虹の騎士団物語

第6章 海底神殿

第170話 袋ガニ

第170話　袋ガニ
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ジャンヌ：騎士団長
フィスト：近衛兵長
サリー：魔法使い
マリン：海の冒険者
ブラド：吸血鬼の姫
ローズ：貴族令嬢
キャッツ：トレジャーハンター
マリア：シスター
リーフ：エルフ
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海神『アナスタシア、近くに袋ガニが産卵地にしている岩場がありましたね？』

アナスタシア「はい。産卵の時期に入っていますから、いくつかはあると思います」

ローズ「なぁに？フクロガニって？」

アナスタシア「この海域の海底に住むカニの一種よ。産卵時期に何回も脱皮を……あー、まぁいいわ。持ってくるから待ってて」

アナスタシアはそう言うと宙を泳いで神殿の奥へと姿を消しました。

フィスト「なんだかんださ、あの子、面倒見いいよね」

マリン「うんうん、いいやつよね。仲良くなれそう」

ブラド「喧嘩始めそうになった二人が何言ってんのよ」

海神『みなさん、ありがとう……彼女も内心では嬉しいんだと思います。初めてできた、海の生き物以外の友達ですから』

9人が海神と話していると、アナスタシアが戻ってきました。
彼女は、動いているカニと抜け殻になったカニ、両方を持っていました。
どちらも大きめの買い物袋ほどの大きさです。

マリア「それが、フクロガニ？」

アナスタシア「そう。このカニは」

アナスタシアはそう言って、生きている方のカニを持ち上げました。

アナスタシア「産卵の時期に、脱皮を繰り返すのよ。甲羅の部分が袋のように大きく膨らむから、袋ガニって呼ばれてるわ」

キャッツ「なるほど。その脱皮の残り、抜け殻を使うわけね。空気を溜め込んで使うのかな？」

アナスタシア「そういうことよ。フクロガニは口の部分が密着するような構造になっていて、大きく開くようになっているの」

ブラド「そこまで聞いたらあとはわかるわ。貸して」

ブラドが言うとアナスタシアはフクロガニの抜け殻を渡しました。
ブラドは袋状の甲羅の中に空気を入れるように振り回し、口の部分を広げて頭からすっぽりかぶりました。

ブラド「よし。んで、首周りに密着させるように閉じる、っと」

ブラドは空気をたっぷりため込んだ袋を頭からかぶっている格好になりました。

ジャンヌ「おおー、すごい」

サリー「これで、海の中でも呼吸できるようになるんだね」