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第10章 旅立ちの塔
第247話 再会 その4
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第247話 再会 その4
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
ロックス「どでかい水槽なんか作ったらどうだ?当面、魚たちが死なない程度の避難所にする」
マリン「それこそどこにあんのよ!そんなもん!」
ロックス「今あるものでなんとかするんだろ?この辺の木を切らせてくれりゃ、ドワーフの職人五人もいりゃものの数分ででかい生け簀を作ってやれるぜ」
マリン「な、なるほど!」
『射出エネルギー充填、45パーセント』
マリア「……ミイ、どうかな?そういうの」
ミイ『……待ってて。木や、木と生きてる動物たちに話してくる……』
フィスト「そうよね、森の命を使わせてもらうんだもん」
白い蛇は9人とドワーフを残して森の奥へ姿を消しました。
神妙にミイを見送った9人をよそに、ドワーフのロックスは天井に空けた穴に向かって叫びました。
ロックス「おーい!鳥人族の兵隊さんよ!一個上の階からドワーフの職人を2、3人連れてきてくれ!ロックスが呼んでると言ってくれりゃいい!」
叫んだロックスにキャッツが食ってかかります。
キャッツ「ちょっと!ミイがみんなに訊いてくるって言ってるんだから!待っててよ!」
ロックスはそれには取り合わず、すでに床を抜く箇所を探して、かがみ込んで床を触っています。
ロックス「あの小さなヌシと森の生き物との話し合いがどういう結果になろうと、木を切るしかない。時間がないんだろ?今のうちに準備は進めておかなきゃならんのさ」
キャッツ「そ、それはそうだけど……」
ロックス「それに、あのヌシは『切っていいかどうか訊いてくる』とは言わんかったぞ。『話してくる』と言ったんだ。つまり、森の民を説得しに行ったんだよ。どれだけ反対意見が出ようと、そうするしかないときには断行する……ヌシとして、大した腹の据わりようじゃないか」
サリー「……ロックスさん」
ロックス「もちろん、木を切るのはヌシが戻ってきてからだ。結果を聞いたらすぐに動き出せるようにするのさ」
ジャンヌ「……わかったわ。いいえ、ありがとう、ロックスさん」
ロックス「……んじゃ、下への穴を開けちまうぞ?なんだかわからんが、この下には海があるんだな?」
ブラド「う、うん!そのはず!」
ロックス「……森の次は海か……ほんとに、お前さんがたは、大変な旅をしてきたんだな……」
ロックスは微笑んで、床に釘を円形に打ち込みました。
そして中央にハンマーを打ち込んだときに、鳥人族の衛兵たちがドワーフの職人を3人連れてきました。
ロックスが職人たちに説明する横で、9人は床に開いた穴を覗き込みました。
穴の下は、水が満ちています。
ゆらめく水面から潮の匂いが漂います。
リーフ「やばい!ほんとに海が来てる!」
ローズ「よ、予想してたとは言え、ビックリだね!」
ジャンヌ「アナスタシア!いる?!」
ジャンヌが階下の海に向かって大きな声を上げました。
するとすぐに水面から少女の顔が出てきました。
アナスタシア「あなたたち!無事なの!?」
ジャンヌ「え?……ええ、私たちは無事よ……」
アナスタシア「そう……よかったわ。何が起こったか、私にはわからないの……」
マリア「あのね、実は……」
マリアが事情を説明しました。
マリア「だから、今からそこにいる生き物みんな、集めてほしいの!」
アナスタシア「みんなで一時的に、水槽に避難するってわけね……わかったわ!呼んでくる!」
アナスタシアが海に潜ると、今度は森の奥からミイが戻ってきました。
ミイ『……みんなと話してきた。ここにある木のうち、大きい木から順番に使ってほしい。全部使うことになったら、そのときはしかたないけど……それがこの森から言いたいことです』
ロックス「ありがとうよ、ヌシさん……んじゃ、始めてくれ!」
ロックスの呼びかけに応じたドワーフたちは、ミイが言った通りに、大きな木から順番に、3本切りました。
そして、ロックスが言った通りに、ものの数分で、庭付きの住宅ほどの大きさの水槽が完成したのです。
ブラド「すごーい!ほんまにできた!」
リーフ「あとは、この中に海の生き物たちに入ってもらうだけね」
『射出エネルギー充填、50パーセント』
サリー「は、半分まで来ちゃった!」
水面からアナスタシアが顔を出しました。
アナスタシア「お待たせ!みんなここにいるよ!どうやって水槽に入ればいい?」
