おもらしの想い出

吉野のりこ

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鹿狩純子のおもらし5 おもらし合宿

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 おしっこをおもらしするまで我慢し続ける合宿の初日、みんなで作ったカレーを夕食に食べていると、純子がつらそうにモジモジとしているのに茉莉那は気づいた。そして、ずっとイジられるばかりの側だったこともあって、仕返ししたくなる。 
「フフ、つらいの? 純子ちゃん」 
「別に…」 
 そう言ったけれど、明らかに純子はおしっこを漏らしそうになっている。みんなで正座してカレーを食べているので、おしっこの出口を踵で押さえることもしやすいけれど、押さえるのは罰ゲームの対象になる。純子は何度も座り直して、押さえないようにしつつも楽な姿勢を探していた。その落ち着きの無さは、おもらし寸前のようで茉莉那は急に復讐心へ火がついた。何の説明もなく、おもらし合宿に連れてこられて一番に漏らしてしまい恥ずかしい想いをしたし、それ以前から高校で漏らして大泣きしたことで純子からは見下されている気がする。守ってくれるし助けてくれるけれど、明らかに上から目線で小学生に接されるのは高校生としてプライドが疼く。その疼きで、ついつい幼児化したけれど今こそ復讐したいと考え、茉莉那は自分の下腹部を撫でた。 
「……」 
 大丈夫、私はすぐには漏らさない、と茉莉那は自分の膀胱におしっこが貯まっていないことを確認すると挙手して提案する。 
「ねぇ、みんな、さすがに食事中におしっこおもらしするのは行儀が悪すぎるから、漏らした人には罰を与えるね」 
「「「「「………」」」」」 
 女児たちに緊張が走った。お昼から何度もみんながおもらししたので、漏らす度に恥ずかしさが減っていき、夕食直前に漏らした愛歌は照れ笑いしながら、床を拭いていたし、彩花も漏らして舌を出して、やっちゃった、と言っただけで誰も泣いたりしなくなっている。そんな風におもらしのハードルが下がっていたところで茉莉那の提案は緊張感をもたらした。愛歌が問う。 
「罰って、どんなの?」 
「う~ん……あ、お尻叩き♪」 
 茉莉那が楽しそうに決めた。もう純子の表情は詰んでいる。食べ終わる前に、おしっこおもらしするのは確実だった。 
「…くっ…」 
 純子は正座したまま呻き、一口ずつカレーを食べているけれど、まだ半分は残っている。たっぷりジュースを飲まされたので、あまり食欲がない。そして膀胱に余裕がないので胃が膨らむのもつらい。何より一度目のおもらしは誰よりも長く我慢したので括約筋が疲れ切っている。さらに二度目のおもらしは茉莉那が無理矢理に膀胱を両手で押して失禁させてきたので膀胱と括約筋がダメージを受けているし、学校の女子トイレを使わない期間が長かった純子の身体は朝から夕方にかけて、おしっこをつくらないようにする分、夕方以降はいつでも自宅のトイレに行けるはずなので、おしっこをドンドンつくるようになってきていた。 
「………くっ…」 
 純子が呻き、茉莉那は微笑む。 
「あれ、純子ちゃん、つらそうだね?」 
「…別に、…平気…」 
「ご飯中のおもらしはお尻叩きだよ」 
 急に茉莉那が場をしきる形になったけれど、あまり異議は来ない。もともと15人の小学4年生と女子高生という年齢差があるので茉莉那が積極的になると場を支配するのは容易だった。 
「…くっ……ううっ…」 
 純子はスプーンを持つ手に力を込めた。さきほどから一口も食べられなくなっている。もう、おしっこが漏れそうで我慢するのに全神経を使っていた。茉莉那が楽しみに待つあまり歌い始めた。 
「純子ちゃん、純子ちゃん♪ おもらしするのかな? ご飯のときはダメでちゅよ♪」 
「…うるさい…」 
「フフ、純子ちゃん、必死すぎて可愛い」 
 言われたセリフを言い返して茉莉那は微笑む。そして純子に限界が来る。 
 ジュッ! 
 純子はパンツを濡らしてしまうのを感じた。 
「っ、くっ、くっ、くううっ!」 
 力を込めて止めようとするけれど、もう無理だった。持っていたスプーンを握力で曲げてしまっているものの、股間には力が入らない。 
 ジュワアァァァアァ… 
 股間とお尻の周りが温かく、情けなく濡れる。純子のズボンに大きなシミができて、おもらしの水たまりが正座している純子の周囲にできあがった。 
「…ハァ……ハァ…ぐすっ…」 
 おしっこの穴が痛くて純子は涙を滲ませたけれど、素早く袖口で拭いた。泣いたらカッコ悪い、と気にしている少年のようで茉莉那は母性本能と復讐心が複雑に蠢いた。 
「あらあら、純子ちゃん、みんながご飯を食べてる最中に、おしっこおもらしをするなんて行儀の悪い子ね。お仕置きしないとね」 
「……」 
 純子は悔しそうに黙っている。それが可愛いのと、今までの復讐がしたいので茉莉那は命じる。 
「そこで立って、ズボンとパンツを膝までおろしなさい」 
「………」 
 純子は曲がったスプーンを置いて立った。 
「………」 
 黙ったまま、誰とも目を合わせずズボンをおろし、少し迷ってからパンツも膝までおろした。お昼から似たようなことは何度もみんなでしたけれど、食事中に下半身を露出するのは感じたことのない恥ずかしさと背徳の情念があって心が揺れる。おもらしなんて、ここでは平気なはずなのに、なぜか泣きそうになってしまう。 
「はい、みんな、おしっこおもらしした純子ちゃんを見て」 
「「「「「……………」」」」」 
 女児たちは、とりあえず女子高生の言うことをきく。視線が集まってくると純子はますます心が揺れて泣きそうになったけれど、唇を引き結んで耐える。茉莉那は楽しくて心が躍った。 
「純子ちゃんには、みんなが食べ終わったら、お尻叩きをしますから、そのまま立ってなさい」 
「………」 
「お返事は?」 
「……わかった」 
「返事は、はい、でしょ」 
「……………はい…」 
 純子を晒し者状態にして、みんなで美味しくカレーを食べ終えた。漏らしそうな女児もいたけれど、なんとか食事が終わるまで我慢してから、おもらしする。 
 シュゥゥゥゥ… 
 美月が藍色のスカートを濡らしてタメ息をつく。 
「はぁぁ……ギリギリセーフだよね。ごちそうさま、したし」 
「フフ、そうだね。純子ちゃんだけだね、お行儀悪く食事中におしっこ垂れたのは」 
 茉莉那は復讐心で温まった気持ちのために、少し頬を赤くしている。これから、お尻叩きをして純子に反省させるつもりだった。みんなで食器を片付け、純子を囲んで車座になる。 
「さ、純子ちゃん、おもらしした自分の水たまりに膝をつきなさい」 
「……」 
 黙って純子が従う。足元の水たまりに両膝をついた。 
「これから、お尻を叩くから両手も床について。犬みたいに立つの」 
「………」 
 そんなカッコ悪い姿は嫌だ、という表情になる純子を見ると茉莉那は楽しくなった。 
「さ、罰を受けなさい。恥ずかしいカッコでお尻を叩かれるよ」 
「……」 
「早く!」 
「……ちっ…」 
 舌打ちして純子は言われた通りに両手をついた。おしっこで濡らしたズボンとパンツを膝までおろした状態で両膝と両手を床につき、犬のように立つ。 
「じゃあ、叩くね。お尻ペンペンだよ」 
「……」 
 黙っている純子のそばに寄り、茉莉那は右手を振り上げた。 
 ぺちん! 
