蒼のタチカゼ

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第1章 ークリネオ攻防戦ー

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セツナは高台の上からワラワラと湧いて来るニンゲンヘイキに向け、スナイパーライフルを撃ち

続けていた。

遠くから狙い通り正確に頭や心臓撃つ抜くのはかなりの集中力がいる。

セツナの顔から汗が滴り落ちる。ふぅっと一息ついて汗を拭った。

そしてまた撃鉄をおこしてスナイパーライフルを構える。


「お前で最後だ!派手に臓物ぶちまけろ!!」


一発でライフル弾はニンゲンヘイキのおでこを貫いていたが、オマケとばかりに3、4発相手の体に

ぶち込んだ。

セツナはそのままフラフラとその場に腰を落とした。


「これで終わりって訳じゃないんだろうなぁ・・・第2陣が来るだろな。ハァ。まったく、あと何十体ニンゲンヘイキを撃ち抜けばいいんだか・・・」


セツナはそんな独り言を漏らしながら、空を見上げた。今日は曇りだ。まぁ、晴れていた所で

上空を漂う大量のナノキューブのせいでお天道様はまともに見えないんだが。


「・・・この戦争が終わったら、旅にでもでようかな。世界中の温泉巡り・・・悪くないね。

その為にも今は働きますか」


セツナは他の部隊の掩護のまわろうと荷物をまとめ始めた。


ここクリネオはイド帝国との国境付近に位置する街の一つである。しかし街といっても一般人は住んでおらず、街というより要塞都市となっている。イドとの国境の間にはこのような要塞都市が幾つも点在している。

今ここで、ニンゲンヘイキとゲリラ部隊の激しい戦闘が繰り広げられていた。しかしこちらの旗色は正直悪い。

戦力差が大き過ぎるのだ。だがそれでもセツナはライフルを構え続けた。

セツナがライフル弾を撃つ度にカランっと音をたて、薬莢が石畳の上に落ちた。

セツナの周りにはいくつもの薬莢が散らばっていた。


と、そこに丸坊主の少年がセツナに近付いてきた。


「師匠!」と少年はセツナに話しかける。

「西門の部隊はほぼ壊滅状態っス!すいません・・・僕のスキルじゃとても・・・」


セツナは少年のおでこにデコピンをくらわした。


「痛い!!何するんスか!?」「別にあんたに何も期待しちゃいないよ、コルチャ君」

「いや、そりゃわかってますけど・・・」コルチャと言う名の少年は肩を下して溜息を付く。

「どっちにしろ、もうこのクリネオはダメだろうね・・・コルチャ、全員に撤退の準備

に入る様に伝えて!」「りょ、了解っす!」


コルチャは目を閉じ意識を集中させる。そして左眼を開ける、その眼は翠色に輝きを増していた。


『こちらセツナ部隊長率いる第三部隊隊員のコルチャっス!残念ながら戦況は芳しくないっス。

全部隊、戦闘態勢を崩さずそのまま後退。隙を見てコルネオから撤退してくださいっス』


コルチャがハァーと息を吐く。


「コルチャもだいぶ翠の眼の使い方に慣れて来たみたいだな!半年でナノキューブを使っての全部隊への指示も出せるようになったんだ、立派なもんだよ」

「え!え!?そ、そうすか!!師匠の褒められるとなんかこそばゆいっスね」

「だがまだまだ甘い!!」セツナはコルチャを指差した。

「あたし達、翠の眼のニンゲンヘイキは主に後方支援が担当だ。だからガンナーが多い。

あんたをまずはある程度のガンナーに仕上げないと!その為には実践あるのみ!!あたし達が時間稼ぎしてる内に、先に他の部隊を撤退させるよ!!」

「うげげ!?マジっスか!?」「いいからライフルかまえな!」


セツナは第2波でわらわらとやってきたニンゲンヘイキに向けてライフルの照準を

あわせる。


「・・・なんてブラックな仕事場・・・」


半ば諦めたようにコルチャはセツナの横に来て、ライフルを構えた。


さて、少しコルチャの事について説明しようか。

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