キャッツ「え?どうやって、って……どうやって?」
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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ロックス「どでかい水槽なんか作ったらどうだ?当面、魚たちが死なない程度の避難所にする」
マリン「それこそどこにあんのよ!そんなもん!」
ロックス「今あるものでなんとかするんだろ?この辺の木を切らせてくれりゃ、ドワーフの職人五人もいりゃものの数分ででかい生け簀を作ってやれるぜ」
マリン「な、なるほど!」
『射出エネルギー充填、45パーセント』
マリア「……ミイ、どうかな?そういうの」
ミイ『……待ってて。木や、木と生きてる動物たちに話してくる……』
フィスト「そうよね、森の命を使わせてもらうんだもん」
白い蛇は9人とドワーフを残して森の奥へ姿を消しました。
神妙にミイを見送った9人をよそに、ドワーフのロックスは天井に空けた穴に向かって叫びました。
ロックス「おーい!鳥人族の兵隊さんよ!一個上の階からドワーフの職人を2、3人連れてきてくれ!ロックスが呼んでると言ってくれりゃいい!」
叫んだロックスにキャッツが食ってかかります。
キャッツ「ちょっと!ミイがみんなに訊いてくるって言ってるんだから!待っててよ!」
ロックスはそれには取り合わず、すでに床を抜く箇所を探して、かがみ込んで床を触っています。
ロックス「あの小さなヌシと森の生き物との話し合いがどういう結果になろうと、木を切るしかない。時間がないんだろ?今のうちに準備は進めておかなきゃならんのさ」
キャッツ「そ、それはそうだけど……」
ロックス「それに、あのヌシは『切っていいかどうか訊いてくる』とは言わんかったぞ。『話してくる』と言ったんだ。つまり、森の民を説得しに行ったんだよ。どれだけ反対意見が出ようと、そうするしかないときには断行する……ヌシとして、大した腹の据わりようじゃないか」
サリー「……ロックスさん」
ロックス「もちろん、木を切るのはヌシが戻ってきてからだ。結果を聞いたらすぐに動き出せるようにするのさ」
ジャンヌ「……わかったわ。いいえ、ありがとう、ロックスさん」
ロックス「……んじゃ、下への穴を開けちまうぞ?なんだかわからんが、この下には海があるんだな?」
ブラド「う、うん!そのはず!」
ロックス「……森の次は海か……ほんとに、お前さんがたは、大変な旅をしてきたんだな……」
ロックスは微笑んで、床に釘を円形に打ち込みました。
そして中央にハンマーを打ち込んだときに、鳥人族の衛兵たちがドワーフの職人を3人連れてきました。
ロックスが職人たちに説明する横で、9人は床に開いた穴を覗き込みました。
穴の下は、水が満ちています。
ゆらめく水面から潮の匂いが漂います。
リーフ「やばい!ほんとに海が来てる!」
ローズ「よ、予想してたとは言え、ビックリだね!」
ジャンヌ「アナスタシア!いる?!」
ジャンヌが階下の海に向かって大きな声を上げました。
するとすぐに水面から少女の顔が出てきました。
アナスタシア「あなたたち!無事なの!?」
ジャンヌ「え?……ええ、私たちは無事よ……」
アナスタシア「そう……よかったわ。何が起こったか、私にはわからないの……」
マリア「あのね、実は……」
マリアが事情を説明しました。
マリア「だから、今からそこにいる生き物みんな、集めてほしいの!」
アナスタシア「みんなで一時的に、水槽に避難するってわけね……わかったわ!呼んでくる!」
アナスタシアが海に潜ると、今度は森の奥からミイが戻ってきました。
ミイ『……みんなと話してきた。ここにある木のうち、大きい木から順番に使ってほしい。全部使うことになったら、そのときはしかたないけど……それがこの森から言いたいことです』
ロックス「ありがとうよ、ヌシさん……んじゃ、始めてくれ!」
ロックスの呼びかけに応じたドワーフたちは、ミイが言った通りに、大きな木から順番に、3本切りました。
そして、ロックスが言った通りに、ものの数分で、庭付きの住宅ほどの大きさの水槽が完成したのです。
ブラド「すごーい!ほんまにできた!」
リーフ「あとは、この中に海の生き物たちに入ってもらうだけね」
『射出エネルギー充填、50パーセント』
サリー「は、半分まで来ちゃった!」
水面からアナスタシアが顔を出しました。
アナスタシア「お待たせ!みんなここにいるよ!どうやって水槽に入ればいい?」
キャッツ「え?どうやって、って……どうやって?」
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