目立たないでと言われても

みつば

文字の大きさ
上 下
9 / 30

お弁当

しおりを挟む
「ほんっとにごめん!!!」
「僕もごめん………」
「いや、そんなに謝っていただかなくても…。会長に至っては何も悪い事ありませんし。」
さっきからずっとこんな調子だ。こんなに謝られると逆に申し訳なくなってくる。
「でも藤崎くんのお昼が…」
「食堂行くから問題ないですよ。」
「もう混んじゃって入れないよ。ね、会長、やっぱりここで食べていってもらおう。」
会長は少し考え込む素振りを見せた。
「そうだね。ごめんね、藤崎くん、ここから選んでもらってもいいかい?」
そういってメニューを渡された。
「俺も一緒でいいよな!!」
一宮も横からメニューを覗き込んでいる。
「ふん、のこのことついてきて邪魔でしたが、いいところもありましたね。あんなお粗末な弁当でガタガタ言うなんて意地汚い人ですね。」
副会長が鼻を鳴らして吐き捨てるように言った。
バキッ
「な、なんですか?」「「わっ⁉︎」」
みんなで一斉に音がした方に顔を向けた。気まずそうに会長が笑っている。
「びっくりさせてごめん。書くとき力入れすぎて芯が折れちゃったんだ。鏑木、そう言うことをいっちゃダメだよ。」
「まったく、びっくりさせないでください。」

「ぜーったい芯が折れた音じゃないよね。」
「うん、もっと大きかったよ。」
「「怖いねー。」」
双子が横でコソコソしてる。会計はじーっと会長を見つめている。どこか異様な空気に若干気まずい。

「俺!今日はカレーにする!!!ほら、湊人も選べよ!」
「あ、うん。じゃあ同じでいいや。」
さすが、一宮。この空気などものともせず元気いっぱいだ。メニューを会長に返す。
「…し…おん、こ…っち。」
「そうです、紫音、こっちに来てください。」
「おう!」
副会長たち4人は紫音をそばに呼び、お菓子を与えたりしてご機嫌をとり始めた。小学生か。それでもみんなどこか会長の様子を気にしているようだ。当の本人はそんなこと気に留めず仕事を続けている。


「湊人ちゃんはクラス委員長なんだよね。」
「はい、そうですよ。」
「ふうん、クラス委員長だと委員長会議で会ってるはずなんだけどなぁ。委員長会議は僕と会長の交代で出てるから。」
「そうなんですか?僕が出席した時はいつも会長でしたよ。」
「ええー。」
「てっきり会長の仕事だと思ってました。」
「僕も出てるのになぁ。ま、いいや。これから仲良くなれば。」
「へ?」
「湊人ちゃん、なんか面白そうだし。面倒ごとばっか背負い込んでそうな顔してる。」
「そ、そうですかー?」
どう言う顔だそれ。

コンコン
「ご飯が来たようだね。食べようか。」

そのあとはみんなで同じテーブルでお昼ご飯を食べた。一宮たちはそっちでわちゃわちゃ。こっちは主に俺と会計が話して、たまに会長が会話に参加するという妙なランチになったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

参加型ゲームの配信でキャリーをされた話

ほしふり
BL
新感覚ゲーム発売後、しばらくの時間がたった。 五感を使うフルダイブは発売当時から業界を賑わせていたが、そこから次々と多種多様のプラットフォームが開発されていった。 ユーザー数の増加に比例して盛り上がり続けて今に至る。 そして…ゲームの賑わいにより、多くの配信者もネット上に存在した。 3Dのバーチャルアバターで冒険をしたり、内輪のコミュニティを楽しんだり、時にはバーチャル空間のサーバーで番組をはじめたり、発達と進歩が目に見えて繁栄していた。 そんな華やかな世界の片隅で、俺も個人のバーチャル配信者としてゲーム実況に勤しんでいた。

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

王道学園にブラコンが乗り込んでいくぅ!

玉兎
BL
弟と同じ学校になるべく王道学園に編入した男の子のお話。

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

華麗に素敵な俺様最高!

モカ
BL
俺は天才だ。 これは驕りでも、自惚れでもなく、紛れも無い事実だ。決してナルシストなどではない! そんな俺に、成し遂げられないことなど、ないと思っていた。 ……けれど、 「好きだよ、史彦」 何で、よりよってあんたがそんなこと言うんだ…!

処理中です...