虹の騎士団物語

舞子坂のぼる

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第9章 魔界

第221話 悪魔たちのいるところ

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第221話 悪魔たちのいるところ
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********


9人は洞窟の奥へと進んでいきます。

ジャンヌ「ほんとにキレイだね……生の花だと、あんまり匂いしないみたいね」

フィスト「香油にしたら魔除けになるってことは、悪魔って鼻がいいのかな?」

サリー「えっと、私は香油の使い方しか知らないけど、香油を染み込ませて持っていたり、家の四隅に撒いていたりすると、悪魔の活動が穏やかになるんだって。それが、結局魔除けとして定着したんだと思う」

ローズ「穏やかって、人を襲わなくなったり、とかだよね?」

サリー「そうじゃないかな?多分」

ローズ「ふーん……」

サリー「?どうかした?」

ローズ「いや、なんで悪魔とかって、人を襲うのかな?って」

サリー「え?なんでって……なんでだろう……」

マリン「確かにそう言われたら不思議よね。吸血鬼は食事なのよね?確か」

ブラド「うん。血の濃い吸血鬼はそうだったはずだよ。私は血が薄いから、わざわざ人の血を吸わなくても、ほかのもの食べてればいいんだけどね」

マリア「でも、ほかの悪魔は違うわよね」

ローズ「ほかの悪魔って、なに?」

マリア「な、なにって?」

ローズ「いや、私たちさ、そんなに悪魔のこと知らなくない?」

キャッツ「ま、まぁ、確かにそうよね」

リーフ「なんとなくイメージで怖がってるだけなのかな……」

ローズ「人襲ってるとこ、見たことある?」

ジャンヌ「いや、ないけど……」

フィスト「そんなこと言い出したらさ、そもそも悪魔なんて見たことないよね」

ローズ「でしょ?でも、魔除けに使われる植物があって、それが実際にブラドに効き目があるって、不思議よね?」

ブラド「まだわからないけど、もしこの先に魔界があるとしたら、悪魔たちはそこに住んでて、たまに地上に出てくる、とか、そういうことなのかもね」

マリア「ブラドの家は、何代か前から地上で暮らしていたのよね?」

ブラド「そうらしいね。だから、もしかしたらご先祖様は魔界出身かもしれない」

サリー「なんか、魔界魔界言ってると、怖くなくなってくるね……あ、見て、あれ」

サリーが指示した先には、1枚の立札がありました。
杭も板も木製で、立札としては最も簡素な部類のものでした。

9人が駆け寄り、同時にそこに書かれている文字を読みました。
声に出したのはリーフだけでした。

リーフ「……『ここより、魔界』?」

マリン「らしいわよ」

ブラド「なんで私たちにわかる文字で書いているのかしらね」

サリー「親切なのかな?悪魔」

フィスト「んなわけないでしょうが」

???「どうしてかね?」

ジャンヌ「だ、誰!?」

9人は驚いて辺りを見渡します。
立札のさらに奥。灯火鉱の明かりをサリーが増幅した光も届かない、闇の奥から、大きな男が現れました。

グシオン「私はグシオン。ここに住む、君たちが言う、悪魔だよ」

グシオンと名乗った悪魔は、黒いマントに身を包み、頭には黒い帽子を乗せていました。
髪の毛とひげはほとんど白いグレーで、顔には深いしわが刻まれています。
その表情は、悪魔という言葉とはほど遠く、穏やかでしたが、9人を圧倒してしまうほど、人間離れした長身でした。

キャッツ「あ、悪魔……?」

グシオン「お嬢さんがたの言い方をすれば、一応そういうことになる、ってだけだがね。おしゃべり好きで暇なでかいじじいとでも思っていればいい」

リーフ「暇なんですか?」

グシオン「ああ、ほとんどの悪魔が暇しとるよ。なんせ基本的に死ぬことがないからな。たいていのことはやり飽きとる。つまりお嬢さんがたは私の暇つぶしの相手ということだな」
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