151 / 189
第9章 魔界
第219話 魔除け
しおりを挟む
第219話 魔除け
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
サリー「ど、どうしよう!どうしたらいい?」
マリン「そ、そんなこと言われても……」
マリア「吸血鬼の体調変化なんて、どうしたらいいか……」
ローズ「サリー!何か、こう、気を遮断する方法とか、ない?」
ジャンヌ「そっか……ここの気が影響してるなら、それを一時的に……」
サリー「ま、待って……えっと……気を、遮断……」
サリーは苦しむブラドを前にして、冷静に考えることができずにいました。
マリア「魔除け的なことでもいいのかしら」
キャッツ「!?魔除け!サリー!城下町で買ったムラサキハッカの香油!あれ確か魔除けでしょ!」
サリー「そ、そっか!」
サリーは鞄の中に手を入れ、すぐに出しました。
手の中には小瓶と短い木の枝が握られています。
サリーは必死に慌てないように、小瓶のふたを開けました。
木の枝を小瓶の中に入れ、取り出します。
リーフ「ムラサキハッカって、なに?」
キャッツ「私も詳しくは知らないけど、魔除けによく使われえるものらしいわ」
短い木の枝には、小瓶の中の液体がたっぷりとついています。
サリーはその木の枝をハンカチの上に乗せ、倒れて苦しむブラドの胸元にハンカチごと置きました。
ブラドの苦悶の表情が、徐々にやわらいでいきます。
フィスト「す、すごい……効いてるっぽいね」
ローズ「キャッツ、知ってたの?」
キャッツ「ムラサキハッカが魔除けに使われるのは、まぁ遺跡がある奥地なんかだと、よく聞く話よ。私も話でしか聞いたことないけどね。旅立ちの日の前、3人組で買い物に行ったでしょ?そのとき、サリーがムラサキハッカの香油を買ってたのよ」
マリア「へえ、よく覚えてたわね」
キャッツ「めったに見るものじゃないからね。私も魔法の道具に詳しいわけじゃないから、見聞きしたことあるものだったから覚えてたのかも」
体を横にしたブラドの表情から、苦悶の色はなくなっていました。
穏やかな表情で目をつむり、息をしています。
サリー「よかった……何とかなったみたい……ありがと、みんな」
マリン「でもすごいんだね、ムラサキハッカって」
サリー「うん、でも本当は魔除けじゃなくて、悪魔とかを穏やかにさせるものらしいの」
フィスト「なんでもいいよー、ブラドが苦しいのが取れるなら」
マリア「ちょっと休憩にしない?ブラドを今無理に起こしたくないし」
ジャンヌ「そうだね。そうしよう」
20分ほどすると、ブラドが目を覚ましました。
ブラド「!?」
ブラドは跳ね上がるように上体を起こしました。
キャッツ「あ、起きた」
リーフ「大丈夫?しんどくない?」
ブラド「わ、わたし……えっと……寝てた?」
マリン「そうよー。大変だったんだから。急に苦しみだしてさ」
サリー「あ、そのムラサキハッカのオイルを染み込ませた枝、持っといて」
ブラド「あ、ごめん!これ?持っといたらいいの?」
マリア「はい、できたわよ。枝を入れられるようになってるネックレス。てきとうな紐で結っただけだけど、勘弁してね」
フィスト「いやめっちゃすごいじゃん」
ブラド「あ……ありがとう……」
ブラドは礼を言うと、マリアから受け取った首飾りを首にかけました。
中央の蓑のような部分に木の枝を差し込みました。
ブラド「こ、こう?」
サリー「うん、そうしとくといいと思うよ」
ジャンヌ「でも焦ったねー。いきなり歯が伸びるんだもん」
ブラド「え?わたし!?うそ!なにこれ!?」
ローズ「かわいいよー」
フィスト「いやそれでは済まんでしょうが」
マリア「吸血鬼の血が目覚めた、って感じなのかな?」
ブラド「そう……なのかな……?」
リーフ「いいじゃん!とにかく無事だったんだから!」
キャッツ「でもやっぱり、ブラドの変化を見ると、魔界みたいな場所が近いのよね?」
ジャンヌ「そうかもね……ま、何にしてもよかったわ。目が覚めて」
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
サリー「ど、どうしよう!どうしたらいい?」
マリン「そ、そんなこと言われても……」
マリア「吸血鬼の体調変化なんて、どうしたらいいか……」
ローズ「サリー!何か、こう、気を遮断する方法とか、ない?」
ジャンヌ「そっか……ここの気が影響してるなら、それを一時的に……」
サリー「ま、待って……えっと……気を、遮断……」
サリーは苦しむブラドを前にして、冷静に考えることができずにいました。