 軽めに純子のお尻を叩いた。それほど痛くはない。 
「どう反省した?」 
「……」 
「まだ反省が足りないみたいだね」 
 ぺちん! ぺちん! 
 続けて二発、お尻を叩いた。純子のお尻が少し赤くなる。 
「どう反省した?」 
「ちっ……した…」 
「ぜんぜん反省してないね? もっと強く叩くよ。泣いて謝れば、許してあげる」 
 茉莉那は復讐として純子を泣かせてみたくなった。茉莉那が高校でおしっこおもらしをして大泣きしたのを見たとき、そんなに泣かなくていいのに、と冷静に言った純子を同じように泣かせて謝らせたい。いつのまにか、茉莉那、茉莉那と年下のくせに呼び捨てにしてくる生意気な女子小学生をワンワン泣かせて謝らせたい。だから、むしろ意地になって反省しない態度を取る方向へ導いていく。 
「もうギブアップです、心から反省しました、って態度になるまで許さないから」 
「…………」 
「フフ」 
 いいよ、その反抗的な目、その目がボロボロ泣くときが楽しみ、と茉莉那は年下の同性に対して暗い情念を抱いて右手を振り下ろす。 
 バチン! 
 かなり力を入れて叩いた。純子のお尻が手の形に赤くなる。 
「っ……」 
 純子は痛そうだったけれど、声にも表情にも出さない。茉莉那はなぶるように手で赤くなった純子のお尻を撫でて嗤いながら言う。 
「さ、ごめんなさい、茉莉那お姉さん、おもらしして、ごめんなさい、純子が悪かったです、って謝りなさい」 
「…………」 
 完全に純子は意地になって無言だった。 
「叩くよ。叩かれるのが怖くないの?」 
「………怖くなんかない! さっさと叩け、茉莉那のくせに!」 
「そういう男の子みたいな態度もよくないね」 
「うるさい! さっさと叩け、ババァ!」 
「っ…」 
 バチン! バチン!! バチッン!!! 
 茉莉那は手が痛くなるほど、思い切り純子のお尻を叩いた。さすがに純子も激痛を覚え、背中に汗が浮く。けれど、悲鳴も泣き声も出さなかった。 
「くっ……」 
 純子は歯を食いしばって耐えている。茉莉那は痛くなった手を軽く握り、また振り上げた。 
「叩くよ! ごめんなさいは?!」 
「……」 
「あっそ!」  
 全力で振り下ろした。茉莉那の手と純子のお尻が大きく鳴った。 
 バチッン!!!! 
 純子は息を飲むほど痛かったし、茉莉那も手が熱く痛くなってくる。 
「さあ、どうかな? 純子ちゃん、ごめんなさいは言えまちゅか?」 
「高校生にもなって幼児語つかうな、ババァ」 
「……フフ…フフ…」 
 茉莉那の笑い方が暗くなる。意地にならせる計画は成功したけれど、茉莉那も意地になってくる。 
 バチッン!!!! バチッン!!!! バチッン!!!! 
 全力で3連発もした。 
「っ……っ……っ…」 
 さすがに純子も痛さで目を見開き、背中を反らせている。けれど、泣かない。ここまでを黙って見ていた女児たちも、女子のリーダー的存在な純子が高校生に叱られて泣くかもしれない、そんなところを見てみたい、という暗い期待もあった。なんとなく純子がリーダーになっているけれど、もともと学業成績のトップは男子は石見、女子は土橋で純子はトップ層には入るけれど、トップではない。体育やスポーツも性格がヤンチャなので活発ではあるけれど、体つきは女の子らしい華奢さなので走っても泳いでも、それほどの順位は取れない。ただ家柄はよくて、顔も美少女で、なぜか男子っぽい喋り方をときどきするので、なんとなく女子の中でリーダーになっている。そして、教室で授業中に男子たちもいるのに、おしっこおもらしをしても泣かない心の強さがある。そんな純子が泣くところに女児たちは好奇心をもってしまっていた。 
 バチッン!!!! バチッン!!!! バチッン!!!! 
「くっ…」 
「まだ、まだ、いくよ!」 
 茉莉那が手を振り上げると、さすがに彩花が好奇心より大切なものを思い出した。 
「あ、あの、永戸先輩、やりすぎだと、……思います」 
「反省しない子が悪いの! あなたは黙ってなさい!!」 
「は…はい…」 
 彩花も賢く優れているけれど、やっぱり小学4年生として怒っている女子高生は怖かった。そして、なんとなく復讐したい気持ちでいることは理解できるので黙る。 
 バチッン!!!! バチッン!!!! バチッン!!!! 
