8 / 12
8話 レベル99?わたくしはレベル9999でしてよ
しおりを挟む
わたくしが決戦の舞台に選んだのは殿下とベガ様の結婚式です。花嫁が世界で一番幸せになれる時間。大勢の方に祝福され、この世界の『主役』として迎え入れられる。そんな状況こそ、彼らの裁きに対しては最もふさわしい瞬間であると感じました。わたくしは真っ黒なドレスを身にまとい、血のように炎のように深い赤い薔薇の花を胸に付けて訪れました。
「ごきげんよう、ルセウス殿下。そして聖女ベガ様」
「貴様、アンドロメダ・ヴィオーラ! なぜここに居る?」
しばらくぶりですが、相変わらず殿下はお元気なようです。憎々し気な眼差しも歪んだその表情もやはり魔王様とは全く違っており、その差異にわたくしは妙に安心いたしました。少しでもこの憎しみがゆるんでいたらどうしましょう、と不安でした。殿下はどこまでもご自分らしくふるまっていただければ嬉しいですわ。
純白のドレスを身にまとったベガ様はうっとりするほどにお美しく、その表情には困惑と戸惑いが隠し切れず、その人間的な表情に少しばかり意外さを感じてしまいます。記憶の中での彼女はもっと超然としていて、人を人とも思わないような方でしたのに。
「生きていたの。その姿、やっぱり魔王の手に落ちてしまったのね」
「いいえ。魔界には堕ちてしまったのですが、魔王様はわたくしにとっての良き理解者であり協力者ですわ。ベガ様、わたくしがここに来た理由はお分かりですか?」
「えぇ、そういうイベントだものね。来るならここだと思っていたわ」
彼女はひたすらに喚き声を上げる殿下と違い、どこか落ち着いた雰囲気をまとっています。現状を正しく理解し、こちらの意図を寸分たがわず受け止めてくださいます。相手にして不足なし。彼女個人に深い恨みつらみはありませんが、わたくしの世界をぐちゃぐちゃにした張本人。理不尽の象徴。彼女を目指してここまで来た。どうか、全力で『死』合いましょう。
ルセウス殿下はメインディッシュです。身動きが取れぬよう拘束し、周囲の人々の心と身体も支配して一切動かぬように命じておきます。わたくしたちが本気でやりあえば、常人ではたちまち吹き飛んでしまうでしょう。
「場所を変えましょうか」
ベガ様は転移をお使いになり、その後を追いかけていきます。王城のはるか上空に浮かび上がった彼女は素晴らしく均整の取れた身体と長い髪を陽の光で浴びてどこまでも美しい姿を晒しています。
「本当は、あなたとはあんまり戦いたくないんだよね。だって別に、あなたが嫌いなわけじゃないから」
「あら、思ってもみないお言葉ですね。もしもわたくしに多少なりとも好意を持って下さっていれば、国王陛下や殿下の所業を止めてくださればよかったのに」
「それは、少しだけ申し訳ないわ。でもあの人たちは聞く耳を持たないし、そういう『イベント』だから流れに逆らっても上手くいかないと思ったのよ。あのサブキャラの子もそうだけど」
「ヒューベルトのこと?」
「えぇ、そんな名前だったかしら。あまり好みじゃなかったし、イベントも酷いものだったからあまり細かくは覚えていないんだけど」
「意味が分かりませんわ。そういうお話は、もう沢山」
わたくしは魔力を全開にします。聖女相手にわずかな油断はできません。心を乱さず、けれど怒りや憎しみだけは誠心誠意練り上げて、極大魔法を彼女にぶつけます。さすがの聖女様、初撃は簡単に避けてしまわれます。影の触手によって彼女の動きを拘束、しかしこちらも簡単に切り裂いて逃れていきます。どうもこの闇魔法は神聖魔法とは相性が良くないようです。
「そんなことをしても無駄よ、私はレベル上限99! 全ての魔法と全属性を極めているんだから、闇の悪役令嬢になんて絶対負けない」
「あら。わたくしはレベル9999でしてよ」
定められた物語も、常識も、理屈も、全てを呑み込む『理不尽』。
それが今のわたくしです。
「ぐっ、がっ」
ちっともエレガントではないうめき声と共にベガ様は動かなくなりました。体内の生命力は途絶えていませんからまだ生きておられますわね。神聖魔法は闇魔法とは相性が悪く、聖女様は一定の耐性を持っておられました。しかし、それ以外の魔法においては単純なせめぎ合い。数字の上ではこちらが圧倒的に有利。手数と圧倒的な暴力によって彼女を御するのは非常に簡単でした。
かつてわたくしを赤子の手をひねるように弄んだ聖女様でしたが、今度はその逆でしたわね。タピオカ師匠のおかげでしょうか。
ベガ様は美しい容姿が見る影もないほどにボロボロになっておられます。ここまでするつもりはなかったのですが、ついつい力が入ってしまいました。お美しいお顔やお召し物がまぁ見るも無残に。心が痛みますわね。でも、手加減をして足元をすくわれては元も子もありませんから。肉体的な傷は回復魔法で修復できるとして、問題は中身の方でした。
