花衣ー皇国の皇姫ー

AQUA☆STAR

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決戦編

第62話 覚悟

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 瑞穂たちが途中の村で一夜を過ごしている間、先に千林へと潜入していた琥珀は、都の住民に紛れながら調査を行なっていた。

 先んじて琥珀は瑞穂の命令を受け、千林における迦国軍の動向を探る任務を遂行していた。

 闇夜、琥珀の呪術によって創り出された霧が濃くなる中、都の中を歩く琥珀は自らに注がれる視線を感じ取っていた。向けられる視線に込められるのは興味、そして憎悪。すでにこの千林にウルイ本人が到着していることを掴んでいた琥珀だったが、情報を得た際に追っ手に気づかれ追われることになっていた。

"敵…1人?"

 霧が出ていても多くの人が行き交う中、その視線は群衆の中の琥珀に的確に注がれていた。

 その視線の主、手練れの追手が1人、密偵である琥珀を静かに追従していた。

"ちょっとまずいかも…"

 人の合間を擦り抜け、路地を通るなどして何度も追っ手を撒こうとするが、琥珀を追う追っ手は一向に諦める様子はない。その上、絶妙な距離感を保っているせいで、自分を追う者の正体を未だ掴めていない。追っ手は明らかに、自身と同等かそれ以上の実力を持つ隠密の類であった。

 建物の角を曲がり、路地の中へと入る。駆け出し、腰に巻いていた革帯から苦無を抜き取ると、後方の家屋の屋根にそれを投擲した。

 苦無は屋根の上にいた影に向かって飛ぶが、命中したときには影は屋根から移動してしまい、苦無は目標を外れてしまう。命中しなかった苦無が家屋の木の壁に突き刺さる。

「こそこそ嗅ぎ回っているのは、あんた?」
「お姉さん、どこかで見たことあるね」

 琥珀はそう言うと、屋根から地面に飛び降りてきた女と間合いを取り、腰に携えていた小刀を二振り抜き取る。二振り共に逆手で構えた無名は、目の前に立つ女を見据えた。

「こんなに可愛い子が密偵だなんてねぇ…驚いちゃったよ」
「思い出した。お姉さん、関楼ノ砦で戦っていたよね?」
「関楼…あぁ、確かにそうだったねぇ。あの頃のことは、もう随分と昔のように思っちまうさ」

 女は不敵な笑みを浮かべると、円状の武器を手に取って構える。そう、この女の名はルージュ、又の名をピュラ。

 殺しの天才、荒吐の元一党。

 闇に生きる者同士が、光のない暗闇の中で相見える。

 先に飛び出したのは琥珀の方だった。建物の壁を蹴って飛び、両手に持った小刀で斬りかかる。その素早い連続技を、まるで舞を踊る様に円刀で弾き返すルージュ。その顔は狂気に歪み、口調はもう一人の人格に変わる。

「キャハハ!良いねぇ!良いよぉ!闇に生きる者同士、思う存分殺し合おうじゃない!」

 呪詛痕を持つ琥珀の動きを翻弄するピュラ。都の路地で繰り広げられる闇に生きる者同士の戦い。

「ッ!?」

 素早い動きで翻弄する琥珀だったが、わずかな隙をつかれ腕を斬られる。滴る血を舐めた後に傷口を押さえると、傷口はすぐに塞がる。これも、琥珀の持つ呪詛痕の力の恩恵だった。

「ふふっ、腕一本取れたと思ったけど、切り傷だけかぁ。それに、すぐ塞がっちゃうのね」
「斬られちゃった…」
「もっと斬ってあげるよ。斬ってきって、再生できないくらいズタズタに斬り裂いてやるさ!」

 ピュラは円刀を地面に突き刺す。すると、地面に突き刺した円刀を、まるで生き物の様に自由自在に動かす。石畳を破壊する程の威力を持つ円刀が、反撃の隙を与える間もなく琥珀を襲う。

「かっは!?」

 身体に纏わり付くように襲いかかる円刀の攻撃を防ぐが、琥珀ほどの実力であっても全ての攻撃は防ぎきれない。防ぎきれなかった円刀が無名の白い肌を切り裂きつつ、徐々に琥珀の身体に傷が増えていく。

「ほらほら!早くしないと身体中が傷物になっちまうよ!」

 後方に飛び、苦無をピュラに投げつける。ピュラはその苦無を小刀で叩き落とすが、その隙をついて琥珀はピュラの目の前に詰めていた。

「やるじゃん!でも、甘いよ!」

 目の前に詰め寄った琥珀を、ピュラはつま先で蹴り上げる。蹴りをもろに受けた琥珀は吹き飛ばされるが、ピュラの目の前にある物を残していた。

 火薬玉、古くは宋帝国に伝わる火薬を詰めた爆弾であり、内部に詰めた火薬が爆発することにより、周りを覆っている鉄の幕が弾けて敵を穴だらけにするという暗器である。

 起爆線に着火されていた火薬玉は、ピュラの目の前で爆発する。しかし、白煙が晴れたそこには、煤で黒くなったピュラが立っていた。顔を防いだ手には、火薬玉から爆散した鉄の破片が突き刺さっている。

「いってぇな!クソガキが!調子に乗るな!」

 完全に怒りの沸点を通り越したピュラであったが、追撃しようにも琥珀の姿が見当たらない。それどころか、まだ薄かった霧が濃くなり、一寸先も見えないほど視界が悪くなった。

「逃げるのか、クソガキ!」
「撤退だよ。今の私じゃ、お姉さんに勝てないんだもん」

 霧の中から声は聞こえるが、琥珀の姿を捉えることが出来ない。完全に敵を見失ったピュラは、円刀を地面に突き刺し狂乱する。

「あたしから逃れると思ってんのかぁ、クソガキがぁ!!」


 ◇


 琥珀とピュラによる戦いが繰り広げられている頃、黒装束と妖に襲われていた村を出た瑞穂たちは、千林のすぐ近くへと来ていた。

「瑞穂殿、ウルイの手に渡ったと言われている神滅刀のこと、知っておるか?」

 道中、カヤは瑞穂に神滅刀のことについて話をする。

「えぇ、知っているわ」
「神滅刀は、彼の大戦で大御神を追い詰めたと云われている。何故、その様な物騒な代物がウルイの手に渡ったのじゃ?」
「神滅刀は元々、私の故郷の神社に封印されていたの。でも、それを持ち出した人物がいる。私のお母様よ」
「瑞穂殿の母君がか?」
「お母様が何を思って神社から神滅刀を持ち出したのか分からない。でも、神社から持ち出された後、別の場所に置かれていたのを、さっきの村にいた黒装束の一人が持ち去ったの」

 ウルイが神滅刀を手にしたということは、ウルイと黒装束が繋がっていることを意味する。

 根の国の主、黒国主の力を封じ込めたという神滅刀。それを持ち去った黒装束たちが、わざわざ敵対するウルイにそれを与えた。

 瑞穂は、黒装束たちの意図が分からずにいた。自分を滅するのなら、ウルイに与えずとも自分たちで使う方がいい。しかし、黒装束たちはそうしなかった。

「これは一つの可能性じゃが。其奴らは神滅刀を囮に、瑞穂殿を誘き出そうとしているのではないか?」
「私を?」
「そうじゃ。大御神を追い詰めた曰く付きの刀が、敵対する国の長の手にあるのなら、瑞穂殿は動かざるを得ない。奴等は自分たちの障害となりうる者を、一つの場に集めて滅するつもりかもしれぬ。それなら、大国である大和と迦ノ国との戦を起こし、邪魔者となりうる存在の力を弱体化させようとする意図の辻褄が合う」

 恐ろしい憶測であった。しかし、瑞穂は臆するどころか、寧ろ自信に満ちた答えを返した。

「そうかも知れないわ。でも、逆にそれは好機でもあるの。神滅刀を手にしたウルイと、私を狙う組織。2つの敵を一網打尽に出来る絶好の機会よ」

 その言葉を聞いたカヤは、瑞穂の決心を感じ取っていた。

「あれが、千林ね…」

 目立たない様に街道を逸れて山道を歩いていた瑞穂たちは、やがて千林の都を一望できる丘へと到着する。

 迦ノ国の国都に次ぐ規模を有する千林の都には、鬱蒼とした霧が掛かっていた。

「琥珀が潜入しているわね。後は、あの子の調査結果次第だけど…」
「お、お姉さん…」
「ッ⁉︎」

 瑞穂たちが身を隠す場所に、おぼつかない足取りで琥珀が現れる。その身体は全身が傷だらけになっており、回復が追いついていないのか、傷口から血が滴り落ちていた。

「琥珀、その怪我どうしたの!」
「ごめんなさい。ちょっとしくじっちゃった…」
「来なさい、すぐに治療するわ。千代、この子の治癒をお願い!」
「はっ、はい!」

 瑞穂に抱き抱えられた琥珀は、千代の呪術によって傷と痛みを治癒される。よほどの激戦を繰り広げたのか、御剣に匹敵する力を持つ琥珀がこの有り様であった。

 治癒を続けていると、琥珀の表情が次第に穏やかになる。

「どう、琥珀。少しは楽になった?」
「うん、良くなってきたかも。ありがとう、巫女のお姉さん」
「止血と鎮痛は行いました。あとは琥珀様の自己治癒能力に任せるしかありませんね…」
「琥珀、あなた一体誰と戦ったの?」
「お姉さん覚えてる?あの、丸い武器を持ったお姉さんのこと」

 瑞穂はその情報だけで、琥珀の戦った相手があのルージュである事に気付いた。

「あの隠密がいるのなら、ウルイも千林にいるの?」
「うん。ウルイはもう千林に来てるよ。気をつけてお姉さん」
「よくやったわ琥珀。少し休んでいなさい。ここからは私たちがやるわ」
「そうするね。少し眠ってる」

 琥珀はそう言って目を閉じると、疲れていたのか寝息を立てて眠り始める。

「千代、シラヌイ、2人とも琥珀を頼んだわ。御剣、藤香、ミィアン、ついて来て」
「瑞穂殿、余たちも行くのじゃ」
「駄目よカヤ。あなたはここに残っていて」

 カヤはそう言うが、瑞穂はカヤの同行を許可しなかった。ここまで行動を共にしてきたカヤにとって、それは思いもよらない答えだった。

「なぜじゃ?余の力では不足なのか?」
「違うわカヤ、私はあなたの実力を疑っている訳ではないの。でも、戦中とはいえ大和の皇女を危険に晒すわけにはいかない。それに今、この場所で起こっているのは、皇国と迦ノ国の戦なの」
「ウルイは強大じゃ。なら、手数は1人でも多い方が良い、余が皇族でも関係ない」

 そう言ったカヤは、拳を握る。

「ならカヤ、あなたは国のために死ぬ覚悟はある?」
「死ぬ、覚悟?」
「その身を犠牲にして、国を、民を守る覚悟があるのかどうかよ」

 瑞穂はそう言い残すと、3人を連れて千林へと向かう。

 残されたカヤに、シラヌイが歩み寄る。

「ああ言っておるが、本当のところは主のことを心配しておるのじゃよ」
「余を?そういえば、其方は歓待の時にはおらんかったが、何者じゃ?」
「主にはまだ言っておらぬが、妾はかつて禍ツ大和大戦で時の大御神殿に仕えていた大神の一柱と言っておこうかのう」
「し、白々しい嘘をつくでないっ。信仰がなくなったこの現世で、大神が残っているはずが…」
「まぁ、妾は人ではなく動物たちの信仰があるからの。こうして今も残っているのじゃ」

