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総撃編
第54話 残影
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咲耶波と瑞穂による両国の存亡を巡る戦いが行われている最中、咲耶波たち宇都見国軍が最初に上陸した沿岸部では、橋頭堡防衛のために待機を命ぜられた少数の兵士たちが警備に就いていた。
「くそ、俺たちも侵攻部隊に参加したかったぜ。こんな状況、手柄を立てる絶好の機会じゃねえか」
「我慢だ。俺たちも負傷兵が出れば交代になる予定だ」
「それじゃあ、先に行った奴らに手柄全部持っていかれるぞ。村を襲った連中の話じゃ、金目の物が沢山あったそうだ」
橋頭堡を防衛する兵士たちが、本国から送られてくる物資を船から積み下ろしていると、空気が熱くなっているのを感じる。夏の日差しのせいかと思われるが、どうもそれとは違う様相だった。
「ん、なんだ?」
兵士たちが異変に気付いたその時、積み下ろしを行なっていた船の甲板が爆発を起こす。甲板で作業をしていた兵士たちは爆風に吹き飛ばされ、積荷と共に海上へと落下する。
「なっ!?ふ、船が爆発したぞ!?」
「何だあいつらは!?」
燃え盛る船の真上に、人が浮いていることに気づく。薄紫色や薄緑色を基調とした装束を身に纏った男女が、何人も宙に浮かび宇国兵士たちを見下ろしていた。
その装束に、宇国兵士たちは見覚えがあった。
それは、大神たちが眠る地と呼ばれる場所。東の地、神居古潭の神職たちだった。
「禍罪穢を祓い賜え」
まるで1人の声かの様に、神職たちの声が重なり祝詞を詠唱する。それと同時に、彼らの目の前に現れた術式から、火球が撃ち出される。
「罪人を潔めよ」
「御禊祓え給し」
彼らは沿岸部を警備していた宇国兵士たちを、その圧倒的な呪術の投射によって殲滅していく。宙に浮かび、強力な呪術で攻撃する彼らに、宇国兵士たちは反撃する間も与えられなかった。
「な、なぜ、神居古潭の連中が…」
「奴らが、戦に参加するなんて…」
沿岸部に停泊していた船を破壊した神居古潭の祭司と巫女たちは、残った兵士たちを呪術で眠らせて拘束していく。
「流石は神居古潭の神職たちだ。俺たちの出番がないじゃないか」
その浜辺の様子を海上から見る筋骨隆々の男がいた。その男の乗る船は異国風であり、幌には琉球の紋章が描かれている。
琉球。
そして彼らは、琉球当代皇、ショウハ・ヤーマヌ・グァン率いる琉球海戦軍。古くから大陸との海運で栄えた琉球。大陸の超大国である宗帝国の技術がふんだんに使われた海戦軍の軍船は、神居古潭にて祭司たちを乗せ、遥々琉球からここ伊勢野灘へとやって来たのだ。
「それにしても、神居古潭が皇国側につくのは意外でしたね、お父上」
「大宮司アムルの一族の娘さんが、皇国の宰相になってるからな。それほどの厚遇を受けている神居古潭の連中が、宇都見国側につく理由がない。なによりも…」
「お父上は姉上に会うのが楽しみなんでしょう?」
「そうだぁ!私は早く愛するミィアンの顔を見たくて仕方がないんだ!」
息子であるカイム・ヤーマヌ・リァハの言葉に、興奮を隠しきれないショウハ。
皇国の将となっていたミィアンから文を受けていたショウハは、皇国との国交を結ぶため(その本心はミィアンに会うため)に半月前から航海に出ていたのだ。
その道中に宇都見国が皇国と開戦する報、そして神居古潭からの皇国救援の助力の申し出を受け、今に至る。
「親方ぁ!そろそろ下船準備ですぜ!」
ショウハに負けず劣らない体格の良い船員たちが、南蛮刀を掲げて合図する。各々まとまりのない素朴な服装の見た目は、さながら海賊の様ではあるが、彼らは歴とした兵士である。
「おう!てめぇら!上陸だぁ!」
「「「うぉぉおお!!」」」
沿岸部を占拠していた宇国軍予備隊はこうして壊滅することになるが、山を越えた瑞穂たちはまだその事実を知る由はなかった。
◇
最初に動き出したのは、咲耶波の方だった。人並みの大きさのある大鎌を、まるで小刀を扱うが如く振り回す。
刀の扱いは御剣や藤香に劣ると言われてきた瑞穂であったが、並の武人より腕は立つ。