 痛そうな音が響く。けれど、純子は泣かない。叩いている茉莉那は叩いた瞬間に純子のお尻が前に逃げることで衝撃を逃がしているのに気づいた。四つん這いになっている純子のお尻を叩くと、無意識なのか反射的なのか、少し前に逃げている。そういう力の逃がし方をさせないために茉莉那は純子の頭を押さえ込んだ。 
「頭を床に伏せなさい。両肩をつけて、お尻だけ突き上げるの!」 
「くっ…」 
 純子は高校生に体重をかけて押さえ込まれ、不本意に床へ頭をつけた。への字形にお尻を突き出す姿勢にされた。これで前に逃げることができず、お尻を叩けば衝撃はすべてお尻に吸収される。なにより、とても恥辱的な姿勢だった。 
「フフ、恥ずかしい格好だね。純子ちゃん、女の子の大切なところが丸見えだよ」 
「……別に……どうだっていい……」 
「………」 
 やっぱり思春期が来てないから、羞恥心はいまいちなんだね、だったら叩いて泣かす、と茉莉那は叩くのを再開する。 
 ビチンッ!!!! 
 叩いた衝撃はすべて茉莉那の手のひらと純子のお尻に吸収された。 
「「ぅっ…」」 
 二人とも痛くて呻く。お尻も痛いし、叩く手も痛い。それでも茉莉那は続ける。 
 ビチンッ!!!! ビチンッ!!!! ビチンッ!!!! 
「さあ! ごめんなさいは?! 言いなさい!」 
「………」 
 純子は黙っている。痛さに耐え、泣かないように気持ちを強くもっていた。 
 ビチンッ!!!! ビチンッ!!!! ビチンッ!!!! 
「言いなさい!! 泣きながらごめんなさいって!! おしっこ漏らして、ごめんなさいって!!」 
 ビチンッ!!!! ビチンッ!!! ビチンッ!! 
 茉莉那は叩く手が痛くて、だんだん力が入らなくなってくる。そして、その分だけ苛立ちは増す。 
「そう、どうしても言わないなら」 
 茉莉那は叩くのをやめて純子を脱がせて裸にして、バーベキューのときに何かと便利だろうと用意してあるビニール紐を持ってくると、それで純子の両手首を縛り、天井の梁に投げて回し、落ちてきたビニール紐の端を柱に結んで純子を吊し上げた。華奢な純子の身体は両手首を吊られて動けない爪先立ちにされた。 
「心から反省して、泣いて謝るまで叩きます」 
 ただの虐待を正当なことのように言い回して茉莉那は玄関から靴べらを持ってきた。その靴べらは高級品で、ただのプラスティック製ではなく硬い竹製の柄に高密度なプラスティック製の先端がついたものだった。 
「さあ、ごめんなさいは?」 
 わざわざ茉莉那は靴べらを純子の眼前に突き出してから言った。 
「…………」 
 純子は何も言わず黙って茉莉那を睨む。二人とも完全に意地になっていた。 
「叩くよ!」 
 茉莉那が靴べらで純子のお尻を叩く。 
 ピシッ! 
 鋭い音がして、お尻と靴べらが鳴る。 
「……はっ…くっ…」 
 かなり痛かったようで純子が呻いた。 
「どう?! 反省した?! 私のこと、さんざん笑って、ごめんなさいは?!」 
「「「「「……………」」」」」 
 ああ、やっぱり、それを根に持っていたんですね、と女児たちは理解した。おもらし遊びの延長で食事中に漏らしただけで与える罰にしては重すぎる理由が、だいたいわかってくる。 
 ピシッ!! 
 より強く茉莉那が叩いた。手で叩かれるのとは比較にならない痛さで、純子は涙を滲ませたけれど、吊られている左右の腕で目を拭いて涙を零さない。あまりの痛みで背筋と両腋に汗の玉を浮かべているし、それがポロリポロリと涙の代わりのように流れている。純子の女子小学生らしい真っ白な腋は、まだ一本の毛も生えたことがない美しさで、そこが汗で濡れて光り、匂いもする。匂いも女子小学生らしい若草を鎌で切ったときのような未熟な青い匂いだった。 
 ピシッ!!! 
「謝りなさい! 泣いて謝るの! 私に!」 
「………」 
 ピシィッ!!!! バシィッ!!!!! 
 どんどん茉莉那が力を込めて叩く。愛歌が心配になって言う。 
「あ…あの…」 
「黙ってなさい!!」 
 茉莉那が一喝して愛歌を黙らせた。彩花が恐る恐る言ってみる。 
「すみません…お昼にやった自己啓発セミナーは自己肯定感を増させて、ブレイクスルー、心の壁を突破させるものなんですが、新しいことに挑戦する力を生み出す反面、暴走させてしまう副作用もあって、私は大人の講師さんがやっているのを、見よう見まねでやったけど、そういえば、事前に注意があって…」 
「ごちゃごちゃうるさい! 黙ってなさいって言ってるでしょ! あなたも叩かれたいの?!」 
「「「「「……………」」」」」 
 あ……もうダメだ……この人、思いっきり副作用にやられてる……やっぱり見よう見まねで遊びに使っちゃいけない心理テクニックだったんだ……と、女児たちは思い知ったので純子を説得してみる。 
「純子ちゃん、もう謝っちゃいなよ」 
「お姉さん、だいぶ怒ってるから、ごめん、って言うだけだよ?」 
 女児たちが説得を試みても純子も意地を張り続ける。 
 バシィッ!!!!! 
「くっ…」 
「ハァ…ハァ、こうなったら、お尻だけじゃ済まさない」 
 茉莉那は真っ赤になって血が出そうなお尻を叩くのをやめて、次は純子の胸を狙った。まだ膨らみ始めたばかりの小さな乳房の種を靴べらで撫でる。 
「おっぱいを潰れるくらいに叩いてあげようか?」 
「………どうぞ…」 
「っ! 本気だよ!!」 
「フ……」 
 不敵に純子が微笑んだ。痛みで汗にまみれて前髪が額に貼りついているし、腋の汗は滝になって流れているのに、涙は流さない。脅しで言った茉莉那は後に引けなくなる。 
 バシィッ!!!!! 
