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第9章 魔界
第234話 次の目的地 その7
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第234話 次の目的地 その7
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
9人は先ほどまでいたパーティー会場に走って戻りました。
席について食事を再開する者、先に着替えを済ませる者、とりあえずおしゃべりをする者、と、様々でした。
リーフ「あ、ねえ、グシオンさん」
グシオン「何かね?」
リーフ「グシオンさんはさ、私たちがこの魔界の入口に来た時に、声かけてくれたじゃん?あれ、なんで?」
グシオン「言っただろう。暇だったんだよ。悪魔はこのムラサキハッカの生息域から出るのはリスキーだ。かと言って、こんなところに来てくれる生き物などそうはいない」
マリア「でも、ブラドの吸血鬼の一族みたいに、ちょっとずつ血を薄めていって、外に出た悪魔もいたんですよね?」
グシオン「そうだな。確かに、そういうことができないわけではない。ただ、私たちはそういう選択をしなかったから、今もここにいるわけだ」
マリン「出たいとか、思わないの?」
グシオン「どうだろうな。たまにそういうことを思うことはあるが、そういうときはムラサキハッカを抜き取って持ち出したりする。そうすれば少なくとも枯れるまでは、外を歩き回れるからな」
ローズ「ちょっと待って!じゃあさ、魔界でも香油に加工しちゃえばいいんじゃない?それならここから持っていって長い間持ち歩けるよ!」
ジャンヌ「ンー!ホーフ!ホヘハイホウ!」
ブラド「食べ終わってからにしいや」
フィスト「『ローズ!それ最高!』って言ってるのね」
サリー「確かに……もし香油でも悪魔さんたちが香油を活用できたら、地上で誤解されることがなくなるかも……」
ビフロンス「俺はいらんがね。ここの墓場にいるのが性に合ってる」
キャッツ「えー!そうなの!?たまには外に来てよ!」
グシオン「私たちが香油を精製できるようになれば、そういう選択肢も生まれる、ということだな……今は必要ないと思っている悪魔も、使いたくなったら使えばいい」
フィスト「そういうことね」
サリー「じゃ、じゃあ、香油にする方法をちゃんと勉強して、またここに来ますね」
グシオン「楽しみにしているよ」
ビフロンス「おう。俺もだ」
ブラド「なんや。香油が楽しみなんやん」
ビフロンス「香油じゃない。お前さんたちに、もう一度会えるのが、楽しみなんだよ」
グシオン「うん……世界をひとつにするという、とてつもなく大きな仕事を終えた君たちに再開するのは、この上ない喜びだよ」
ブラド「……ありがとう!」
ビフロンス「さて、それじゃ、もう準備いいかい?」
9人が食事と着替えを終えて話していたので、ビフロンスが声をかけました。
ジャンヌ「うん!いいよね?みんな」
「「「「はーい!」」」」
ブラド「グシオンさん、ビフロンスさん、スケルトンさんたちも……ありがとう!」
2人の悪魔は微笑むだけで返事をしました。
スケルトンたちは表情を変えることができないので、手を振って応えました。
サリー「……じゃあ、いい?」
ジャンヌ「うん。お願い」
サリーはジャンヌの返事を聞くと、目を閉じ、集中しはじめました。
誰も言葉を発しません。
サリーのキューブが強く光りはじめました。
そしてその光の源である光の球体が、キューブから出てきました。
サリー「みんな……手をつないで」
8人は慌てて手をつなぎます。
ジャンヌとリーフが、サリーの両手を持ち、9人で円になりました。
サリー「旅立ちの塔……あった」
サリーがそうつぶやくと、9人の体は強い光に包まれ、直後、光とともに体ごと消えていました。
グシオン「……行ったか」
ビフロンス「行きましたね。これで世界がひとつになるんですね」
グシオン「なるにはなる、がな……」
ビフロンス「やっぱり、旦那なにか知ってますね。さすが、すべての知識に通じる悪魔だ」
グシオン「……知っているだけでは何もできんさ。どうするか、選ぶのは彼女たちだ」
静けさが風のように吹きわたりました。
9人の少女はほぼ同時に目を開けました。