ゆえに、咲耶波の実力は並の武人では太刀打ちすることはできない。その上、大鎌という未知の武器を手に圧倒的な力を見せつける咲耶波に、瑞穂は防戦一択だった。
“速いっ!?“
振り回される大鎌のせいで、瑞穂は咲耶波の間合いに入ることが出来なかった。次々と繰り出される攻撃を、何とか刀で弾く。火花が飛び散り、弾ききれなかった大鎌の刃が瑞穂の装束を切り裂く。
「ほらほら、気をつけないと首を刎ねちゃうわよ?」
「くっ!?」
大御神として覚醒したとはいえ、剣術については御剣達の実力に達していない。咲耶波の大鎌が瑞穂の胴を捉えるが、装束の上に着込んでいた胴当てが瑞穂の身体を刃から守る。
瑞穂は自らの首元に迫る凶刃を何とか避け、一旦大きく間合いをとった。息つく暇もなく繰り出される攻撃と、身を焼く暑さが重なり、息が乱れる。
「はぁ、はぁ…」
胴を捉えられた時、一瞬死を覚悟した瑞穂の額に汗が流れ落ちる。
「面白くない」
「何を…」
「面白くないって言ったの。初めてあなたに会った時、あなたからは底知れない力を感じた。それがどうよ」
咲耶波は片手に持つ煙管から、煙を吸い込んで宙に吐く。
余裕の現れだった。
「全力を出していない私に傷をつけるどころか、一太刀も浴びせられないじゃないの。だから面白くないって言ったの」
「全力じゃない…」
「私が本気になれば、あなた位の実力なら最初の攻撃で首を刎ねることができたわ。そうね、気が変わったわ。麗鳴!」
咲耶波が煙管を持つ左手を上げてそう言うと、本陣の裏から人影が現れる。
それは、兵士たちに拘束された葦原村の民を始めとする皇民たちであった。中には女子供もおり、その身は傷だらけの上、衣服は破れて乱れ、中には傷を負っている者も見える。
「瑞穂様!」
「す、皇様!!」
「お助けください!」
「な、何をするつもり!?」
「麗鳴、私が合図したら、そいつらを順に火あぶりにしていきなさい」
「な、な…」
「それじゃあ、まずは1人」
「御意に」
松明を手にした麗鳴が、拘束されている民の足元に置かれた麻に火を点ける。火は一気に民の服へと移り、瞬く間に全身が火だるまになる。
燃える民の絶叫が響き渡る。
「止めろ、止めろぉお!!」
「さぁ、皇国皇。早く私を倒してみなさい。それまで、何人が黒く焦げになるのかしら。最後はあなたの前で、大切な仲間を苦しみながら殺してやるわ」
「この外道がぁ!!」
怒りで我を忘れた瑞穂は、咲耶波に向けて飛び出した。そして、咲耶波に向けて刀を振り下ろす。
「言ったでしょうに。私の戦は少し残酷だって」
「黙れ外道が!何の罪もない民草を、それも生きたまま火にかけるとは!お前には、人として、国の長としての誇りはないのかぁ!!」
「誇り?そんな陳腐なもの、とうの昔に捨て去ったわ」
頭に向けて振り下ろされる瑞穂の刀を、咲耶波が受け止め鍔競り合いとなる。
「僅かな手勢で私の本陣まで来れたことは褒めてあげるわ。でも、所詮はその程度、あなたは目の前で焼かれる民の命すら救えない、出来損ないの皇なのよ」
「くっ!?」
鍔競り合いで押し出された瑞穂の体が後方へと弾き飛ばされる。何とか受け身をとり体勢を立て直すが。
「次」
「いや、やめ、やめてぇ!!」
無情にも、2人目に火を点けられる。その者は、瑞穂と変わらないくらいの年端もいかない女子であった。
「あ、熱い…み、みずほ、さま…」
火に包まれた女子は次第に力を失い、炎の中でぐったりと項垂れた。
「弱い、弱すぎるわ」
咲耶波は怒りに任せて斬りかかる瑞穂に話を続ける。
「私には理解できないわ。いち村長が反旗を翻し国を再興し、一つの国としてまとめ上げるために他国を平伏させる。その目的は争いのない平和な世界。そんな世界を創ろうとする皇の膝下で戦が起こり、無力な民が辱められている。あなたこそ、世の調和を乱す者じゃなくて?」
再び弾き飛ばされた瑞穂は膝をつく、しかし、刀を地面に突き刺し杖とすることで何とか立ち上がる。
「お前に私の何が分かる。大切な人が死ぬのを救えず、悲しみに暮れる者に慰めの声しかかけることのできない惨めさを…」
「ならば、その儚い夢を打ち捨て、諸国に降るといい。さすれば、民は戦で命を散らすことなどないでしょう?」
「戯言を…」
「正論のつもりよ。あなたが宇都見国に立てつかず下につけば、こんな戦は起こっていないのよ」