 靴べらが純子の胸を撃った。 
「くっ……ぁあぁっ…」 
「「「「「……………」」」」」 
 女児たちが心配する。小さな乳房の種でもドッチボールが直撃したりすると、かなり痛いのに靴べらで叩かれたら、どれだけ痛いか想像できない。 
「さあ、泣いて、私に謝りなさい!! でないと、おっぱい潰すよ! 大きくなれないから!」 
「……ならなくていいし。好きなだけ叩け、乳デカババァ」 
 純子も副作用が出ているようで余計な意地を張っている。茉莉那が逆上して顔を真っ赤にした。 
「っ…っ! この……この……生意気な……うわああああああああああああああ!!!!」 
 もう言葉を紡げないほど感情が爆発して、純子の胸を叩き続けた。叩いて、叩いて、本気で叩き、そして靴べらの竹製の柄が折れた。 
 ボキッ… 
「ハァ…ハァ…ハァ…」 
「……っ」 
 吊られている純子の股間から、おしっこが漏れてきた。 
 ショォォ… 
 弱々しい流れで腿を濡らしていく。 
「また、おしっこを漏らした! リビングで!」 
 茉莉那は責めたけれど、もう純子は痛みで気絶していて、意識を失っての失禁だった。ぐったりと吊られたまま気絶していて言葉は耳に届いていない。 
「絶対、謝らせてやる!」 
「「「「「……………」」」」」 
 女児たちが視線を交わし合って、もう親に電話するか、警察を呼ぶかしないといけないレベルかもしれないと考え合っている。ヒソヒソと警察、通報という単語を使っている女児たちへ、茉莉那が言う。 
「通報なんてしなくていいから! 謝るべきことを謝らせるだけ!」 
「でも、これ以上は純子ちゃんが死んじゃうよ!!」 
 愛歌が叫び、他の女児も頷く。その圧力に茉莉那は叫び返す。 
「あと一回、あと一回、脅すだけ! もう叩かないから、黙ってみてなさい!!」 
「「「「「……………」」」」」 
「脅すだけ、叩かないから」 
 もう叩こうにも、靴べらは折れてしまっている。女児たちは迷いつつも、叩かない、という言葉を信じた。茉莉那は気絶している純子の右足首をビニール紐で縛ると、また梁に端を投げ、片足を吊り上げてから柱に固定した。純子は右脚を大きく開脚させられている。女子小学生の柔軟さのおかげで、ほぼ180度の開脚になり、片足と両手で吊られ、床についているのは左脚の爪先だけになった。その姿勢のつらさで純子が目を醒ます。 
「ぅぅ……」 
 ぼんやりと視界に茉莉那の顔が映る。 
「……茉莉那……」 
「呼び捨てにしないでよ!! 小学生のくせに!!」 
「フフ…」 
「生意気!!」 
 また叩こうと靴べらの柄を振り上げた。彩花が叫ぶ。 
「そんなので叩いたら危険です!」 
 折れた柄は先端が竹の繊維でささくれ立っている。叩けば刺さって血が出るのは確実だった。茉莉那が叩くのをやめて、その先端を純子の顔に突き付ける。 
「さあ、今すぐ謝れば、許してあげる。でないと、この棒で女の子の大切なところを、突き刺すよ」 
「「「「「……………」」」」」 
 そのために開脚させたんだ……脅しだよね……脅し……、と女児たちは息を飲み、茉莉那は先端を顔から股間へと近づけた。開脚されられている純子は何一つ防御できない。茉莉那はすごむ。 
「突き刺すだけじゃない、奥まで入れて、一生、子供が産めないように子宮をグチャグチャにしてあげる。もう一生、一人前の女性になれないように! 突き刺して掻き混ぜるから!」 
「「「「「「……………」」」」」 
 脅しですよね……脅し……本当にやらないですよね……脅しにしても、ひどいです、と女児たちは同じ女性として下腹部に怖さと冷たさを覚えたし、三人の女児が怖くて静かにパンツを濡らした。なのに純子は冷笑した。 
「フフ……やれば? どうぞ」 
「っ! 本気だよ!!」 
「………」 
 純子が目を閉じた。まるで覚悟しているようで、見ている女児たちの方が怖くなる。茉莉那も戸惑った。 
「本気ったら、私は本気なんだから!」 
「………」 
「っ、か、カウントダウン! それで刺すよ!! 十数えて、刺すから! それまでに、ごめんなさい、って言えたら許してあげる!!」 
「………」 
「じゅう!」 
「………」 
「きゅう!」 
 愛歌が叫ぶ。 
「純子ちゃん、謝って!」 
「はち!」 
 彩花も言う。 
「とにかく謝った方がいいよ!」 
「なな!」 
 美月が泣きながら言う。 
「純子ちゃん、意地はらないで! 死んじゃうよ!」 
「ろく!」 
 土橋も涙を零しながら叫ぶ。 
「子供が産めなくなるって、すごくつらいことだよ!! 本当に!」 
「ごぉ!」 
 また愛歌が泣き出して叫ぶ。 
「謝って、お願い! 死んじゃうから! この人、本気かもしれない!!」 
「よん!」 
「「謝ろうよ!!」」 
「さん!」 
「「純子ちゃん!」」 
「にぃ!」 
「「永戸さん、やめて!! お願い!」」 
「いち!」 
「「「もぉ嫌ぁぁあぁ!!! やめてぇぇ!!! キャァアァア!!」」」 
「ぜろ!!!」 
 茉莉那は叫んで靴べらの柄を動かした。ささくれ立った先端ではなく、手元を純子の股間に軽くあてた。その感触で純子はビクリと震えたけれど、目を開けて、痛みがなく刺されていないことに気づく。 
「…………」 
「……ハァ………ハァ……なんで……なんでよ……なんで、謝らないの?! 泣いて謝れ!!」 
 そう言った茉莉那の方が泣き出した。もうこれ以上はできないし、ここまでやったことも怖くなってくる。純子のお尻と胸は赤く腫れている。これに保護者が気づいたら、当然に茉莉那が追及される。警察に行かれるかもしれない。そうなったら、もう終わりだった。口止めも口封じも難しい。目撃者は多い。勢いで、ここまでやってしまったけれど、一気に怖くなってきた。 
