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異端録
26、放課後になっても気は休まらない
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昨日からずっと狼男の襲撃に警戒していた護だったが、結局、その日は狼男からの襲撃はなかった。
とはいえ。
――襲撃がなかったのはいいけど、まだ油断はできないな
いつ襲撃してくるかわからない以上、警戒を解くことはできない。
そのため、放課後も護は使鬼を使いながら、周辺を見張っていた。
だが、結局何も起こらず、二人とも無事に神社に到着する。
――わからん。なぜ襲ってこなかった?
自室で月美と一緒に宿題をしながら、護はそのことを考えていた。
周辺を式に見張らせていたからといって、付け入る隙がまったくなかったわけではない。
まして、わざと人のいない場所へ向かってみたり、人通りが少ない場所を選んで通ったりしていたのだ。
いくらでも襲撃する機会はあったはず。
むろん、増援や伏兵を警戒して襲撃してこなかったという可能性もなくはないのだが、使鬼たちに見張らせた限り、怪しい動きを見せた人間はまったくいなかった。
――俺と月美が一人になる機会をうかがっていた?いや、だとしたら休み時間に俺を襲撃していたもおかしくないはずだ。ならいったい……
眉間にしわを寄せて物思いにふけっていると、目の前で聞きなれた声が聞こえてきた。
「護?大丈夫??」
「……ん?あ、あぁ。大丈夫だよ?」
「嘘。今朝からずっと考え事してる」
相変わらずの鋭い勘働きに護は目を丸くして、どう切り返したものか考え始める。
その様子に、月美は思い当たることを口に出してきた。
「もしかして、昨日の狼男のこと?」
「ほんとにいい勘してるよ」
月美の口から出てきた答えに、護は頭を抱えながら返す。
――もうこれ以上、隠しておくことはできないかなぁ
そう判断し、打ち明かすことにした。
もっとも、月美も巻き込まれた当事者である以上、別段、隠しておくことでもないのだが。
それはともかくとして。
護から話をすべて聞いた月美は、頬を膨らませた。
「どうしてわたしにも手伝わせてくれないの?!」
「いや、だってこれ土御門家にまわってきた仕事……」
「だからって、護一人で全部やる必要はないんじゃないの?!というか、わたしも巻き込まれたんだよ?その時点で当事者と同じじゃないかな?!」
「いや待て、その論理は無理がある!」
要するに、自分も当事者なのだから関わらせろ、ということなのだろうが、巻き込まれたからといって一緒に仕事をするわけにはいかない。
いくら自分の恋人で、将来的に土御門家の人間になるのだとしても、今の彼女の身分は土御門家の客人でしかない。
客人に家の事に関して協力してもらうわけにはいかない。
そんな暗黙の了解がわからないほど、護も愚かではない。
愚かではないのだが、惚れた女に勝てるほど、強く出れるわけでもない。
「はぁ……わかりました。ぜひ、協力してください」
「わかればよろしい!」
結局、根負けしてしまい、月美とも協力して今回の事件にあたることにし、早速、それぞれの占で見えたものをすり合わせることにした。
だが、占というのはなまじ未来を予測するものであったり、いま現在で起きていることを読み解くものであるため、非常に繊細なものだ。
護が多用する式占にしても、月美が得意とする水鏡にしても、かなりの集中力を必要とするため、一人だけの空間で行うことが都合がいい。
そのため、二人はそれぞれの部屋で占を行うことになった。
――情報が少なすぎるからどこまで出てくるかわからないけど、占う内容はやっぱり襲撃してきた狼男についてだな
そう考え、護は式占いを始める。
現時点では情報が少なすぎるが、今回の事件のの全貌を把握するための足掛かりくらいにはなるだろうと考えてのことだ。
その部分さえ、掴むことができれば。
――あとは賀茂光に丸投げできる。そうすりゃ妖どもの依頼も芋づる式に解決できるだろ
事件と妖の依頼。
そのどちらも関連がないように見えるが、狼男が関与している、という点で交差している。
ならば、事件が解決すれば、自然と妖からの依頼も完了できるはず。
護はそう踏んでるようだ。
当初は、調査局に関与するつもりはまったくなかったのだが、先日の襲撃で気が変わったらしい。
――俺一人だけだったらまだしも、月美まで狙ってきた。それに、今後も襲撃があるとも限らねぇ
前回はなんとか撃退はできたが、これから先、月美が一人でいるところを狙ってくる可能性もなくはない。
自分一人を狙うのならまだいいが、家族や月美、しょっちゅう声をかけてくる妖たち。
あるいは明美や、ついでに清が危険にさらされるかもしれない。
その可能性が出てきたというのに、穏やかでいられるほど護は人間ができていない。
自分の周囲にも手を出そうものなら、徹底的に敵対し、倒す。
占を始める前に、護はそう決意していた。
そうこうしているうちに、式盤が占の結果をはじき出し、護は式盤を覗き込む。
「なんじゃこら……?」
そこに出てきていた占いの結果は、「人の業」と「因果応報」という二つを示していた。
だが、この言葉が織りなす意味を、この時はまだわかるはずもない。
これは一体、どういうことなのか。
護は少しの間、一人でうなりながら考え込むこととなった。
とはいえ。
――襲撃がなかったのはいいけど、まだ油断はできないな
いつ襲撃してくるかわからない以上、警戒を解くことはできない。
そのため、放課後も護は使鬼を使いながら、周辺を見張っていた。
だが、結局何も起こらず、二人とも無事に神社に到着する。
――わからん。なぜ襲ってこなかった?