「だから、宇都見国の属国になれと?それこそ戯言よ。その選択の答えは先の戦で出ている。斎国の様に戦で先陣を切らされ、多くの命が散る中、自分たちは血を流さず高みの見物。結局、力なきものがとる選択には、血が流れるのは避けられないわ」
邪魔よ。そう言った瑞穂は自分の髪の毛を掴むと、桜の様に美しい桃色の髪を肩まで切り落とした。切られた瑞穂の髪が、桜吹雪の様に宙を舞う。
「確かに、この結果を招いたのは私の選択。だから私は、この命を賭けてでも争いのない真の平和な世界を創る。例えその結果に至る経緯が、血塗られたものであっても」
すると、地面に突き刺していた刀を抜く瑞穂の髪が揺れ、光を帯びる。
「平和のためなら、私は禍ツ神にでもなってやる」
そう呟いた瑞穂は、先ほどとは比べものにならない勢いで咲耶波へ向けて飛び出す。その変化に、咲耶波も本能的に危機を察し、持っていた煙管を地面に落とし、両手で大鎌を構える。
「ッ!?」
「どうしたの咲耶波、懐がお留守よ」
攻撃を防がれた瑞穂は、すかさずがら空きであった咲耶波の懐へと入り込み、持ち替えた刀の柄を叩きつける。防具を着ていない腹部を殴打された咲耶波は、血を混じらせた胃の内容物を嘔吐する。
「カハッ!?」
「神術、桜花一閃」
目に見えないほどの速さで繰り出す攻撃を、咲耶波は大鎌の柄で何とか防ぐ。しかし、その圧倒的な力によって吹き飛ばされ、櫓を巻き込んで倒れる。
「立て。お前に殺された者の痛み、この程度ではないわ」
「………ふ、ふふ」
櫓の残骸を抜け出し、立ち上がる咲耶波。常人なら死んでいてもおかしくない状況であったが、咲耶波は何事もなかったかの様に悠々と立ち上がる。これには、周囲にいた宇国兵たちですら目を疑う。
「あぁ、そうよ。これよ。これを待っていたの。やっぱりあなた、本物の大御神だわ。いいわ、私も本気で行かせてもらうわ」
そう言った咲耶波の体から、不気味な呪力が溢れ出す。やがて、あれほど美しかったかつての咲耶波の姿は、口元から覗く獣の様な牙、そして呪力を纏った体には獣の様な体毛が生え、その目は獣を彷彿させる鋭い目となっていた。
「ひ、ひっ!?」
「化けも、かはっ!?」
咲耶波の姿を見て腰を抜かした兵士たちを、咲耶波は片手で弾き飛ばして粉々にする。
「喚くな塵が」
「玉藻前、名あり妖の九尾の狐の本当の姿といったところかしら。あの妖美な人の姿からは想像もできないほどの見てくれね」
「どうしてこうも、あなたは私の邪魔をするのかしら。華麗な人に化けていれば、一国の王ですら手玉にできる。そしてようやく愚かな人間をこの手で操れる立場まで来たと言うのに…全て台無しになったじゃない」
「台無し?それは違うわ咲耶波。私は間違いを正したに過ぎない。今のお前こそ、本当の姿。麗人に化けて国を操ろうなど、所詮妖の浅はかな思いつきよ。人を舐めないで妖。その大鎌で縊り殺してきた者の魂に、常世で詫びると良い」
「それはあなたにも言えることじゃない?あなたが義と称して斬られた者は、その刀を呪うでしょうね」
「そうかもしれない。でも、お前の大鎌と私の刀は違う点があるの」
瑞穂は刀の刀身で円を描くと、その剣先を咲耶波へと向けて止まる。
「私の刀は未来を斬り開くもの。そしてこの刀には、今までに私が斬った者の想いも託されている」
獣の様に飛びついてきた咲耶波を、瑞穂は後方に飛び避ける。九つの尾が揺れ、獣の様な動きをする咲耶波であったが、瑞穂はその動きを瞬時に見切って反射的に刀を1本の尾に振り下ろした。斬り落とした尾の断面から、紫色の血が噴き出す。
「これは最初に焼かれた民の分」
すかさず、他の尾に刀を振るう。1本、1本と尾を叩き斬っていく。
「コノ小娘ガァ!!調子二乗ルナァ!!」
「最後まで泣いていた女子の分、無残に喰い殺された巫女の分、片腕を落とされ死んだ芳一の分」
「私ノ尾ヲォ!!」
咲耶波から放たれる呪術を掻い潜り、瑞穂は肉薄し、1本、また1本と尾を叩き斬っていく。
「信濃さんの分、そしてこれが、睦美お姉様の分!」
最後の1本を残し、咲耶波の他の尾は全て斬り落とされる。九尾の狐にとって、尾は呪力の源。それが最後の1本となったことで、咲耶波の纏っていた強力な呪術は急激に弱まっていた。
