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第8章 地の果て
第211話 雲を掴むような話
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第211話 雲を掴むような話
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
ブラド「じゃあやっぱり!なんとしても夢がなくなっていくことを食い止めて、この国でオーブを見つけなあかんよね!」
キャッツ「だねー……でも、それなのに、手がかりなーんもないよねー」
短い沈黙が降りました。
フィスト「あの……それなんだけどね、明日私、やってみたいことがあるの」
ブラド「お?なに?なにかいい考えあるん?」
フィスト「い、いや、いい考えっていうか……ほんと、なんか突拍子もなくてさ……言うのも恥ずかしい……」
リーフ「えー!なになにー!?聞かせてよ!」
フィスト「い、いや!ほんと無理!そもそも明日になってみないと、それができるかどうかもわからないし!」
マリア「ふーん……聞かない方がいい?」
フィスト「えーと……そうかな、うん。ほんとに、雲を掴むような話だから、ほんとにできるかわからないのよ。だから、期待させても悪いかなーって……」
ジャンヌ「私たちは、そのための準備とかはしなくていいわけ?」
フィスト「う、うん!大丈夫、です!」
ローズ「あれ?緊張してるの?」
フィスト「いやそりゃするでしょ!」
サリー「……でもさ、フィストが考えも可能性もなしにこんなこと言い出さない気がする」
マリン「それ!私もそう思う!ま、フィストの考え通りにならなくてもさ、何らかの進展にはなると思うよ」
リーフ「うん!絶対そうだよ!」
ブラド「まぁ、それならそれでいいとしてさ、明日はまずどうするの?」
フィスト「えっと……あれ見に行こうよ。魔法の豆の木」
モモ「あー、そうだったわね。ひと晩で大きくなるから、まずはそれを見に行くのでいいんじゃない?」
キャッツ「……そこでしたいことがあるのね?フィスト」
フィストはもう一度ジャンプし、夜空のこんぺいとうに手を伸ばしました。
着地し、手の中のこんぺいとうを見つめ、答えました。
フィスト「うん……」
ジャンヌ「よし!じゃあ今日はもう寝よっか。明日の朝、ごはんを食べたら、今日ジャックと会った大通りの真ん中に行くよ」
「「「「はーい!」」」」
9人はそれぞれのベッドに入り、それぞれのタイミングで眠りに落ちました。
9人はその日、同じ夢を見ました。
統一感のある衣装で舞台に立ち、歌って踊り、たくさんの人からの歓声を浴びる、不思議な夢でした。
翌朝、再び空がグルンと回り、夜から昼に切り替わりました。
一人早起きしたフィストは、テラスに出てつぶやきました。
フィスト「……もうお日様が真上に来てる……」
テラスの手すりには妖精のモモが腰かけています。
モモ「そうよ。昼と夜しかないからね。あれは夜は月で、昼は太陽よ」
フィスト「そっか。あれ、動かないんだね」
モモ「……?」
9人は順に目を覚まし、食事を終え、その1時間後には空を見上げていました。
正確には、空へと伸びた豆の木を。
ブラド「はぁ~……でっかいねー!」
リーフ「ほ、ほんとに空まで届いちゃってる……」
キャッツ「木というよりは、ツタ?ツル?絡み合って伸びてる……」
サリー「世界樹よりもおっきいかも……」
マリア「ほんとそうね!ミイにも見せてあげたいわ」
マリン「これを登ってジャックは天空の巨人の館までたどり着いたわけね」
ローズ「ツルが絡み合ってるから、木よりは登りやすそうだけど……」
ジャンヌ「私たちには、無理そうね……で、フィスト、どうするの?今から」
フィスト「……登る」
リーフ「えぇぇ!?あ、危ないよぉ!」
キャッツ「……あのさ、天空の巨人の館の宝がオーブだと思ってるかもしれないけど、ジャックも言ってたじゃん……ここで発芽しちゃったから、巨人の館には着けないんだよ?」
フィスト「うん、館には用はないよ。モモさん、言ってたよね、ここはこの町の、いえ、この国の中心だって」
モモ「あー、言ったわね」
フィスト「なんでそんなことがわかるんですか?」