風が吹き抜け、9人の髪や服を揺らします。
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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9人は先ほどまでいたパーティー会場に走って戻りました。
席について食事を再開する者、先に着替えを済ませる者、とりあえずおしゃべりをする者、と、様々でした。
リーフ「あ、ねえ、グシオンさん」
グシオン「何かね?」
リーフ「グシオンさんはさ、私たちがこの魔界の入口に来た時に、声かけてくれたじゃん?あれ、なんで?」
グシオン「言っただろう。暇だったんだよ。悪魔はこのムラサキハッカの生息域から出るのはリスキーだ。かと言って、こんなところに来てくれる生き物などそうはいない」
マリア「でも、ブラドの吸血鬼の一族みたいに、ちょっとずつ血を薄めていって、外に出た悪魔もいたんですよね?」
グシオン「そうだな。確かに、そういうことができないわけではない。ただ、私たちはそういう選択をしなかったから、今もここにいるわけだ」
マリン「出たいとか、思わないの?」
グシオン「どうだろうな。たまにそういうことを思うことはあるが、そういうときはムラサキハッカを抜き取って持ち出したりする。そうすれば少なくとも枯れるまでは、外を歩き回れるからな」
ローズ「ちょっと待って!じゃあさ、魔界でも香油に加工しちゃえばいいんじゃない?それならここから持っていって長い間持ち歩けるよ!」
ジャンヌ「ンー!ホーフ!ホヘハイホウ!」
ブラド「食べ終わってからにしいや」
フィスト「『ローズ!それ最高!』って言ってるのね」
サリー「確かに……もし香油でも悪魔さんたちが香油を活用できたら、地上で誤解されることがなくなるかも……」
ビフロンス「俺はいらんがね。ここの墓場にいるのが性に合ってる」
キャッツ「えー!そうなの!?たまには外に来てよ!」
グシオン「私たちが香油を精製できるようになれば、そういう選択肢も生まれる、ということだな……今は必要ないと思っている悪魔も、使いたくなったら使えばいい」
フィスト「そういうことね」
サリー「じゃ、じゃあ、香油にする方法をちゃんと勉強して、またここに来ますね」
グシオン「楽しみにしているよ」
ビフロンス「おう。俺もだ」
ブラド「なんや。香油が楽しみなんやん」
ビフロンス「香油じゃない。お前さんたちに、もう一度会えるのが、楽しみなんだよ」
グシオン「うん……世界をひとつにするという、とてつもなく大きな仕事を終えた君たちに再開するのは、この上ない喜びだよ」
ブラド「……ありがとう!」
ビフロンス「さて、それじゃ、もう準備いいかい?」
9人が食事と着替えを終えて話していたので、ビフロンスが声をかけました。
ジャンヌ「うん!いいよね?みんな」
「「「「はーい!」」」」
ブラド「グシオンさん、ビフロンスさん、スケルトンさんたちも……ありがとう!」
2人の悪魔は微笑むだけで返事をしました。
スケルトンたちは表情を変えることができないので、手を振って応えました。
サリー「……じゃあ、いい?」
ジャンヌ「うん。お願い」
サリーはジャンヌの返事を聞くと、目を閉じ、集中しはじめました。
誰も言葉を発しません。
サリーのキューブが強く光りはじめました。
そしてその光の源である光の球体が、キューブから出てきました。
サリー「みんな……手をつないで」
8人は慌てて手をつなぎます。
ジャンヌとリーフが、サリーの両手を持ち、9人で円になりました。
サリー「旅立ちの塔……あった」
サリーがそうつぶやくと、9人の体は強い光に包まれ、直後、光とともに体ごと消えていました。
グシオン「……行ったか」
ビフロンス「行きましたね。これで世界がひとつになるんですね」
グシオン「なるにはなる、がな……」
ビフロンス「やっぱり、旦那なにか知ってますね。さすが、すべての知識に通じる悪魔だ」
グシオン「……知っているだけでは何もできんさ。どうするか、選ぶのは彼女たちだ」
静けさが風のように吹きわたりました。
9人の少女はほぼ同時に目を開けました。
風が吹き抜け、9人の髪や服を揺らします。
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