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第7章 砂漠の国
第179話 砂漠の国の現状
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第179話 砂漠の国の現状
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
女王「もし今、盗賊なんぞがこの王宮に忍び込んだら、大層がっかりするじゃろうな。宝の類いが何もないのだからな」
キャッツ「何もない?そ、そんなことって」
ブラド「がっかりした?」
キャッツ「盗賊じゃないっつってんのよ!しつこいわね!」
サリー「あの、宝ものとか、そういうのが、盗まれちゃったんですか?」
女王「……ふっ、それならどんなに良いか」
女王の漏らした笑いは、自嘲めいていましたが、どこか、呪詛のようなやり場のない怒りも秘めていました。
リーフ「え?盗まれた方がよかったって……?な、なにがあったんですか?この国に」
女王「旅の者たちに聞かせるのも、どうかと思うがな……町の様子は見たな?」
マリア「え、ええ……」
女王「どう感じた?」
フィスト「えーっと、どうって言われても……」
ローズ「さびれてたよね」
フィスト「ちょっと!ハッキリ言い過ぎ!」
女王「かまわん。ハッキリした物言いは、そこまで嫌いでもない……お主らが見たように、この国は、貧しいのじゃ」
リーフ「貧しい……?」
女王「エルフの娘にはわからんかの……人の世は、モノの売り買いによって成り立っておる。それは国同士であっても同じじゃ。売るもの・他人が買いたいと思うものを持たぬものは、飢えて死ぬしかない……」
ローズ「そっか……砂漠の国じゃ、作物もできにくいし、木や鉱石なんかの資源も、ないもんね」
ブラド「ちょ、ちょっとローズ……もうちょっと、ぼかして言って」
マリン「どんだけ怖いもの知らずなのよ……」
サリー「このふたりが言うなんて……よっぽどね」
ジャンヌ「で、でもじゃあ!この国の経済は今、どうやって成り立ってるんですか?」
女王「国が持つ最後の売り物と言えば、労働力じゃ」
マリア「そうか……出稼ぎ」
リーフ「なに?それ」
キャッツ「外国に働きに行くのよ。で、稼いだお金で、故郷の家族を養うの」
リーフ「へー!そんな方法があるんだ?よかったね!」
リーフの言葉に、途端に女王の顔と口調が険しくなりました。
女王「何が良いものか!我が国の民が他国に出稼ぎに行くというのは、他国からすれば流民が働き口を探しに来たようなものじゃ!危険な仕事に低賃金で従事させられる……そのような方法しか、今我が国にはないのだ……出稼ぎなど、国が行う人身売買みたいなものじゃ……」
リーフ「ご、ごめんなさい……」
女王「あぁ、いや、すまん……お主らが悪いわけではない……悪いのは全て、先代までの国王たちなのだからな……」
ジャンヌ「どういうことですか?」
女王「先代までの国王の為政は、愚鈍の極みじゃ……今の我が国の貧しさも、その悪政によるものじゃ」
9人は黙っていました。
決して、女王という立場の人と話すことに萎縮していたわけではありません。
9人とそう年の変わらないひとりの女性が、悲痛に、胸の内を言葉にしているのです。
まるで「聞いてもらえるだけで気が楽になる」と言わんばかりに。
女王「いや、すまん、下らぬ話をした」
ローズ「その、ご先祖様たちは、何をしてきたんですか?」
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ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
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女王「もし今、盗賊なんぞがこの王宮に忍び込んだら、大層がっかりするじゃろうな。宝の類いが何もないのだからな」
キャッツ「何もない?そ、そんなことって」
ブラド「がっかりした?」
キャッツ「盗賊じゃないっつってんのよ!しつこいわね!」
サリー「あの、宝ものとか、そういうのが、盗まれちゃったんですか?」
女王「……ふっ、それならどんなに良いか」
女王の漏らした笑いは、自嘲めいていましたが、どこか、呪詛のようなやり場のない怒りも秘めていました。
リーフ「え?盗まれた方がよかったって……?な、なにがあったんですか?この国に」
女王「旅の者たちに聞かせるのも、どうかと思うがな……町の様子は見たな?」
マリア「え、ええ……」
女王「どう感じた?」
フィスト「えーっと、どうって言われても……」
ローズ「さびれてたよね」
フィスト「ちょっと!ハッキリ言い過ぎ!」
女王「かまわん。ハッキリした物言いは、そこまで嫌いでもない……お主らが見たように、この国は、貧しいのじゃ」
リーフ「貧しい……?」
女王「エルフの娘にはわからんかの……人の世は、モノの売り買いによって成り立っておる。それは国同士であっても同じじゃ。売るもの・他人が買いたいと思うものを持たぬものは、飢えて死ぬしかない……」
ローズ「そっか……砂漠の国じゃ、作物もできにくいし、木や鉱石なんかの資源も、ないもんね」
ブラド「ちょ、ちょっとローズ……もうちょっと、ぼかして言って」
マリン「どんだけ怖いもの知らずなのよ……」
サリー「このふたりが言うなんて……よっぽどね」
ジャンヌ「で、でもじゃあ!この国の経済は今、どうやって成り立ってるんですか?」
女王「国が持つ最後の売り物と言えば、労働力じゃ」
マリア「そうか……出稼ぎ」
リーフ「なに?それ」
キャッツ「外国に働きに行くのよ。で、稼いだお金で、故郷の家族を養うの」
リーフ「へー!そんな方法があるんだ?よかったね!」
リーフの言葉に、途端に女王の顔と口調が険しくなりました。
女王「何が良いものか!我が国の民が他国に出稼ぎに行くというのは、他国からすれば流民が働き口を探しに来たようなものじゃ!危険な仕事に低賃金で従事させられる……そのような方法しか、今我が国にはないのだ……出稼ぎなど、国が行う人身売買みたいなものじゃ……」
リーフ「ご、ごめんなさい……」
女王「あぁ、いや、すまん……お主らが悪いわけではない……悪いのは全て、先代までの国王たちなのだからな……」
ジャンヌ「どういうことですか?」
女王「先代までの国王の為政は、愚鈍の極みじゃ……今の我が国の貧しさも、その悪政によるものじゃ」
9人は黙っていました。
決して、女王という立場の人と話すことに萎縮していたわけではありません。
9人とそう年の変わらないひとりの女性が、悲痛に、胸の内を言葉にしているのです。
まるで「聞いてもらえるだけで気が楽になる」と言わんばかりに。
女王「いや、すまん、下らぬ話をした」
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