「ううっ…私は……私は……こんな、つもりじゃ…」 
「茉莉那…………。愛歌ちゃん、おろして。腕がぬけそう」 
「うん!」 
 愛歌たちが協力して純子を解放してくれる。その間も茉莉那は後悔と恐怖で泣いていた。 
「ううっ…ううっ…ごめんなさい……違うの……こんなつもりじゃ……すぐ謝ってくれると……思って……悪気はなくて……ほんの勢いで……」 
「茉莉那、もういいよ。オレも悪かった。ごめん」 
「っ、ゆ、許してくれるの?! 親に言わない?! 警察に行かない?!」 
「うん、ここでのことは、ここだけ、だろ?」 
「っ、ありがとう! ごめんなさい、本当に、ごめんなさい!」 
「オレもババァなんて言ってごめん。ホントは茉莉那、すごく可愛いよ」 
「「「「「……………」」」」」 
 あれだけのことをして………泣いて謝れば、許してもらえると思うんだ……そして、許しちゃうんだ……というか、純子ちゃんって中身がホントに男の子なのかも……可愛いっていうのはお世辞じゃなくてホントに可愛いって感じてるのかも……、と女児たちが驚いているうちに、純子と茉莉那は抱き合ったし、茉莉那は泣きじゃくって謝り続けた。 
「ぐすっ……ぐすっ……」 
「ほら、茉莉那、もう泣かなくていいよ。お風呂の準備ができたって。いっしょに入ろう」 
「うんっ…ぐすっ…」 
 別荘のお風呂は広めで、一般家庭の湯船を4倍にしたくらいの大きさと、シャワー付き洗い場も4つあるので8人ずつ入浴することにして、純子たちが先に入る。女子高生と7人の女児が脱衣所で裸になり、洗い場に入った。 
「……ぐすっ…」 
 茉莉那はタオルで顔を拭きつつ、洗い場に立つと裸になったおかげで身震いし、尿意を覚えて急いで排水溝のそばにしゃがんだ。 
 シャァアァ… 
 おしっこを恥ずかしそうに排水溝へかけている。 
「はぁぁ…」 
 おもらしではない排泄を久しぶりにできて寛いだタメ息を漏らしているけれど、純子たちは凝視する。 
「……茉莉那……お前……」 
「永戸さん……」 
「お風呂で、おしっこしちゃうなんて……」 
 彩花や愛歌も驚き固まる。茉莉那は恥ずかしくて顔を赤くした。 
「そんなに、こっちを見ないでよ」 
「「「「「……………」」」」」 
 この人……すっかり忘れてるんだ……頭悪いのかな……それとも、外部から高校に入る人って、この程度なのかな……、と女児たちは考えつつも異口同音する。 
「「「「「ルールその4おしっこをするときパンツを脱いではいけません。ただし、お風呂は別ですが、お風呂でおしっこした人には罰ゲームを考えます」」」」」 
「っ?!」 
 茉莉那がルールを思い出した。 
「こ、これはその! ……ち、違うの! ゆ、許して! ごめんなさい!」 
「フフ」 
 純子が楽しそうに微笑む。 
「さんざん、オレのこと叩いてくれたよな?」 
「っ、ご、ごめんなさい! で、でも、あれは許してくれるって!」 
「ああ、許した。けど、罰ゲームはあるよな?」 
「ひっ…、……ヤ……ヤダ! 痛いの嫌なの! 叩いたりしないで!」 
 茉莉那は乳房を右手で、お尻を左手で押さえた。女児たちが呆れる。 
「「「「「………」」」」」 
 あれだけ純子ちゃんに、ひどいことして……どの口で言うんだろ……これ、血を見るかも……、と不安になったけれど、純子は怯えている茉莉那のお尻を撫でた。 
「茉莉那の可愛くてキレイなお尻とおっぱいを、叩いたりするわけないだろ。でも罰ゲームはある」 
「っ…どんなのなの?」 
「そうだな……」 
 純子は少し考え、その内容を茉莉那の耳元に囁いた。聴いた茉莉那は拒否したかったけれど、選択権が無いことは理解しているので諦める。 
「……ぅぅ……ぐすっ……わかりました……」 
 泣きべそをかいて茉莉那は脱衣所に戻ると、服を着ないで裸のままリビングに行った。 
「ぐすっ………」 
「あれ? 永戸さん、どうしたんですか?」 
 リビングで土橋は友達4人とカードゲームをしていたけれど、裸の茉莉那を見て問うた。 
「ぐすっ………」 
 茉莉那は答えず頭をさげて仕草で謝り、申し訳なさそうにテーブルの上に拡がっているカード類をどける。いきなりゲームを中断されたけれど女児たちは茉莉那が泣きそうな顔をしているので、とりあえず見守る。 
「……ぐすっ……」 
 茉莉那はテーブルから物をすべて片付けると、そこに乗った。テーブルにあがり、仰向けに寝転がる。 
「永戸さん……何をやって……」 
「…ぐすっ……」 
 恥ずかしくて顔から火が出そうな想いをしつつ、茉莉那はテーブルに仰向けに寝たまま両手を頭の上にあげ、両腕でアルファベッドのOをつくる。さらに恥ずかしさで膝を震わせつつ、開脚して両膝を拡げ、足の裏は両方を密着させて両脚でもOをつくった。 
「……ぐすっ……」 
 見ないで……お願いだから……こんな姿、見ないで……、と茉莉那は涙を零しながら純子に命じられた8の字を全身でつくって、あとは無言でいる。たとえ質問されても何も言うな、という命令までついていた。 
「ぐすっ……ひっく……ひっく……」 
 恥ずかしくて泣けてくる。テーブルの上で行儀悪く8の字をつくって寝ている姿が天井の間接照明についている鏡面加工の円盤で自分でも見える。その周囲を女児たちが不思議そうに囲んでいる。土橋が問うてくる。 
「永戸さん、何をしているんですか?」 
「……ひっく………ひっく……」 
「泣くほど嫌ならやめたらどうですか?」 
「…ううっ…ひっく…ううっ…」 
「やめられないんですか? ……あ、鹿狩さんに何か言われて? 仕返しされてますか?」 
「ぐすっ……ひっく……」 