「これで最後だ、妖」
残る1本に刀を振り下ろそうとしたとき、咲耶波の前に麗鳴が立ちその攻撃を受け止める。
「お逃げください咲耶波様、ここは僕が引き受けました」
「邪魔ヲスルナ、麗鳴!」
「浜の軍と共に本国へお戻りください。あなたは、ここで死ぬべきではありません」
瑞穂の攻撃を受けながら、麗鳴は妖と化した咲耶波にそう言う。
「妖を庇うなど言語道断、斬る」
「さぁ、早く!」
「………」
「早く!」
「………浜で待っておるぞ」
再び人の姿に戻った咲耶波は、麗鳴が瑞穂の攻撃を抑えている隙にその場から逃げ出した。
「逃すか!」
「残念だけど、ここは通さないよ」
麗鳴は強力な瑞穂の斬撃を弾く。
「お前にも、犯した罪を償わせてやる」
攻撃を防がれた瑞穂は、麗鳴に向けて何度も斬撃を繰り出す。麗鳴は反撃こそしないものの、咲耶波が逃げる時を稼ぐために瑞穂の斬撃を受け続ける。
「なぜ、妖を庇う!」
「あの人が例え妖であったとしても、あの人は孤児だった僕に愛情を注いでくれた」
「その愛情がまやかしであってもか!」
「愛情の本心なんて、僕には関係ないからね」
麗鳴は奮戦するも、瑞穂の攻撃を受け続けた剣にひびが入り、剣ごと右手を斬り落とされる。それでもなお、残った左手で小太刀を抜き、瑞穂に向けて刀身を突き出す。
「痛い、痛いなぁ…」
「お前に燃やされた者の苦しみや痛みに比べれば優しいものだ」
膝をつきその場に座り込んだ麗鳴の首に、瑞穂は容赦なく刀を突き刺す。瑞穂が麗鳴にとどめを差すのと同時に、土蜘蛛を仕留めた御剣たちが瑞穂へと駆け寄ってくる。
「土蜘蛛を倒したぞ。瑞穂、お前髪が…」
「部隊を整えて咲耶波を追う。宇都見国どもを1人残らず皆殺して、咲耶波は生きたまま焼き殺してくれる」
「瑞穂!」
御剣は怒りに支配される瑞穂の両肩を掴む。
「止めないで御剣。これは私が始末をつけないといけないの」
「お前が怒りに任せてどうする。周りを見ろ」
周囲では、両軍の兵士たちが恐怖でその場に座り込んでいた。兵士だけではない、千代や小夜ですら、返り血で血塗れになった今の瑞穂に対して恐怖心を抱いている。
「落ち着け。そうでなければ、行かせられない」
「離しなさい御剣、これは命令よ」
「お前まで血を欲してどうする。復讐心に捉われたままでは駄目だ」
「退きなさい。さもなければ、御剣、あなたであっても斬るわ」
そう言って構える瑞穂の刀を、御剣はあろうことか素手で掴む。桜吹雪の刀身に、御剣の掌から血が流れ落ちる。
「瑞穂様⁉︎御剣様⁉︎」
「なら斬るといい。主の間違いを止めるのは従者の務めだ」
「間違い?間違いだと⁉︎私には聞こえるのよ!焼かれた者たちの悲痛な叫びが!咲耶波を討ち取り、無念を晴らしてくれという懇願が!」
「だとしても俺は譲れない。正気に戻るんだ」
「………」
しばらくして、瑞穂は刀を下ろして鞘に納める。刀身から離した御剣の手を、千代が呪術で癒す。
「統べる者がいなくなった今、敵は投降している。これ以上、お前が手を汚す必要はない」
「すでに汚れきっているわ」
瑞穂が歩み寄ったのは、自分の弱さのせいで焼かれた民の亡骸だった。
「私が最初から咲耶波を圧倒していれば、彼らが死ぬ必要もなかった」
「お前に咎はない。己を責めるな」
「この様を見れば、己を責めもするわ」
「良いか瑞穂、お前は一国の長だ。ここに集まった者たちは、皆お前の目指す争いなき平和な世を創るために集まったんだ。俺も、葦原をあんな目にした咲耶波たちは許せない。だからと言って復讐は何も生まない」
「じゃあどうすればいいの。こうしている間に、咲耶波に逃げられてしまう」
御剣は瑞穂の横に座すると、亡骸に向けてそっと手を合わせた。
「この戦いは民を守ることに大義がある。だから、命令するんだ。民を守るため、そして宇都見国との戦を決するため、咲耶波を討ち、皇国から敵を一掃すると。私怨に任せても、誰もお前についてこない」
「………やっぱり、御剣は私の従者ね。私の隣はあなたじゃないといけないわ」
瑞穂は御剣と同じく手を合わせると、立ち上がって周囲を見渡す。その顔は、いつもの皇としての瑞穂の顔に戻っていた。
「皆にもう一仕事願いたい。浜に陣取る宇国軍を打ち破り、咲耶波を倒してこの戦いを終わらせる!」
