花衣ー皇国の皇姫ー

AQUA☆STAR

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総撃編

第55話 大義とは

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 私は、生まれつき人と異なる存在として生まれた。

 かつての私は、妖である自らの存在を受け入れることを拒絶しながらも、憧れていた人と同じ様に生きるために、人と同じ姿となりその生業に溶け込む様になった。

 いうしか、大御神の一派と大御神に反抗する大和大神、そして人や妖を巻き込んだ大戦が行われた。大きな力を持つ大神同士の戦いや、人同士、そして人と妖による終わりなき戦によって、この地は焦土と化し、人々の信仰心はこの大戦をきっかけに、次第に大神たちから離れていくことになった。

 大和側として大戦に参戦した私は、生まれつき持つ強大な呪力を用いて、大御神派の大神や人を圧倒していた。特に、人の姿と化することの出来た私は、大御神派の人の中で有力な者のもとへと潜入し、その命を刈り取るなどの裏で暗躍した。

 ある時、大御神に仕える斎ノ巫女に正体を見破られた私は、大御神に消されかける。何とか命からがら大戦から逃げ出した私が向かった先は、後に胡ノ国の歓楽都市となる昇華であった。そこで妖の時の名である玉藻前を捨て、見習いの遊女彩花として隠れながら生活する日々が続いた。

 やがて、人に化けた私の美貌と口の上手さが評価され、遊郭での立場が見習いから太夫になるまでに至った。私に嫉妬した他の遊女が寝首を掻こうと企んだみたいだが、妖である私に人ごときが敵うはずもなく、逆に返り討ちにした私が競争相手を殺してのし上がったと陰口を叩かれるようになった。

 私は心底どうでもよかった。自分の化ける人の姿は美しく、その美しさ目当てに様々な男がやってきては勝手に自分へ力、富、権力を差し出す。遊女でありながら芸はせず、体と話を売る日々を送っていた。

 それから幾年、老いぬ自分の正体を隠しながら過ごしていると、私を身請けしたいと言う男が現れた。私の前に現れたのは、後に宇都見国の王となる元王。まだこの時は、次期王の跡継ぎの座を狙う弟と静かなる戦を繰り広げる兄であった。これまでいくらか身請けの話はあったものの、国の長直々にこの話が来るのは元王が初めてであった。

 元王に身請けされた後、自分は彼の妻となる。

 王位に就いたのが自分の夫であれば、王の妻である私は妃という立場。彼は私の力で王座を奪い取り、私は人を操ることのできる立場に居座ることができる。元王は私の意図に気付いていなかったが、これほどの機会、活用しないのは勿体無い。

 妃となった私は、自らの持つ絶対的な力と知力を遺憾なく発揮させ、元王の弟を抹殺、晴れて夫を正式に王座へ座らせることができた。

 一国の長の妻として権力を得た私は、大神たちが存在しない今、この世を手中に治めようと考えた。東征では東の小国家群を平伏させ、過去の遺恨があった緋ノ国の後継、豊葦原瑞穂皇国と戦を構えた。

 しかし、結果はこの様だ。麗鳴は深傷を負った私を庇い、土蜘蛛は大御神の従者たちによって斬り伏せられた。麗鳴は、おそらく望みは薄い。

「許さん、許さんぞ大御神!」

 浜に控える予備軍と本国からの援兵を再編成し、再攻撃を仕掛ける。皇国皇をさえ討ち取ることができれば、この戦いは私たちの勝利だ。

 何としてでも、皇国皇の首を刎ねる。そう思い予備軍が橋頭堡を構える海岸を見た時、私の希望は容易く崩れ落ちた。

「な、なんだと…」

 視界に飛び込んできたのは、海を覆うほどの数を誇っていた軍の軍船が沈められるか、黒煙と火の手を上げていたのだ。そして浜では、予備軍の兵士と上陸してきた新たな敵による乱戦が繰り広げられていた。


 ◇


 山道に残された血の跡を頼りに、咲耶波の跡を追っていた瑞穂たちも海岸の異変には気付いていた。

「あれは一体…」
「宇都見国の軍船…。でも、ほとんどが燃やされているか沈んでいる…」
「仲間割れか?でなければ一体、どこの軍勢が」
「姉様、あれを!」

 小夜が指差す方角には、他の軍船とは造りの違う巨大な軍船が浮かんでいる。そしてその帆には、3つの球体によって表される琉球の紋章が記されていた。

「あれは、琉球の旗印なのです!」
「琉球って、ミィアンの故郷の?」

 瑞穂たちはこの時まだ、琉球の海戦軍の軍船が皇国救援のため、神居古潭の祭司たちを乗せて伊勢灘に来ていたことは知らなかった。浜では宇国兵と琉球の兵士と思われる者たちによる攻防が始まっていた。

「琉球は味方なのか?」
「分からない。でも、宇国の連中と戦っている以上、私たちが敵対する必要もないわ」
「敵の敵は味方って事だな」
「狙うのは、宇国兵残党及び敵将咲耶波の首!琉球の者達には手は出すな!」

 そして、混沌とする浜に足を引き摺りながら逃れようとする咲耶波の姿を認めた。

「咲耶波、追いついたぞ」
「なんとしてでもここで仕留めるわ。あいつを倒して、この戦いに終止符を打つ」
「承知した」
「行くぞ!!」

 山道を一気に駆け下りた瑞穂たちは、浜に上陸した琉球軍に押される宇国軍に背後から襲いかかった。眼前の琉球兵に集中していた宇国兵たちは、あっという間に陣形を崩されてしまう。

「咲耶波…」
「瑞穂之命ォ!」

 砂浜の上で、瑞穂と咲耶波は相対する。周囲の兵士たちは2人の一騎打ちの邪魔にならないよう、乱戦の中に広い空間を作り出した。

「今一度問う、宇都見国王妃咲耶波。投降し、これまでの罪を償うならば、その命までは取らない。それを拒むのであれば、今ここで私と一騎打ちで決着を決めなさい」
「情けか?妖としての力をほとんど失い、頼みの綱であった予備軍は壊滅。この戦いは宇都見国の負けよ」
「勝敗はまだついていない。あなたがどうするか、その結果によってこの戦は初めて真の終わりを迎える」

 すると咲耶波は、血の滴る手で大鎌を持ち直すと、瑞穂に向けて正対する。

「拒むのね。ならば、剣にて決めるとしましょう」
「瑞穂…」
「心配しなくていいわ御剣。すぐに終わらせる」

 瑞穂は隣に控えていた御剣にそう言うと、刀の鞘に手を掛けながら咲耶波へと近づく。


 ◇


 眼前にいるのは、仇。

 腰に携えていた桜吹雪の柄に手を掛け、ゆっくりと砂の上を歩き咲耶波との間合いを詰める。

 鞘を持つ左手の親指で、鍔を前へ押し出す。そのまま右手で柄を掴み、居合いの構えをとる。

 一瞬の隙を窺う。

 咲耶波も大鎌を構え、互いに相手の動きをじっと見つめる。

 飛び出してきた咲耶波の腹部に、鞘から引き抜いた桜吹雪の刀身を滑らせる。血が舞い、倒れたのは大鎌を振り下ろそうとした咲耶波だった。

「か、は…」

 一瞬の刹那。

「良き太刀筋でした」

 仰向けに倒れた咲耶波の心臓目掛けて、刀を突き刺す。虫の息であった咲耶波はとどめに抵抗することなく、口から血を流しながら刀身を握ってきた。

「げ、ん王…」

 やがて力なく刀身から手を離した咲耶波から、突き立てた刀を引き抜く。抑えていた感情の昂りが、一気に込み上げる。

 その一瞬が、とてつもなく長く感じた。

 私の代わりに、一騎討ちを見届けた御剣が声を上げる。

「敵将咲耶波、皇国皇が討ち取ったぞ!!」
「投降すれば命は取らぬ!」

 その言葉を聞いた宇国兵たちは、最後の抵抗を止め手にしていた武器を地面へと落とした。

 彼らにとって、絶対的な恐怖で支配していた咲耶波がいなくなったことは、命を捨ててまで抵抗する意味をなくしてしまった。

「終わったわね…」
「あぁ、終わったな。ん?」

 咲耶波を討ち取った瑞穂のもとに、筋骨隆々の大男と祭司装束を着た男が歩み寄ってくる。

「先ほどはお見事でした。お初にお目に掛かります皇国皇、神居古潭御伽衆の宮司、ヤシロと申します。こちらは…」

 ヤシロと名乗った細身の男に紹介されるよりも前に、大男は片膝をつき両手を目の前で合わせて首を垂れる。

「琉球が王、ショウハ・ヤーマヌ・グァンと申します。娘のミィアンの世話を見ていただき、感謝の極みにございます」
「神居古潭と琉球、どうして貴方達二国が…」
「大宮司のアムル様は、此度の宇都見国による皇国本土侵攻を憂慮なさり、我ら御伽衆の派遣を命ぜられました。派遣に際し、琉球の船に乗り海路にて参上致しました」

 御伽衆、聞いた話では神居古潭において唯一呪術による実力行使を行う者たちだ。

「我ら琉球の民は、皇国と良き付き合いを願い、此処へとやって参りました。道中、神居古潭の大宮司アムルの要請を受け、彼ら御伽衆を海路にて此処へ連れて参った次第」

 私は困惑した。ある意味、自分の常識の当てはまらない二国が友好関係を築くどころか、戦へ介入してきたのだ。

 そして驚く事に、その一国が大宮司アムルの宗教国家、神居古潭。彼らはこれまで、他国の戦に中立を貫き、どちらかに加担するということはしなかった。

 兵士の一人が私の元へと駆け寄ってくる。

「皇様、投降した兵の捕縛が終了致しました」
「分かったわ。ヤシロ殿、ショウハ殿、少し…」
「承知に御座います」

 私は振り返り、自軍の兵士達に宣言する。

「この戦い、我らの勝利よ!!」

 勝利の宣言に歓声が上がった。


 ◇


 上陸した咲耶波率いる宇都見国軍との戦いを終えた瑞穂達は、神居古潭の代表であるヤシロと、琉球の王であるショウハと共に、一同葦原村へと戻ってきた。

 幼少期から村長までの間過ごした屋敷にて、瑞穂はヤシロとショウハに向き合う。

「御国の代表たる貴公らを、この様な場に招いたことをお許し願いたい。まずは、此度の戦において、貴公らの助太刀を頂いたこと、皇国の皇として感謝の意を伝えさせてもらいます」
「手前らは大宮司の御意志に従ったまで。何よりも、琉球の王の助力があってこそ、為し得たまで」

 瑞穂の言葉に、ヤシロは深々と頭を下げそう答える。

「大宮司アムルより言伝をお預かりしております。神居古潭は貴女、瑞穂之命殿を豊葦原瑞穂皇国の皇と、永きに渡り貴女の国と命運を共にしたい。との事です」
「貴国の巫女であるユーリを宰相に迎えた時から、皇国は神居古潭と共に歩んでいく考えでした。貴国の長である大宮司がそう言うのであれば、皇国は改めて神居古潭と同盟を結びたいと思っています。ですが、その前に一つお伺いしたいことが」
「何でしょうか、皇国皇」
「貴国は成り立ちから今日に至るまで、どの国の戦にも介入することなく中立を保たれていた。しかし、此度の戦では皇国側につき、その上戦に介入した。その真意を聞かせていただきたい所存です」
「真意、でありますか。皇国皇、貴女は我ら神威子が崇める御方をご存知でしょうか」
「大御神、それに付き従う大神…」
「はい」

 神居古潭はその昔、国として成り立つ前は大御神を信仰する派に過ぎなかった。その歴史も新しく、神居古潭が国として建国に至ったのは、偶然にも彼の大戦である禍ツ大和大戦の後である。

「我らは元々、それぞれの神社に仕える一介の神職に過ぎませんでした。しかし、あの大戦により我らが禍ツ神や大和大神たちに滅ぼされそうになったとき、お救いいただいたのが大御神様と、大御神様に付き従っておりました大神方です。あの時から時代が変わり、当時の神職たちの子、孫と世代が移り変わろうと、我ら神威子は変わらず大御神様を奉っております」

 ヤシロは改めて姿勢を正すと、瑞穂に向かって慎ましく、そして最高の礼儀を尽くして頭を下げた。

「我らは存じております。我らが貴女、いえ、御身を敬愛する理由は。御身が、我らをお救いになった太陽の大神、大御神様であるからでございます」

 神居古潭は、瑞穂が当時の大御神であるカミコの生まれ変わりとして、この世に再び姿を見せた大御神であることに気付いていた。

「本来であれば大宮司自らこの場に足を運ぶべきですが、宇都見国への対応に追われており、御身の元を訪ねることが出来ませんでした。大宮司に代わり、宮司の長、宮司長であるこのヤシロがお詫び申し上げます」
「ヤシロ殿、面を上げてください。ですが、なぜ私が大御神の生まれ変わりであると気付いたのですか?」
「御身の元に、かつて我らをお救いになられた大神の一柱、白狼の不知火大神様が参られたと聞き、噂が確信に変わった次第であります」
「理解したわ。ヤシロ殿、私は皇都へと帰途した後、皇民に向けて己が大御神の生まれ変わりであることを宣言するつもりです。神居古潭には、失礼ながら力添えをお願いしたいと思います」
「これ以上にない光栄でございます」
「ですが、ひとつだけ。私自身は、大戦で貴方たちを救った大御神本人ではありません。カミコと名乗る当時の大御神の生まれ変わりにすぎません。それでも構いませんか?」
「無論にございます」

 瑞穂はヤシロにそう告げると、隣に座り先ほどの話をじっくりと聞いていた琉球王のショウハへと向き直る。

「まさか、貴女があの大御神殿であったとは。いやはや驚きましたな」
「順序が前後した上、正体を明かさなかったことをお許しください、琉球王ショウハ殿」
「何を仰る。貴女は必要なことをしたまで、私に咎める筋合いなどございませんよ」
「承知しました。してショウハ殿。貴公はなぜ神居古潭の神職らを乗せ伊勢野灘に?」
「きっかけは、私の愛娘であるミィアンからの一通の文でした」

 ショウハが装束の袖口から一通の文を取り出す。そこには、ミィアンが父親であるショウハに助力を求める文が記されていた。

「ミィアンは私の自慢の娘です。娘が絶対的な信頼を寄せる貴女への助力を頼まれれば、父である私に拒む理由などありませんよ」
「ミィアンが…」

 知らないうちに、ミィアンは瑞穂の力になろうと影で動いていたのだ。ただでさえ、他国の戦に先陣にたち命を掛けている上に、本国の父に助力を申し立てていた。

 すると、応接間の障子が開く。

「あれ、お父?」
「ミィアン!?おぉ、我が愛しの娘よ!!」

 ミィアンが持っていた盆から溢れた茶の熱さをものともせず、愛しの娘を前にしたショウハはミィアンを熱く抱擁する。

「お父さんは寂しかったぞぉ!もう会えぬと思っておったわぁ!!」
「ひ、髭がちくちくするぇ、お父ぅ」

 涙を流しながら抱きつく父親と、困惑の表情で抱きつかれる娘。親子の再開を目の前にして、瑞穂は思わず笑みを溢す。

「ふふ」
「こ、これは皇国皇、お見苦しいところをお見せしてしましました」
「いえいえ、良いものを見させてもらいました。ミィアン、私の知らないところで、色々と動いてくれたみたいね。感謝するわ」
「ほぇ、私は何も知らんぇ」
「ふふ、とぼけちゃって」

 ようやく愛娘との再会を経て落ち着きを取り戻したショウハに、瑞穂は告げる。

「琉球王ショウハ殿。皇国は今後、貴国とは神居古潭同様、同盟国として永きに渡るお付き合いをしたいと思います。如何でしょう」
「はは、もちろんです。貴国とは距離が離れている故、すぐに御力になるとは限りませんが、それでも良ければ」
「ではここに、皇国は神居古潭、そして琉球王国と同盟関係になった事を正式に表明します。千代」
「失礼致します」

 そして、斎ノ巫女である千代が見届け人となり、神居古潭、そして琉球との同盟締結を示す書状が記された。


 ◇


 上陸してきた宇都見国との戦いを終えた俺たちは、沿岸部防衛のために一部の部隊を第4軍の支援を行う防人部隊として残し、皇都に戻る事となった。

「また、ここの風景が変わってしまったわ」

 葦原神社の奥、葦原村を見渡せる墓地に、瑞穂を初め葦原を故郷とする者が集まっていた。墓地には今回の戦で犠牲になった葦原の人々が真新しい墓石の下に眠っている。

 その中には、俺の世話を見てくれた信濃の親父さん、瑞穂の姉役でもあった睦美さん、そして葦原神社の巫女兼宮司であり千代の母親でもあった七葉さん達もいる。

 瑞穂はその一つひとつの墓石の前に跪き、言葉を添えていく。

「皇都に戻り次第、私は大御神であることを宣言するわ。それが正しいか間違っているかは分からない。だから、皆にお願いしたいの。もし、私が大義を見失って、己の欲のために国を滅ぼそうとするのなら、その時は…」
「信じてるさ。ここにいる全員がな」

 最後の言葉を口にする前に、俺は瑞穂の言葉に言葉を重ねる。

「信じていなければ、私たちはここまで瑞穂様についてきておりません」
「同感」
「私もなのです」

 千代たちの言葉を聞いた瑞穂は安心した顔をし、立ち上がる。

「仁の率いている連合軍が最後の砦を落とし、王都へ向かっているらしいわ。宇都見国を倒したとしても、私の目指す頂への道を阻む敵は他にもいる」
「俺たちの知らない、第三の勢力」
「えぇ、奴らの正体は分からない。ただ、背後に私と因縁があるタタリという存在がいることには間違いないわ。おそらく、そいつが最後の敵になると思う」
「見えない敵、と言ったところね。勝算はあるの、瑞穂?」
「分からない。今はタタリの正体を突き止め、奴が何を企んでいるか、その企みを暴かなければならないわ。手遅れになる前に」
「雲を掴むような話だが、やりがいはあるな」
「皇都に戻れば、すぐに動き始めるわ。あなた達にはまた、力を貸してもらうことになる…」

 瑞穂は大きく息を吐く。

「さぁ、帰りましょう。私たちの都へ」
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