この方、良く見ると魂が二つ重なっているようです。禍々しいほどに輝く白き加護を受けた魂の影に、おびえたように震えるもう一つの魂を見つけました。魂を軽く探ってみると、どうやらこちらがこの肉体の本来の持ち主であるベガ様のようです。どうも別の誰かに憑依されているようです。助けて差し上げることができるかしら? もしも彼女が何の非もないただの被害者だとするなら、『理不尽』に巻き込まれただけの気の毒な方ですものね。魂に触れるのは闇魔法を使えば難しいことではありません。
白い輝きの魂は抵抗しましたが、圧倒的な闇の力に耐えきれず、やがてベガ様の肉体から切り離すことに成功します。肉体から解き放たれた魂が一瞬人間の姿をかたどります。そこにはベガ様と似ても似つかない大人の女性の姿があり、戸惑い恐れるような顔をしたかと思うと、天高く飛び上がり、いつしかその姿は見えなくなっていきます。彼女の痕跡を逃さぬように掴み取り、後でじっくりと対応を考えることにします。ベガ様の身体を治療したのち、魔界に預けてルセウス殿下の元に戻ります。
さぁ、これでもう邪魔者は居ませんわね。今度こそ、心行くまでお話をしましょう。
聖女ベガ様と結婚式を行われる予定だった王宮の広間。
多くの招待客や臣下の方から、ルセウス殿下も含めて誰一人動く人間は居ません。唯一わたくしに対抗可能だった聖女様も既に居ない。
「アンドロメダ、貴様、このような真似をして許されると思っているのか……」
殿下は拘束されても憎まれ口を叩き続けています。大変お元気なご様子ですわね。まぁそうでなくてはこちらとしても面白くありません。
「そのお言葉、そっくりそのままお返しいたしましてよ。わたくしとヒューベルト、そして我がヴィオーラ侯爵家に対する数々の悪逆非道。お許しするわけにはいきません。ねぇ殿下、どうしてそこまでわたくしのことがお嫌いだったのです? なぜ公衆の面前で貶め蔑むほどのことをする必要があったのです。剣を振りかざし、自ら手にかけようとするほどに、わたくしが憎かったのですか?」
「あぁそうだ、憎いとも! 私より優れた魔力を持ち四大魔法を制し、他に比肩するほどのない凄まじい才能を持つ貴様がな!!」
それはむき出しの刃のような憎悪でした。もはや何の虚飾も言い訳もなく、ただ純粋に彼の本音が曝け出されているような言葉です。わたくしは、黙って耳を傾けます。
「お前にわかるか、次期国王候補として生まれ育ち、常に貴様と比較され続けていた私の気持ちなど! 血統を次代に次ぐだけの存在、国を統べる国王とは名ばかりの優れた王妃の影! 貴様との結婚後に訪れる未来は私にとっては地獄だ! この世で最も憎い女の機嫌を取り媚びへつらい、決して満たされぬ渇きを抱き続けて生きる私の苦悩が!!」
「いえ、貴方にご機嫌を窺われたことなど多分一度もありませんわよね」
顔を合わせるたびにとても嫌な顔をされ、好ましい言葉をかけられたことは一度たりともなかったように感じます。殿下にとってはそれでも最大限の譲歩というか媚びだったのかもしれませんが。お話をしているとなんとも想像以上に幼い人であることを感じますわ。
「わたくしのことは別に構いません。好きでも嫌いでもご自由にどうぞ。心までは縛れませんからね、ですが、だからといって他者を理不尽に陥れるなど許されることではありませんわ。そう、世は常に理不尽で救われません。だからこそ、貴き身分であるわたくしたちは自らの感情を律し、ただ国を統べ、民を愛し、自らの心を殺して身を粉にして生き続けるしかないのです。けれど、殿下の気持ちも少しは、いいえとてもたくさん、今のわたくしにはわかりましてよ」
そう、どれだけ気高い誇りを持って生きて来ようとも、そうあるべきことは理解していても、納得のいかない、譲れない想いや感情は確かにあります。たとえそれがどれほど醜くとも許されることがなくとも、心の中だけは自由でいたいのです。そうでなくては、生き続けることはできないから。
「ここからはただの私怨ですわ、殿下。よくもわたくしのヒューベルトを。あの優しい人を、何ら咎なき者を、傷つけてくださいましたわね……!」
「ごきげんよう、ルセウス殿下。そして聖女ベガ様」
「貴様、アンドロメダ・ヴィオーラ! なぜここに居る?」
しばらくぶりですが、相変わらず殿下はお元気なようです。憎々し気な眼差しも歪んだその表情もやはり魔王様とは全く違っており、その差異にわたくしは妙に安心いたしました。少しでもこの憎しみがゆるんでいたらどうしましょう、と不安でした。殿下はどこまでもご自分らしくふるまっていただければ嬉しいですわ。
