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第8章 地の果て
第213話 豆の木の先
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第213話 豆の木の先
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
マリア「フィスト、ひとりじゃ心細いだろうから、行ってあげてくれますか?」
モモ「ふふっ、あんたたち、ほんといいチームよ」
妖精はそう言うと、上空へと飛んで行きました。
8人は豆の木を見上げながら話します。
リーフ「でもさー、太陽がオーブだなんて、すごい発想だよね」
マリン「うん。昼から夜に変わるとき、空だけが動いて、太陽が月になってるのを見て思いついたんだよね」
マリア「太陽でも月でもあって……太陽でも月でもない……この国の真ん中でずっと光輝いているもの、か」
キャッツ「そりゃあオーブじゃなきゃおかしいわね」
サリー「……あ!だからか」
ジャンヌ「?どうしたの?」
サリー「あのさ、私たちが森で目が覚めて、この町に向かってるとき、ブラド、日差しが辛くないって言ってたよね?」
ブラド「あー!言ったね。今も全然辛くないしねー」
サリー「私が日差し避けの術を使えなくなってるのに、ブラドが辛くなかったのはさ、あれが太陽じゃなかったからじゃない?」
ブラド「あ!なるほど!ほんとだね」
ローズ「やっぱり、あれがオーブなんだね」
ジャンヌ「うん……私たちも信じよう。信じる心が、この国では真実なんだから」
マリア「そうね」
マリン「でもさー、ここまで疑いようがなかったら、信じるもクソもないけどねー」
リーフ「ほんとだねー」
マリン「あぁぁ……ずっと上向いてたら首痛くなってきた」
8人が首のストレッチなどを始めたころ、妖精のモモがフィストに追いついて話しかけました。
モモ「ちょっと!!!あんた!速いわよ!!!」
フィスト「え!?ご、ごめん!なさい……」
モモ「ハァ……ハァ……あんたね……なんで空飛んでる……私より……ハァ……速いの……」
フィスト「い、いや、そんなこと言われても」
困惑するフィストの肩に、妖精が腰かけます。
モモ「ちょっと……休憩……させて……ハァ……」
フィスト「ど、どうぞ!……………………あの、座ってていいんで、登ってもいいですか?」
モモ「どんな体力してんのよあんた……もちろん、いいわよ」
フィストは再び登りはじめます。
ツルに手を掛け足を掛け、淀みなく動かし、着実に高度を上げていきます。
フィスト「みんな、心配してたんですか?」
モモ「ぜーんぜん!私が『心配だろうから見てきてあげようか?』って聞いたら、なんて言ったと思う?…………『心配はしてないけどひとりは心細いと思うから行ってあげてください』だってさ」
モモの言葉を聞いて、フィストは脳内でその情景を再生して、照れ臭そうに笑いました。
フィスト「じゃ、期待にこたえなきゃ」
モモ「がんばんなさいね……とか言ってる内に、もうこんなとこまで来たわね」
フィストがいる場所の周りに雲が浮かんでいます。
フィスト「ほんとだ、早いね」
モモ「ほら、あそこ、太陽じゃん」
モモが指差した先、高さで言うとほんの数メートル上に、太陽が輝いていました。
フィストには、今まで集めてきたオーブと、同じような大きさに見えます。
モモ「あとちょっと!がんばれ!」
フィスト「う、うん、でも……離れてる……」
フィストは登る手足を休めずに言います。
太陽には確実に近づくことができています。
しかし、それは高さであって、豆の木のツルから太陽は30メートル以上離れていたのです。
フィストは太陽と同じ高さにたどり着きました。
ツルに手を掛け、地上から離れた上空の風を感じながら、ほてった体を冷やします。
モモ「豆の木の発芽場所とはちょっとずれてたみたいね……んで?こっからどうすんの?いくら夢の国でも、跳んで届く距離じゃなさそうよ」
フィスト「へへ、昨日言ったでしょ?最初っからこんなのは『雲を掴むような話だ』って」
フィストはツルを蹴って跳び上がり、手近な雲を掴みました。
跳んだ勢いは死なず、雲にぶら下がったまま太陽まで近づいていきました。
