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第8章 地の果て
第212話 フィストの夢
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第212話 フィストの夢
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
フィスト「モモさん、言ってたよね?ここがこの国の中心だって」
モモ「あー、言ったわね」
フィスト「なんでそんなことがわかるんですか?」
モモ「そんなもん、太陽が真上にあるからよ」
フィスト「……みんな、思い出して。森からこの町に入るとき、私たちは太陽を目指して歩いてきたよね?」
サリー「う、うん」
フィスト「この国には昼と夜しかないから、太陽も月もそこから動かない。逆に空の方が動いてた……だから、いつだって太陽を目指せばこの町に着けるの。太陽と月が、この国の真ん中の、真上にあるから……だから、あの太陽がオーブなんだと思う」
ブラド「いやいやいや……ちょっと待って……わかんない」
フィスト「私もわかんないよ!でもさ、世界中の夢たちが集まってるんだから、集合場所があるはずでしょ?それがここなのかな?って……だとしたら、その真ん中で光ってるものが『夢見る心』そのものかな?って……」
マリア「そっか、だから、空の真ん中で動かない太陽と月の正体がオーブってことね」
モモ「ふむ……理屈は通るわね」
ジャンヌ「い、いや!理屈は通るけど、だったらわざわざ登らなくても、こっからジャンプで取ればいいじゃん!夜空の星みたいに」
ローズ「そうだよね、フィスト取れたもんね」
フィスト「んー、多分、あの太陽は無理……」
ジャンヌ「なんでよ!?」
フィスト「私が『そんな気がする』から……」
ジャンヌ「はぁ?」
フィスト「モモさん言ってたでしょ?『信じてるから叶う』って……私は今、『ここから太陽に届く』って信じれてないもん……だって、この世界の中心で、たかーいとこにあるんだから」
ジャンヌ「い、いや、たかーいとこにあるのは星も一緒でしょ?」
フィスト「んー、そうだけど……星とは違うでしょ?太陽って、遠そうだし。でも、この木登れば届きそうじゃん?」
ジャンヌ「…………」
モモ「諦めなさい、フィストの勝ちよ。この世界、信じたもん勝ちなんだから。理屈じゃないものを理屈にしちゃえば、それが真実よ」
ジャンヌ「で、でも、危ないでしょ……」
リーフ「だ、大丈夫だよジャンヌ!私、がんばる!」
サリー「わ、私も!」
フィスト「あ、待って、私一人で行く」
ブラド「はぁ!?なんでよ!」
フィスト「いや、だって、こんなバカなこと信じてるの、私だけじゃない?」
マリア「そんなことないわよ。私だってそういうの、素敵だと思うよ」
キャッツ「うん、なんかフィストっぽくて素敵だよね」
フィスト「だからよ!私が考えたから私っぽいんでしょ?だから、私の話を聞いてくれて、信じてくれたみんなは……私を信じてるわけじゃん?だからもし私が、自分の思い付きを少しでも疑ったら……みんなを巻き添えにするから……」
モモ「うんうん、それも理屈が通ってるわね」
マリン「ま、この国で一番はしゃいでたのも、フィストだしねー」
サリー「そうそう!楽しそうだった」
フィスト「うん……やっぱり、夢がなくなるなんて、絶対いや。私が夢を取り戻してくる!」
リーフ「フィストならほんとにできそうだね!」
フィスト「忘れてるかも知れないけどさ、私、近衛兵のトップだよ?運動能力だけで言ったら、この中ではイチバンなんだから!」
ローズ「兵(つわもの)どもが夢のあと、だね!」
マリア「……全然ちがうわよ」
ローズ「えぇー!(笑)」
キャッツ「あとで説教ものね……」
ジャンヌ「……フィスト、約束して!絶対無事に降りてくる、って」
フィスト「うん!もちろん!」
フィストはそう言うと、8人に背を向け、天まで伸びる豆の木に向き直りました。
フィストは一番手近な段差に手をかけると、両手両足を使って一気に駆け上がりました。
ブラド「は、早っ!!」
リーフ「すごいねー!」
マリン「こっからじゃもうほとんど見えないね」
モモ「あんたたちも心配でしょ。私が見てきてあげる」
ジャンヌ「……私たちはフィストを信じてるから、心配なんかしてません。でも……」
マリア「フィスト、ひとりじゃ心細いだろうから、行ってあげてくれますか?」
モモ「ふふっ、あんたたち、ほんといいチームよ」