瑞穂の声に、皇国兵たちは声を上げた。
「待っていなさい咲耶波、必ずあなたを倒して、この戦いを終わらせる」
瑞穂は馬にまたがり、御剣たちと共に咲耶波の後を追った。
「くそ、俺たちも侵攻部隊に参加したかったぜ。こんな状況、手柄を立てる絶好の機会じゃねえか」
「我慢だ。俺たちも負傷兵が出れば交代になる予定だ」
「それじゃあ、先に行った奴らに手柄全部持っていかれるぞ。村を襲った連中の話じゃ、金目の物が沢山あったそうだ」
橋頭堡を防衛する兵士たちが、本国から送られてくる物資を船から積み下ろしていると、空気が熱くなっているのを感じる。夏の日差しのせいかと思われるが、どうもそれとは違う様相だった。
「ん、なんだ?」
兵士たちが異変に気付いたその時、積み下ろしを行なっていた船の甲板が爆発を起こす。甲板で作業をしていた兵士たちは爆風に吹き飛ばされ、積荷と共に海上へと落下する。
「なっ!?ふ、船が爆発したぞ!?」
「何だあいつらは!?」
燃え盛る船の真上に、人が浮いていることに気づく。薄紫色や薄緑色を基調とした装束を身に纏った男女が、何人も宙に浮かび宇国兵士たちを見下ろしていた。
その装束に、宇国兵士たちは見覚えがあった。
それは、大神たちが眠る地と呼ばれる場所。東の地、神居古潭の神職たちだった。
「禍罪穢を祓い賜え」
まるで1人の声かの様に、神職たちの声が重なり祝詞を詠唱する。それと同時に、彼らの目の前に現れた術式から、火球が撃ち出される。
「罪人を潔めよ」
「御禊祓え給し」
彼らは沿岸部を警備していた宇国兵士たちを、その圧倒的な呪術の投射によって殲滅していく。宙に浮かび、強力な呪術で攻撃する彼らに、宇国兵士たちは反撃する間も与えられなかった。
「な、なぜ、神居古潭の連中が…」
「奴らが、戦に参加するなんて…」
沿岸部に停泊していた船を破壊した神居古潭の祭司と巫女たちは、残った兵士たちを呪術で眠らせて拘束していく。
「流石は神居古潭の神職たちだ。俺たちの出番がないじゃないか」
その浜辺の様子を海上から見る筋骨隆々の男がいた。その男の乗る船は異国風であり、幌には琉球の紋章が描かれている。
琉球。
そして彼らは、琉球当代皇、ショウハ・ヤーマヌ・グァン率いる琉球海戦軍。古くから大陸との海運で栄えた琉球。大陸の超大国である宗帝国の技術がふんだんに使われた海戦軍の軍船は、神居古潭にて祭司たちを乗せ、遥々琉球からここ伊勢野灘へとやって来たのだ。
「それにしても、神居古潭が皇国側につくのは意外でしたね、お父上」
「大宮司アムルの一族の娘さんが、皇国の宰相になってるからな。それほどの厚遇を受けている神居古潭の連中が、宇都見国側につく理由がない。なによりも…」
「お父上は姉上に会うのが楽しみなんでしょう?」
「そうだぁ!私は早く愛するミィアンの顔を見たくて仕方がないんだ!」
息子であるカイム・ヤーマヌ・リァハの言葉に、興奮を隠しきれないショウハ。
皇国の将となっていたミィアンから文を受けていたショウハは、皇国との国交を結ぶため(その本心はミィアンに会うため)に半月前から航海に出ていたのだ。
その道中に宇都見国が皇国と開戦する報、そして神居古潭からの皇国救援の助力の申し出を受け、今に至る。
「親方ぁ!そろそろ下船準備ですぜ!」
ショウハに負けず劣らない体格の良い船員たちが、南蛮刀を掲げて合図する。各々まとまりのない素朴な服装の見た目は、さながら海賊の様ではあるが、彼らは歴とした兵士である。
「おう!てめぇら!上陸だぁ!」
「「「うぉぉおお!!」」」
沿岸部を占拠していた宇国軍予備隊はこうして壊滅することになるが、山を越えた瑞穂たちはまだその事実を知る由はなかった。
◇
最初に動き出したのは、咲耶波の方だった。人並みの大きさのある大鎌を、まるで小刀を扱うが如く振り回す。
刀の扱いは御剣や藤香に劣ると言われてきた瑞穂であったが、並の武人より腕は立つ。
ゆえに、咲耶波の実力は並の武人では太刀打ちすることはできない。その上、大鎌という未知の武器を手に圧倒的な力を見せつける咲耶波に、瑞穂は防戦一択だった。
“速いっ!?“
振り回される大鎌のせいで、瑞穂は咲耶波の間合いに入ることが出来なかった。次々と繰り出される攻撃を、何とか刀で弾く。火花が飛び散り、弾ききれなかった大鎌の刃が瑞穂の装束を切り裂く。