「答えることも禁止されてるんですね? もしかして、お風呂でおしっこしたりしましたか?」 
「っ…ぐすっ…ひっく…」 
「したんですね。はぁぁ……」 
 賢い女児たちは茉莉那が説明できなくても正確に状況を察した。そして、さらに深く忖度してみる。わざわざ茉莉那の発言を封じ、女子として恥ずかしすぎるポーズを取らせ、まるで俎上の鯉のように土橋たちの前に晒しているのが、靴べらが折れるまで叩かれた仕返しだとすれば、今から何をするべきか、だいたい理解した。 
「それにしても、この人、ホントにバカ」 
「だね。さっきの傑作だった。泣いて謝れ、って言ってた人が泣いて謝り出したし」 
「ってかさ。なんか変な匂いしない?」 
「うん、する。なんか臭い」 
「臭い、臭い」 
「ひっ、ひっく…ひっく…ううっ…」 
 茉莉那も自分の匂いは自覚していた。お昼から一日おもらし我慢大会という変な遊びをさせられて、変な汗をいっぱいかいたので腋から匂いがする。腋だけでなくて、何度もおしっこおもらしをした股間も匂う。全身で8の字をつくる今のポーズは、その匂いが拡がる姿勢だった。女児たちは言葉の靴べらで茉莉那を叩く。 
「超臭い」 
「こんな匂い、人間からするもの?」 
「ババァだし」 
「あ、ババァだからね」 
「きゃははは、ババァ臭い」 
「ひっく…ううっ…ひっく…」 
「よく泣くね。幼稚園児みたい」 
「おもらしもするし」 
 絶え間なく女児たちに打ちのめされ、純子たちが風呂から揚がってくるまで茉莉那は泣き続けたし、揚がってから愛歌も一番に言う。 
「臭っ…なに、この匂い?」 
 お風呂で身体を洗い、シャンプーもした愛歌たちにはリビングの匂いは強烈だった。お昼から16人の女子が何度もおしっこおもらしをしたので床はすぐに拭いていたけれど、部屋全体がおしっこ臭い。それに鼻が慣れていたのに入浴でリセットされ、あらためて息をすると、とても臭かった。 
「うさぎ小屋みたいな匂い」 
 彩花も鼻を摘みつつ言う。 
「おさきぃ。お風呂、交替だよ。あと、ルール覚えてるよね。お風呂場でおしっこしたら、もれなく罰ゲーム、永戸さんみたいなめに遭うよ」 
「「「「はーい」」」」 
 返事をした女児たちのうち二人が漏らしてから風呂場に行く。純子たちはパジャマを着てサッパリとした身体で茉莉那を囲んだ。 
「茉莉那」 
「ひっく…ううっ…」 
 もう許して、というアイコンタクトを送ったけれど、これから純子は楽しむつもりだった。そっと茉莉那の身体へ顔を近づける。 
「フフ、茉莉那って変わった匂いがするね」 
「っ…ひっく…」 
「臭いような、でも、いい匂いなような」 
 そう言って純子は茉莉那の腋に鼻を近づける。 
「なんともいえない、香り」 
「純子ちゃん、どんな匂いなの?」 
 愛歌が好奇心で問うた。 
「う~ん、言葉で言うのは、難しいかな。愛歌ちゃんも嗅いでみる?」 
「……やめとく」 
 愛歌は気持ち悪そうに言った。汗臭くなった同性の腋なんか嗅ぎたくない、という顔なのが茉莉那を傷つける。 
「ひっく…ううっ…」 
 涙も拭けないので目の左右がビショ濡れだった。その涙を純子が舐める。 
「美味しい。お風呂で喉が渇いたからかな」 
「歯も磨いたし、今からはジュース無しでお茶のみだね」 
 基本的には生真面目な女児たちは虫歯予防も心がけている。純子は涙を舐め取った後、さらに茉莉那の腋も舐めた。 
「ひっ?! ぐすっ…」 
 くすぐったくて茉莉那はビクリとしたけれど、命じられた8の字は保つ。純子は舐めているうちに興奮してきたような顔になって今度は茉莉那の股間を舐め始めた。 
「「「「「……………」」」」」 
 え………純子ちゃん………何してるの………そんな汚いところ、なんで舐めて……、と女児たちはお茶を噴きそうになりつつ黙って見つめる。純子は舐め続け、茉莉那は震えつつも黙って受けている。そのうちに土橋たちも風呂から揚がってきた。 
「臭い……」 
「お風呂上がりだと、強烈……」 
 鼻がリセットされた女児たちは、自分たちのおしっこの匂いと茉莉那の匂いにたじろいでいる。慣れるまで臭さに耐え、お茶を飲みながら土橋が純子に問う。 
「お風呂に入ってないの。永戸さんだけだけど、お湯、どうするの?」 
「茉莉那はお風呂、抜きの刑。おしっこしたし」 
「ぐすっ…」 
 悲しそうに茉莉那はテーブルに寝たまま純子を見上げた。匂いのきつい両腋と股間を晒す両腕と両脚でOをつくるポーズを強いられ、発言さえできない。ただ恥ずかしがって涙を滲ませるだけの茉莉那へ純子が新しいことを告げる。 
「茉莉那、目を閉じて」 
「…ぐすっ…」 
 逆らう選択肢などないので茉莉那は素直に目を閉じた。純子は声のトーンを自己啓発セミナーを司会していたときの彩花のように穏やかなものに変え、ゆっくりと話す。 
「さあ、茉莉那、想像して」 
「……ぐすっ…」 
「ここは学校の教室です」 
「…ぅぅ…」 
「あなたは裸」 
「……」 
「そして、机を6つ並べて、仰向きに寝ている。今の姿で」 
「…ぅぅ…」 
「なぜだか、あなたは身体が動かせない。今のまま身動き一つできない」 
「……」 
「そして、私は男子です。他の子たちも男子、みんな、あなたと同い年、そんな男子たちが、あなたを囲んで見ています」 
「っ…っ…」 
 もともと赤かった茉莉那の顔がリンゴよりも赤くなる。 
「さあ、もっと細かく想像して。オレの顔を。オレは君と同い年の男子なんだ。可愛い茉莉那を見てる」 
「…っ…っ…」 
 茉莉那の脳内で純子が男性化される。成長して男子になった純子の顔は、末兄の英雄(ひでお)と重なった。兄妹なので茉莉那から見れば、よく似ていることもあり、もう英雄に裸の自分を見下ろされている気になってしまう。そして、英雄を想像すると、他の男子たちはサッカー部の面々に感じられ、茉莉那の羞恥心は高まりすぎて心臓が爆発しそうになる。恥ずかしくて閉じている瞼から涙が溢れている。 