モモ「そんなもん、太陽が真上にあるからよ」
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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ブラド「じゃあやっぱり!なんとしても夢がなくなっていくことを食い止めて、この国でオーブを見つけなあかんよね!」
キャッツ「だねー……でも、それなのに、手がかりなーんもないよねー」
短い沈黙が降りました。
フィスト「あの……それなんだけどね、明日私、やってみたいことがあるの」
ブラド「お?なに?なにかいい考えあるん?」
フィスト「い、いや、いい考えっていうか……ほんと、なんか突拍子もなくてさ……言うのも恥ずかしい……」
リーフ「えー!なになにー!?聞かせてよ!」
フィスト「い、いや!ほんと無理!そもそも明日になってみないと、それができるかどうかもわからないし!」
マリア「ふーん……聞かない方がいい?」
フィスト「えーと……そうかな、うん。ほんとに、雲を掴むような話だから、ほんとにできるかわからないのよ。だから、期待させても悪いかなーって……」
ジャンヌ「私たちは、そのための準備とかはしなくていいわけ?」
フィスト「う、うん!大丈夫、です!」
ローズ「あれ?緊張してるの?」
フィスト「いやそりゃするでしょ!」
サリー「……でもさ、フィストが考えも可能性もなしにこんなこと言い出さない気がする」
マリン「それ!私もそう思う!ま、フィストの考え通りにならなくてもさ、何らかの進展にはなると思うよ」
リーフ「うん!絶対そうだよ!」
ブラド「まぁ、それならそれでいいとしてさ、明日はまずどうするの?」
フィスト「えっと……あれ見に行こうよ。魔法の豆の木」
モモ「あー、そうだったわね。ひと晩で大きくなるから、まずはそれを見に行くのでいいんじゃない?」
キャッツ「……そこでしたいことがあるのね?フィスト」
フィストはもう一度ジャンプし、夜空のこんぺいとうに手を伸ばしました。
着地し、手の中のこんぺいとうを見つめ、答えました。
フィスト「うん……」
ジャンヌ「よし!じゃあ今日はもう寝よっか。明日の朝、ごはんを食べたら、今日ジャックと会った大通りの真ん中に行くよ」
「「「「はーい!」」」」
9人はそれぞれのベッドに入り、それぞれのタイミングで眠りに落ちました。
9人はその日、同じ夢を見ました。
統一感のある衣装で舞台に立ち、歌って踊り、たくさんの人からの歓声を浴びる、不思議な夢でした。
翌朝、再び空がグルンと回り、夜から昼に切り替わりました。
一人早起きしたフィストは、テラスに出てつぶやきました。
フィスト「……もうお日様が真上に来てる……」
テラスの手すりには妖精のモモが腰かけています。
モモ「そうよ。昼と夜しかないからね。あれは夜は月で、昼は太陽よ」
フィスト「そっか。あれ、動かないんだね」
モモ「……?」
9人は順に目を覚まし、食事を終え、その1時間後には空を見上げていました。
正確には、空へと伸びた豆の木を。
ブラド「はぁ~……でっかいねー!」
リーフ「ほ、ほんとに空まで届いちゃってる……」
キャッツ「木というよりは、ツタ?ツル?絡み合って伸びてる……」
サリー「世界樹よりもおっきいかも……」
マリア「ほんとそうね!ミイにも見せてあげたいわ」
マリン「これを登ってジャックは天空の巨人の館までたどり着いたわけね」
ローズ「ツルが絡み合ってるから、木よりは登りやすそうだけど……」
ジャンヌ「私たちには、無理そうね……で、フィスト、どうするの?今から」
フィスト「……登る」
リーフ「えぇぇ!?あ、危ないよぉ!」
キャッツ「……あのさ、天空の巨人の館の宝がオーブだと思ってるかもしれないけど、ジャックも言ってたじゃん……ここで発芽しちゃったから、巨人の館には着けないんだよ?」
フィスト「うん、館には用はないよ。モモさん、言ってたよね、ここはこの町の、いえ、この国の中心だって」
モモ「あー、言ったわね」
フィスト「なんでそんなことがわかるんですか?」
モモ「そんなもん、太陽が真上にあるからよ」
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