虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第10章 旅立ちの塔

第246話 再会 その3

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第246話 再会 その3
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********



ロックスが床を打つと、再び床に穴が開きました。

ジャンヌ「行くよ!」

全員がロープを持って、穴に飛び込みます。

マリア「あ、そう言えば次は」

ゆっくりと降下していく9人とドワーフの眼下に見えたのは、森でした。
石造りの壁には似合わない、木々の緑と土の匂いが、9人を懐かしい気持ちにさせました。

キャッツ「わー!森だー!」

サリー「すごい……まるで森の一部だけ、くりぬいてきたみたいに」

リーフ「でも……あんな風に森を切り取るなんて……どれだけ森や、生き物たちに負担がかかるか……」

ジャンヌ「そっか……そうだよね。ほんとに、強引なやり方なんだよね」

フィスト「ねぇリーフ、動物の声、聞こえる?」

リーフ「あ!そっか!待ってね!…………うん!聞こえた!『ヌシはあっちだよ!』って言ってる!そこの、おっきな岩のところだって!」

9人とロックスは降り立つとすぐにその岩に向かいました。
そこには白い蛇がいました。
小さな体ではありますが、頭をもたげ、9人を出迎えます。

ローズ「ミイ君!久しぶり!」

サリー「ま、待ってね、今会話できるように術を」

マリン「サリーめっちゃ忙しいじゃーん」

ブラド「ほんまよね。休憩、する?」

サリー「う、ううん!大丈夫!」

サリーが目を閉じ、数秒経つと、声が9人とロックスに聞こえました。

ミイ『……える?……聞こえる??』

キャッツ「うん!オッケーだよー!」

ミイ『よ、よかった!今何がおこってるの!?』

ジャンヌ「……落ち着いてよく聞いてね」

ジャンヌが端的に、しかし分かりやすく、現在の状況を伝えました。

ミイ『さっきまで大森林にいたのに……い、今そんなことに?』

フィスト「てことで、今から下に行くんだけど、一緒に来る?」

ミイ『い、いや!無理だよ!さっきの話が本当なら、この下は、海なんじゃないの!?』

フィスト「あ、ほんとだ」

リーフ「ミイ君あたまいいー!」

ブラド「でもさー、ほんとどうしよう。この下が海なら、一個下にたどり着いても、ロックスさんの床割りも使えへんよね」

ロックス「そうだな。水中では、打ち込む力も半減だ」

ローズ「な、なにか考えないと……」

マリア「とりあえず!あるものでなんとかするのよ!」

マリン「お、おぉ、そうね!でも、あるものっつったって……森と、何?」

マリア「まずはそこから始めましょう!私たちは今、何を持っているのか……」

ミイ『何があるかって言えば……あれ?なにかな?さっき動物たちが見つけてくれたんだけど……』

ジャンヌ「?なに?」

ミイ『こっち!』

9人とドワーフがミイについていくと、巨大な装置がありました。

リーフ「な、なに、これ……キャッツちゃん、わかる?」

問われたキャッツは装置に近づき、触れました。

キャッツ「んー、古代遺跡にこんなもんないけど……え!さむ!なにこれ!」

マリア「……冷気が出てるみたいね」

ローズ「これってさ、さっき塔の声が言ってた、その、コールドスリープ?とかのための機械じゃないかな?なんか、生き物って冷凍すると、仮死状態になるっていうし」

マリン「なるほどねー。じゃあもしかしてこのフロアは、木やら土やら鳥やら虫やら、大小いろいろだから、この塔は『この階層丸ごと冷やそうとした』のかもね」

ジャンヌ「そっか……ポッドじゃとても間に合わないから」

ブラド「ほんなら、これ使って下の海、凍らせたら?」

フィスト「え!?凍らせるの!?」

ブラド「い、いや!それしかなくない?」

マリア「下にはアナスタシアとか、海の生き物がいるはずよね?その子達をまずどこかに避難させないと……」

ロックス「どでかい水槽なんか作ったらどうだ?当面、魚たちが死なない程度の避難所にする」

マリン「それこそどこにあんのよ!そんなもん」

ロックス「今あるものでなんとかするんだろ?この辺の木を切らせてくれりゃ、ドワーフの職人五人もいりゃものの数分ででかい生け簀を作ってやれるぜ」
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