「ほらほら、気をつけないと首を刎ねちゃうわよ?」
「くっ!?」
大御神として覚醒したとはいえ、剣術については御剣達の実力に達していない。咲耶波の大鎌が瑞穂の胴を捉えるが、装束の上に着込んでいた胴当てが瑞穂の身体を刃から守る。
瑞穂は自らの首元に迫る凶刃を何とか避け、一旦大きく間合いをとった。息つく暇もなく繰り出される攻撃と、身を焼く暑さが重なり、息が乱れる。
「はぁ、はぁ…」
胴を捉えられた時、一瞬死を覚悟した瑞穂の額に汗が流れ落ちる。
「面白くない」
「何を…」
「面白くないって言ったの。初めてあなたに会った時、あなたからは底知れない力を感じた。それがどうよ」
咲耶波は片手に持つ煙管から、煙を吸い込んで宙に吐く。
余裕の現れだった。
「全力を出していない私に傷をつけるどころか、一太刀も浴びせられないじゃないの。だから面白くないって言ったの」
「全力じゃない…」
「私が本気になれば、あなた位の実力なら最初の攻撃で首を刎ねることができたわ。そうね、気が変わったわ。麗鳴!」
咲耶波が煙管を持つ左手を上げてそう言うと、本陣の裏から人影が現れる。
それは、兵士たちに拘束された葦原村の民を始めとする皇民たちであった。中には女子供もおり、その身は傷だらけの上、衣服は破れて乱れ、中には傷を負っている者も見える。
「瑞穂様!」
「す、皇様!!」
「お助けください!」
「な、何をするつもり!?」
「麗鳴、私が合図したら、そいつらを順に火あぶりにしていきなさい」
「な、な…」
「それじゃあ、まずは1人」
「御意に」
松明を手にした麗鳴が、拘束されている民の足元に置かれた麻に火を点ける。火は一気に民の服へと移り、瞬く間に全身が火だるまになる。
燃える民の絶叫が響き渡る。
「止めろ、止めろぉお!!」
「さぁ、皇国皇。早く私を倒してみなさい。それまで、何人が黒く焦げになるのかしら。最後はあなたの前で、大切な仲間を苦しみながら殺してやるわ」
「この外道がぁ!!」
怒りで我を忘れた瑞穂は、咲耶波に向けて飛び出した。そして、咲耶波に向けて刀を振り下ろす。
「言ったでしょうに。私の戦は少し残酷だって」
「黙れ外道が!何の罪もない民草を、それも生きたまま火にかけるとは!お前には、人として、国の長としての誇りはないのかぁ!!」
「誇り?そんな陳腐なもの、とうの昔に捨て去ったわ」
頭に向けて振り下ろされる瑞穂の刀を、咲耶波が受け止め鍔競り合いとなる。
「僅かな手勢で私の本陣まで来れたことは褒めてあげるわ。でも、所詮はその程度、あなたは目の前で焼かれる民の命すら救えない、出来損ないの皇なのよ」
「くっ!?」
鍔競り合いで押し出された瑞穂の体が後方へと弾き飛ばされる。何とか受け身をとり体勢を立て直すが。
「次」
「いや、やめ、やめてぇ!!」
無情にも、2人目に火を点けられる。その者は、瑞穂と変わらないくらいの年端もいかない女子であった。
「あ、熱い…み、みずほ、さま…」
火に包まれた女子は次第に力を失い、炎の中でぐったりと項垂れた。
「弱い、弱すぎるわ」
咲耶波は怒りに任せて斬りかかる瑞穂に話を続ける。
「私には理解できないわ。いち村長が反旗を翻し国を再興し、一つの国としてまとめ上げるために他国を平伏させる。その目的は争いのない平和な世界。そんな世界を創ろうとする皇の膝下で戦が起こり、無力な民が辱められている。あなたこそ、世の調和を乱す者じゃなくて?」
再び弾き飛ばされた瑞穂は膝をつく、しかし、刀を地面に突き刺し杖とすることで何とか立ち上がる。
「お前に私の何が分かる。大切な人が死ぬのを救えず、悲しみに暮れる者に慰めの声しかかけることのできない惨めさを…」
「ならば、その儚い夢を打ち捨て、諸国に降るといい。さすれば、民は戦で命を散らすことなどないでしょう?」
「戯言を…」
「正論のつもりよ。あなたが宇都見国に立てつかず下につけば、こんな戦は起こっていないのよ」
「だから、宇都見国の属国になれと?それこそ戯言よ。その選択の答えは先の戦で出ている。斎国の様に戦で先陣を切らされ、多くの命が散る中、自分たちは血を流さず高みの見物。結局、力なきものがとる選択には、血が流れるのは避けられないわ」
