虹の騎士団物語

第7章 砂漠の国

第193話 出発準備

第193話 出発準備
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ジャンヌ：騎士団長
フィスト：近衛兵長
サリー：魔法使い
マリン：海の冒険者
ブラド：吸血鬼の姫
ローズ：貴族令嬢
キャッツ：トレジャーハンター
マリア：シスター
リーフ：エルフ
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9人はその日は早めに就寝し、翌日準備を整えて、町の入り口まで行きました。
そこには女王と衛兵十数人が待っていました。

女王と衛兵よりも、9人の目を引いたものがありました。
それは大人3人分ほどの大きさの、トカゲでした。

リーフ「あ、あの、女王様……これは？」

トカゲは衛兵たちによって四つの足を押さえつけられ、口は開けられないように縛られています。

女王「おお、よく来たの。全員元気そうで何よりじゃ。これか？これはこのカノタカ砂漠に生息する最大の動物、ヒザシヨケトカゲじゃ。ほれ、目の上のところが突き出て、日差し避けみたいになっておるじゃろ」

キャッツ「こ、これ、トカゲ？なんか、ワニみたいだけど」

サリー「そ、それにまだ、生きてる……？」

女王「おお、生きておるぞ。このトカゲは意外にも草食でな。人を食わんものだから、この国の民たちにも愛されておる。殺してしまうと反感を買うでな」

マリン「えっと、それで、私たち……これに乗るんですか？」

女王「はははッ！さすがにそれは無理じゃ。このトカゲはな、こうするんじゃ。おい」

女王は衛兵の一人に合図を出しました。
衛兵は堅苦しい姿勢と声で応え、持っていた槍をトカゲの尻尾に向かって振り下ろしました。

槍がトカゲの尻尾に当たった瞬間、トカゲがビクンと跳ねるように動きました。
そしてトカゲの尻尾は、槍が当たった場所から切り離されたのです。

フィスト「ギャアァァァァァーーー！！！」

切り離されたトカゲの尻尾はその場でビクンビクンと跳ねています。

サリー「な、なに！？フィスト」

リーフ「ど、どうしたの？急に」

フィスト「どうしたのじゃないわよ！なんで平気なのよ！」

マリア「ふたりは、たぶん見馴れてるのよね、こういうの」

ブラド「そっか、魔女もエルフも、森に住んでるから」

マリン「意外なとこで頼んないなぁフィストは」

ジャンヌ「い、いやぁ……このサイズはしょうがないでしょ……」

フィスト「うっ……うぅっ……ひっく」

ローズ「あははははははは！」

フィスト「笑うな！」

キャッツ「ローズの陰に隠れてなに言ってんのよ……」

トカゲは何事もなかったかのように、先ほどまでと同じ姿勢でじっとしています。

リーフ「えっと……女王様、このトカゲの尻尾で、何をするんですか？」

女王「これはな、エサなのじゃ。お前たちを運んでやるためのな……まぁ詳しくは準備しながら教えてやる。おい」

衛兵たちはすぐに「はッ！」と応え、9人にひとりずつ、衛兵がつきました。
彼らは手に見慣れないものを持っています。
留め具のついた1枚の板でした。

9人は衛兵たちの指示に従いながら、砂地に腰掛け、両足を前に差し出しました。
衛兵たちは手際よく、板についているベルトと留め具を9人の足の甲、足首に装着させます。
全員が、板を履かせてもらったのです。

1枚の板に両足を固定されたので、9人は衛兵たちの手を借りて、何とか立ち上がることができました。

ブラド「あの、これ……歩けないんですけど……」

女王「心配いらん。しばらくは歩くこともない。ほら、このロープの持ち手をしっかり握れ」

女王が差し出したロープは不思議な形でした。
1本の太く長いロープが、途中から9つに分かれているのです。

ロープの端、9つに分かれている方には輪が取り付けられており、持ち手になっていました。
9つに別れているロープは途中から1本に束ねられ、さらにその先の端には無数の釣り針がついています。