
俺は腕の中で俺だけを熱く見つめ、大好きと言って抱き着いてくる可愛い嫁をこれでもかと愛しながら、邪魔者もたまには役に立つんだなとしみじみ思ったのだった。
短めですがラブラブな二人を楽しんで頂ければと思います。
宜しくお願いします(^^)
****************
その話を聞いたのはダリィと結婚した日の翌日だった。
「転生者?」
「そう。これまで黙っててゴメン」
でも結婚したし隠し事はしたくなかったんだとダリィは物凄く気まずそうに言ってきた。
どうやら言うか言わないか相当悩んでの打ち明け話だったらしい。
最初はとても信じられなかったのだけど、他にも同じような人はいるらしく、元婚約者であるカトリーヌ嬢や最初にダリィが気にしていたカナリア嬢もその転生者らしいと聞かされた。
ダリィ曰く、この世界は転生前にいた世界の『ゲーム』という遊具の中の世界と酷似した世界らしく、それによると俺とダリィは『攻略対象者』というものだったのだとか。
それと共に過去にあった王太子事件なんかもその『ゲーム』という存在が関与していた可能性が高いとのこと。
「俺はノルのお陰で回避できたけど、多分過去の件も踏まえると定期的に同じようなことは起こると思うんだ」
それは子供世代と限った話ではなく、未来のどこで起こってもおかしくはない話なのだとダリィは言う。
「だから、折角だし俺もその辺の法律を充実させていきたいなと思ってるんだけど…協力してもらうことってできないかな?」
どこか不安げにそんなことを言われて俺はそういうことならと笑顔でキスを落とし了承した。
愛しいダリィのお願いならなんだって聞いてやりたい。
普通に考えれば信じにくい話ではあるけれど、他にもその転生者というのがいるのであれば裏を取れば本当かどうかなんてすぐにわかる話だし、トラブル防止に法律関係を整えておくに越したことはない。
だからその『転生者』についてより詳しくダリィから聞き出し、大体どういった行動を起こすことが多いのかを教えてもらうことにした。
でも聞けば聞くほど迷惑な存在のようなので、これは法制度を整えるだけではなく、王家や貴族家に『転生者への注意点』とでも称して文献として残しておいたほうがいいのではと考えた。
どうも王家の者が一番狙われると判明したからだ。
支える貴族達に迷惑がかからないようこの『転生者』については周知徹底しておくべきだろう。
後は『真実の愛』を持ち出して来たら要注意ということも書いておかないと。
王族以外にも騎士団長の息子や公爵家嫡男などが狙われやすいようだし、ハーレムとやらが構築された場合のことも書き足して『要観察』としておこうか。
「攻略されてしまったその多くの者が証拠を提示することなく暴走傾向になるので要確認っと…」
しっかりとメモを取りながら話を聞き、大体こんなものかなと書き終わったところで、ふと思った。
(ダリィもその『転生者』…なんだよな?)
俺のお陰で回避できたと言ってはくれているが、そのあたりどうなんだろう?
「ダリィ…俺との関係はそのゲームでの強制力とやらが働いてるってことはないよな?」
「え?ないと思うけど?」
本来俺とダリィは仲の良い友人関係しか築かない存在だったらしい。
それがこうして結婚にまで至っているのだから、最早強制力なんてないようなものだろうと言われる。
「カトリーヌ嬢もカナリア嬢もどっちもゲームの攻略対象者以外とくっついてるし、そこは気にしなくても大丈夫だと思う」
「そうか」
そんな言葉にホッと息を吐く。
ダリィが本心から俺との関係を望んでくれているとわかって安心することができた。
これなら確かにゲームの強制力的なものは皆無と言っていいのだろう。
ここはゲームと酷似した世界なだけであって、その世界そのものではない。
だから大丈夫だ。
「え…もしかしてゲームとかが絡んできて、急に心配になったとか?」
「ああ。だってそんな訳の分からないものがあるなら、俺からダリィをかすめ取ろうとする奴がこの先出てこないとも限らないだろう?」
「あははっ!ないない。だって俺、もうノルと結婚したし」
「まあ…それもそうか」
ダリィは笑って言うが、ゲーム云々は別として男同士の結婚ということで実はダリィを狙っている女は皆無ではない。
今は愛し合って男同士でくっついているけれど、そのうち子供が欲しくなる日も来ると虎視眈々と隙を狙っている輩もいるにはいるのだ。
それに関しては全く油断なんてできない。
流石に一年くらいはおとなしくしているだろうが、それを過ぎれば子供さえできたらこっちのものだと貴族連中は娘を嗾けようとしてくるだろう。
でもダリィはきっとそんな事、考えることすらしていないと思う。
次の王太子はブラウン殿下の子供からと公言してるし、結婚もしたから何も問題はないと楽観しているのが手に取るようにわかる。
でも俺はそんなダリィの可愛い所が好きだから何も言わない。
まだ何も起こっていないし、やっているのは牽制くらいのものだ。
何かされても返り討ちにしてやる気満々だし、裏で蹴落とし表ではダリィに優しく笑うんだ。
それくらいの事は俺になら楽勝でできる。
愛しいダリィに勘付かせるつもりはない。
そんなことをつらつら考えていたらダリィに袖を軽く引かれたので、そっとそちらへと目を向けた。
「ノル」
「なんだ?」
「あのさ」
「ん?」
「俺、凄くノルの事頼りにしてるんだ」
「…ああ」
「それにその…凄く好き、だし。だから、その……ノルに浮気されないように頑張るから!」
そう言いながら何故か俺は頬を染めたダリィにソファへと押し倒された。
(え?)
「…最近皆、ノルの事見てるだろ?俺、それが凄く心配で…」
『ノルはカッコいいから』とダリィは見当違いの事を口にしてどこか思い詰めたような、拗ねたような顔で俺を見下ろしてくる。
「いや、あれは…」
どう見てもあれは牽制し合ってるだけだと思うんだけどな?
『その座は今だけですよ?』『ふざけんな。誰が明け渡すか!』という視線の応酬であって、そこにラブな要素は一切ない。
なのにダリィは可愛く焼きもちを妬いてくれていて、そんな姿にきゅんとしてしまった。
「だから、俺がノルの奥さんだってこれからは皆にわかってもらうんだ!」
何だこの可愛い俺の新妻は────。
真っ赤になってキリッと言い切るこの可愛さがたまらないんだけど?
もうこれは襲わない方がおかしいだろう。
この可愛い嫁を今すぐ美味しく食べてしまいたい。
「ダリィ。可愛い」
俺の語彙が死ぬ。
もう『可愛い』しか出てこない。
「あ…」
たまらず引き寄せチュッと唇を奪うと共によいしょと身を起こし、そのまま抱き上げるようにダリィを俺の膝の上に乗せた。
「今日はこのままソファでやろうか」
「え?あ…」
「可愛いダリィを沢山可愛がってやるからな」
そして服を剥いで胸の突起を舌で可愛がり、ダリィがのけぞりすぎて後ろに倒れないよう腰をしっかり支えてたっぷり対面座位で堪能させてもらった。
(結婚したって場所を問わず襲うことはできるんだぞ?)
俺は腕の中で俺だけを熱く見つめ、大好きと言って抱き着いてくる可愛い嫁をこれでもかと愛しながら、邪魔者もたまには役に立つんだなとしみじみ思ったのだった。
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