邪魔よ。そう言った瑞穂は自分の髪の毛を掴むと、桜の様に美しい桃色の髪を肩まで切り落とした。切られた瑞穂の髪が、桜吹雪の様に宙を舞う。
「確かに、この結果を招いたのは私の選択。だから私は、この命を賭けてでも争いのない真の平和な世界を創る。例えその結果に至る経緯が、血塗られたものであっても」
すると、地面に突き刺していた刀を抜く瑞穂の髪が揺れ、光を帯びる。
「平和のためなら、私は禍ツ神にでもなってやる」
そう呟いた瑞穂は、先ほどとは比べものにならない勢いで咲耶波へ向けて飛び出す。その変化に、咲耶波も本能的に危機を察し、持っていた煙管を地面に落とし、両手で大鎌を構える。
「ッ!?」
「どうしたの咲耶波、懐がお留守よ」
攻撃を防がれた瑞穂は、すかさずがら空きであった咲耶波の懐へと入り込み、持ち替えた刀の柄を叩きつける。防具を着ていない腹部を殴打された咲耶波は、血を混じらせた胃の内容物を嘔吐する。
「カハッ!?」
「神術、桜花一閃」
目に見えないほどの速さで繰り出す攻撃を、咲耶波は大鎌の柄で何とか防ぐ。しかし、その圧倒的な力によって吹き飛ばされ、櫓を巻き込んで倒れる。
「立て。お前に殺された者の痛み、この程度ではないわ」
「………ふ、ふふ」
櫓の残骸を抜け出し、立ち上がる咲耶波。常人なら死んでいてもおかしくない状況であったが、咲耶波は何事もなかったかの様に悠々と立ち上がる。これには、周囲にいた宇国兵たちですら目を疑う。
「あぁ、そうよ。これよ。これを待っていたの。やっぱりあなた、本物の大御神だわ。いいわ、私も本気で行かせてもらうわ」
そう言った咲耶波の体から、不気味な呪力が溢れ出す。やがて、あれほど美しかったかつての咲耶波の姿は、口元から覗く獣の様な牙、そして呪力を纏った体には獣の様な体毛が生え、その目は獣を彷彿させる鋭い目となっていた。
「ひ、ひっ!?」
「化けも、かはっ!?」
咲耶波の姿を見て腰を抜かした兵士たちを、咲耶波は片手で弾き飛ばして粉々にする。
「喚くな塵が」
「玉藻前、名あり妖の九尾の狐の本当の姿といったところかしら。あの妖美な人の姿からは想像もできないほどの見てくれね」
「どうしてこうも、あなたは私の邪魔をするのかしら。華麗な人に化けていれば、一国の王ですら手玉にできる。そしてようやく愚かな人間をこの手で操れる立場まで来たと言うのに…全て台無しになったじゃない」
「台無し?それは違うわ咲耶波。私は間違いを正したに過ぎない。今のお前こそ、本当の姿。麗人に化けて国を操ろうなど、所詮妖の浅はかな思いつきよ。人を舐めないで妖。その大鎌で縊り殺してきた者の魂に、常世で詫びると良い」
「それはあなたにも言えることじゃない?あなたが義と称して斬られた者は、その刀を呪うでしょうね」
「そうかもしれない。でも、お前の大鎌と私の刀は違う点があるの」
瑞穂は刀の刀身で円を描くと、その剣先を咲耶波へと向けて止まる。
「私の刀は未来を斬り開くもの。そしてこの刀には、今までに私が斬った者の想いも託されている」
獣の様に飛びついてきた咲耶波を、瑞穂は後方に飛び避ける。九つの尾が揺れ、獣の様な動きをする咲耶波であったが、瑞穂はその動きを瞬時に見切って反射的に刀を1本の尾に振り下ろした。斬り落とした尾の断面から、紫色の血が噴き出す。
「これは最初に焼かれた民の分」
すかさず、他の尾に刀を振るう。1本、1本と尾を叩き斬っていく。
「コノ小娘ガァ!!調子二乗ルナァ!!」
「最後まで泣いていた女子の分、無残に喰い殺された巫女の分、片腕を落とされ死んだ芳一の分」
「私ノ尾ヲォ!!」
咲耶波から放たれる呪術を掻い潜り、瑞穂は肉薄し、1本、また1本と尾を叩き斬っていく。
「信濃さんの分、そしてこれが、睦美お姉様の分!」
最後の1本を残し、咲耶波の他の尾は全て斬り落とされる。九尾の狐にとって、尾は呪力の源。それが最後の1本となったことで、咲耶波の纏っていた強力な呪術は急激に弱まっていた。
「これで最後だ、妖」
残る1本に刀を振り下ろそうとしたとき、咲耶波の前に麗鳴が立ちその攻撃を受け止める。
「お逃げください咲耶波様、ここは僕が引き受けました」
「邪魔ヲスルナ、麗鳴!」
「浜の軍と共に本国へお戻りください。あなたは、ここで死ぬべきではありません」
