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魔王と勇者の最終決戦
魔王様の無駄スキル
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よく部下に天才と言われる魔法を駆使した高速大量調理を終わらせ、“魔王”になる準備をする。側近の一人が趣味に本気で取り組み立ち上げた服飾部門が、全力で遊んだ衣装で比較的マトモな物の一つ、魔王装束Vol.2〈冷酷無比な独裁者の檻〉軍服風~鋭利な狂気に知性を添えて~を着る。怒られるのでオプションも全て装備する。黒を基調とした(他の物に比べれば)シンプルな服で華美にならないが凝った装飾がかっこいい。あと、動ける。動けるの大事。眼鏡と鞭と警棒と手錠と謎の鍵束等のオプションやネーミングは気にしたら負け。
勇者が来る大事な日なので幾つかある翼のうち、一番のお気に入りで自慢の大きな黒い羽毛の翼を生やす。小さなこどもに怖いと泣かれる角と顔の紋様も今日は隠さない。あ、目はどうしよう。紅か金が魔王っぽくていいかな。鏡を見ながら瞳の色を変え悩んでいると侍女に銀のトレーで叩かれた。
「どっちも似合いますから早くしてください。本気出したらどうせ色変わるんですから。なんなら紅と金でオッドアイにすればいいじゃないですか。その恰好だとよりイタイ患者みたいになりますが。」
イタすぎるのは勘弁と金にしておいた。その間にも趣味で侍女をしているモデル体型な側近のセナ(♂)が淡々と罵ってきて辛い。仕事の邪魔をすると誰に対してもこうだ。一部の物好きには御褒美らしい、意味わからん。
身支度を整えるのに時間がかかっていると、セナがパンパンッと手を叩き、服飾部門部長のヒロミ(♂)を召喚した。侍女の制服を着た小柄で可愛らしい男の娘だが、こいつはヤバい(色んな意味で)。逃げよう。
「服飾部門部長に命じます、早急に魔王様の身なりを整え魔王城に連行しなさい。」
「かしこまり~♪さ、魔王様?ちゃんと支度して一緒にイキマショウネ☆」
こっそり逃げようとしているのがバレ、ヒロミの体が急激に膨張して筋骨隆々なオッサンになった。サイズ調整される仕様の制服だが、何故か丈がギリギリでパッツンパッツンになるのがお約束だ。
「もう~、逃げちゃダメダゾ☆」
可愛らしかった声も野太くなり、視覚と聴覚から精神攻撃を受けて思うように動けない。思わず涙目になり、首を振りながら後ずさるも壁際に追い詰められてしまう。
「い、いやぁ……。1人でできる、1人で行けるから……。」
「魔王様は今日大事な日でしょ?体力と魔力は温存しとかないと!大丈夫♪ワタシに身を委ねてくれたら最速でイケルカラ~☆」
ヒロミに整えられ、ワープで魔王城へと攫われていった……お姫様抱っこで。世界中探して何処にこんなマヌケな魔王が居るだろうか。世界に1人しか魔王いないけど。
「もう、お嫁にいけない……。」
さめざめと泣いていると美少女に戻ったヒロミが肩に手を置いてサムズアップしながらにこやかにこう言った。
「魔王様はお嫁さんを貰うんでしょ?大丈夫!私が責任持ってお嫁さんになってあげるから♪2人で輝かしい未来を一緒に歩みましょ☆」
「………………嫁?」
ダメだ、これ以上この話はダメだ。早く作業しよう。勇者来ちゃう。
世界樹の太い枝から切り出した一枚板2枚。粗く扉の形に削られているそれを彫刻刀と魔法を駆使して装飾を施す。玉座の間に取り付ける大きな物だが、影に彫刻刀を持たせて削れば猫の手なんか借りなくても手はいくらでも増える。削ってる間に魔石の研磨や金属部分の加工、各パーツへ陣の書き込みをする。
「見ろ、あの無駄スキル。あの人本当に魔王かな。ドワーフが全員路頭に迷いかねんぞ。」
「ばっか、魔王様だからこそ出来るんだよ。普通あんな操作できないし、やった所で魔力枯渇するわ。それにあの方は基本めんどくさがりだから自分じゃなくても出来ることは人に任せるから大丈夫さ。」
外野がうるさいが構っている暇はない。氷を背中に入れるだけで許してやった。
パーツ取り付け後、塗料やミスリル、オリハルコンに魔力を流し込み魔力で均一に扉に塗る。水魔法と風魔法で乾かし取付ける。ノッカーに誘惑の魔法を発動条件絞ってうっすら施し、世界樹の端材で作った棺桶に余った塗料と金属で塗装、群体恐怖症が気絶しそうなくらいびっしりと陣を書き、ついでに破邪の文言も混ぜておく。変化がないと面白くないから一定時間毎に光ったり色変わったり破邪の文言を読み上げる機能も追加した。暇潰しになるように走馬燈見れるようにしよう。退屈しないように当時の周りの心の声も添付しよう、私超親切。身体を清める呪文や立ったまま全自動入浴機能、棺桶内の香りも数種類用意した。仕上げに扉横の壁に埋込み、幻で隠して準備完了。1人職人芸タイムアタックの記録、1時間36分。
