虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第9章 魔界

第224話 魔界の村

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第224話 魔界の村
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********


グシオンと9人が立っている場所は地底世界でありながら小高い丘でした。
そして見下ろした先は広い平野になっていました。

そこは確かに、村のようになっていました。

ジャンヌ「こ、ここが、魔界、の村?」

グシオン「呼び名なんぞありはしない。好きに呼ぶといい」

サリー「不思議……地底なのに、ほんのり明るい」

ブラド「ほんとやね。ムラサキハッカみたいな、紫色の光が、地面にあるたくさんの玉みたいなのから……」

ブラドは言葉を失いました。
いえ、何も言えないのは9人全員でした。

グシオン「どうした?あれが君たちが探していたオーブじゃないのかね?好きなのを持って行けばいいだろう」

村には紫色に光る宝珠が、数えきれないほどたくさんあったのです。
無造作に、まるで自生でもしているかのように、村のあちらこちらに転がっていました。

マリン「な、なによ、これ……」

リーフ「オーブが1個っていうのも、決めつけだったってこと?」

グシオン「そうなのか?」

フィスト「うん……だって、オーブってその国でとっても大事な、宝物みたいな存在で……」

ローズ「どこの国でも、とても大切にされていたものなんです」

グシオン「なるほど……またしても、決めつけだな……」

キャッツ「えっ?」

グシオン「たくさんあるものは大事にされていない。大事にしなくていい。そう思っているんだろう?」

マリア「そ、そんなことありません!」

グシオン「確かにあれだけたくさんあるわけだから、ひとつ持って行くことは拒まない。だがそれは、君たちがあれを心底必要としているからだ。必要としない者たちに渡せるものではないんだよ、あれらは」

キャッツ「あの!あれって、何なんですか?」

グシオン「……自分たちで確かめるといい」

長身の老人の姿をした悪魔はそう言うと、消えてしまいました。

マリア「え!?」

グシオンは闇の中にその姿を溶かしてしまったかのように、その場から姿を消したのです。

ローズ「……消えちゃったね」

サリー「自分で悪魔って言ってたけど、全然嫌なことされなかった」

フィスト「うん。見た目も、身長以外は普通だったもんね」

ブラド「じゃあさ……悪魔って結局、なんなん?」

ジャンヌ「……歩きながら話そう」

マリア「そ、そうね!」

9人は斜面を下った先にある村を目指して、歩きだしました。

マリア「悪魔とは何か、か……幽霊とは違うわけよね」

サリー「高位の霊体……っていう言い方になるかも……」

キャッツ「なるほど、イメージしやすいね。さすが魔法使い」

マリア「その高位の霊体にも、意思があるから、人が望むことをしてくれるわけじゃない……つまり、人知を超えた力を持っていて、人にとって都合のいいことばかりしてくれるわけじゃない……だから恐ろしい存在として描写されてきたのかもね」

リーフ「ってことは、怖いとか恐ろしいっていうイメージって、人間が勝手に作ったものってこと?」

マリン「そうなるかもね」

リーフ「でもそれならさ、こんなとこに住まないでよぉ……怖いじゃん」

ジャンヌ「ま、まぁ確かに、暗くてジメジメしてて、怖いとこよね……ん?あれ、なに?」

村に向かって歩いていた9人の視線の先で、たくさんの四角い石が地面に置かれていました。

マリア「お墓、かしら?」

マリアの声に応えるように、唐突に、墓地のそこかしこのランタンに、明かりがつきました。

サリー「な、なに!?」

???「なにとはご挨拶だな……こちとらお客が転んじゃいけないと思って、明かりをつけたってのにさ」
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