妖精はそう言うと、上空へと飛んで行きました。
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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フィスト「モモさん、言ってたよね?ここがこの国の中心だって」
モモ「あー、言ったわね」
フィスト「なんでそんなことがわかるんですか?」
モモ「そんなもん、太陽が真上にあるからよ」
フィスト「……みんな、思い出して。森からこの町に入るとき、私たちは太陽を目指して歩いてきたよね?」
サリー「う、うん」
フィスト「この国には昼と夜しかないから、太陽も月もそこから動かない。逆に空の方が動いてた……だから、いつだって太陽を目指せばこの町に着けるの。太陽と月が、この国の真ん中の、真上にあるから……だから、あの太陽がオーブなんだと思う」
ブラド「いやいやいや……ちょっと待って……わかんない」
フィスト「私もわかんないよ!でもさ、世界中の夢たちが集まってるんだから、集合場所があるはずでしょ?それがここなのかな?って……だとしたら、その真ん中で光ってるものが『夢見る心』そのものかな?って……」
マリア「そっか、だから、空の真ん中で動かない太陽と月の正体がオーブってことね」
モモ「ふむ……理屈は通るわね」
ジャンヌ「い、いや!理屈は通るけど、だったらわざわざ登らなくても、こっからジャンプで取ればいいじゃん!夜空の星みたいに」
ローズ「そうだよね、フィスト取れたもんね」
フィスト「んー、多分、あの太陽は無理……」
ジャンヌ「なんでよ!?」
フィスト「私が『そんな気がする』から……」
ジャンヌ「はぁ?」
フィスト「モモさん言ってたでしょ?『信じてるから叶う』って……私は今、『ここから太陽に届く』って信じれてないもん……だって、この世界の中心で、たかーいとこにあるんだから」
ジャンヌ「い、いや、たかーいとこにあるのは星も一緒でしょ?」
フィスト「んー、そうだけど……星とは違うでしょ?太陽って、遠そうだし。でも、この木登れば届きそうじゃん?」
ジャンヌ「…………」
モモ「諦めなさい、フィストの勝ちよ。この世界、信じたもん勝ちなんだから。理屈じゃないものを理屈にしちゃえば、それが真実よ」
ジャンヌ「で、でも、危ないでしょ……」
リーフ「だ、大丈夫だよジャンヌ!私、がんばる!」
サリー「わ、私も!」
フィスト「あ、待って、私一人で行く」
ブラド「はぁ!?なんでよ!」
フィスト「いや、だって、こんなバカなこと信じてるの、私だけじゃない?」
マリア「そんなことないわよ。私だってそういうの、素敵だと思うよ」
キャッツ「うん、なんかフィストっぽくて素敵だよね」
フィスト「だからよ!私が考えたから私っぽいんでしょ?だから、私の話を聞いてくれて、信じてくれたみんなは……私を信じてるわけじゃん?だからもし私が、自分の思い付きを少しでも疑ったら……みんなを巻き添えにするから……」
モモ「うんうん、それも理屈が通ってるわね」
マリン「ま、この国で一番はしゃいでたのも、フィストだしねー」
サリー「そうそう!楽しそうだった」
フィスト「うん……やっぱり、夢がなくなるなんて、絶対いや。私が夢を取り戻してくる!」
リーフ「フィストならほんとにできそうだね!」
フィスト「忘れてるかも知れないけどさ、私、近衛兵のトップだよ?運動能力だけで言ったら、この中ではイチバンなんだから!」
ローズ「兵(つわもの)どもが夢のあと、だね!」
マリア「……全然ちがうわよ」
ローズ「えぇー!(笑)」
キャッツ「あとで説教ものね……」
ジャンヌ「……フィスト、約束して!絶対無事に降りてくる、って」
フィスト「うん!もちろん!」
フィストはそう言うと、8人に背を向け、天まで伸びる豆の木に向き直りました。
フィストは一番手近な段差に手をかけると、両手両足を使って一気に駆け上がりました。
ブラド「は、早っ!!」
リーフ「すごいねー!」
マリン「こっからじゃもうほとんど見えないね」
モモ「あんたたちも心配でしょ。私が見てきてあげる」
ジャンヌ「……私たちはフィストを信じてるから、心配なんかしてません。でも……」
マリア「フィスト、ひとりじゃ心細いだろうから、行ってあげてくれますか?」
モモ「ふふっ、あんたたち、ほんといいチームよ」
妖精はそう言うと、上空へと飛んで行きました。
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