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総撃編
第49話 思惑の果て
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強烈な痛みが過ぎ去り、程なくして目を覚ます。そこは先ほどまでの屋敷の風景ではなく、元の祠の場所へと移り変わっていた。
あの後、不覚にも情けない声を上げるほど、強烈な痛みが身体を襲った。言い表すのなら、まるで全身に毒が回り、身体に張り巡らされた血の管を締め上げるような。
「御剣っ!」
「っとと、どうした急に?」
目を覚まして早々、足を伸ばして座り込む俺に瑞穂が抱きついてきた。桃色の髪の毛と甘い香りが鼻をくすぶった。
「急に気を失っていたから心配したの」
「なぁ瑞穂、今度から何かするときは、先に言ってくれないか?」
俺はそう言うが、瑞穂は何のことか分からずに沈黙する。
「何かするって、何のこと?」
「何ってお前、俺に神器としての試練を与えようとして、根の国に飛ばしたんだろうが」
「うーん。先に言っておくけど、私は何もしていないわよ?」
「そうなのか?あのな、瑞穂。実はな…」
どうも話が噛み合わなかった俺は、自分が眩しい光で気を失い、気がついてからのことを全て説明した。
根の国、案内人、黄泉比良坂、カミコと巫女殿。
それを聞いた瑞穂は、驚きながらも故意ではないと首を横に振った。どうやら彼女は、意図して俺を根の国に飛ばしたわけではなかった様だ。
偶然にも、祠に触れたことが俺を根の国に飛ばしてしまったということになる。
偶然にしては出来すぎている様に思えたが、長く一緒にいた瑞穂がこんな事で嘘をつくとは思えない。俺はそれくらい、瑞穂のことを信頼しているのだ。
「瑞穂、そろそろ動きたいんだが…」
「だから?」
「ちょっと離れてくれないか?」
「嫌よ」
「嫌って、こんな所誰かに見られたら…」
「しばらく、しばらく、このままでいさせて」
”お姉様…皆…”
瑞穂の思考が、俺の頭の中に流れてくる。前までは、こんな事なかったのだが。
”瑞穂…”
その目には、涙が浮かんでいた。大切な故郷の、それも睦美さんや信濃さん達を一気に失ったのだ。その悲しみは例え大御神であっても、計り知れないものだろう。
瑞穂の気が落ち着くまで、俺はそのままでいることにした。
視線を下に向けると、業火と共に腰帯に差さった草薙剣が目に入った。
◇
私たちが到着してからしばらくして、後発の部隊が到着した。
「小夜、あなたどうして!?」
驚いたのが、後発の部隊の中に小夜の姿があったこと。小夜はいつもの服装に兄である右京と同じ、黒色の外套を身に纏っている。
そして、その小夜が跨るのは白狼の姿となった、真神のシラヌイだった。
「シラヌイ、あなた分かってて…」
「そう言わず、訳を聞いてやってはどうじゃ?」
小夜はシラヌイから降りると、私の前に立った。
「姉様。私は、いつか姉様たちと一緒に戦いたいと思っていました。ですが、非力な私が力で助太刀できるとは思っていません。だから、軍師として役に立てればと…」
「軍師?小夜、あなたがいるのは紛うことない、正真正銘の戦場よ。それも、人というものの価値が無に等しく、何百何千という命が一瞬にして失われる場所なのよ。それを分かっているの?」
「分かっていると言えば嘘になります。本当の戦場なんて知りませんし、その恐ろしさも分かりません。ですが、誰かが亡骸となって帰ってくるのは、もう見たくないのです!」
「………」
本当ならば、必死に訴えてくる小夜を嫌われる覚悟で拒まなければならない。しかし、その姿はどこか私とよく似ている。特に、一度決めたことを曲げようとしないところが。
だから、受け入れることにした。
「シラヌイ」
「うむ」
「小夜をここに連れてきた罰として小夜の護衛を命じます。小夜に敵を指一本近づけさせない様に、分かりましたか?」
「承知じゃ」
私の言葉の意図を理解したシラヌイが、ふんと鼻を鳴らす。
「そして、小夜」
「は、はいです!」
「私に何の相談もなく、勝手に戦場に来た罰として、皇国軍を勝利に導いてもらうわ。失敗は許しません」
「それって…」
「軍師として部隊への同行を認めるということよ」
「ほ、本当なのですか!?」
「ただし、とりあえず同行は今回限り。この戦いで私が危険と判断したら、戦場からは退いてもらうわ」
これはある意味、小夜を思っての言葉だった。戦場に出るということは、人の死を目の当たりにすることになる。
12の小夜に、その事実を受け入れられる覚悟があるとは到底思えない。何しろ、私ですら身近な人の死に未だに取り乱すのだ。
そして、軍師ともなればその責任は計り知れない。自分の判断が一つでも間違えば、数え切れないほどの兵士が死に至る。
「それでも構わないのです。私は姉様に付いてくのです」
「…分かったわ。小夜は至急軍議に混ざるように。後発部隊の指揮官は全員天幕に集合、作戦を説明するわ」
私は天幕に全ての部隊の隊長や指揮官を集める。そこにはすでに皇城にて敵軍の配置が書き込まれた地図が広げられており、全員がそれに食い入る様に見入っていた。
「これより反撃の作戦に出る。敵は海岸線の村3つに同時に攻撃を仕掛けてこれを壊滅。上陸し橋頭堡を築いている。第4軍の動きはどうなっているの?」
「現在、山並みに沿って防衛線を展開している。が、総兵力約3千の第4軍では、とても宇都見国の相手にならないだろう」
「敵の指揮官は判明しているの?」
「恐らく、宇都見国が元首、元王のその妃、咲耶波だ」
「咲耶波…」
斎国との講話会議の際、私たちの前に現れた得体の知れない雰囲気をした人物。元王の妃という立場でありながら、敵地であるこの皇国の地へ侵攻する部隊を率いているのだ。
「情報の出所は?」
「水軍の姿を見た漁民と斥候からの情報だそうだ」
「そう。あの人は、分かっていないことが多すぎる…」
どれほどの実力が相手にあるのか、その読み合いも将たる者の戦いである。
本来であれば、このように意表を突くための奇襲攻撃は、一気に軍勢を主要拠点に向けて進ませるものだ。
つまり、相手の迎撃態勢が整うまでの間に、戦略的に重要とされる場所を占領するのが所謂常套手段となる。
しかし、宇軍は占領どころか、壊滅的な被害を与えた葦原村から、上陸地点まで後退している。
愚策か奇策か、はたまた…。
不安が拭い切れない中、私はリュウにある結果を聞く。
「斥候からの報告は?」
敵の動きを感知するために、何十という斥候を敵軍に向けて放っていた。
「それがな…」
リュウの顔は晴れない。
「帰還者は1人、恐らく他の斥候は全員死亡。唯一、傷だらけになって帰還したやつは、死ぬ直前に一言だけ言葉を残した。私はここにいる、とだけな」
「私はここにいる…か、ふむ」
「シラヌイ、あなた何か知っているの?」
「その昔、似たような言葉をある者から聞いたことがあってな。なにぶん、随分と昔のことじゃから、記憶が薄いのぅ…」
「その記憶を思い出すように、後で聞かせてもらうわ。では全員出撃準備、行き先とやり方が決まったわ」
御剣が私に問いかけてきた。
「部隊を分散させて対応させるのか?」
「いいえ。全戦力を持って敵将咲耶波の首を討ち取りに行くわ。向こうの不可解な動き、私は3つの上陸地点に分かれた部隊を集結させて、一気に皇都へと攻め入る、もしくは私たちを迎え撃つ気だと思うの」
圧倒的な指揮権限を持つ咲耶波を倒せば、その指揮を失った宇軍は大きく力を失う。
ある意味、この戦いが後の皇国の命運を握っている。
この戦いに私たちが負ければ皇国の国都たる皇都が押さえられ、例え連合軍がひと月で宇都見国を堕としたとしても、到底間に合うはずがない。
宇都見国はどちらかの戦いに勝てば勝利なのに対し、こちらはどちらの戦いにも勝たなければ待つのは無残な敗北。
皇国の領土から宇都見国軍を叩き出し、なおかつ連合軍による国都占領を同時に成功させなければならない。
文字通り生き残りをかけた戦いである。
私たちは皇国の、一つの国の存亡を背に、難しい戦を強いられる事となった。
◇
「始まったようじゃな…」
「では、我らも動くとしよう」
「くれぐれも悟られぬようにな」
◇
西方の砦である烈は、僅か1日半で完全に掌握された。無論、この速度で砦を落とすことなど通常であれば困難である。
この短時間で砦を落とすことが出来たのは、間違いなく胡ノ国の将軍、殲滅の凶月の力の賜物だろう。
「深い森だな…」
烈を掌握した連合軍が次の目的地としたのは、深い森を越えた李國の砦。
その道中に広がる深い森、別名を嘆きの森。
ここには野生の猛獣や蟲が多く巣食っており、身一つで入り込めば二度と出てこれず、迷路のように入り組む森で自らの死を嘆くことから、そう呼ばれている。
ここに来るまでの間、仁は熊を初めとする猛獣や、アンクグやガチャムタの様な蟲に遭遇したが、全て返り討ちにしている。
嘆きの森を避けて迂回する道もあるが、迂回するとここを抜ける倍以上の日数が掛かってしまう。
仁はこの嘆きの森を突き抜ける進路を選択した。
「総大将、皇宮より思念伝達が届きました」
「皇宮からですか?」
仁の隣を馬に跨り歩いていたホルスが、先ほど送られてきた思念の内容を報告する。
「はい。思念元は私の姉、宰相ユーリからです。宇都見国水軍、皇国東方沿岸に到着した模様です」
「それは誠ですか?」
「姉からの直接の思念です。現在、聖上が部隊を率い、東方の防衛へと向かっています」
「分かりました。我々も先を急ぎましょう」
「よろしいのですか、本国の防衛に戻らなくても」
「我々がここから引き返し、東部沿岸地域の防衛に行くまでに、防衛戦自体決着はつくでしょう。我々に出来るのは、聖上の勝利を信じてこのまま進むことです」
仁自身、内心は不安に駆られていた。宇都見国はこの連合軍の侵攻を認知した上で、水軍による上陸、奇襲攻撃を仕掛けてきたのだ。
恐らく、上陸した宇軍は中々に精強な軍団。ただでさえ、上陸された場所を守護するのは二線級の第4軍。応援に向かった瑞穂率いる軍団を合わせても、勝つ確率は半分と言える。
彼は自分の皇の実力を疑っている訳ではない。純粋に、一介の将として、冷静にその戦力から判断した結果だった。
「こうなると分かっていれば、第4軍の戦力見直しを図るべきでしたね…」
全軍の指揮を担う侍大将として、仁はこの事態に責任を感じていた。緋ノ国時代のころに比べて国を取り巻く状況は変化している。
しかし、今となっては時すでに遅し。
仁自身も皇国侍大将として、これからの国と軍のあり方を変える必要があると自覚していた。
「頼みましたよ、聖上」
仁は自分が忠誠を誓い、信頼する皇の勝利を信じ、深い森の中を進んだ。
◇
私は少し仮眠をとり、沿岸部に集結する宇都見国軍の攻撃を行うため、部隊の最終調整に入っていた。
将と言えるのは、私を含め御剣、藤香、ローズ、リュウ。
「リュウ、ローズ」
私は天幕に二人を呼び、話をする。
「恐らく、今回の戦いは苛烈なものとなる。2人には前衛を任せるが、今まで以上に多くの血を流すことになる。傭兵として雇った手前、無茶を頼むことになるわ」
「何をおっしゃるか、聖上」
「私たちはあなた様に雇われてなどおりませんよ」
「え、それはどういう…」
「俺たちは確かに傭兵だ。が、あなたの元には自らの意思で従っている」
「雇ったなどと言わないでください。聖上は私たちのソブリンですから」
「そぶりん?」
「私の故郷の言葉で、自らの最も敬愛する元首様のことです。ご心配いりません。聖上が敵将を討つということでしたら、私たちがその道を切り開いてみせます」
2人は傭兵などではなく、とうの昔に自らの意思で私のために戦うことを決意した将だった。
私は2人を抱き寄せる。
「例えどんな苦境に陥っても、命だけは投げ出さないで。2人に大御神の加護を」
「有難く」
「では、行ってまいります」
ローズとリュウが部隊を引き連れて出陣するのを見送り、私は本隊である部隊を見回す。
私はその時あることに気がつく。それは、部隊の中に私の故郷である葦原村や、煤木村の大人たちが武器を手にして兵の中に混ざっていることだった。
皆、その目に戦うことへの意志を感じさせる炎を燃やしている。私は一国の長としての皇国皇、暴君から国を解放する解放者、昨日まで平和であった国を脅かす侵略者、この身は様々な立ち位置にある。
そして、何よりも自身が大御神であること。
それらが一気に重圧としてのし掛かってくる。
私は大きく息を吸い、そして声を上げる。
「皆にまずは謝りたい!私の力の無さ、そしてこうした事態になることを想定しなかった先見の無さ、不甲斐ない私のせいで多くの命が終わりを告げた。すまなかった!」
扇を手にする。
「皆の中には、私の行いに疑問を抱く者もいるだろう。しかし、それは決して間違いではない!」
皇の愚行を諫めるのも、民の権利であり、皇たる者はそれを尊重する義務がある。
その権利を押さえつけることこそ、愚行だと思っている。
「私は平和な世を築くために、この世を皇国という一つの国にまとめるつもり。いずれこの国は、多種多様な民族が争うことのなく、戦に怯えることなく平和に暮らせる国となる。この戦いに身を投じた者たちは、死してもその長い国の歴史に名を刻むことになる!」
桜舞う扇を開け、天を仰いだ。
「いま一度、私の元で戦ってほしい!私と共に、皆の力で戦のない平和な世を創ろうではないか!」
その一言に、その場にいた全員が呼応する。
「皇国軍、出陣する!」
私は刀を腰に差し、馬に跨る。
平和な世を創る。その過程の戦いで多くの血を流し、後世で悪逆非道の皇と罵られようとも、私の決意は変わることはない。
◇
皇都 皇宮
連合軍による宇都見国進攻、そして皇国東方における防衛戦。二面で戦いが行われている中、皇が不在の皇都においても影の戦いが始まっていた。
「貴様ッ、何者ッ!?」
「排除した、次に向かうぞ」
闇に包まれる皇宮では、雷雨の音に紛れて黒い装束を身に纏った者たちが、警護の近衛兵を斬り伏せる。
「南の区画は制圧した、伊班は東へ、呂班は西、波班は北へ向かえ。穂班は中央へ向かう」
圧倒的な刺客たちの攻撃で、皇宮は瞬く間に血に染められる。
しかし、刺客たちの善戦も束の間、皇宮中央の区画に差し掛かったところで、各区画を攻めていた刺客たちからの思念が、徐々に途絶えていく。
「伊班からの思念が途絶えた。何があった?」
「呂班からもだ」
「皇宮に残っているのは宰相だけだろう。こちらの把握していない手だれが残っていたのか?」
「不明、早急に立て直しが必要」
「作戦変更だ。全員で中央へと向かう」
刺客たちは全戦力を集結させ、中央の区画へと歩を進めた。
中央には、禁裏と呼ばれる区画がある。ここは皇を始めとする皇国の重鎮たちが住まう区画であり、位の高い者しか入ることが許されない。
故に、刺客程度が内部の構造を知る術もなく、同時に異変を察知した宰相である巫女のユーリによって、幻覚を見せる呪術が張り巡らされていた。
刺客たちはユーリの幻術によって創られた終わりのない回廊に迷い込んでいた。
「ここは何処だ、誰か分かるか?」
「どこまで行っても、先が見えない」
「閉じ込められたのか?」
すると、最後尾にいた刺客の一人が、突然天井から飛び出してきた黒い影に引きずり込まれる。
刺客たちが振り返ると、そこには天井から滴る血で血溜まりが出来ていた。
「ふふふ、ふふふふ」
「ッ!?」
回廊に響き渡る子どもの笑い声。
「がはっ!?」
刺客たちの前に現れたのは、外套を身に纏った銀髪の少女。その手には、血の滴る小刀が二振り握られていた。
「貴様、何者だ」
「ふふふ」
「全員でかかるぞ、こいつは危険だ」
刺客たちは武器を構えるが、少女から発せられる不気味な空気に身体が小刻みに震えた。
”我らが臆しているだと…?”
「来ないならこっちから行くよ」
外套の少女、琥珀は小刀を交差させて構えると、人間離れした跳躍で先頭に立っていた刺客の首を刎ねる。
「何ッ!?」
残った刺客たちは一斉に斬りかかるも、その攻撃は難なく躱され、武器を持つ手を斬り落とされる者もいれば、苦無を受けて痛みに悶える者もいた。
「ひっ、ひぃっ!?」
最後に残った刺客は恐怖のあまり腰を抜かし、その場に座り込んでしまう。
返り血を浴び、不敵な笑みを浮かべる琥珀は、座り込んでいた刺客に近づくと、顔を覗き込むと同時に腹に小刀を突き刺す。
「ぎゃあぁ!?」
「ねぇねぇ、お兄さん。どこの人かな?」
「がっ、がぁ!」
「言わないと、内臓を引き出しちゃうよ。じゃあまずは、長い長い腸から」
「ごぶぁ!」
琥珀に腸を鷲掴みにされ、刺客は声にならない叫び声を上げる。
「か、くに、あら、は、ばき」
「ふーん、もしかして迦ノ国の人なの?」
「そっ、そう、だっ、話した、から、やめでぐれぇ!」
ぱんぱんと2回手を叩く音が響き、琥珀は拷問を止める。
「琥珀、ご苦労様です。どうやら、素直に主のことを吐いてくれた様ですね」
尋問を続ける琥珀の背後に、巫女服姿のユーリが現れる。その表情は、凄惨な現場にいるのにも関わらず、琥珀に対して慈愛に満ちた表情を向けていた。
「我が皇の宮に土足で踏み入った罪、死をもって償っていただきます」
絶望の表情を浮かべる刺客が最後に見たのは、自らの顔に振り下ろされる琥珀の小刀だった。
◇
皇国東方 沿岸部
緋ノ国を落とすため、咲耶波自身が秘密裏に創設していた宇都見国水軍は、手薄であった皇国東方沿岸部を瞬く間に掌握した。
しかし、咲耶波は軍を皇都へと向けなかった。これは皇都に鎮座する皇国皇である瑞穂之命直下の部隊が、侵攻を察知し迎撃態勢を整えると踏んでいたからである。
配下の将の中には皇都進攻を上申する者もいるが、咲耶波は一切動かない。それは、彼女の目的が別にあったからである。
配下の中にその目的に気付く者は誰一人としていない。
そして、彼女の本当の姿すら。
あの後、不覚にも情けない声を上げるほど、強烈な痛みが身体を襲った。言い表すのなら、まるで全身に毒が回り、身体に張り巡らされた血の管を締め上げるような。
「御剣っ!」
「っとと、どうした急に?」
目を覚まして早々、足を伸ばして座り込む俺に瑞穂が抱きついてきた。桃色の髪の毛と甘い香りが鼻をくすぶった。
「急に気を失っていたから心配したの」
「なぁ瑞穂、今度から何かするときは、先に言ってくれないか?」
俺はそう言うが、瑞穂は何のことか分からずに沈黙する。
「何かするって、何のこと?」
「何ってお前、俺に神器としての試練を与えようとして、根の国に飛ばしたんだろうが」
「うーん。先に言っておくけど、私は何もしていないわよ?」
「そうなのか?あのな、瑞穂。実はな…」
どうも話が噛み合わなかった俺は、自分が眩しい光で気を失い、気がついてからのことを全て説明した。
根の国、案内人、黄泉比良坂、カミコと巫女殿。
それを聞いた瑞穂は、驚きながらも故意ではないと首を横に振った。どうやら彼女は、意図して俺を根の国に飛ばしたわけではなかった様だ。
偶然にも、祠に触れたことが俺を根の国に飛ばしてしまったということになる。
偶然にしては出来すぎている様に思えたが、長く一緒にいた瑞穂がこんな事で嘘をつくとは思えない。俺はそれくらい、瑞穂のことを信頼しているのだ。
「瑞穂、そろそろ動きたいんだが…」
「だから?」
「ちょっと離れてくれないか?」
「嫌よ」
「嫌って、こんな所誰かに見られたら…」
「しばらく、しばらく、このままでいさせて」
”お姉様…皆…”
瑞穂の思考が、俺の頭の中に流れてくる。前までは、こんな事なかったのだが。
”瑞穂…”
その目には、涙が浮かんでいた。大切な故郷の、それも睦美さんや信濃さん達を一気に失ったのだ。その悲しみは例え大御神であっても、計り知れないものだろう。
瑞穂の気が落ち着くまで、俺はそのままでいることにした。
視線を下に向けると、業火と共に腰帯に差さった草薙剣が目に入った。
◇
私たちが到着してからしばらくして、後発の部隊が到着した。
「小夜、あなたどうして!?」
驚いたのが、後発の部隊の中に小夜の姿があったこと。小夜はいつもの服装に兄である右京と同じ、黒色の外套を身に纏っている。
そして、その小夜が跨るのは白狼の姿となった、真神のシラヌイだった。
「シラヌイ、あなた分かってて…」
「そう言わず、訳を聞いてやってはどうじゃ?」
小夜はシラヌイから降りると、私の前に立った。
「姉様。私は、いつか姉様たちと一緒に戦いたいと思っていました。ですが、非力な私が力で助太刀できるとは思っていません。だから、軍師として役に立てればと…」
「軍師?小夜、あなたがいるのは紛うことない、正真正銘の戦場よ。それも、人というものの価値が無に等しく、何百何千という命が一瞬にして失われる場所なのよ。それを分かっているの?」
「分かっていると言えば嘘になります。本当の戦場なんて知りませんし、その恐ろしさも分かりません。ですが、誰かが亡骸となって帰ってくるのは、もう見たくないのです!」
「………」
本当ならば、必死に訴えてくる小夜を嫌われる覚悟で拒まなければならない。しかし、その姿はどこか私とよく似ている。特に、一度決めたことを曲げようとしないところが。
だから、受け入れることにした。
「シラヌイ」
「うむ」
「小夜をここに連れてきた罰として小夜の護衛を命じます。小夜に敵を指一本近づけさせない様に、分かりましたか?」
「承知じゃ」
私の言葉の意図を理解したシラヌイが、ふんと鼻を鳴らす。
「そして、小夜」
「は、はいです!」
「私に何の相談もなく、勝手に戦場に来た罰として、皇国軍を勝利に導いてもらうわ。失敗は許しません」
「それって…」
「軍師として部隊への同行を認めるということよ」
「ほ、本当なのですか!?」
「ただし、とりあえず同行は今回限り。この戦いで私が危険と判断したら、戦場からは退いてもらうわ」
これはある意味、小夜を思っての言葉だった。戦場に出るということは、人の死を目の当たりにすることになる。
12の小夜に、その事実を受け入れられる覚悟があるとは到底思えない。何しろ、私ですら身近な人の死に未だに取り乱すのだ。
そして、軍師ともなればその責任は計り知れない。自分の判断が一つでも間違えば、数え切れないほどの兵士が死に至る。
「それでも構わないのです。私は姉様に付いてくのです」
「…分かったわ。小夜は至急軍議に混ざるように。後発部隊の指揮官は全員天幕に集合、作戦を説明するわ」
私は天幕に全ての部隊の隊長や指揮官を集める。そこにはすでに皇城にて敵軍の配置が書き込まれた地図が広げられており、全員がそれに食い入る様に見入っていた。
「これより反撃の作戦に出る。敵は海岸線の村3つに同時に攻撃を仕掛けてこれを壊滅。上陸し橋頭堡を築いている。第4軍の動きはどうなっているの?」
「現在、山並みに沿って防衛線を展開している。が、総兵力約3千の第4軍では、とても宇都見国の相手にならないだろう」
「敵の指揮官は判明しているの?」
「恐らく、宇都見国が元首、元王のその妃、咲耶波だ」
「咲耶波…」
斎国との講話会議の際、私たちの前に現れた得体の知れない雰囲気をした人物。元王の妃という立場でありながら、敵地であるこの皇国の地へ侵攻する部隊を率いているのだ。
「情報の出所は?」
「水軍の姿を見た漁民と斥候からの情報だそうだ」
「そう。あの人は、分かっていないことが多すぎる…」
どれほどの実力が相手にあるのか、その読み合いも将たる者の戦いである。
本来であれば、このように意表を突くための奇襲攻撃は、一気に軍勢を主要拠点に向けて進ませるものだ。
つまり、相手の迎撃態勢が整うまでの間に、戦略的に重要とされる場所を占領するのが所謂常套手段となる。
しかし、宇軍は占領どころか、壊滅的な被害を与えた葦原村から、上陸地点まで後退している。
愚策か奇策か、はたまた…。
不安が拭い切れない中、私はリュウにある結果を聞く。
「斥候からの報告は?」
敵の動きを感知するために、何十という斥候を敵軍に向けて放っていた。
「それがな…」
リュウの顔は晴れない。
「帰還者は1人、恐らく他の斥候は全員死亡。唯一、傷だらけになって帰還したやつは、死ぬ直前に一言だけ言葉を残した。私はここにいる、とだけな」
「私はここにいる…か、ふむ」
「シラヌイ、あなた何か知っているの?」
「その昔、似たような言葉をある者から聞いたことがあってな。なにぶん、随分と昔のことじゃから、記憶が薄いのぅ…」
「その記憶を思い出すように、後で聞かせてもらうわ。では全員出撃準備、行き先とやり方が決まったわ」
御剣が私に問いかけてきた。
「部隊を分散させて対応させるのか?」
「いいえ。全戦力を持って敵将咲耶波の首を討ち取りに行くわ。向こうの不可解な動き、私は3つの上陸地点に分かれた部隊を集結させて、一気に皇都へと攻め入る、もしくは私たちを迎え撃つ気だと思うの」
圧倒的な指揮権限を持つ咲耶波を倒せば、その指揮を失った宇軍は大きく力を失う。
ある意味、この戦いが後の皇国の命運を握っている。
この戦いに私たちが負ければ皇国の国都たる皇都が押さえられ、例え連合軍がひと月で宇都見国を堕としたとしても、到底間に合うはずがない。
宇都見国はどちらかの戦いに勝てば勝利なのに対し、こちらはどちらの戦いにも勝たなければ待つのは無残な敗北。
皇国の領土から宇都見国軍を叩き出し、なおかつ連合軍による国都占領を同時に成功させなければならない。
文字通り生き残りをかけた戦いである。
私たちは皇国の、一つの国の存亡を背に、難しい戦を強いられる事となった。
◇
「始まったようじゃな…」
「では、我らも動くとしよう」
「くれぐれも悟られぬようにな」
◇
西方の砦である烈は、僅か1日半で完全に掌握された。無論、この速度で砦を落とすことなど通常であれば困難である。
この短時間で砦を落とすことが出来たのは、間違いなく胡ノ国の将軍、殲滅の凶月の力の賜物だろう。
「深い森だな…」
烈を掌握した連合軍が次の目的地としたのは、深い森を越えた李國の砦。
その道中に広がる深い森、別名を嘆きの森。
ここには野生の猛獣や蟲が多く巣食っており、身一つで入り込めば二度と出てこれず、迷路のように入り組む森で自らの死を嘆くことから、そう呼ばれている。
ここに来るまでの間、仁は熊を初めとする猛獣や、アンクグやガチャムタの様な蟲に遭遇したが、全て返り討ちにしている。
嘆きの森を避けて迂回する道もあるが、迂回するとここを抜ける倍以上の日数が掛かってしまう。
仁はこの嘆きの森を突き抜ける進路を選択した。
「総大将、皇宮より思念伝達が届きました」
「皇宮からですか?」
仁の隣を馬に跨り歩いていたホルスが、先ほど送られてきた思念の内容を報告する。
「はい。思念元は私の姉、宰相ユーリからです。宇都見国水軍、皇国東方沿岸に到着した模様です」
「それは誠ですか?」
「姉からの直接の思念です。現在、聖上が部隊を率い、東方の防衛へと向かっています」
「分かりました。我々も先を急ぎましょう」
「よろしいのですか、本国の防衛に戻らなくても」
「我々がここから引き返し、東部沿岸地域の防衛に行くまでに、防衛戦自体決着はつくでしょう。我々に出来るのは、聖上の勝利を信じてこのまま進むことです」
仁自身、内心は不安に駆られていた。宇都見国はこの連合軍の侵攻を認知した上で、水軍による上陸、奇襲攻撃を仕掛けてきたのだ。
恐らく、上陸した宇軍は中々に精強な軍団。ただでさえ、上陸された場所を守護するのは二線級の第4軍。応援に向かった瑞穂率いる軍団を合わせても、勝つ確率は半分と言える。
彼は自分の皇の実力を疑っている訳ではない。純粋に、一介の将として、冷静にその戦力から判断した結果だった。
「こうなると分かっていれば、第4軍の戦力見直しを図るべきでしたね…」
全軍の指揮を担う侍大将として、仁はこの事態に責任を感じていた。緋ノ国時代のころに比べて国を取り巻く状況は変化している。
しかし、今となっては時すでに遅し。
仁自身も皇国侍大将として、これからの国と軍のあり方を変える必要があると自覚していた。
「頼みましたよ、聖上」
仁は自分が忠誠を誓い、信頼する皇の勝利を信じ、深い森の中を進んだ。
◇
私は少し仮眠をとり、沿岸部に集結する宇都見国軍の攻撃を行うため、部隊の最終調整に入っていた。
将と言えるのは、私を含め御剣、藤香、ローズ、リュウ。
「リュウ、ローズ」
私は天幕に二人を呼び、話をする。
「恐らく、今回の戦いは苛烈なものとなる。2人には前衛を任せるが、今まで以上に多くの血を流すことになる。傭兵として雇った手前、無茶を頼むことになるわ」
「何をおっしゃるか、聖上」
「私たちはあなた様に雇われてなどおりませんよ」
「え、それはどういう…」
「俺たちは確かに傭兵だ。が、あなたの元には自らの意思で従っている」
「雇ったなどと言わないでください。聖上は私たちのソブリンですから」
「そぶりん?」
「私の故郷の言葉で、自らの最も敬愛する元首様のことです。ご心配いりません。聖上が敵将を討つということでしたら、私たちがその道を切り開いてみせます」
2人は傭兵などではなく、とうの昔に自らの意思で私のために戦うことを決意した将だった。
私は2人を抱き寄せる。
「例えどんな苦境に陥っても、命だけは投げ出さないで。2人に大御神の加護を」
「有難く」
「では、行ってまいります」
ローズとリュウが部隊を引き連れて出陣するのを見送り、私は本隊である部隊を見回す。
私はその時あることに気がつく。それは、部隊の中に私の故郷である葦原村や、煤木村の大人たちが武器を手にして兵の中に混ざっていることだった。
皆、その目に戦うことへの意志を感じさせる炎を燃やしている。私は一国の長としての皇国皇、暴君から国を解放する解放者、昨日まで平和であった国を脅かす侵略者、この身は様々な立ち位置にある。
そして、何よりも自身が大御神であること。
それらが一気に重圧としてのし掛かってくる。
私は大きく息を吸い、そして声を上げる。
「皆にまずは謝りたい!私の力の無さ、そしてこうした事態になることを想定しなかった先見の無さ、不甲斐ない私のせいで多くの命が終わりを告げた。すまなかった!」
扇を手にする。
「皆の中には、私の行いに疑問を抱く者もいるだろう。しかし、それは決して間違いではない!」
皇の愚行を諫めるのも、民の権利であり、皇たる者はそれを尊重する義務がある。
その権利を押さえつけることこそ、愚行だと思っている。
「私は平和な世を築くために、この世を皇国という一つの国にまとめるつもり。いずれこの国は、多種多様な民族が争うことのなく、戦に怯えることなく平和に暮らせる国となる。この戦いに身を投じた者たちは、死してもその長い国の歴史に名を刻むことになる!」
桜舞う扇を開け、天を仰いだ。
「いま一度、私の元で戦ってほしい!私と共に、皆の力で戦のない平和な世を創ろうではないか!」
その一言に、その場にいた全員が呼応する。
「皇国軍、出陣する!」
私は刀を腰に差し、馬に跨る。
平和な世を創る。その過程の戦いで多くの血を流し、後世で悪逆非道の皇と罵られようとも、私の決意は変わることはない。
◇
皇都 皇宮
連合軍による宇都見国進攻、そして皇国東方における防衛戦。二面で戦いが行われている中、皇が不在の皇都においても影の戦いが始まっていた。
「貴様ッ、何者ッ!?」
「排除した、次に向かうぞ」
闇に包まれる皇宮では、雷雨の音に紛れて黒い装束を身に纏った者たちが、警護の近衛兵を斬り伏せる。
「南の区画は制圧した、伊班は東へ、呂班は西、波班は北へ向かえ。穂班は中央へ向かう」
圧倒的な刺客たちの攻撃で、皇宮は瞬く間に血に染められる。
しかし、刺客たちの善戦も束の間、皇宮中央の区画に差し掛かったところで、各区画を攻めていた刺客たちからの思念が、徐々に途絶えていく。
「伊班からの思念が途絶えた。何があった?」
「呂班からもだ」
「皇宮に残っているのは宰相だけだろう。こちらの把握していない手だれが残っていたのか?」
「不明、早急に立て直しが必要」
「作戦変更だ。全員で中央へと向かう」
刺客たちは全戦力を集結させ、中央の区画へと歩を進めた。
中央には、禁裏と呼ばれる区画がある。ここは皇を始めとする皇国の重鎮たちが住まう区画であり、位の高い者しか入ることが許されない。
故に、刺客程度が内部の構造を知る術もなく、同時に異変を察知した宰相である巫女のユーリによって、幻覚を見せる呪術が張り巡らされていた。
刺客たちはユーリの幻術によって創られた終わりのない回廊に迷い込んでいた。
「ここは何処だ、誰か分かるか?」
「どこまで行っても、先が見えない」
「閉じ込められたのか?」
すると、最後尾にいた刺客の一人が、突然天井から飛び出してきた黒い影に引きずり込まれる。
刺客たちが振り返ると、そこには天井から滴る血で血溜まりが出来ていた。
「ふふふ、ふふふふ」
「ッ!?」
回廊に響き渡る子どもの笑い声。
「がはっ!?」
刺客たちの前に現れたのは、外套を身に纏った銀髪の少女。その手には、血の滴る小刀が二振り握られていた。
「貴様、何者だ」
「ふふふ」
「全員でかかるぞ、こいつは危険だ」
刺客たちは武器を構えるが、少女から発せられる不気味な空気に身体が小刻みに震えた。
”我らが臆しているだと…?”
「来ないならこっちから行くよ」
外套の少女、琥珀は小刀を交差させて構えると、人間離れした跳躍で先頭に立っていた刺客の首を刎ねる。
「何ッ!?」
残った刺客たちは一斉に斬りかかるも、その攻撃は難なく躱され、武器を持つ手を斬り落とされる者もいれば、苦無を受けて痛みに悶える者もいた。
「ひっ、ひぃっ!?」
最後に残った刺客は恐怖のあまり腰を抜かし、その場に座り込んでしまう。
返り血を浴び、不敵な笑みを浮かべる琥珀は、座り込んでいた刺客に近づくと、顔を覗き込むと同時に腹に小刀を突き刺す。
「ぎゃあぁ!?」
「ねぇねぇ、お兄さん。どこの人かな?」
「がっ、がぁ!」
「言わないと、内臓を引き出しちゃうよ。じゃあまずは、長い長い腸から」
「ごぶぁ!」
琥珀に腸を鷲掴みにされ、刺客は声にならない叫び声を上げる。
「か、くに、あら、は、ばき」
「ふーん、もしかして迦ノ国の人なの?」
「そっ、そう、だっ、話した、から、やめでぐれぇ!」
ぱんぱんと2回手を叩く音が響き、琥珀は拷問を止める。
「琥珀、ご苦労様です。どうやら、素直に主のことを吐いてくれた様ですね」
尋問を続ける琥珀の背後に、巫女服姿のユーリが現れる。その表情は、凄惨な現場にいるのにも関わらず、琥珀に対して慈愛に満ちた表情を向けていた。
「我が皇の宮に土足で踏み入った罪、死をもって償っていただきます」
絶望の表情を浮かべる刺客が最後に見たのは、自らの顔に振り下ろされる琥珀の小刀だった。
◇
皇国東方 沿岸部
緋ノ国を落とすため、咲耶波自身が秘密裏に創設していた宇都見国水軍は、手薄であった皇国東方沿岸部を瞬く間に掌握した。
しかし、咲耶波は軍を皇都へと向けなかった。これは皇都に鎮座する皇国皇である瑞穂之命直下の部隊が、侵攻を察知し迎撃態勢を整えると踏んでいたからである。
配下の将の中には皇都進攻を上申する者もいるが、咲耶波は一切動かない。それは、彼女の目的が別にあったからである。
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