純白のドレスを身にまとったベガ様はうっとりするほどにお美しく、その表情には困惑と戸惑いが隠し切れず、その人間的な表情に少しばかり意外さを感じてしまいます。記憶の中での彼女はもっと超然としていて、人を人とも思わないような方でしたのに。
「生きていたの。その姿、やっぱり魔王の手に落ちてしまったのね」
「いいえ。魔界には堕ちてしまったのですが、魔王様はわたくしにとっての良き理解者であり協力者ですわ。ベガ様、わたくしがここに来た理由はお分かりですか?」
「えぇ、そういうイベントだものね。来るならここだと思っていたわ」
彼女はひたすらに喚き声を上げる殿下と違い、どこか落ち着いた雰囲気をまとっています。現状を正しく理解し、こちらの意図を寸分たがわず受け止めてくださいます。相手にして不足なし。彼女個人に深い恨みつらみはありませんが、わたくしの世界をぐちゃぐちゃにした張本人。理不尽の象徴。彼女を目指してここまで来た。どうか、全力で『死』合いましょう。
ルセウス殿下はメインディッシュです。身動きが取れぬよう拘束し、周囲の人々の心と身体も支配して一切動かぬように命じておきます。わたくしたちが本気でやりあえば、常人ではたちまち吹き飛んでしまうでしょう。
「場所を変えましょうか」
ベガ様は転移をお使いになり、その後を追いかけていきます。王城のはるか上空に浮かび上がった彼女は素晴らしく均整の取れた身体と長い髪を陽の光で浴びてどこまでも美しい姿を晒しています。
「本当は、あなたとはあんまり戦いたくないんだよね。だって別に、あなたが嫌いなわけじゃないから」
「あら、思ってもみないお言葉ですね。もしもわたくしに多少なりとも好意を持って下さっていれば、国王陛下や殿下の所業を止めてくださればよかったのに」
「それは、少しだけ申し訳ないわ。でもあの人たちは聞く耳を持たないし、そういう『イベント』だから流れに逆らっても上手くいかないと思ったのよ。あのサブキャラの子もそうだけど」
「ヒューベルトのこと?」
「えぇ、そんな名前だったかしら。あまり好みじゃなかったし、イベントも酷いものだったからあまり細かくは覚えていないんだけど」
「意味が分かりませんわ。そういうお話は、もう沢山」
わたくしは魔力を全開にします。聖女相手にわずかな油断はできません。心を乱さず、けれど怒りや憎しみだけは誠心誠意練り上げて、極大魔法を彼女にぶつけます。さすがの聖女様、初撃は簡単に避けてしまわれます。影の触手によって彼女の動きを拘束、しかしこちらも簡単に切り裂いて逃れていきます。どうもこの闇魔法は神聖魔法とは相性が良くないようです。
「そんなことをしても無駄よ、私はレベル上限99! 全ての魔法と全属性を極めているんだから、闇の悪役令嬢になんて絶対負けない」
「あら。わたくしはレベル9999でしてよ」
定められた物語も、常識も、理屈も、全てを呑み込む『理不尽』。
それが今のわたくしです。
「ぐっ、がっ」
ちっともエレガントではないうめき声と共にベガ様は動かなくなりました。体内の生命力は途絶えていませんからまだ生きておられますわね。神聖魔法は闇魔法とは相性が悪く、聖女様は一定の耐性を持っておられました。しかし、それ以外の魔法においては単純なせめぎ合い。数字の上ではこちらが圧倒的に有利。手数と圧倒的な暴力によって彼女を御するのは非常に簡単でした。
かつてわたくしを赤子の手をひねるように弄んだ聖女様でしたが、今度はその逆でしたわね。タピオカ師匠のおかげでしょうか。
ベガ様は美しい容姿が見る影もないほどにボロボロになっておられます。ここまでするつもりはなかったのですが、ついつい力が入ってしまいました。お美しいお顔やお召し物がまぁ見るも無残に。心が痛みますわね。でも、手加減をして足元をすくわれては元も子もありませんから。肉体的な傷は回復魔法で修復できるとして、問題は中身の方でした。
この方、良く見ると魂が二つ重なっているようです。禍々しいほどに輝く白き加護を受けた魂の影に、おびえたように震えるもう一つの魂を見つけました。魂を軽く探ってみると、どうやらこちらがこの肉体の本来の持ち主であるベガ様のようです。どうも別の誰かに憑依されているようです。助けて差し上げることができるかしら? もしも彼女が何の非もないただの被害者だとするなら、『理不尽』に巻き込まれただけの気の毒な方ですものね。魂に触れるのは闇魔法を使えば難しいことではありません。
白い輝きの魂は抵抗しましたが、圧倒的な闇の力に耐えきれず、やがてベガ様の肉体から切り離すことに成功します。肉体から解き放たれた魂が一瞬人間の姿をかたどります。そこにはベガ様と似ても似つかない大人の女性の姿があり、戸惑い恐れるような顔をしたかと思うと、天高く飛び上がり、いつしかその姿は見えなくなっていきます。彼女の痕跡を逃さぬように掴み取り、後でじっくりと対応を考えることにします。ベガ様の身体を治療したのち、魔界に預けてルセウス殿下の元に戻ります。
さぁ、これでもう邪魔者は居ませんわね。今度こそ、心行くまでお話をしましょう。
聖女ベガ様と結婚式を行われる予定だった王宮の広間。
多くの招待客や臣下の方から、ルセウス殿下も含めて誰一人動く人間は居ません。唯一わたくしに対抗可能だった聖女様も既に居ない。
「アンドロメダ、貴様、このような真似をして許されると思っているのか……」
殿下は拘束されても憎まれ口を叩き続けています。大変お元気なご様子ですわね。まぁそうでなくてはこちらとしても面白くありません。
「そのお言葉、そっくりそのままお返しいたしましてよ。わたくしとヒューベルト、そして我がヴィオーラ侯爵家に対する数々の悪逆非道。お許しするわけにはいきません。ねぇ殿下、どうしてそこまでわたくしのことがお嫌いだったのです? なぜ公衆の面前で貶め蔑むほどのことをする必要があったのです。剣を振りかざし、自ら手にかけようとするほどに、わたくしが憎かったのですか?」
「あぁそうだ、憎いとも! 私より優れた魔力を持ち四大魔法を制し、他に比肩するほどのない凄まじい才能を持つ貴様がな!!」
それはむき出しの刃のような憎悪でした。もはや何の虚飾も言い訳もなく、ただ純粋に彼の本音が曝け出されているような言葉です。わたくしは、黙って耳を傾けます。
「お前にわかるか、次期国王候補として生まれ育ち、常に貴様と比較され続けていた私の気持ちなど! 血統を次代に次ぐだけの存在、国を統べる国王とは名ばかりの優れた王妃の影! 貴様との結婚後に訪れる未来は私にとっては地獄だ! この世で最も憎い女の機嫌を取り媚びへつらい、決して満たされぬ渇きを抱き続けて生きる私の苦悩が!!」
「いえ、貴方にご機嫌を窺われたことなど多分一度もありませんわよね」
顔を合わせるたびにとても嫌な顔をされ、好ましい言葉をかけられたことは一度たりともなかったように感じます。殿下にとってはそれでも最大限の譲歩というか媚びだったのかもしれませんが。お話をしているとなんとも想像以上に幼い人であることを感じますわ。
「わたくしのことは別に構いません。好きでも嫌いでもご自由にどうぞ。心までは縛れませんからね、ですが、だからといって他者を理不尽に陥れるなど許されることではありませんわ。そう、世は常に理不尽で救われません。だからこそ、貴き身分であるわたくしたちは自らの感情を律し、ただ国を統べ、民を愛し、自らの心を殺して身を粉にして生き続けるしかないのです。けれど、殿下の気持ちも少しは、いいえとてもたくさん、今のわたくしにはわかりましてよ」
そう、どれだけ気高い誇りを持って生きて来ようとも、そうあるべきことは理解していても、納得のいかない、譲れない想いや感情は確かにあります。たとえそれがどれほど醜くとも許されることがなくとも、心の中だけは自由でいたいのです。そうでなくては、生き続けることはできないから。
「ここからはただの私怨ですわ、殿下。よくもわたくしのヒューベルトを。あの優しい人を、何ら咎なき者を、傷つけてくださいましたわね……!」
0
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます
白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。
そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。
最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。
『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
その婚約破棄喜んで
空月 若葉
恋愛
婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。
そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。
注意…主人公がちょっと怖いかも(笑)
4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。
完結後、番外編を付け足しました。
カクヨムにも掲載しています。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる