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疑惑
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この場に残った不良は4人。非力な生徒1人をボコるなら十分な人数だと言える。非力な生徒なら。
「怖くて何も言えないってか?何してもいいんだよな。」
さっきから黙っているから俺が怯えてると思っているらしい。こちらに下卑た笑いを向けてくる。
「は?おまえそっちもイケんの?」
「綺麗なやつなら分かるけど、こいつは理解できんわ。」
つまらないことを話している。
「はっ、こっちはおまえらなんかお呼びじゃねーんだよ。鏡見て出直してこいカスども。」
そういって踵を返して走り出した。
「は?ふざけんなテメェ!」
「ぜってーボコす、そんでブチ犯す。」
ははっ、脳に栄養がいってないやつは脳の血管が切れやすくていけない。当初の目的地であるゴミ捨て場にゴミ袋を放り投げる。仕事はしっかり終わらせないとな。
そしてそのままゴミ捨て場を通り過ぎて角を右に曲がる。
「馬鹿めっ、そっちは行止まりだ!」
知ってるっつーの。
角を曲がったらすぐに体の向きを変え、拳を構えた。
ちょうど曲がってきた一番前のやつのあごにアッパーを撃ち込む。後ろに吹っ飛んだ仲間にぶつかって怯んでいる隙に二人目の頭を引っ掴んで頭突きをかます。
「え?」
呆けて胴がガラすきの三人目に回し蹴りをお見舞いし、四人目の着崩した制服の襟を掴んで素早く懐に入り、
「受け身とれよ。」
と声をかけ投げ飛ばした。
おっと間違えて仲間の上に投げてしまった。
うん、あっさり
「いっちょ上がり。」
目の前には呻いている不良4人。首に手刀を打ち込んで確実に意識を刈り取っておく。そのあと俺はあるところに電話をかけた。
「あ、もしもし藤崎だけど。うん、そう、いつものやつ。裏のゴミ捨て場をちょっと行ったとこ。じゃ、よろしく、遥。」
そういって電話を切る。とりあえずしばらくここで待ってるか。そう考えたとき、
「あっれ~?何でこんなとこに湊人ちゃんがいるの?しかもだれこの不良?」
能天気な声だ。
「会計……。」
「もしかして制裁かな?」
「………。あなたこそ何でここに居るんですか?」
用もなくこんなところに来るなんて考えられない。
「僕?僕もゴミ捨てだよ。」
なるほど…………。いや、僕もってことは、
「どこから見てた。」
「んー?ふふ、なーんてね、最初からだよ。絡まれるところから。」
そういってから会計はスッと目を細めた。
「ねえ、湊人ちゃん。君は一体何?あいつがいうように転入生を使って僕たちに近づいてるとは思ってない。
僕が気になるのはその強さ。いつもと口調も違うし、ずいぶん猫を被っていたようだね。それに、遥って風紀委員長の名前でしょ。五条遥。何で一般生徒の君がそんなに気安く呼ぶの?」
そう、五条遥。あんなムキムキのくせして名前はとてもかわいいのだ。
「風紀委員長って自分の名前が嫌いだから下の名前で呼ばせないって有名だよね。それなのになんで。」
遠くから、バタバタバタと足音が聞こえてくる。そろそろだ。
「市村会計。僕は…」
ニコっと、笑って。
「ただの一般生徒ですよ。」
「委員長!」
ちょうどそのとき風紀が到着した。先頭にいるのは同じクラスの風紀委員である香坂颯人だ。
「香坂。ありがとう来てくれて。」
「いや、無事で良かったよ。」
「それにしても、なんで朝比奈がいるんだ?」
そう、なぜか風紀に混ざって朝比奈がいる。
「なんでって、ゴミ捨ていってからなかなか帰ってこないから探してたんだよ。そしたら風紀と一緒になったの。」
「そうか。ありがと」
「ねえ、これ全部藤崎が倒したの?」
あまり見られたくない現場ではあった。
「あー、おれ格闘技得意なんだよ。」
「ふーん、とりあえずそういうことにしておくけど。だから制裁はじまってもへっちゃらって感じだったんだね。それより、なんで会計様がここにいるんですか?藤崎に何かしてないですよね。」
「えっ、僕~?してないよ。居合わせただけ。」
「そうなの藤崎?」
「まあ、そうかな。会計は特に何も。」
「委員長、そろそろ行きましょう。風紀室で話聞いてもいいですか?」
ここで不良たちの拘束を終えた香坂が話しかけてきた。
「分かった。ほら、朝比奈も行くぞ。」
「あとで僕にも話聞かせてね。」
「はいはい。じゃ、会計様、僕はここで失礼しますね。では」
会計に軽くお辞儀をしてその場を後にした。
「怖くて何も言えないってか?何してもいいんだよな。」
さっきから黙っているから俺が怯えてると思っているらしい。こちらに下卑た笑いを向けてくる。
「は?おまえそっちもイケんの?」
「綺麗なやつなら分かるけど、こいつは理解できんわ。」
つまらないことを話している。
「はっ、こっちはおまえらなんかお呼びじゃねーんだよ。鏡見て出直してこいカスども。」
そういって踵を返して走り出した。
「は?ふざけんなテメェ!」
「ぜってーボコす、そんでブチ犯す。」
ははっ、脳に栄養がいってないやつは脳の血管が切れやすくていけない。当初の目的地であるゴミ捨て場にゴミ袋を放り投げる。仕事はしっかり終わらせないとな。
そしてそのままゴミ捨て場を通り過ぎて角を右に曲がる。
「馬鹿めっ、そっちは行止まりだ!」
知ってるっつーの。
角を曲がったらすぐに体の向きを変え、拳を構えた。
ちょうど曲がってきた一番前のやつのあごにアッパーを撃ち込む。後ろに吹っ飛んだ仲間にぶつかって怯んでいる隙に二人目の頭を引っ掴んで頭突きをかます。
「え?」
呆けて胴がガラすきの三人目に回し蹴りをお見舞いし、四人目の着崩した制服の襟を掴んで素早く懐に入り、
「受け身とれよ。」
と声をかけ投げ飛ばした。
おっと間違えて仲間の上に投げてしまった。
うん、あっさり
「いっちょ上がり。」
目の前には呻いている不良4人。首に手刀を打ち込んで確実に意識を刈り取っておく。そのあと俺はあるところに電話をかけた。
「あ、もしもし藤崎だけど。うん、そう、いつものやつ。裏のゴミ捨て場をちょっと行ったとこ。じゃ、よろしく、遥。」
そういって電話を切る。とりあえずしばらくここで待ってるか。そう考えたとき、
「あっれ~?何でこんなとこに湊人ちゃんがいるの?しかもだれこの不良?」
能天気な声だ。
「会計……。」
「もしかして制裁かな?」
「………。あなたこそ何でここに居るんですか?」
用もなくこんなところに来るなんて考えられない。
「僕?僕もゴミ捨てだよ。」
なるほど…………。いや、僕もってことは、
「どこから見てた。」
「んー?ふふ、なーんてね、最初からだよ。絡まれるところから。」
そういってから会計はスッと目を細めた。
「ねえ、湊人ちゃん。君は一体何?あいつがいうように転入生を使って僕たちに近づいてるとは思ってない。
僕が気になるのはその強さ。いつもと口調も違うし、ずいぶん猫を被っていたようだね。それに、遥って風紀委員長の名前でしょ。五条遥。何で一般生徒の君がそんなに気安く呼ぶの?」
そう、五条遥。あんなムキムキのくせして名前はとてもかわいいのだ。
「風紀委員長って自分の名前が嫌いだから下の名前で呼ばせないって有名だよね。それなのになんで。」
遠くから、バタバタバタと足音が聞こえてくる。そろそろだ。
「市村会計。僕は…」
ニコっと、笑って。
「ただの一般生徒ですよ。」
「委員長!」
ちょうどそのとき風紀が到着した。先頭にいるのは同じクラスの風紀委員である香坂颯人だ。
「香坂。ありがとう来てくれて。」
「いや、無事で良かったよ。」
「それにしても、なんで朝比奈がいるんだ?」
そう、なぜか風紀に混ざって朝比奈がいる。
「なんでって、ゴミ捨ていってからなかなか帰ってこないから探してたんだよ。そしたら風紀と一緒になったの。」
「そうか。ありがと」
「ねえ、これ全部藤崎が倒したの?」
あまり見られたくない現場ではあった。
「あー、おれ格闘技得意なんだよ。」
「ふーん、とりあえずそういうことにしておくけど。だから制裁はじまってもへっちゃらって感じだったんだね。それより、なんで会計様がここにいるんですか?藤崎に何かしてないですよね。」
「えっ、僕~?してないよ。居合わせただけ。」
「そうなの藤崎?」
「まあ、そうかな。会計は特に何も。」
「委員長、そろそろ行きましょう。風紀室で話聞いてもいいですか?」
ここで不良たちの拘束を終えた香坂が話しかけてきた。
「分かった。ほら、朝比奈も行くぞ。」
「あとで僕にも話聞かせてね。」
「はいはい。じゃ、会計様、僕はここで失礼しますね。では」
会計に軽くお辞儀をしてその場を後にした。
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