「…ハァ…ハァ…ハァ…」 
 学校の教室で全裸、しかも珍妙なポーズで両腋と股間を男子たちに晒していると想うと茉莉那は息を荒げ、乳首を勃起させて震わせた。汗が浮き、両腋に貯まる。その匂いを男子たちに嗅がれているかと想像すると、気絶しそうなほど恥ずかしかった。 
「フフ、可愛い。オレの手を想像して」 
「ハァ…ハァ…」 
 茉莉那は英雄の手を想像した。 
「触るよ」 
 純子の指先が茉莉那の唇に触れる。そこからスーっと喉元、胸元、お腹、さらに股間まで撫で通る。 
「ハァっ…ハァっ…ぁあっ…」 
 声を出してはダメだと言われていたのに出してしまうほど動転している茉莉那をいとおしそうに純子は見下ろし、暗示をかけるのをやめる。 
「はい、戻ってきて。ここは別荘。女子しかいません。安心して」 
「…ハァ………ハァ……」 
「可愛かった」 
「…ぅぅ…ぐすっ…」 
 想像に過ぎなかったけれど、これ以上ない恥辱の体験だった。なのに、さらに困った事態が茉莉那の身体に生じる。 
 ゴロゴロ… 
 茉莉那のお腹が鳴った。ずっとテーブルに寝ていて腰が冷えたし、夕食の後なので便意が湧いてきた。おしっこおもらしではない排泄の欲求が急激に膨らんでくる。 
「ううっ…ううっ…」 
 茉莉那は目で必死に訴えてみる。すぐに誰もが気づいたのに、純子は気づかないフリをする。 
「茉莉那? なに?」 
「ううっ…うううっ…」 
 ゴロゴロ… 
 お腹が鳴っている。このままではテーブルの上で失禁しそうだった。ジュースを大量に飲まされたのは、おしっこだけでなく便意にも影響して、かなりゆるくなっている気配だった。 
「フフ、茉莉那、可愛い、必死すぎ」 
「ううっ…ううっ…ひっく…」 
 涙を再び流して、茉莉那はイヤイヤと首を横に振っている。人間としての最後の尊厳だけは残してほしかった。この場のルールも、おしっこをトイレでしてはいけません、となっていて暗黙の了解があるのでトイレには両面テープで貼りつけた錠前がかかっているけれど、その鍵はリビングのわかりやすいところに置いてあり、何人かの女児はトイレを使っていた。けれど、今の茉莉那は罰ゲームで動くことができない。動けば、より重い罰ゲームだと言われているので、ただ目で訴えることしかできなかった。 
「フフ、茉莉那。このあたりをギューって、押したら、どうなるのかな?」 
 純子が右手で茉莉那の腹部、膀胱より少し上の左寄りへ触れた。 
「ひっく…ひっく…」 
「ギューって押したら、マヨネーズのチューブを踏んだみたいにニューってなるのかな?」 
「ううっ…うううっ…」 
「「「「「……………」」」」」 
 女児たちは黙って見守る。夕食がカレーだったので、あまりいい気分はしない。茉莉那は必死に純子へ視線を送り、女児たちの視線も純子へ集まっている。純子が決めた。 
「よし、罰ゲーム、ちょっと中断。茉莉那、トイレへ行っておいで」 
「はひっ! ありがとうございます!」 
 茉莉那は人間としての最後の尊厳は残してもらい、鍵をもってトイレに駆け込んだ。なんとか間に合い、温水便座で念入りに洗ってからテーブルに戻った。けれど、テーブルの脚にビニール紐が結ばれていたので自分の状況が、さっきより悪くなるのにも気づいた。 
「ぐすっ…」 
「中断した分、ちょっと追加するよ。あと、もう喋っていい。茉莉那の声、聴きたいし」 
「はいっ…どうすれば、いいですか? …ぐすっ…」 
「「「「「……………」」」」」 
 この人はもう言いなりになることで、早く許してもらう気なんだ……純子ちゃんが、どんなに叩かれても屈さなかったダイヤモンドみたいな硬い精神なら……この人はお豆腐みたい……年齢って関係ないのかな……、と女児たちが想っているうちに茉莉那はテーブルの上で手足を縛られ、固定された。大の字に寝た状態から動けなくなる。 
「…ぐすっ…ううっ…」 
「茉莉那、手足、痛くない?」 
「はい…痛くはないです…」 
「さっき吊られたのは腕がぬけて、脚が外れるかと思ったよ」 
「ううっ…ごめんなさい……どうか、叩かないで…」 
「叩かないよ、ちょっと遊ぶだけ」 
 そう言った純子は楽しそうに茉莉那の身体に触れていく。髪や頬を撫で、胸を触り、肌を舐め、そのうちには股間まで触ったり舐めたりしていき、かなり興奮した顔で茉莉那へキスをした後、手の甲を向けると中指だけを立てて示した。 
「っ…」 
 茉莉那が緊張する。そのジェスチャーの意味を考えると、身の危険さえ感じる。 
「茉莉那……フフ…」 
 純子は中指を立てたままの手を自分の股間にもっていき、指先を茉莉那に向けた。 
「っ…な……なにをする気……なの…」 
「大丈夫、痛くしないから」 
 典型的なセリフを言われて茉莉那は脚を閉じようとしたけれど、ビニール紐のおかげで動けない。 
「ま、待って! お願い!」 
「茉莉那……可愛い」 
「「「「「……………」」」」」 
 女児たちも一気に緊張する。さきほどまでは悪ふざけかな、と思って見ていたけれど、いよいよ一線を越える行為な気がする。茉莉那が血相を変えて懇願する。 
「お願い! やめて、私は処女なの! そういうことしないでください!」 
「いいだろ、ちょっと入れるだけだからさ」 
「っ、いや、いや! お願い! 嫌なの! やめて! やめて! それだけは許して!」 
 茉莉那は手足をバタつかせたけれど動かせない。いよいよ追いつめられ、純子が身体を重ねようとしてきたので叫ぶ。 
