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墓参り
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「譲、親父さん、オレ、まだなんとか生きてるよ。」
譲と親父さんが入ってる墓に、オレはそう報告した。
墓参りに来ると、いつもいろんな言葉がグルグル頭を巡る。
けど、何か一つでも口にしたら全てが軽くなってしまいそうで。
軽くなったら勝手に許された気になってしまいそうで。
オレの墓参りは、いつもこんな報告だけで終わりだ。
だけど、今日はちょっと。
色々、話すことがあるんだ。
「なあ譲。お前が好きだったアイドル。あのコ、今、女優としてすごく頑張ってるんだぜ。」
「昨日も何かの生番組に出ててさ。でもその放送中、一緒に出てた男のタレント・・・えー何つったっけ?お前が『顔が良すぎてキライ!』って言ってたアイツ。あれが『俺たちは宇宙人に記憶を操作された!』『このままじゃ宇宙人に侵略される!』って急に騒ぎ出してさ。」
「生放送だし、どーなるんだろって見てたら。みんなあんなイケメンが狂い出した姿が面白いらしくて、笑いながら、根掘り葉掘り聞きまくりだよ。」
「あちゃー・・・って感じだったよ。」
「ああやって、消された記憶が戻るやつとかいるんだな・・・って。完璧エラーだよな。」
「去年だったかな。地球に世界規模の戦争が起こること。それが原因でオレ達も含めた地球の生物が全て死滅するって予測が出てさ。実は、その予測を回避するために、戦争の原因になる対象者を抹消して、そいつらに関わったやつらの記憶を全て書き換えたんだ。」
「そういえば言ってなかったけど、オレ、宇宙人。地球からとても離れた惑星から来た。悪いな。黙ってて。」
「たくさんの犠牲をはらって。宇宙の中を散々探し回って。やっと見つかった移住先。オレ達だって地球以外ないんだよ。その戦争を起こすのは地球人なのに。一緒に暮らしていれば、どうしたって関わらざるを得ないだろ?だからオレ達の仲間も、抹消対象になって結構死んだ。」
「本当のところを言うと、そこまでしてもそれで回避できる確率だって8割程度。結構むり無理な話でさ。今回のこのイケメンのエラーをきっかけに、次の段階の話になった。」
「地球人がいる限り、どうしてもこの最悪の結果からは逃れられない。なら、同規模の事象を起こしながら、地球人だけ消滅させてしまえばいいってなった。地球人がいなければ。……というよりオレ達だけだったら。その状況からでも、数年もあればそこそこの環境を再構築することができるからってことでね。地球人一掃することになっちゃったんだ。」
「一緒に暮らして、地球人との間に家族ができたやつも多いから。当然反対の声もある。だけど、あまりに時間がないんだと。一度、世界を改ざんしたことで、世界が不安定になっているんだとさ。小難しい話はオレにはわからんけど。」
「でも、それが今日実行されるってことで。」
「さっきまで基地に戻るように召集かかってたんだけど。」
「お前も親父さんもいない世界なんか、オレにとったらどうでもいいことだから。」
「だから、お前に最後の挨拶しに来たって訳。」
「譲、親父さん。ここでこうして会うの、これで最後になるよ。」
「・・・・・・それだけ伝えたかったんだ。」
「じゃあな。」
譲と親父さんが入ってる墓に、オレはそう報告した。
墓参りに来ると、いつもいろんな言葉がグルグル頭を巡る。
けど、何か一つでも口にしたら全てが軽くなってしまいそうで。
軽くなったら勝手に許された気になってしまいそうで。
オレの墓参りは、いつもこんな報告だけで終わりだ。
だけど、今日はちょっと。
色々、話すことがあるんだ。
「なあ譲。お前が好きだったアイドル。あのコ、今、女優としてすごく頑張ってるんだぜ。」
「昨日も何かの生番組に出ててさ。でもその放送中、一緒に出てた男のタレント・・・えー何つったっけ?お前が『顔が良すぎてキライ!』って言ってたアイツ。あれが『俺たちは宇宙人に記憶を操作された!』『このままじゃ宇宙人に侵略される!』って急に騒ぎ出してさ。」
「生放送だし、どーなるんだろって見てたら。みんなあんなイケメンが狂い出した姿が面白いらしくて、笑いながら、根掘り葉掘り聞きまくりだよ。」
「あちゃー・・・って感じだったよ。」
「ああやって、消された記憶が戻るやつとかいるんだな・・・って。完璧エラーだよな。」
「去年だったかな。地球に世界規模の戦争が起こること。それが原因でオレ達も含めた地球の生物が全て死滅するって予測が出てさ。実は、その予測を回避するために、戦争の原因になる対象者を抹消して、そいつらに関わったやつらの記憶を全て書き換えたんだ。」
「そういえば言ってなかったけど、オレ、宇宙人。地球からとても離れた惑星から来た。悪いな。黙ってて。」
「たくさんの犠牲をはらって。宇宙の中を散々探し回って。やっと見つかった移住先。オレ達だって地球以外ないんだよ。その戦争を起こすのは地球人なのに。一緒に暮らしていれば、どうしたって関わらざるを得ないだろ?だからオレ達の仲間も、抹消対象になって結構死んだ。」
「本当のところを言うと、そこまでしてもそれで回避できる確率だって8割程度。結構むり無理な話でさ。今回のこのイケメンのエラーをきっかけに、次の段階の話になった。」
「地球人がいる限り、どうしてもこの最悪の結果からは逃れられない。なら、同規模の事象を起こしながら、地球人だけ消滅させてしまえばいいってなった。地球人がいなければ。……というよりオレ達だけだったら。その状況からでも、数年もあればそこそこの環境を再構築することができるからってことでね。地球人一掃することになっちゃったんだ。」
「一緒に暮らして、地球人との間に家族ができたやつも多いから。当然反対の声もある。だけど、あまりに時間がないんだと。一度、世界を改ざんしたことで、世界が不安定になっているんだとさ。小難しい話はオレにはわからんけど。」
「でも、それが今日実行されるってことで。」
「さっきまで基地に戻るように召集かかってたんだけど。」
「お前も親父さんもいない世界なんか、オレにとったらどうでもいいことだから。」
「だから、お前に最後の挨拶しに来たって訳。」
「譲、親父さん。ここでこうして会うの、これで最後になるよ。」
「・・・・・・それだけ伝えたかったんだ。」
「じゃあな。」
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