マリア「魔除け的なことでもいいのかしら」
キャッツ「!?魔除け!サリー!城下町で買ったムラサキハッカの香油!あれ確か魔除けでしょ!」
サリー「そ、そっか!」
サリーは鞄の中に手を入れ、すぐに出しました。
手の中には小瓶と短い木の枝が握られています。
サリーは必死に慌てないように、小瓶のふたを開けました。
木の枝を小瓶の中に入れ、取り出します。
リーフ「ムラサキハッカって、なに?」
キャッツ「私も詳しくは知らないけど、魔除けによく使われえるものらしいわ」
短い木の枝には、小瓶の中の液体がたっぷりとついています。
サリーはその木の枝をハンカチの上に乗せ、倒れて苦しむブラドの胸元にハンカチごと置きました。
ブラドの苦悶の表情が、徐々にやわらいでいきます。
フィスト「す、すごい……効いてるっぽいね」
ローズ「キャッツ、知ってたの?」
キャッツ「ムラサキハッカが魔除けに使われるのは、まぁ遺跡がある奥地なんかだと、よく聞く話よ。私も話でしか聞いたことないけどね。旅立ちの日の前、3人組で買い物に行ったでしょ?そのとき、サリーがムラサキハッカの香油を買ってたのよ」
マリア「へえ、よく覚えてたわね」
キャッツ「めったに見るものじゃないからね。私も魔法の道具に詳しいわけじゃないから、見聞きしたことあるものだったから覚えてたのかも」
体を横にしたブラドの表情から、苦悶の色はなくなっていました。
穏やかな表情で目をつむり、息をしています。
サリー「よかった……何とかなったみたい……ありがと、みんな」
マリン「でもすごいんだね、ムラサキハッカって」
サリー「うん、でも本当は魔除けじゃなくて、悪魔とかを穏やかにさせるものらしいの」
フィスト「なんでもいいよー、ブラドが苦しいのが取れるなら」
マリア「ちょっと休憩にしない?ブラドを今無理に起こしたくないし」
ジャンヌ「そうだね。そうしよう」
20分ほどすると、ブラドが目を覚ましました。
ブラド「!?」
ブラドは跳ね上がるように上体を起こしました。
キャッツ「あ、起きた」
リーフ「大丈夫?しんどくない?」
ブラド「わ、わたし……えっと……寝てた?」
マリン「そうよー。大変だったんだから。急に苦しみだしてさ」
サリー「あ、そのムラサキハッカのオイルを染み込ませた枝、持っといて」
ブラド「あ、ごめん!これ?持っといたらいいの?」
マリア「はい、できたわよ。枝を入れられるようになってるネックレス。てきとうな紐で結っただけだけど、勘弁してね」
フィスト「いやめっちゃすごいじゃん」
ブラド「あ……ありがとう……」
ブラドは礼を言うと、マリアから受け取った首飾りを首にかけました。
中央の蓑のような部分に木の枝を差し込みました。
ブラド「こ、こう?」
サリー「うん、そうしとくといいと思うよ」
ジャンヌ「でも焦ったねー。いきなり歯が伸びるんだもん」
ブラド「え?わたし!?うそ!なにこれ!?」
ローズ「かわいいよー」
フィスト「いやそれでは済まんでしょうが」
マリア「吸血鬼の血が目覚めた、って感じなのかな?」
ブラド「そう……なのかな……?」
リーフ「いいじゃん!とにかく無事だったんだから!」
キャッツ「でもやっぱり、ブラドの変化を見ると、魔界みたいな場所が近いのよね?」
ジャンヌ「そうかもね……ま、何にしてもよかったわ。目が覚めて」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!

2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
魔法少女になれたなら【完結済み】
M・A・J・O
ファンタジー
【第5回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】
【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】
【第9回ネット小説大賞、一次選考突破!】
とある普通の女子小学生――“椎名結衣”はある日一冊の本と出会う。
そこから少女の生活は一変する。
なんとその本は魔法のステッキで?
魔法のステッキにより、強引に魔法少女にされてしまった結衣。
異能力の戦いに戸惑いながらも、何とか着実に勝利を重ねて行く。
これは人間の願いの物語。
愉快痛快なステッキに振り回される憐れな少女の“願い”やいかに――
謎に包まれた魔法少女劇が今――始まる。
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる