花衣ー皇国の皇姫ー

AQUA☆STAR

文字の大きさ
上 下
80 / 128
決戦編

第60話 刀匠の子孫

しおりを挟む
 かつて、この世に刀を打たせれば右に出る者はいないと言われ、伝説の刀匠と謳われた一人の刀鍛冶がいた。彼は自らが認めた武人のためにだけ刀を打ち、同じものは2つと作らない。

 彼の名は獅子神刻庵、瑞穂の桜吹雪と御剣の業火を打った刀匠その人であった。

「獅子神刻庵の子孫、それは本当なの?」
「はい。一目見て業物の名が分かるのは、我が一族でしか有り得ません。お願いがございます。どうかその刀を、私に鍛え直させてもらえませんか?」
「鍛え直すだと?」
「その通りです。代々、我が一族には言い伝えがございます。初代様の打たれた刀を持つ者が一族の前に現れたなら、その当代が命に代えてでも鍛え直し、完成させる。そう言われております」
「鍛え直す必要があるのか。すでに完成しているのではないのか」
「いえ、恥ずかしながら未完成でございます。初代様の刀は、その時の持ち手に合わせて鍛え直さなければ、本来の力を発揮できません。お代は要りません、どうかこの私に…」

 しかし、2人は悩んだ。仮にこの獅子神綱雪と名乗る男が刻庵の子孫であったとしても、今日あったばかりの相手に武人の命とも言える刀を易々と預けることはできない。ましては、敵地に潜入している以上、手元に得物がないのは心許ない。

 御剣はもう一振りの草薙剣があるが、瑞穂は桜吹雪しか持っていない。

「良いわ。桜吹雪、あなたに鍛え直してもらうことにする」
「正気か?」
「よ、よろしいのですか?」
「えぇ。あなたの話が本当であれば、伝説の刀匠の子孫に鍛え直してもらうなんて、これ以上にない光栄よ。でも、それには条件があるわ」

 瑞穂は腰に帯刀していた桜吹雪を取ると、鞘ごと綱雪に差し出す。

「ここの鍛冶場に置かれていた刀を見て、あなたを刀匠として信用している。でも、まだあなたを刻庵の子孫としては信用してはいない。だから、この刀を明日までに鍛え直してみせなさい。他の刀には目もくれず、全ての時と労力をこの桜吹雪に注ぎなさい」

 それは、迦国兵が命令した鍛治に一切手を出さず、ただ桜吹雪だけを打てという意味だった。

「構いません。名誉ある事です。お引き受けさせてください」
「綱雪。それでは、明後日までに10本打つ約束は果たせなくなるぞ」
「もとより、明後日までに10本など無理な話です。奴らの言うことを聞くよりも、我が一族の宿命を果たすことが、終生の悲願にございます」
「あなた…」
「すまぬ未那、私にはやり遂げなければならないことがあるのだ」

 妻にそう伝えたことで、瑞穂は桜吹雪を綱雪に預けることを決意した。

「良いでしょう。では、あなたにこの桜吹雪を預けます。それと、迦国兵の約束、私に任せなさい。何とかしてあげるわ」
「何とか?…では、この獅子神綱雪、この宿命に掛けて桜吹雪を鍛え直させてもらいます。一つお聞きしたいことがございます。なぜ、旅の薬師さまがこの刀を…」
「私の名は瑞穂之命。そう名乗れば、あなたも分かるでしょう」

 瑞穂は頭巾を脱ぎ、本当の素顔を見せる。その素顔を見た綱雪は、座して額を床につけた。しかし彼は、その正体についてはそれ以上話すことはなかった。

「これも天からの思し召しにございます。では、早速鍛え直させていただきます」

 綱雪に桜吹雪を預けた瑞穂は、再び頭巾を被り正体を隠す。

「なぜ、正体をばらしたんだ。奴はまだ信用できんぞ」
「獅子神一族は、元を辿れば葦原の人間よ。初代の刻庵は神滅刀を打ったといえ、もう一人の私であるカミコが信頼を置いていた人間。その子孫であれば、私の姿を見たとしても、迦ノ国にそれを漏らすことは絶対にしないわ」
「ですが、どうにかすると言った手前、迦国兵の件はどうするのですか」
「それについては、私に任せていて。シオン、先に宿に戻っていてくれるかしら。カヤには夜までに戻ると言っておいて」
「分かりました。では、私は先に宿へ戻っております」

 シオンと別れた瑞穂は、御剣を連れてある場所へと向かう。そこは都の南側、領主のいる中央の館から離れた一目のつかない森の中だった。

「こんな所に来て、一体何をするつもりなんだ?」
「そろそろ来るわ。御剣、何かあれば私を守ってね。刀がないから」

 すると、森の中から装束に頭巾を目深に被った青年が現れる。状況のつかめない御剣は、刺客ではないかと青年を警戒し刀に手をかける。

「待たれよ、私は今一人だ。文を送ったのは其方か?」
「えぇ、そうよ。約束通り、一人で来てくれたのね。あなたが志苑で間違いないかしら」
「そうだ」

 青年はそう言うと、頭巾を脱ぎ素顔を露わにする。金の髪にまだあどけなさが残る顔、凛々しい若きこの青年は、この信貴の都を治める志賀族の長、志苑本人であった。

「私も名乗った。其方も名乗られよ」
「私は旅の薬師ホズミ。ウルイによる迦ノ国統一に最後まで抵抗し、今では力あれど監視の目に晒される立場となっているあなたに、私から一つ提案があるわ」
「薬師に何ができると言う?」
「近日中に、皇国は大軍を率いて迦ノ国に攻め入る。皇国軍が狙うのは、北へ兵が動き手薄となったこの信貴。でも、皇国皇に口利きできる私の条件を聞き入れてくれるのなら、この信貴へ手出しはさせない」
「その様な戯言のために、私はわざわざここに来たというのか。馬鹿馬鹿しい、第一、それを証明する手立てはあるのか?」
「あなたにとって目障りな士志と義慈、明日までに2人の首を用意しても、疑うかしら?」
「ッ、なんだと?」
「齢16でウルイからの圧力を受け、事が起きれば皇国との戦の最前線に立たされる。私と組めば、それを回避する事ができる」

 御剣は言葉を発しなかったが、心の中で自らの主が行おうとしていることを理解していた。瑞穂はウルイの側近2人の命と引き換えに、中央と仲の悪い信貴を味方に引き入れようとしているのだ。

「あの2人を倒せると言うのなら、やってみると良い。しかし、私もこの信貴を守る立場であるゆえ、それは全力で阻止させてもらう」
「では、明日の同じ時、またここへ。その時には、士肆と義慈の首を土産に待っているわ」

 青年はそれを聞いた後、再び森の中へと姿を消す。

「瑞穂、どう言うことなんだ。奴らをこちら側に引き入れるなんて、無茶な話だと思うが…」
「志賀族は、ウルイの寐瀬族による統一に最後まで抵抗した一族よ。話を聞けば、あの志賀族の族長は、ウルイに両親を殺され、今の地位にいると聞く。両親を殺した奴か、そいつよりも強い新たな味方、御剣ならどちらにつく?」
「俺なら、親を殺した奴の下につくなら、自害するな」
「彼には、新たな希望の光が見えたはずよ」
「まぁ、それもそうだけど。戦わずして勝つ、それが善の中の善。宋の兵法家の言葉か。で、これからどうするんだ?」
「志苑をこちらに引き込むには、まずはウルイの側近である2人を消さなければならない。それも、志苑の妨害を受ける前提でね。2人の屋敷はすでに把握しているわ。勝負は今夜よ」
「我が主ながら、仕事が早くて感服する」
「なら、早く宿に戻るわ。早速、作戦会議よ」


 ◇


 その夜、志苑は部下である士肆と義慈を館へと呼び出す。

「わざわざこんな夜更けに、我らに何の御用でしょうか。仕事も残っているので、手短に済ませていただきたのですが」

 部下でありながら、都を取り仕切る族長に対してこの様な口調になるのも、士肆にとっての志苑の立ち位置が、自分よりも低いという魂胆の現れだろう。志苑自体も、なぜこんな奴らを守らなければならないのか疑問を抱くが、迦ノ国のウルイに仕えている以上、何もせずに2人を殺されるのは避けたかった。

