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騒動劇
23、文化祭初日~思いがけない再会~
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護と月美は、チャリティバザーが行われている後輩の教室に足を運び、並べられた出品物を眺めていると、調査局が探していた『呪いの人形』を見つけることができた。
もっとも、それはすでに買われたあとだったらしく、小さな女の子の腕の中にあったのだが。
――まずいな……まさか、あの人形、霊が器にしてるなんてこと、ないよな?
あまりにも早すぎる動きに、護は内心、焦っていた。
曰く付きの道具や物件というのは、たとえ見鬼の才覚を持っていなくても、『なんとなく』で避けるものだ。
それは生きていく中で培ってきた経験から、危険なものとそうでないものを判断する能力が身についているからできることだ。
だが、いま人形をほくほく顔で抱いている子供のような年齢では、まだその能力を身につけるだけの経験はしていない。
おそらく、親は買う気はなかったのだろうが、連れてきていた子供が、人形に一目ぼれし、駄々をこねてしまったのだろう。
ちらりと見えた親の疲れた表情から、そう考えることはたやすい。
――こりゃ、俺だけじゃどうにもできねぇな……よし、調査局に丸投げすることにしよう
一応、緩和されつつあるとはいえ、護はまだ人間嫌いが直っていない。
十歳に満たない子供はひとまず『人間ではない』と扱っているため、まだ普通に接することもできるのだが、近くに親がいる時点で、声をかけたくなくなってしまっていた。
ただでさえ、下手に子供に声をかけようものなら『変態』のレッテルを張られ、白い目で見られてしまう。
子供が発している救助信号に気づいても、自身の保身のために無視しなければならない、世知辛い世の中だ。
これ以上、赤の他人から白い目で見られることは、はっきり言ってうっとうしいと思っているため、護は面倒事を調査局と光に押し付けることに決めた。
早速、会場のどこかにいるであろう光に連絡を取ろうとしたのだが、ここで護は重大なことを二つ、思い出した。
――携帯、先生に預けたままだった……それに連絡先、知らなかったかも
普段、調査局から仕事を受けるときは、翼が受け取った依頼を回してもらうことが多く、護が調査局から直接依頼を受けることはない。
仮に職員と合同で仕事にあたったとしても、その時限りの関係であるため、連絡先を交換することがない。
――まいったな。校内放送で呼び出すわけにもいかないし、かといって式神を使っても……
なにも術者にとって連絡手段は携帯電話だけではない。
使鬼に手紙を届けさせたり、手紙を式に変えて直接相手に届けたりすることもできる。
だが、それらはいずれも相手の位置や霊力が分かっていればできることだ。
今現在、護は光の霊力も位置もわからない。おまけに、真昼間の人込みの中で堂々と術を使うわけにもいかない。
――あ、これもしかして詰んだ?
護は心中でそうつぶやいていたが、もしかしなくても、もうすでに詰みの状態に陥っていた。
恥もプライドもかなぐり捨てて、いっそのこと放送委員に呼び出しを頼もうか。
そう思った時だった。
「……うん?君は土御門護か?」
「……賀茂光か」
不意に同い年くらいの聞き覚えのある声が護の耳に届いた。
名前を呼ばれ、声がした方を振り向くと、そこには少し驚いた様子の光が立っていた。
彼女のすぐ近くには、同じように黒いスーツを着た男が二人いた。
どうやら、彼らが光の部下である調査局の職員らしい。
「まさかここで会えるとはな……」
「そりゃこっちのセリフ……いや、ちょうどいい。あんたらの探しもの、見つかったぞ」
調査局の探し物、というものが、『呪いの人形』であることをすぐに察した光は、今にも食って掛かりそうな勢いで護に問いかけてきた。
「ど、どこに?!まさか、君が回収したのか?!」
「お、落ち着けって……ほかの客がいるだろうが」
そのあまりに勢いに、珍しく護がたじたじになりながら光を落ち着かせていた。
ほかの客、つまりは一般人がいることに気づき、光は両手で口を覆った。
慌てたように周囲を見回したが、幸いにして、護たちの様子に気づいていた人はいなかったようだ。
そのことに安堵した光は、そっとため息をつき、咳ばらいをしてから再び護に問いかけた。
「それで、例のものはどこに?」
「さっき、子供が抱えてたぞ。もういないみたいだけど」
「な?!」
すでに教室を後にしたことを告げると、案の定、光は驚愕していた。
光だけではない。一緒にいた職員の二人も慌てた様子で互いの顔を見合わせていた。
光としては、なぜ止めてくれなかったのか、問いただしたいところなのだろうが、ここでは護はあくまでも『月華学園二年生』でしかない。
まして、生徒会に所属しているわけでも、実行委員の仕事をしているわけでもない。
むやみやたらに来校者を引き留め、購入したものを取り上げることなどできはしない。
「その子供の特徴だが、年齢は四歳くらい。髪型は背中くらいまでのロングでストレート。髪の色は黒で、服装は桜色のセーターを着ていたな」
「一緒に親御さんはいなかったのか?」
「いたぞ。中肉中背で少し色あせた茶色のジャケットを着た男性と、青と白の横じま柄のセーターを着た女性だな」
女の子が抱えていた人形に注意が行っていたため、自然と目線は下の方に下がっている。
結果的に女の子の特徴は比較的よく覚えているのだが、近くにいた両親の特徴は、服装しか覚えていなかった。
だが、それだけでも光たちには十分な情報のようだ。
「すまない、助かった!」
お礼を言うや否や、光は部下二人を伴って、人形を購入したと思われる女の子を追いかけて、教室を出て行ってしまった。
――あいつ、あんなに仕事熱心案だなぁ……
その行動の早さに、護はどこか感動を覚えながら、そんなことを心中でつぶやいていた。
なお、物色を終え、声をかけてきた月美とともに、護は別の教室へと向かっていった。
もっとも、それはすでに買われたあとだったらしく、小さな女の子の腕の中にあったのだが。
――まずいな……まさか、あの人形、霊が器にしてるなんてこと、ないよな?
あまりにも早すぎる動きに、護は内心、焦っていた。
曰く付きの道具や物件というのは、たとえ見鬼の才覚を持っていなくても、『なんとなく』で避けるものだ。
それは生きていく中で培ってきた経験から、危険なものとそうでないものを判断する能力が身についているからできることだ。
だが、いま人形をほくほく顔で抱いている子供のような年齢では、まだその能力を身につけるだけの経験はしていない。
おそらく、親は買う気はなかったのだろうが、連れてきていた子供が、人形に一目ぼれし、駄々をこねてしまったのだろう。
ちらりと見えた親の疲れた表情から、そう考えることはたやすい。
――こりゃ、俺だけじゃどうにもできねぇな……よし、調査局に丸投げすることにしよう
一応、緩和されつつあるとはいえ、護はまだ人間嫌いが直っていない。
十歳に満たない子供はひとまず『人間ではない』と扱っているため、まだ普通に接することもできるのだが、近くに親がいる時点で、声をかけたくなくなってしまっていた。
ただでさえ、下手に子供に声をかけようものなら『変態』のレッテルを張られ、白い目で見られてしまう。
子供が発している救助信号に気づいても、自身の保身のために無視しなければならない、世知辛い世の中だ。
これ以上、赤の他人から白い目で見られることは、はっきり言ってうっとうしいと思っているため、護は面倒事を調査局と光に押し付けることに決めた。
早速、会場のどこかにいるであろう光に連絡を取ろうとしたのだが、ここで護は重大なことを二つ、思い出した。
――携帯、先生に預けたままだった……それに連絡先、知らなかったかも
普段、調査局から仕事を受けるときは、翼が受け取った依頼を回してもらうことが多く、護が調査局から直接依頼を受けることはない。
仮に職員と合同で仕事にあたったとしても、その時限りの関係であるため、連絡先を交換することがない。
――まいったな。校内放送で呼び出すわけにもいかないし、かといって式神を使っても……
なにも術者にとって連絡手段は携帯電話だけではない。
使鬼に手紙を届けさせたり、手紙を式に変えて直接相手に届けたりすることもできる。
だが、それらはいずれも相手の位置や霊力が分かっていればできることだ。
今現在、護は光の霊力も位置もわからない。おまけに、真昼間の人込みの中で堂々と術を使うわけにもいかない。
――あ、これもしかして詰んだ?
護は心中でそうつぶやいていたが、もしかしなくても、もうすでに詰みの状態に陥っていた。
恥もプライドもかなぐり捨てて、いっそのこと放送委員に呼び出しを頼もうか。
そう思った時だった。
「……うん?君は土御門護か?」
「……賀茂光か」
不意に同い年くらいの聞き覚えのある声が護の耳に届いた。
名前を呼ばれ、声がした方を振り向くと、そこには少し驚いた様子の光が立っていた。
彼女のすぐ近くには、同じように黒いスーツを着た男が二人いた。
どうやら、彼らが光の部下である調査局の職員らしい。
「まさかここで会えるとはな……」
「そりゃこっちのセリフ……いや、ちょうどいい。あんたらの探しもの、見つかったぞ」
調査局の探し物、というものが、『呪いの人形』であることをすぐに察した光は、今にも食って掛かりそうな勢いで護に問いかけてきた。
「ど、どこに?!まさか、君が回収したのか?!」
「お、落ち着けって……ほかの客がいるだろうが」
そのあまりに勢いに、珍しく護がたじたじになりながら光を落ち着かせていた。
ほかの客、つまりは一般人がいることに気づき、光は両手で口を覆った。
慌てたように周囲を見回したが、幸いにして、護たちの様子に気づいていた人はいなかったようだ。
そのことに安堵した光は、そっとため息をつき、咳ばらいをしてから再び護に問いかけた。
「それで、例のものはどこに?」
「さっき、子供が抱えてたぞ。もういないみたいだけど」
「な?!」
すでに教室を後にしたことを告げると、案の定、光は驚愕していた。
光だけではない。一緒にいた職員の二人も慌てた様子で互いの顔を見合わせていた。
光としては、なぜ止めてくれなかったのか、問いただしたいところなのだろうが、ここでは護はあくまでも『月華学園二年生』でしかない。
まして、生徒会に所属しているわけでも、実行委員の仕事をしているわけでもない。
むやみやたらに来校者を引き留め、購入したものを取り上げることなどできはしない。
「その子供の特徴だが、年齢は四歳くらい。髪型は背中くらいまでのロングでストレート。髪の色は黒で、服装は桜色のセーターを着ていたな」
「一緒に親御さんはいなかったのか?」
「いたぞ。中肉中背で少し色あせた茶色のジャケットを着た男性と、青と白の横じま柄のセーターを着た女性だな」
女の子が抱えていた人形に注意が行っていたため、自然と目線は下の方に下がっている。
結果的に女の子の特徴は比較的よく覚えているのだが、近くにいた両親の特徴は、服装しか覚えていなかった。
だが、それだけでも光たちには十分な情報のようだ。
「すまない、助かった!」
お礼を言うや否や、光は部下二人を伴って、人形を購入したと思われる女の子を追いかけて、教室を出て行ってしまった。
――あいつ、あんなに仕事熱心案だなぁ……
その行動の早さに、護はどこか感動を覚えながら、そんなことを心中でつぶやいていた。
なお、物色を終え、声をかけてきた月美とともに、護は別の教室へと向かっていった。
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