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18:碧眼一択
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朝食をとる部屋につき、ドキドキしながら中に入ると、アズレークの姿がない。どうやら今日は私が先に席につくことが出来たようだ。椅子に腰を下ろしたところで、ドアが開いた。
アズレーク……。
姿を現したアズレークは、すぐに私に目を留め、ハッとした表情になる。だがすぐに視線を逸らされてしまった。
……あれ、似合っていなかった……?
一瞬気持ちが沈みかけるが、それよりもちゃんと挨拶と御礼の気持ちを伝えないと。
「アズレークさま、おはようございます」
こちらに向かい歩いていたアズレークは一瞬立ち止まり、再び歩き出すと、いつもの落ち着いた笑顔になった。よく見ると、黒いシャツと髪に乱れがある。今朝も武術の訓練をしていたのだろう。
「おはよう、パトリシア」
穏やかな声にホッとしながら、椅子に腰をおろしたアズレークに声をかける。
「今朝は沢山のコタルディを届けてくださり、ありがとうございます」
「うん。気に入ってもらえたようで良かった……その、よく似合っていると思う」
何気なく本人は言ったようなのだが……。
頬がほんのり色づき、耳も赤い。
アズレークがそんな反応をすると思わず、私はぽかんと口を開け、その姿を眺めてしまった。
が、すぐに元公爵令嬢としてふさわしくない態度と気づき、口を閉じる。
「その、聖女に扮するということですが、服装はどうすればいいですか? 修道服を着た方がいいですか?」
「その件を話していなかった。丁度いい。朝食をとりながらそのことについて話そう」
そう切り出したアズレークは、私が聖女を演じるにあたり、いろいろ決めた設定について教えてくれた。
まず、名前。
聖女を演じる私の名前は、オリビア・イグレシア。
様々な国を巡礼しているということで、身分証も用意してくれていた。
服装はいろいろな国を渡り歩いていることから、自由にしていいと言われた。自由にしていいと言われると、それはそれで困るが……。裾の長い、落ち着いた色のワンピースとベールを被ろうと思うと話すと、「ではそれを用意しておこう」とアズレークは応じてくれる。
「外見については、魔法で髪や瞳の色を変えるつもりだ。希望があれば教えて欲しい」
「そうなのですね。では髪はプラチナブロンドで、思いっきりストレートにしてください。瞳は碧眼で!」
思わず即答していた。
実は。
パトリシアの外見について、文句などなかった。
前世の私と違い、美女であり、ナイスバディで非の打ち所がない。
ただ、個人的な希望で、金髪と言えば碧眼というイメージがあった。だから現在の琥珀色の瞳から、色を変えることができるなら、碧眼一択だった。
そしてパトリシアの髪は、パーマ不要の美しく波打つブロンドで、これに不満はない。ただ聖女を演じるにあたり、姿を変える必要があるとのこと。ならばプラチナブロンドで、ストレートになれば、きっと別人になるだろうと思ったわけだ。
「分かった。その変化だけでかなり別人になるだろう。容姿を変えるのは直前でもいい。でも名前については、今から変えて慣れた方がいいだろう。これからはオリビアと呼ばせてもらう。いいだろうか?」
「もちろんです」
私の返事に頷くと、アズレークは紅茶を口に運んだ。
その様子を見た私は、今朝、気になったことを尋ねてみることにした。
アズレーク……。
姿を現したアズレークは、すぐに私に目を留め、ハッとした表情になる。だがすぐに視線を逸らされてしまった。
……あれ、似合っていなかった……?
一瞬気持ちが沈みかけるが、それよりもちゃんと挨拶と御礼の気持ちを伝えないと。
「アズレークさま、おはようございます」
こちらに向かい歩いていたアズレークは一瞬立ち止まり、再び歩き出すと、いつもの落ち着いた笑顔になった。よく見ると、黒いシャツと髪に乱れがある。今朝も武術の訓練をしていたのだろう。
「おはよう、パトリシア」
穏やかな声にホッとしながら、椅子に腰をおろしたアズレークに声をかける。
「今朝は沢山のコタルディを届けてくださり、ありがとうございます」
「うん。気に入ってもらえたようで良かった……その、よく似合っていると思う」
何気なく本人は言ったようなのだが……。
頬がほんのり色づき、耳も赤い。
アズレークがそんな反応をすると思わず、私はぽかんと口を開け、その姿を眺めてしまった。
が、すぐに元公爵令嬢としてふさわしくない態度と気づき、口を閉じる。
「その、聖女に扮するということですが、服装はどうすればいいですか? 修道服を着た方がいいですか?」
「その件を話していなかった。丁度いい。朝食をとりながらそのことについて話そう」
そう切り出したアズレークは、私が聖女を演じるにあたり、いろいろ決めた設定について教えてくれた。
まず、名前。
聖女を演じる私の名前は、オリビア・イグレシア。
様々な国を巡礼しているということで、身分証も用意してくれていた。
服装はいろいろな国を渡り歩いていることから、自由にしていいと言われた。自由にしていいと言われると、それはそれで困るが……。裾の長い、落ち着いた色のワンピースとベールを被ろうと思うと話すと、「ではそれを用意しておこう」とアズレークは応じてくれる。
「外見については、魔法で髪や瞳の色を変えるつもりだ。希望があれば教えて欲しい」
「そうなのですね。では髪はプラチナブロンドで、思いっきりストレートにしてください。瞳は碧眼で!」
思わず即答していた。
実は。
パトリシアの外見について、文句などなかった。
前世の私と違い、美女であり、ナイスバディで非の打ち所がない。
ただ、個人的な希望で、金髪と言えば碧眼というイメージがあった。だから現在の琥珀色の瞳から、色を変えることができるなら、碧眼一択だった。
そしてパトリシアの髪は、パーマ不要の美しく波打つブロンドで、これに不満はない。ただ聖女を演じるにあたり、姿を変える必要があるとのこと。ならばプラチナブロンドで、ストレートになれば、きっと別人になるだろうと思ったわけだ。
「分かった。その変化だけでかなり別人になるだろう。容姿を変えるのは直前でもいい。でも名前については、今から変えて慣れた方がいいだろう。これからはオリビアと呼ばせてもらう。いいだろうか?」
「もちろんです」
私の返事に頷くと、アズレークは紅茶を口に運んだ。
その様子を見た私は、今朝、気になったことを尋ねてみることにした。
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