「貴殿らの命を狙う輩がこの信貴に潜んでいる。今宵、貴殿らの命を頂戴すると言ってきた」
「はぁ、我らの命をですか。もしかして、そいつらは我らを恨む族長殿の息の掛かった者ではないのですか?」
「何だと⁉︎」
「士肆、言い過ぎだぞ」
「おっと失礼、心の声が漏れてしまいました。屋敷の護衛に関しては、族長殿の兵は不要でございます。何せ、背を討たれる可能性もありますので。どうしてもと仰るのなら、屋敷の外にでも配置されればよろしいかと」

"此奴ら、私が謀を企てているとでも言うのか⁉︎"

 こみ上げてくる怒りを志苑は我慢する。

「なら私の兵は貴殿らの屋敷の外に配置する。今宵は気を付けられると良い」
「ご忠告どうもありがとうございます。では、我らはこれで」

 2人が去った後、志苑はそばに置かれていた台を蹴り飛ばす。台に置かれていた皿が割れ、果実が床に転がる。

「何たる屈辱、味方とは言え、あんな奴らを守らなければならないとは…」

 一方、各々屋敷に戻った士肆と義慈は、屋敷内を私兵で満たし、刺客を迎え討つために万全の態勢を整えていた。

「全く、あのクソガキ、調子に乗りよって。どうせ、他人のせいにして我らの首を狙うつもりだったのだろう。甘いわ、かかか」

 士肆は自室へと戻る。そこには大勢の女が待ち構えており、主人である士肆へ奉仕をする。士肆はこの信貴で作られる武具の取り立てを担っているが、本来の指定数以上を信貴の鍛冶たちから取り立て、余った武具を横流しすることで私財を蓄えていた。

「おい、綱雪の件はどうなった」
「はい。明後日までに10本の刀を奉納する様、命じました」
「ふん、伝説の刀匠の子孫か知らんが、期日までに奉納できなければ使えん。もし出来なければ、本人は牢に放り込み、奴の妻には儂の世話をしてもらうとするか。それと志苑の兵は屋敷に一人も入れるでないぞ。寝首をかかれては堪らんわ」

 士肆が笑いながらそう言っていると、屋敷の私兵たちが慌ただしく動き出す。

「であえ!であえー!」
「どうした、何事か⁉︎」
「曲者です‼︎何者かが屋敷内に侵入したとのことです‼︎」
「言ってるそばから何をしておるんだ⁉︎敵は何人だ⁉︎」
「ふ、2人です‼︎たった2人で屋敷に踏み込んできました‼︎」
「な、何ぃ⁉︎」

 士肆の屋敷に正面から侵入したのは、御剣と藤香だった。屋敷の周囲を固める志苑の兵を突破し、屋敷の中へと侵入した2人は、士肆の元を目指して私兵たちと戦いを繰り広げていた。

「私はあっち、そっちは任せた」
「承知した」

 面を被り素顔を隠した御剣と藤香は、手分けして屋敷内の私兵たちを斬り伏せていく。

「士肆様、正面を突破されました⁉︎お逃げを⁉︎」
「この儂が逃げるだと‼︎使えん奴らだ、さっさと曲者を殺せ⁉︎」
「も、もう無理だ⁉︎」
「お、お前たち、逃げるな⁉︎儂を守らんか⁉︎」

 士肆のいる部屋の障子が破壊され、返り血に染まった御剣が中へと入る。すでに部下たちは逃げ去り、一人残った士肆は目の前の御剣に恐怖する。

「ひっ、ひぃ⁉︎」
「民を蔑ろにし私腹を肥やし、己が欲望を満たすことしか考えぬ士肆よ。民に変わって天誅を下す」
「わ、儂が何をしたと言うんだ⁉︎」
「常世で自らの罪について聞くといい、はっ‼︎」

 士肆を斬った御剣は、その首を切り落とす。藤香と合流した御剣は、屋敷から脱出する。

「な、何が起こっているんだ…」
「義慈様、早くお逃げを⁉︎奴は人ではありませぬ、化物です⁉︎」
「ひゃひゃひゃ‼︎」

 同じ頃、義慈の屋敷でも夜討ちを仕掛けたミィアンが、圧倒的な強さで義慈の私兵たちを葬っていた。異変を察知した志苑の兵たちが屋敷へと入るが、そこはすでに死屍累々、化物が通ったあとの様に凄惨な光景が広がっていた。

 ミィアンを追おうとする志苑の兵士たちの前に、白狼と化したシラヌイが立ちはだかる。

「此処は通さぬ。通るものなら、喰い殺してやろうぞ」
「ひっ⁉︎」
「化物だぁ⁉︎」

 こうして、民を蔑ろにして私腹を肥やしていたウルイの側近である士肆と義慈は、双方ともに謎の刺客によって討ち取られ、その首が都の広場で晒されることとなる。

 余談ではあるが、信貴の民から反感を買っていた2人は、首だけになってからも民から大いに痛めつけられたという。

 そして、再び瑞穂は志苑と相対する。

「まさか、本当にあの2人を葬るとは…」
「これで分かったでしょう。条件を満たしたことだから、私の言うことを聞いてくれないかしら」
「…残念だが、そう言う訳にもいかない。其方らは2人の私兵のみならず、私の兵たちも倒した。そのけじめは、長である私がつけなければならない」

 頭巾を外した志苑は剣を抜く。彼にとって、これは部族の長として、平穏な都に恐怖をもたらした者たちへ対する、しかるべき措置であった。

 対する瑞穂の手には、刀が握られていた。刻庵の子孫、獅子神綱雪によって鍛え直された、新たな桜吹雪だった。

 瑞穂も、同じく頭巾を取る。

「やはり、其方であったか、皇国皇。戦いの前に、其方に一つだけ頼みがある。私を斬ったとしても、都の民には一切手を出さないでもらいたい」
「大御神の名のもと、必ず約束すると誓うわ」
「本当なら、其方の様な御方に仕えたかった…」

 志苑は剣を振りかぶり、瑞穂へと斬りかかる。瑞穂は振り下ろされた剣を刀で弾き、後方に下がって間合いをとる。

 そして、斜め下から振り抜いた刀が、志苑の胴を切り裂く。鍛え上げられた桜吹雪の刀身は、志苑が内側に着込んでいた鎧諸共斬り裂いた。

「ウルイは強大だ、大御神殿。くれぐれも、油断なされぬ様に…」

 まだ若い志賀族の族長志苑は、16にして刺客の手によって没する事となった。

「終わったか」
「えぇ」

 瑞穂は刀に付いた血を払うと、それを鞘へと納める。その様子を見ていた綱雪に、瑞穂は告げる。

「もう、信貴の都の人々が、理不尽に資源を搾取されることはなくなったわ。綱雪」
「はい」
「あなたの鍛え直した桜吹雪、今後も変わらず私の命を預けることにするわ」
「ありがたき御言葉にございます」

 刺客によって闇討ちされた士肆と義慈、2人が志苑によって殺されたため、ウルイの放った刺客によって志苑が殺された。

 信貴の都ではそう伝えられ、信貴ではウルイに対する反感が高まることになった。その中で瑞穂たちの存在は語られることはなかった。

 瑞穂たちは御剣の業火が鍛え直し終わると同時に、次の都である千林へと出立した。


 ◇


「皇よ、東の信貴で士肆と義慈、族長の志苑が刺客の手にかかり殺されたそうです」
「ほう、あの2人のみならず志苑までもか」
「刺客の素性については判明しておりません。ここは早急に兵を送り、調査を実施するべきかと」
「放っておけ」
「は、はぁ、よろしいのですか?」
「あそこは元々、儂に最後まで抵抗していた地だ。それに、国境に近い。皇国との戦に際しては、信貴には犠牲になってもらう。それよりも、北の戦況はどうだ」

 ウルイの頭の中では、大和攻略におよそ半月、もしくはひと月かかることを見込んでいる。

 宇都見国との戦で疲弊した皇国が、戦力を回復して迦ノ国を攻めるとすれば、概ねひと月は掛かる。それまでに大和を平伏させ、東の大国と化した皇国との戦に従事する。

 ウルイにとって皇国が同盟解消をこれほど早く宣言したことは予想外であったが、皇都に動きがない以上、東に戦力を向けるのはまだ時期早々であると考えていた。

「登勢から撤退した大和軍は、高野の地に布陣を敷いております。ここは山々が連なる天然の要塞となっており、攻略するには少し時間がかかると推測されます」
「オルルカンに伝えよ。高野に少数の兵を残しそのまま北上せよと。儂も出るぞ」
「皇自ら御出陣されるのですか?」
「オルルカンらの力を疑っているわけではないが、儂が行けば大幅に征服までの時を縮めることができる。ルージュよ」
「やっと出番?もう待ちくたびれちゃったよ」
「先に千林に行っておれ、儂もすぐに向かう」

 迦ノ国天子、武皇ウルイが自ら軍を率いて出撃を表明した。そして、ウルイの部下であり元荒吐の頭領であるルージュは、瑞穂達が次の目的地として向かっている千林へ出向くことになった。


 ◇


 神居古潭 神都


 大社の一室、ここでは大宮司であるアムルが、各地の主典からもたらされた情報を取りまとめていた。
 
 皇国から戻ったヤシロが、アムルに報告する。

「そうか、迦ノ国が大和へ侵攻したか…」
「はい。迦ノ国は軍の大半を北上させ、すでに大和南の地である登勢を落としております。勢いは止まることなく、未明には高野に後退した大和軍と接触することでしょう」
「皇国と宇都見国の戦いが終わったと思えば、今度は大和と迦ノ国か。この乱世、戦は絶えぬな…」
「皇国宰相のユーリ様よりもたらされた情報では、皇国は迦ノ国との同盟関係を解消し、宣戦を布告したとのことです。解消の原因は、同盟である迦ノ国が皇国皇を狙った刺客を送り込んだことだそうです」
「ふむ…」

 アムルは茶を口に含み、一息つく。

 皇国がこの地に建国されてから、国々を取り巻く情勢が目まぐるしく変化している。

 特に、皇国を中心として、これまでの国の枠組みが変化の兆しを見せている。

 神託を受け、瑞穂が大御神であることを認めたアムルは、その渦中にある皇国とこれまでの中立姿勢を捨て同盟を締結した。

「ん?」

 途端、アムルは唐突に眠気を感じる。最初はここ最近の心労による疲れからかと思っていたが、どうも眠気の周りがいつもと違うことに気づく。

「ま、さか…」

 先ほど自分が口にした茶を見る。アムルの手から茶の入った湯飲みが床に落ち、破片が散乱する。
 
 視界が揺れる中、アムルは目の前に立つヤシロを見る。

「貴様、ヤシロではないな。何者、だ…」

 男はそれに答えることはなく、椅子にもたれ掛かり気を失ったアムルを担ぎ上げる。

「主様の復活に、貴様は邪魔だ」

 しばらくして、巫女の一人がお茶を運んでくる。

「あれ、アムル様?」

 その巫女が地面に割れた湯呑みと、アムル本人が何者かに連れ去られたことに気付いたのは、部屋に入ってしばらく経ってからであった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

豪華クルーズに乗り込んだら大富豪に本気求愛種付けされた話

恋愛 / 完結 24h.ポイント:298pt お気に入り:57

毒華は自らの毒で華を染める

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:116

【改稿のため削除します】邪魔者はどちらでしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:26,855pt お気に入り:2,229

神の花嫁~伝承されない昔噺~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:22

婚約破棄が始まりの鐘でしたのよ?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,897pt お気に入り:178

【R-18】龍の騎士と龍を統べる王

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:74

呪われた騎士に贈られた花嫁

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:117

処理中です...