後は心の準備だけだ。
勇者が来る大事な日なので幾つかある翼のうち、一番のお気に入りで自慢の大きな黒い羽毛の翼を生やす。小さなこどもに怖いと泣かれる角と顔の紋様も今日は隠さない。あ、目はどうしよう。紅か金が魔王っぽくていいかな。鏡を見ながら瞳の色を変え悩んでいると侍女に銀のトレーで叩かれた。
「どっちも似合いますから早くしてください。本気出したらどうせ色変わるんですから。なんなら紅と金でオッドアイにすればいいじゃないですか。その恰好だとよりイタイ患者みたいになりますが。」
イタすぎるのは勘弁と金にしておいた。その間にも趣味で侍女をしているモデル体型な側近のセナ(♂)が淡々と罵ってきて辛い。仕事の邪魔をすると誰に対してもこうだ。一部の物好きには御褒美らしい、意味わからん。
身支度を整えるのに時間がかかっていると、セナがパンパンッと手を叩き、服飾部門部長のヒロミ(♂)を召喚した。侍女の制服を着た小柄で可愛らしい男の娘だが、こいつはヤバい(色んな意味で)。逃げよう。
「服飾部門部長に命じます、早急に魔王様の身なりを整え魔王城に連行しなさい。」
「かしこまり~♪さ、魔王様?ちゃんと支度して一緒にイキマショウネ☆」
こっそり逃げようとしているのがバレ、ヒロミの体が急激に膨張して筋骨隆々なオッサンになった。サイズ調整される仕様の制服だが、何故か丈がギリギリでパッツンパッツンになるのがお約束だ。
「もう~、逃げちゃダメダゾ☆」
可愛らしかった声も野太くなり、視覚と聴覚から精神攻撃を受けて思うように動けない。思わず涙目になり、首を振りながら後ずさるも壁際に追い詰められてしまう。
「い、いやぁ……。1人でできる、1人で行けるから……。」
「魔王様は今日大事な日でしょ?体力と魔力は温存しとかないと!大丈夫♪ワタシに身を委ねてくれたら最速でイケルカラ~☆」
ヒロミに整えられ、ワープで魔王城へと攫われていった……お姫様抱っこで。世界中探して何処にこんなマヌケな魔王が居るだろうか。世界に1人しか魔王いないけど。
「もう、お嫁にいけない……。」
さめざめと泣いていると美少女に戻ったヒロミが肩に手を置いてサムズアップしながらにこやかにこう言った。
「魔王様はお嫁さんを貰うんでしょ?大丈夫!私が責任持ってお嫁さんになってあげるから♪2人で輝かしい未来を一緒に歩みましょ☆」
「………………嫁?」
ダメだ、これ以上この話はダメだ。早く作業しよう。勇者来ちゃう。
世界樹の太い枝から切り出した一枚板2枚。粗く扉の形に削られているそれを彫刻刀と魔法を駆使して装飾を施す。玉座の間に取り付ける大きな物だが、影に彫刻刀を持たせて削れば猫の手なんか借りなくても手はいくらでも増える。削ってる間に魔石の研磨や金属部分の加工、各パーツへ陣の書き込みをする。
「見ろ、あの無駄スキル。あの人本当に魔王かな。ドワーフが全員路頭に迷いかねんぞ。」
「ばっか、魔王様だからこそ出来るんだよ。普通あんな操作できないし、やった所で魔力枯渇するわ。それにあの方は基本めんどくさがりだから自分じゃなくても出来ることは人に任せるから大丈夫さ。」
外野がうるさいが構っている暇はない。氷を背中に入れるだけで許してやった。
パーツ取り付け後、塗料やミスリル、オリハルコンに魔力を流し込み魔力で均一に扉に塗る。水魔法と風魔法で乾かし取付ける。ノッカーに誘惑の魔法を発動条件絞ってうっすら施し、世界樹の端材で作った棺桶に余った塗料と金属で塗装、群体恐怖症が気絶しそうなくらいびっしりと陣を書き、ついでに破邪の文言も混ぜておく。変化がないと面白くないから一定時間毎に光ったり色変わったり破邪の文言を読み上げる機能も追加した。暇潰しになるように走馬燈見れるようにしよう。退屈しないように当時の周りの心の声も添付しよう、私超親切。身体を清める呪文や立ったまま全自動入浴機能、棺桶内の香りも数種類用意した。仕上げに扉横の壁に埋込み、幻で隠して準備完了。1人職人芸タイムアタックの記録、1時間36分。
後は心の準備だけだ。
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