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73:優しい言葉に瞬殺される
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ひとまずスノーも戻ってきてくれたので、入浴して着替え、アルベルトの提案に従うことにした。つまり、朝食をとりながら話を聞くというプランだ。廃太子計画は失敗したようだが、スノーも私も生きている。何よりアルベルトは、アズレークを知っているようなのだ。これは話を聞くしかないだろう。
バスルームには、化粧品なども用意してくれていたので、それを使い、身だしなみを整え、着替えを始める。
用意されていたのは、ウール生地のボディスで、優しいローズピンク色に襟元と袖口に、ペイズリー模様が刺繍されている。スカートとオーバースカートも同じ色で、裾にペイズリー模様が刺繍されていた。共布のウエストベルトをつけ、髪を簡単にまとめる。
修道服にコタルディ、聖女らしいワンピース姿をしていたので、こんなデイドレスを着るのは、久々だ。
寝室に戻ると、テーブルにメッセージカードが置かれており、リビングルームに来るようにと、書かれている。さらにスノーは、既にたっぷり餌をもらっており、これ以上食べ過ぎない方がいいとのこと。つまりこのまま寝室のソファで、寝かせておこうと、書かれていた。
その言葉にソファを見ると、スノーは気持ちよさそうに寝ている。
その姿を確認してから、寝室のドアを、恐る恐る開けた。
リビングルームは広く、ソファとローテブル、テーブルと椅子が、それぞれ配置されている。アルベルトは、テーブルの方の椅子に座っていた。すでにテーブルには、朝食が並べられている。キョロキョロと見渡すが、三騎士や警備の騎士の姿は見えない。恐らく、廊下で警護についてくれているのだろう。
「パトリシア」
アルベルトがこちらへ歩いてきていた。
窓から差し込む日差しを受け、サラサラのシルバーブロンドが輝いている。
肌は透き通るように白いが、頬を見ると血色がいい。
唇も同様だ。
そして白いシャツに紺色のタイ、フロスティブルーのジレに同色のズボン、目が覚めるようなシアン色のフロックコートを着たその姿は……。
なんというか、私がよく知るアルベルトだった。
「……もしかして不調が、解消されたのですか?」
「うん。おかげさまでね」
そう言って微笑むアルベルトの笑顔は、信じられないほど美しい。さらに私の手をとると、席までエスコートしてくれる。
それどころか椅子をひき、着席するように促し、紅茶までカップに注いでくれた。
まさかアルベルトに、王太子に、こんなことをされるとは……。
一言付け加えるなら。
乙女ゲーの王道攻略対象から、ここまでされるとはと、感動する。
アルベルトがこんな風に給仕をするのは、私に気を使い、部屋に召使いを呼んでいないからだ。申し訳なく思いつつ、その気遣いに、心から感謝する。
「お気遣い、ありがとうございます」
「気にしないで、パトリシア。わたしがそうしたいと思い、していることだから」
普通に優しい言葉に、瞬殺された。
一方のアルベルトは席に腰をおろすと、「さあ、いただこう」と微笑む。
完全にハートを持って行かれながら、オムレツを食べ始める。
「わたしの不調について話したと思うけど、この不調は『呪い』から引き起こされるものだった」
「『呪い』ですか……?」
アルベルトは頷いて、優雅な手付きで、パンを口に運ぶ。
「魔力が強い人間は、魔法を使うことができるが、『呪い』をかけることもできる。そしてわたしはこの『呪い』を……カロリーナにかけられてしまった」
衝撃でフォークにベーコンを刺したまま、固まってしまう。
バスルームには、化粧品なども用意してくれていたので、それを使い、身だしなみを整え、着替えを始める。
用意されていたのは、ウール生地のボディスで、優しいローズピンク色に襟元と袖口に、ペイズリー模様が刺繍されている。スカートとオーバースカートも同じ色で、裾にペイズリー模様が刺繍されていた。共布のウエストベルトをつけ、髪を簡単にまとめる。
修道服にコタルディ、聖女らしいワンピース姿をしていたので、こんなデイドレスを着るのは、久々だ。
寝室に戻ると、テーブルにメッセージカードが置かれており、リビングルームに来るようにと、書かれている。さらにスノーは、既にたっぷり餌をもらっており、これ以上食べ過ぎない方がいいとのこと。つまりこのまま寝室のソファで、寝かせておこうと、書かれていた。
その言葉にソファを見ると、スノーは気持ちよさそうに寝ている。
その姿を確認してから、寝室のドアを、恐る恐る開けた。
リビングルームは広く、ソファとローテブル、テーブルと椅子が、それぞれ配置されている。アルベルトは、テーブルの方の椅子に座っていた。すでにテーブルには、朝食が並べられている。キョロキョロと見渡すが、三騎士や警備の騎士の姿は見えない。恐らく、廊下で警護についてくれているのだろう。
「パトリシア」
アルベルトがこちらへ歩いてきていた。
窓から差し込む日差しを受け、サラサラのシルバーブロンドが輝いている。
肌は透き通るように白いが、頬を見ると血色がいい。
唇も同様だ。
そして白いシャツに紺色のタイ、フロスティブルーのジレに同色のズボン、目が覚めるようなシアン色のフロックコートを着たその姿は……。
なんというか、私がよく知るアルベルトだった。
「……もしかして不調が、解消されたのですか?」
「うん。おかげさまでね」
そう言って微笑むアルベルトの笑顔は、信じられないほど美しい。さらに私の手をとると、席までエスコートしてくれる。
それどころか椅子をひき、着席するように促し、紅茶までカップに注いでくれた。
まさかアルベルトに、王太子に、こんなことをされるとは……。
一言付け加えるなら。
乙女ゲーの王道攻略対象から、ここまでされるとはと、感動する。
アルベルトがこんな風に給仕をするのは、私に気を使い、部屋に召使いを呼んでいないからだ。申し訳なく思いつつ、その気遣いに、心から感謝する。
「お気遣い、ありがとうございます」
「気にしないで、パトリシア。わたしがそうしたいと思い、していることだから」
普通に優しい言葉に、瞬殺された。
一方のアルベルトは席に腰をおろすと、「さあ、いただこう」と微笑む。
完全にハートを持って行かれながら、オムレツを食べ始める。
「わたしの不調について話したと思うけど、この不調は『呪い』から引き起こされるものだった」
「『呪い』ですか……?」
アルベルトは頷いて、優雅な手付きで、パンを口に運ぶ。
「魔力が強い人間は、魔法を使うことができるが、『呪い』をかけることもできる。そしてわたしはこの『呪い』を……カロリーナにかけられてしまった」
衝撃でフォークにベーコンを刺したまま、固まってしまう。
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