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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マリア「フィスト、ひとりじゃ心細いだろうから、行ってあげてくれますか?」
モモ「ふふっ、あんたたち、ほんといいチームよ」
妖精はそう言うと、上空へと飛んで行きました。
8人は豆の木を見上げながら話します。
リーフ「でもさー、太陽がオーブだなんて、すごい発想だよね」
マリン「うん。昼から夜に変わるとき、空だけが動いて、太陽が月になってるのを見て思いついたんだよね」
マリア「太陽でも月でもあって……太陽でも月でもない……この国の真ん中でずっと光輝いているもの、か」
キャッツ「そりゃあオーブじゃなきゃおかしいわね」
サリー「……あ!だからか」
ジャンヌ「?どうしたの?」
サリー「あのさ、私たちが森で目が覚めて、この町に向かってるとき、ブラド、日差しが辛くないって言ってたよね?」
ブラド「あー!言ったね。今も全然辛くないしねー」
サリー「私が日差し避けの術を使えなくなってるのに、ブラドが辛くなかったのはさ、あれが太陽じゃなかったからじゃない?」
ブラド「あ!なるほど!ほんとだね」
ローズ「やっぱり、あれがオーブなんだね」
ジャンヌ「うん……私たちも信じよう。信じる心が、この国では真実なんだから」
マリア「そうね」
マリン「でもさー、ここまで疑いようがなかったら、信じるもクソもないけどねー」
リーフ「ほんとだねー」
マリン「あぁぁ……ずっと上向いてたら首痛くなってきた」
8人が首のストレッチなどを始めたころ、妖精のモモがフィストに追いついて話しかけました。
モモ「ちょっと!!!あんた!速いわよ!!!」
フィスト「え!?ご、ごめん!なさい……」
モモ「ハァ……ハァ……あんたね……なんで空飛んでる……私より……ハァ……速いの……」
フィスト「い、いや、そんなこと言われても」
困惑するフィストの肩に、妖精が腰かけます。
モモ「ちょっと……休憩……させて……ハァ……」
フィスト「ど、どうぞ!……………………あの、座ってていいんで、登ってもいいですか?」
モモ「どんな体力してんのよあんた……もちろん、いいわよ」
フィストは再び登りはじめます。
ツルに手を掛け足を掛け、淀みなく動かし、着実に高度を上げていきます。
フィスト「みんな、心配してたんですか?」
モモ「ぜーんぜん!私が『心配だろうから見てきてあげようか?』って聞いたら、なんて言ったと思う?…………『心配はしてないけどひとりは心細いと思うから行ってあげてください』だってさ」
モモの言葉を聞いて、フィストは脳内でその情景を再生して、照れ臭そうに笑いました。
フィスト「じゃ、期待にこたえなきゃ」
モモ「がんばんなさいね……とか言ってる内に、もうこんなとこまで来たわね」
フィストがいる場所の周りに雲が浮かんでいます。
フィスト「ほんとだ、早いね」
モモ「ほら、あそこ、太陽じゃん」
モモが指差した先、高さで言うとほんの数メートル上に、太陽が輝いていました。
フィストには、今まで集めてきたオーブと、同じような大きさに見えます。
モモ「あとちょっと!がんばれ!」
フィスト「う、うん、でも……離れてる……」
フィストは登る手足を休めずに言います。
太陽には確実に近づくことができています。
しかし、それは高さであって、豆の木のツルから太陽は30メートル以上離れていたのです。
フィストは太陽と同じ高さにたどり着きました。
ツルに手を掛け、地上から離れた上空の風を感じながら、ほてった体を冷やします。
モモ「豆の木の発芽場所とはちょっとずれてたみたいね……んで?こっからどうすんの?いくら夢の国でも、跳んで届く距離じゃなさそうよ」
フィスト「へへ、昨日言ったでしょ?最初っからこんなのは『雲を掴むような話だ』って」
フィストはツルを蹴って跳び上がり、手近な雲を掴みました。
跳んだ勢いは死なず、雲にぶら下がったまま太陽まで近づいていきました。
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