「嫌ぁあぁ! 助けてぇ! 嫌、嫌!! お願いだから! やめて! ぅぅっ、ううっ、うわあああん!! 誰か助けてぇ!! お母さん! お母さん!! うわああああん!」 
「……茉莉那……そこまで嫌がらなくても……」 
 純子は本気で嫌がられて急に興奮が冷めた顔になった。 
「茉莉那……」 
「嫌ぁああ! 嫌ぁああ! 助けてぇえ!!」 
「……もういいよ。罰ゲーム、終了。………フフ、本気にした? オレにカウントダウンで突っ込むって言うからさ。ビビらせて、やっただけ。おあいこだろ」 
 そう付け足してハサミでビニール紐を切った。解放された茉莉那は強姦されかけた少女のように啜り泣いた。 
「ぐすっ…ぐすっ…うぐうっ…ぐすっ…」 
「ごめんな、茉莉那。やりすぎた」 
「ひぐっ…私こそ……ごめんなさい……あんな棒を刺すなんて、脅して……どれだけ怖いか、わかりました…ぐすっ…ひっぐ…」 
「よしよし」 
 泣きじゃくる茉莉那を抱きしめる純子を見ていると女児たちは微妙な気分だった。 
「「「「「……………」」」」」 
 この二人……噛み合ってるようで……微妙に噛み合ってないというか……すれ違いというか、大違いというか……なんなんだろ……、と先行きが不安になる。彩花が身震いした。 
「あ……ごめん……おしっこ出る……限界…」 
 せっかく入浴したのに、パジャマとショーツを濡らしていく。 
 シュゥゥゥウ… 
 美月も続いて漏らす。 
「彩ちゃん、私も、おしっこ出る…」 
 おしっこではトイレが使えないルールな上、飲み物は勧め合うので絶え間なく誰かが漏らしている。寝るためにリビングに人数分の布団を敷き、オネショシーツも必需品として敷いた。しっかりと敷かれたオネショシーツを見て、茉莉那が不安そうにモジモジとする。 
「ぐすっ……私、オネショシーツなんて持ってきてないよぉ…」 
「あ、そっか」 
 純子が気づいた。茉莉那には合宿が始まるまで説明していなかったし、女児たちは10歳なので母親へ、オネショが不安なの、と申告すれば、はいはい、と用意してくれたものの、茉莉那は用意がない。布団はレンタル品なので、おしっこで濡らすわけにはいかなかった。 
「じゃあ、茉莉那、オレと寝よう。二人で一つのオネショシーツで」 
「……ぐすっ……変なことしない?」 
「嫌なら、布団で一人で寝て」 
「うぅぅ……」 
 明日の朝、自分が一人だけ布団を濡らして起きる姿を想像して茉莉那に選択肢がなくなった。二つの布団にオネショシーツを横にして敷き、純子と茉莉那が近づいて寝る。彩花が言う。 
「電気、消しまーす。おやすみぃ」 
「「「「「おやすみ」」」」」 
 女児たちがそれぞれに布団に入る。漏らしたばかりの子は、すぐに眠れるけれど、今にもおしっこおもらしをしそうな子は膀胱がうるさくて眠れない。ほどほどの尿意だった子は入眠して直後にオネショしたりしている。 
「…あうぅ……お母さん……おしっこ……おしっこ……漏れるぅぅ…」 
 土橋が寝言で母を呼びながら漏らしている。純子も尿意が強くて眠りにくかった。 
「茉莉那、起きてる?」 
「…うん…」 
「おしっこは?」 
「寝ちゃったら漏らすかも。ぐすっ……高校生になってオネショなんて……」 
「もう気にしなくていいほど、今日、漏らしただろ?」 
「うぅぅ……絶対、ここでのこと、学校で言わないでよ」 
「わかってる。ちょっと、お腹、触らせて」 
 純子が右手で茉莉那の下腹部に触れる。膀胱の上を優しく撫でた。 
「あうぅ……それ以上は強く触らないで、漏らしちゃうから。仕返しするよ」 
 茉莉那が左手で純子の下腹部を軽く押してみる。 
「うくっ…オレも漏らしそう」 
「また、オレなんて言って」 
「いいだろ」 
 純子が身体を茉莉那に近づけた。布団の中で、純子が上になり、茉莉那を組み敷く。ちょうど男女が正常位で交わるような体勢になった。 
「なにするの?」 
「どっちが我慢できるか競争」 
 そう言って純子が自分の下腹部を茉莉那の下腹部に押しあてる。 
「うぅぅ…」 
「くっ…」 
 二人とも尿意が強まり呻いた。 
「ハァ…もう漏れちゃうよ……漏らさないと寝られないかも…」 
「まだ我慢して。茉莉那が必死に我慢してる顔、すごく可愛い」 
「そうやって呼び捨てにして……いくつ年上だと想ってるの?」 
「歳なんて関係ない」 
「……」 
 茉莉那が返答に困り、純子は下腹部を押し合わせる。 
 グッ…グッ… 
 二人の下腹部が何度も重なる。 
 パン…パン… 
 だんだん強く純子が押しあてていく。 
「うぅぅ…ハァ…ハァ…漏れる…ハァ…」 
「ハァ…くっ…ハァ…」 
 パン! パン! 
「はぅ…はぅぅ…もう……もうダメ…」 
「ハァ! ハァ! ううっ!」 
「ああっ!」 
「くっ、オレも!」 
 ビュッ! ビュッ! ジョワァアアッァ… 
 二人が同時に、おしっこおもらしをして股間が温かくなり、二人のおしっこが混じり合った。 
「ぐすっ……パジャマの替え……ないのに…」 
 茉莉那が起きて着替えようとすると、純子は抱き止めた。 
「もう少し、このまま」 
「……すぐ冷たくなるよ」 
「いいから、もう少しだけ」 
「……」 
 茉莉那が着替えるのを諦めた。純子はしばらく身体を重ねていたけれど、おしっこが冷たくなると茉莉那の上からどいて、仰向きに寝てつぶやく。 
「………なんで……オレに……おチンチン……無いんだろ………くそっ…」 
「………………」 
 この子……本気で男の子になりたいのかな……、と茉莉那は想ったけれど、今日一日とても疲れたので、そのまま眠ってしまった。 
  
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