瑞穂の攻撃を受けながら、麗鳴は妖と化した咲耶波にそう言う。
「妖を庇うなど言語道断、斬る」
「さぁ、早く!」
「………」
「早く!」
「………浜で待っておるぞ」
再び人の姿に戻った咲耶波は、麗鳴が瑞穂の攻撃を抑えている隙にその場から逃げ出した。
「逃すか!」
「残念だけど、ここは通さないよ」
麗鳴は強力な瑞穂の斬撃を弾く。
「お前にも、犯した罪を償わせてやる」
攻撃を防がれた瑞穂は、麗鳴に向けて何度も斬撃を繰り出す。麗鳴は反撃こそしないものの、咲耶波が逃げる時を稼ぐために瑞穂の斬撃を受け続ける。
「なぜ、妖を庇う!」
「あの人が例え妖であったとしても、あの人は孤児だった僕に愛情を注いでくれた」
「その愛情がまやかしであってもか!」
「愛情の本心なんて、僕には関係ないからね」
麗鳴は奮戦するも、瑞穂の攻撃を受け続けた剣にひびが入り、剣ごと右手を斬り落とされる。それでもなお、残った左手で小太刀を抜き、瑞穂に向けて刀身を突き出す。
「痛い、痛いなぁ…」
「お前に燃やされた者の苦しみや痛みに比べれば優しいものだ」
膝をつきその場に座り込んだ麗鳴の首に、瑞穂は容赦なく刀を突き刺す。瑞穂が麗鳴にとどめを差すのと同時に、土蜘蛛を仕留めた御剣たちが瑞穂へと駆け寄ってくる。
「土蜘蛛を倒したぞ。瑞穂、お前髪が…」
「部隊を整えて咲耶波を追う。宇都見国どもを1人残らず皆殺して、咲耶波は生きたまま焼き殺してくれる」
「瑞穂!」
御剣は怒りに支配される瑞穂の両肩を掴む。
「止めないで御剣。これは私が始末をつけないといけないの」
「お前が怒りに任せてどうする。周りを見ろ」
周囲では、両軍の兵士たちが恐怖でその場に座り込んでいた。兵士だけではない、千代や小夜ですら、返り血で血塗れになった今の瑞穂に対して恐怖心を抱いている。
「落ち着け。そうでなければ、行かせられない」
「離しなさい御剣、これは命令よ」
「お前まで血を欲してどうする。復讐心に捉われたままでは駄目だ」
「退きなさい。さもなければ、御剣、あなたであっても斬るわ」
そう言って構える瑞穂の刀を、御剣はあろうことか素手で掴む。桜吹雪の刀身に、御剣の掌から血が流れ落ちる。
「瑞穂様⁉︎御剣様⁉︎」
「なら斬るといい。主の間違いを止めるのは従者の務めだ」
「間違い?間違いだと⁉︎私には聞こえるのよ!焼かれた者たちの悲痛な叫びが!咲耶波を討ち取り、無念を晴らしてくれという懇願が!」
「だとしても俺は譲れない。正気に戻るんだ」
「………」
しばらくして、瑞穂は刀を下ろして鞘に納める。刀身から離した御剣の手を、千代が呪術で癒す。
「統べる者がいなくなった今、敵は投降している。これ以上、お前が手を汚す必要はない」
「すでに汚れきっているわ」
瑞穂が歩み寄ったのは、自分の弱さのせいで焼かれた民の亡骸だった。
「私が最初から咲耶波を圧倒していれば、彼らが死ぬ必要もなかった」
「お前に咎はない。己を責めるな」
「この様を見れば、己を責めもするわ」
「良いか瑞穂、お前は一国の長だ。ここに集まった者たちは、皆お前の目指す争いなき平和な世を創るために集まったんだ。俺も、葦原をあんな目にした咲耶波たちは許せない。だからと言って復讐は何も生まない」
「じゃあどうすればいいの。こうしている間に、咲耶波に逃げられてしまう」
御剣は瑞穂の横に座すると、亡骸に向けてそっと手を合わせた。
「この戦いは民を守ることに大義がある。だから、命令するんだ。民を守るため、そして宇都見国との戦を決するため、咲耶波を討ち、皇国から敵を一掃すると。私怨に任せても、誰もお前についてこない」
「………やっぱり、御剣は私の従者ね。私の隣はあなたじゃないといけないわ」
瑞穂は御剣と同じく手を合わせると、立ち上がって周囲を見渡す。その顔は、いつもの皇としての瑞穂の顔に戻っていた。
「皆にもう一仕事願いたい。浜に陣取る宇国軍を打ち破り、咲耶波を倒してこの戦いを終わらせる!」
瑞穂の声に、皇国兵たちは声を上げた。
「待っていなさい咲耶波、必ずあなたを倒して、この戦いを終わらせる」
瑞穂は馬にまたがり、御剣たちと共に咲耶波の後を追った。
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