自室で月美と一緒に宿題をしながら、護はそのことを考えていた。
周辺を式に見張らせていたからといって、付け入る隙がまったくなかったわけではない。
まして、わざと人のいない場所へ向かってみたり、人通りが少ない場所を選んで通ったりしていたのだ。
いくらでも襲撃する機会はあったはず。
むろん、増援や伏兵を警戒して襲撃してこなかったという可能性もなくはないのだが、使鬼たちに見張らせた限り、怪しい動きを見せた人間はまったくいなかった。
――俺と月美が一人になる機会をうかがっていた?いや、だとしたら休み時間に俺を襲撃していたもおかしくないはずだ。ならいったい……
眉間にしわを寄せて物思いにふけっていると、目の前で聞きなれた声が聞こえてきた。
「護?大丈夫??」
「……ん?あ、あぁ。大丈夫だよ?」
「嘘。今朝からずっと考え事してる」
相変わらずの鋭い勘働きに護は目を丸くして、どう切り返したものか考え始める。
その様子に、月美は思い当たることを口に出してきた。
「もしかして、昨日の狼男のこと?」
「ほんとにいい勘してるよ」
月美の口から出てきた答えに、護は頭を抱えながら返す。
――もうこれ以上、隠しておくことはできないかなぁ
そう判断し、打ち明かすことにした。
もっとも、月美も巻き込まれた当事者である以上、別段、隠しておくことでもないのだが。
それはともかくとして。
護から話をすべて聞いた月美は、頬を膨らませた。
「どうしてわたしにも手伝わせてくれないの?!」
「いや、だってこれ土御門家にまわってきた仕事……」
「だからって、護一人で全部やる必要はないんじゃないの?!というか、わたしも巻き込まれたんだよ?その時点で当事者と同じじゃないかな?!」
「いや待て、その論理は無理がある!」
要するに、自分も当事者なのだから関わらせろ、ということなのだろうが、巻き込まれたからといって一緒に仕事をするわけにはいかない。
いくら自分の恋人で、将来的に土御門家の人間になるのだとしても、今の彼女の身分は土御門家の客人でしかない。
客人に家の事に関して協力してもらうわけにはいかない。
そんな暗黙の了解がわからないほど、護も愚かではない。
愚かではないのだが、惚れた女に勝てるほど、強く出れるわけでもない。
「はぁ……わかりました。ぜひ、協力してください」
「わかればよろしい!」
結局、根負けしてしまい、月美とも協力して今回の事件にあたることにし、早速、それぞれの占で見えたものをすり合わせることにした。
だが、占というのはなまじ未来を予測するものであったり、いま現在で起きていることを読み解くものであるため、非常に繊細なものだ。
護が多用する式占にしても、月美が得意とする水鏡にしても、かなりの集中力を必要とするため、一人だけの空間で行うことが都合がいい。
そのため、二人はそれぞれの部屋で占を行うことになった。
――情報が少なすぎるからどこまで出てくるかわからないけど、占う内容はやっぱり襲撃してきた狼男についてだな
そう考え、護は式占いを始める。
現時点では情報が少なすぎるが、今回の事件のの全貌を把握するための足掛かりくらいにはなるだろうと考えてのことだ。
その部分さえ、掴むことができれば。
――あとは賀茂光に丸投げできる。そうすりゃ妖どもの依頼も芋づる式に解決できるだろ
事件と妖の依頼。
そのどちらも関連がないように見えるが、狼男が関与している、という点で交差している。
ならば、事件が解決すれば、自然と妖からの依頼も完了できるはず。
護はそう踏んでるようだ。
当初は、調査局に関与するつもりはまったくなかったのだが、先日の襲撃で気が変わったらしい。
――俺一人だけだったらまだしも、月美まで狙ってきた。それに、今後も襲撃があるとも限らねぇ
前回はなんとか撃退はできたが、これから先、月美が一人でいるところを狙ってくる可能性もなくはない。
自分一人を狙うのならまだいいが、家族や月美、しょっちゅう声をかけてくる妖たち。
あるいは明美や、ついでに清が危険にさらされるかもしれない。
その可能性が出てきたというのに、穏やかでいられるほど護は人間ができていない。
自分の周囲にも手を出そうものなら、徹底的に敵対し、倒す。
占を始める前に、護はそう決意していた。
そうこうしているうちに、式盤が占の結果をはじき出し、護は式盤を覗き込む。
「なんじゃこら……?」
そこに出てきていた占いの結果は、「人の業」と「因果応報」という二つを示していた。
だが、この言葉が織りなす意味を、この時はまだわかるはずもない。
これは一体、どういうことなのか。
護は少しの間、一人でうなりながら考え込むこととなった。
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