 そう言って、シラヌイは人の姿から白狼の姿へとなる。これには、カヤだけではなく大和の人間全員が驚きを隠せなかった。

「まさか、いや、そんなはずは。あ、妖の類ではないのか?」
「失礼じゃのう。妾をあの様なものたちと同じにするでないわ。これが妾の本来の姿、不知火大神の姿態じゃ」

 そう言って、シラヌイは人の姿へと戻る。

「妾が仕えるのは大御神殿のみじゃ。かつての大御神殿も今の大御神殿である瑞穂殿も、全く変わっておらぬ。他を救うために、自らが進んで死地に赴く。先ほどの瑞穂殿もそうであろう」
「まさか、千林が死地であるとでも言うのか…」
「大神を滅することが出来る神滅刀。それを手にしたウルイは、大御神である瑞穂殿にとって恐ろしい相手となる。それを分かっておるから、瑞穂殿はあの3人だけを連れて行ったのじゃ。強く、そして犠牲となると分かっていても自らに付き従う者たちをな」
「ではなぜ、シラヌイ殿を連れて行かなかったのじゃ?」
「追っ手に襲われたその密偵の娘は、血を流しておった。密偵の娘を追い詰めるほどの追っ手が、手傷を負った獲物をみすみす逃すとでも思うか?」
「ま、まさかっ⁉︎」

 途端に緊張が走る。

「見ぃつけた。何だか面白い奴らがいるじゃんか」

 カヤたちの周囲を、ルージュが率いる暗殺者たちが取り囲んだ。

 その数、およそ30。いつの間にかカヤたちの周囲は、完全に暗殺者たちに包囲されていた。

「そう言う意味じゃ。瑞穂殿の意図は、妾に其方らを守れということじゃ」
「シオンっ⁉︎」
「は!」

 暗殺者に取り囲まれたカヤたちは中央に密集して態勢を整える。

「あはは、女ばかりじゃんか。この人数を相手に、勝てるとでも思ってんの?てか、お前ら…」

 ルージュは、カヤとシオンを注意深く見つめると、不敵な笑みを浮かべた。

「………」
「良いじゃん、良いじゃん。手間が省けるってやつだ」
「まずい、完全に囲まれておる。それに、数が…」

 その時カヤは、瑞穂の言葉を思い出す。

 その身を犠牲にして、国と民を守る。

 例え困難な状況に陥っても、決して諦めることなく、そして命を掛けて最後まで戦う。それが、瑞穂の言う死ぬ覚悟であった。

「余の弓を」
「カヤ様?」
「瑞穂殿は命を掛けてでもウルイを倒そうとしておるのじゃ。妾が逃げてどうする。この戦に、経緯はどうであれ皇国を巻き込んだのは余たちじゃ。シオン、大和のため、そして皇国のために、余たちの手で此奴らを倒すぞ。心して掛かれ」

 カヤの決意を感じ取ったシオンは、剣に手を掛けて鞘から引き抜く。

「承知しました。七星将が一人独眼のシオン、皇女カヤ様に最期までお供致します」
「其方らは斎ノ巫女と密偵の娘、そして其方らの従者たちを守るのじゃ。彼奴は、妾が相手をする」

 シラヌイは白狼の姿となり、ルージュを睨みつけて唸り声を上げる。シラヌイの姿にルージュは一瞬驚きの表情を見せるが、次第に顔が狂気に歪む。

「全員、皆殺しにしてやるよ‼︎」


 ◇


 カヤたちと分かれた私たちは、千林の都の中へと潜り込んでいた。

 都の民はすでに表から姿を消し、家屋の中に鍵を閉めて固く閉じ籠っていた。民の代わりに私たちを出迎えたのは、ウルイが率いている迦国軍の兵士たちであった。

「どうするの瑞穂、何か作戦はある?」

 藤香はそう言うが、正直なところこれほどの兵を出し抜き、ウルイの首を取ることは難しい。

 民に紛れて近づこうにも、民たちは一人も外に出ていない。暗闇に乗じて奇襲を仕掛ける選択肢もあるが、琥珀の存在が露呈してしまった以上、こちらの動きを警戒しているため成功の可能性は低いと見ていい。

 現に、哨戒に出る兵の数が増えている。

「ウルイの居場所が分からない。でも、この広い都の中を4人で探すのには時がが掛かりすぎる。琥珀の存在が知られている以上、草の根を分けてでも私たちを探し出すはずよ」
「なら、どうする?」
「4人で正面から堂々と斬り込む」
「強行突破ね、分かった」
「うひひ、無謀やぁ、無謀やけど。それが一番手っ取り早いぇ」
「命令は一つ、絶対に死なないこと。ここで必ずウルイを討ち取るわ。みんな、行くわよ」

 私たちは偽装用の装束のまま、待ち構える兵士達の前へと飛び出した。
 

 ◇


 高野、ここは登勢の地で敗北を喫したコチョウ率いる大和軍が、砦に陣を構えて迦国軍を迎え討っていた。

 小高い丘にそびえる砦から、眼下の迦国軍を見下ろすコチョウ。建国から歴史は浅い迦国であるが、かつては武皇ウルイによって統一されるまでは、多くの部族が互いに血みどろな戦を繰り広げてきた無法地帯であった。

 対する大和は帝とそれに仕える七星将の庇護のもと、数百年の歳月の間、戦を経験していなかった。大和軍として戦う兵士たちは、迦国兵と比べて実戦という経験では劣っている。故に、七星将であるゴウマが敵の手に落ちたことで、完全に戦意を喪失しかけていた。

「やはり、あの脳筋を失ったのは痛かったですわ…」

 コチョウの視線の先では、砦を守る大和軍と攻める迦国軍との間で戦闘が繰り広げられていた。

「コチョウ様、こちらから攻め入らないのですか?」
「私は攻めが苦手なの。奴らは本気でこの砦を落とそうとしている気はないし、このまま時を稼いで帝京からの援軍を待つ方がいいわ」

 攻めのゴウマを失った以上、守りに長けたコチョウが出来るのはこの砦で迦国軍の注意を引くこと。登勢での敗報はすでに帝京にいる帝に届いているため、帝京からすぐさまこの高野に援軍が向かわせられるだろう。

 現時点においてコチョウ率いる大和軍と、迦国軍の戦力は5分5分。援軍が到着すれば、数的有利で戦況を覆すことができる。コチョウはそう考えていた。
 
「帝京からの援軍待ちの様ですね。殻に閉じ籠って出てくる様子がありません」

 コチョウのいる砦を攻める迦国軍の陣中では、戦場の様子を見つめるオルルカンがそう呟く。

「まぁ、良いだろう。大和には七星将以外に有力な将は少ない。欲を言えばここであのコチョウを討ち取っておきたいのだが、こうも護りに徹されてはこちらも相応の被害を想定せねばならぬ」

 馬上にいるジュラは、オルルカンの言葉にそう返す。

「手駒の差、ですね。こちらは先の戦いで泰縁と菖蒲を失いましたが、まだまだ有力な将たちがいる。私たちは兵を大軍としてしか見ることができませんが、将たちは違う。ここの将たちが力を持ち、戦を知って動くことで、兵士たちは実力以上の力を発揮することが可能となります」
「不思議よの。乱世のころは私やお前とて皇様と戦いを繰り広げていたが、今ではこうして皇様の名の下に共に戦っておる」
「あのお方は、例えかつての敵であったとしても受け入れる器と、それを率いる魅力を持っておられますからね」

 そう言ったオルルカンのもとに、部下が書状を持ってくる。

「ジュラ殿、皇様から下命が届きました。ここに3割の兵を残し、我らは北上せよと」
「ここを落とす必要がないということか?」
「その様です。皇様は自ら率いる軍勢と共に、此処に向かっております。現在は千林におられるそうで、明日には皇様自らこの高野を落とすそうです」
「なら、ここには兇蓮と千浪の部隊を残しておきましょう」
「千浪?兇蓮はあの呪術弓取だが、千浪は初めて聞いたぞ?」
「千浪は、二刀流の剣士です。あの亡き泰縁が密かに弟子にしていた者です。私も、名前だけしか知りませんが。実力は泰縁が保障していました」
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