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武人祭
劣勢
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――アヤトサイド――
開始から一分足らずでミランダ、ガーランド、ルビアが大の字で倒れたり膝を突いていた。
顔見知り以外を除けば、まともに立っているのはアリスのみとなっている。
【こここ、これはどういうことでしょうか……!?皆さん名の知れている方々、ミランダ選手とガーランド選手、ルビア選手が呆気無く倒されてしまったぁぁぁぁっ!!何が起きたかわからない!わかるのは、先頭開始後に先程まで仲良く談笑していた方たちが一斉にアヤト選手へと集中砲火をし、次の瞬間には全員吹き飛ばされてしまっていたという事実のみ!一体何が起きたと言うんだっ!?】
静まり返る会場に司会者の声だけが響く。
アヤトたち以外の参加者たちも彼ら彼女らに目を奪われ、呆然と立ち尽くしてしまっていた。
コノハだけは未だにアヤトとぶつかることはしておらず、少し離れたところで見物客のように見ている。
【おおっと、そしてアリス選手も動き出す――って、えぇぇぇぇっ!?】
アリスの僅かな挙動を実況する司会者だったが、次の瞬間には数度の破裂音と共に彼女はアヤトの後方へ吹き飛ばされていた。
合気道に似た技によって投げられたアリスは、その勢いのまま壁に衝突して上半身が埋まってしまう。
【今の一瞬で何が起きたのでしょう……?彼女は過去で一度だけ参加した記録があり、そこで優勝しています……が、そのアリス選手が赤子の手をひねるように吹き飛ばされてしまったぁぁぁぁっ!】
司会者が興奮した状態で一旦言葉を区切り、そのまま続ける。
【こんなことがありえるのでしょうか!?ここにいるのは一人を除き、世界で認められ引退した人も合わせれば十人ほどしかいないSSランクの冒険者たち!しかしそんな方々のうち、四人がたった一人にノックアウトされてしまうという前代未聞の状況となっております!……というか本当に何を何をしたんだ、アヤト選手!?】
「……一人でやかましいな」
実況を続ける声にアヤトが不満そうに呟き、片耳を押し込めていた。
「まだだ、私はまだ満足していないぞ、アヤト殿!」
ミランダが立ち上がり、頬を赤らめた恍惚な表情を浮かべてアヤトに斬りかかる。
【しかしミランダ選手も負けじとアヤト選手に再び挑みに行く!さらに速さは今までより格段に上がり、もはや目では負いきれない!だがアヤト選手も対抗し、その猛攻を弾く弾く!】
ミランダの放ったいくつもの斬撃にアヤトの籠手が当てられ、目が眩むような火花を散らしていた。
だが彼女の攻撃は次第に、さらに加速を増していく。通常の状態からスキルを使い始めているのだ。
一般人の観客から見たその攻防は壮絶を極め、ミランダ自身のカリスマも相まって司会者の言葉と共に興奮が最高潮へと達していた。
対してアヤトたち両者は互いの実力の差をそれぞれ感じている。
ミランダは手の届かない圧倒的な力を前に笑みを浮かべ、アヤトはハイハイし始めた赤ん坊を相手にしているかのような見守る視線を彼女に向けてフッと笑っていた。
「かなり腕を上げたな。そろそろ俺たち達人の領域に来れるんじゃないのか?」
「ハハッ、嬉しいことを言ってくれるな……さすがにあれだけ毎日、アヤト殿にしごかれれば嫌でも上達するさ!」
不敵に笑ってそう言うミランダの速度が急激に上昇し、アヤトの背後に回る。
「取った!」……ミランダは自分でも把握していなかった速度で彼を上回り、してやったと一瞬の高揚感を覚える。
――そう、一瞬。
そう思った次の瞬間にはミランダの顔面には、横に回り込んだアヤトに蹴りを入れられ、再び飛ばされてしまう。しかも糸の切れた人形のように何度も地面と宙を行き来する無残な飛ばされ方をしていた。
【き、決まったぁぁぁぁっ!!一瞬のことでしたが、ミランダ選手の顔面に膝蹴りが入ったのを見ました!女性相手にもなんという容赦の無さでしょう!到底人間とは思えません!】
「そこまで言うか……」
ミランダの上半身が壁に埋め込まれるのを横目に、アヤトが司会者の言葉に小さく呟いて肩を落とす。
そんな彼にコノハが攻撃を仕掛けた。背後から首に向かって伸びる短剣。
しかしアヤトはそれをわかっていたかのように、余裕の笑みを浮かべて二本の指で摘まみ止めて見せた。
「不意打ちのつもりだったか?挨拶でもしに来たのかと思ったよ」
「酷い挑発だな……まぁでも、さっき会った時に不意打ちは無理だってわかってたんだからいいんだけど、ねっ!」
コノハは獲物である短剣をアヤトに摘ままれたままその場に残し、高速で移動し始める。
別の短剣を両手に持ったコノハが、凄まじい速度の攻撃を繰り出す。
【これは凄い!不意打ちを防いだアヤト選手もだが、コノハ選手も姿が見えなくなるほど目まぐるしい猛攻を見せ、激しい攻防に他選手を唖然とさせています!】
激化する戦いに、今まで唖然としていた観客から盛り上がりを見せる声が至る所から上がった。
そんな時、コノハの動きが突然ピタリと止まる。
「中々殺せないな……ならもう、いいや」
「……何?」
その瞬間、会場全体にいるアヤトを含めた人々の背中に寒気が走るほどの歪んだ笑顔を浮かべた。そして……
「『忍殺』」
「……カハッ!?」
コノハは黒いもやのようなものを纏って一瞬でアヤトの背後に回り、いくつもの斬撃を浴びせた。
アヤトはそれを防ぐことも受け流すこともできず、全て受けてしまう。
――――
――カイトサイド――
【ファイッッッ!!】
「「ハァァァァァッ!!」」
開戦の合図と共に走り出すカイトとジスタ。両者の剣と剣が激しくぶつかり合い、けたたましい金属音を鳴り響かせた。
遅れてサイとミーナも前に出てリリスが詠唱を始め、リナがドレスグローブから大弓を形成する。
リナの行動に観客席から驚きの声が上がった。
【開始早々から激化する戦い!今まで参加する傾向の無かったジスタ選手だが、今回はいきなりトップギアでカイト選手と真っ向勝負ッ!しかもリナ選手は身の丈に近い大弓を形成する不思議なドレスグローブを使う!見たことがない魔道具だが、物を収納するタイプなのか……?】
騒ぐ司会者と観客を他所にサイがギッシュとぶつかり、リリスの放った魔術がニーチャとルーチェの放つ魔法とぶつかり、漏れ出た分をリナが素早い動作で全て撃ち落とす。
「オォォォォッ!!」
打ち合うカイトにレチロラが斬りかかり、その間にミーナが割って入り防ぐ。
「邪魔だ、どけ!」
「ダメ。男の勝負を邪魔しちゃいけない」
ミーナは神衣を使い、激しい斬撃を互いに繰り出す。しかしレチロラもまた同様に体が光り、ミーナの速度に追い付いた攻撃を放っていた。
「あなたもそれを……」
「私も驚いたぞ、学生で私以外にもこれを使える者がいたとは。だがまだ使えるようになって日がまだ浅いな?技のキレが粗いぞ!」
「っ!?」
同等の斬撃を繰り出していたはずの両者だったが、ミーナが力負けして吹き飛ばされていた。
「っ……つよっ……」
「速さに振り回され、力を発揮できてない!本当は気に入らないが、コノハというあの男に鍛えられたおかげで貴様に負ける気さえしない!」
体勢を崩したミーナに追撃をするレチロラ。
ミーナは攻撃することをやめ、猫人族特有の身軽さで回避に専念する。
「チッ、ちょこまかと……!」
「簡単には負けてあげない……!」
カイトの元へ行かせないよう牽制しつつ、隙を見て攻撃を仕掛けようとするミーナにレチロラが苛立っていた。
そしてステージ上を飛び交う投擲物や魔法魔術。リナとリリス、ルーチェとニーチャが数多く放つ魔法魔術や矢はまるで流星のようで、カイトたちの周りに降り注いでいた。
サイやリナたちはそれぞれでその雨のように降り注ぐ魔法魔術を避けたり防いで対処していた。
「私たちの魔術を相殺するなんて生意気ー!」
「生意気生意気ー!なんであんな陰気な奴が王子に気にかけられてる上に強いのー?」
「「……生意気な奴にはちょっとくらいお仕置きしていいよねー?」」
双子が浮かべていた笑顔が歪む。そして同時にリナとリリスの足元に魔法陣が展開される。
「「っ!?」」
二人は直前で気付き逃げようとする。だが魔法陣からは爆発が起き、直撃はしなかったものの壁まで吹き飛ばされてしまう。
リナはミーナ並みの身軽さで受け身を取るが、リリスは地面に伏して動けなくなってしまった。
【戦闘開始から間もなく、いきなり脱落者か?コノハ学園側で凄まじい爆発が起き、後衛二名が吹き飛ばされてしまった!リナ選手はなんとか耐えたようだが、リリス選手は動く様子がない!どうやらリタイアのようだぁぁぁぁっ!!これでコノハ学園で残るは四名、この武人祭始まって初めての脱落者だ!】
「あーあ、残念。別の方をやっちゃったか」
「残念残念。でもいいんじゃない?あっちもムカつくおっぱいしてたし」
ニヒヒといやらしく笑うニーチェたち。
すると司会者の実況を聞いてしまったカイトがリナを心配する。
「リナ、大丈夫か!?」
「余との一騎打ちに余所見とは余裕だな?」
視線がズレた瞬間のカイトに、ジスタが即座に斬り込む。
カイトは体を逸らして反応し、鞘に納めていたもう一本の刀を抜き放つ。
ジスタもまた、腰に携えていた小刀を抜き、ガキンッと金属音を鳴らしながら防いだ。
「……おかしいですね、この刀って切れ味凄過ぎて地面とか岩がスパスパ切れちゃうやつなんだけど……なんで防げるの?」
「はっはっは、なんだ、お前もか。余も師から譲り受けたこの短剣でなぜ鍔迫り合いができていたのか不思議だったぞ。刃が片面しかない珍しい武器だが、レチロラや他の者と手合わせした時など防ごうとするだけで相手の武具が切り刻まれてしまっていたからな……ふむ、もう少し本気でもいいということか」
ジスタの言葉にカイトが「何?」と口にしようとしたところで、カイトの持つ剣と刀が上に弾かれてしまう。
「ほれ、がら空きだぞ」
隙だらけとなったカイトの胴体に、ジスタが剣と小刀を交差させて斬り付けた。
開始から一分足らずでミランダ、ガーランド、ルビアが大の字で倒れたり膝を突いていた。
顔見知り以外を除けば、まともに立っているのはアリスのみとなっている。
【こここ、これはどういうことでしょうか……!?皆さん名の知れている方々、ミランダ選手とガーランド選手、ルビア選手が呆気無く倒されてしまったぁぁぁぁっ!!何が起きたかわからない!わかるのは、先頭開始後に先程まで仲良く談笑していた方たちが一斉にアヤト選手へと集中砲火をし、次の瞬間には全員吹き飛ばされてしまっていたという事実のみ!一体何が起きたと言うんだっ!?】
静まり返る会場に司会者の声だけが響く。
アヤトたち以外の参加者たちも彼ら彼女らに目を奪われ、呆然と立ち尽くしてしまっていた。
コノハだけは未だにアヤトとぶつかることはしておらず、少し離れたところで見物客のように見ている。
【おおっと、そしてアリス選手も動き出す――って、えぇぇぇぇっ!?】
アリスの僅かな挙動を実況する司会者だったが、次の瞬間には数度の破裂音と共に彼女はアヤトの後方へ吹き飛ばされていた。
合気道に似た技によって投げられたアリスは、その勢いのまま壁に衝突して上半身が埋まってしまう。
【今の一瞬で何が起きたのでしょう……?彼女は過去で一度だけ参加した記録があり、そこで優勝しています……が、そのアリス選手が赤子の手をひねるように吹き飛ばされてしまったぁぁぁぁっ!】
司会者が興奮した状態で一旦言葉を区切り、そのまま続ける。
【こんなことがありえるのでしょうか!?ここにいるのは一人を除き、世界で認められ引退した人も合わせれば十人ほどしかいないSSランクの冒険者たち!しかしそんな方々のうち、四人がたった一人にノックアウトされてしまうという前代未聞の状況となっております!……というか本当に何を何をしたんだ、アヤト選手!?】
「……一人でやかましいな」
実況を続ける声にアヤトが不満そうに呟き、片耳を押し込めていた。
「まだだ、私はまだ満足していないぞ、アヤト殿!」
ミランダが立ち上がり、頬を赤らめた恍惚な表情を浮かべてアヤトに斬りかかる。
【しかしミランダ選手も負けじとアヤト選手に再び挑みに行く!さらに速さは今までより格段に上がり、もはや目では負いきれない!だがアヤト選手も対抗し、その猛攻を弾く弾く!】
ミランダの放ったいくつもの斬撃にアヤトの籠手が当てられ、目が眩むような火花を散らしていた。
だが彼女の攻撃は次第に、さらに加速を増していく。通常の状態からスキルを使い始めているのだ。
一般人の観客から見たその攻防は壮絶を極め、ミランダ自身のカリスマも相まって司会者の言葉と共に興奮が最高潮へと達していた。
対してアヤトたち両者は互いの実力の差をそれぞれ感じている。
ミランダは手の届かない圧倒的な力を前に笑みを浮かべ、アヤトはハイハイし始めた赤ん坊を相手にしているかのような見守る視線を彼女に向けてフッと笑っていた。
「かなり腕を上げたな。そろそろ俺たち達人の領域に来れるんじゃないのか?」
「ハハッ、嬉しいことを言ってくれるな……さすがにあれだけ毎日、アヤト殿にしごかれれば嫌でも上達するさ!」
不敵に笑ってそう言うミランダの速度が急激に上昇し、アヤトの背後に回る。
「取った!」……ミランダは自分でも把握していなかった速度で彼を上回り、してやったと一瞬の高揚感を覚える。
――そう、一瞬。
そう思った次の瞬間にはミランダの顔面には、横に回り込んだアヤトに蹴りを入れられ、再び飛ばされてしまう。しかも糸の切れた人形のように何度も地面と宙を行き来する無残な飛ばされ方をしていた。
【き、決まったぁぁぁぁっ!!一瞬のことでしたが、ミランダ選手の顔面に膝蹴りが入ったのを見ました!女性相手にもなんという容赦の無さでしょう!到底人間とは思えません!】
「そこまで言うか……」
ミランダの上半身が壁に埋め込まれるのを横目に、アヤトが司会者の言葉に小さく呟いて肩を落とす。
そんな彼にコノハが攻撃を仕掛けた。背後から首に向かって伸びる短剣。
しかしアヤトはそれをわかっていたかのように、余裕の笑みを浮かべて二本の指で摘まみ止めて見せた。
「不意打ちのつもりだったか?挨拶でもしに来たのかと思ったよ」
「酷い挑発だな……まぁでも、さっき会った時に不意打ちは無理だってわかってたんだからいいんだけど、ねっ!」
コノハは獲物である短剣をアヤトに摘ままれたままその場に残し、高速で移動し始める。
別の短剣を両手に持ったコノハが、凄まじい速度の攻撃を繰り出す。
【これは凄い!不意打ちを防いだアヤト選手もだが、コノハ選手も姿が見えなくなるほど目まぐるしい猛攻を見せ、激しい攻防に他選手を唖然とさせています!】
激化する戦いに、今まで唖然としていた観客から盛り上がりを見せる声が至る所から上がった。
そんな時、コノハの動きが突然ピタリと止まる。
「中々殺せないな……ならもう、いいや」
「……何?」
その瞬間、会場全体にいるアヤトを含めた人々の背中に寒気が走るほどの歪んだ笑顔を浮かべた。そして……
「『忍殺』」
「……カハッ!?」
コノハは黒いもやのようなものを纏って一瞬でアヤトの背後に回り、いくつもの斬撃を浴びせた。
アヤトはそれを防ぐことも受け流すこともできず、全て受けてしまう。
――――
――カイトサイド――
【ファイッッッ!!】
「「ハァァァァァッ!!」」
開戦の合図と共に走り出すカイトとジスタ。両者の剣と剣が激しくぶつかり合い、けたたましい金属音を鳴り響かせた。
遅れてサイとミーナも前に出てリリスが詠唱を始め、リナがドレスグローブから大弓を形成する。
リナの行動に観客席から驚きの声が上がった。
【開始早々から激化する戦い!今まで参加する傾向の無かったジスタ選手だが、今回はいきなりトップギアでカイト選手と真っ向勝負ッ!しかもリナ選手は身の丈に近い大弓を形成する不思議なドレスグローブを使う!見たことがない魔道具だが、物を収納するタイプなのか……?】
騒ぐ司会者と観客を他所にサイがギッシュとぶつかり、リリスの放った魔術がニーチャとルーチェの放つ魔法とぶつかり、漏れ出た分をリナが素早い動作で全て撃ち落とす。
「オォォォォッ!!」
打ち合うカイトにレチロラが斬りかかり、その間にミーナが割って入り防ぐ。
「邪魔だ、どけ!」
「ダメ。男の勝負を邪魔しちゃいけない」
ミーナは神衣を使い、激しい斬撃を互いに繰り出す。しかしレチロラもまた同様に体が光り、ミーナの速度に追い付いた攻撃を放っていた。
「あなたもそれを……」
「私も驚いたぞ、学生で私以外にもこれを使える者がいたとは。だがまだ使えるようになって日がまだ浅いな?技のキレが粗いぞ!」
「っ!?」
同等の斬撃を繰り出していたはずの両者だったが、ミーナが力負けして吹き飛ばされていた。
「っ……つよっ……」
「速さに振り回され、力を発揮できてない!本当は気に入らないが、コノハというあの男に鍛えられたおかげで貴様に負ける気さえしない!」
体勢を崩したミーナに追撃をするレチロラ。
ミーナは攻撃することをやめ、猫人族特有の身軽さで回避に専念する。
「チッ、ちょこまかと……!」
「簡単には負けてあげない……!」
カイトの元へ行かせないよう牽制しつつ、隙を見て攻撃を仕掛けようとするミーナにレチロラが苛立っていた。
そしてステージ上を飛び交う投擲物や魔法魔術。リナとリリス、ルーチェとニーチャが数多く放つ魔法魔術や矢はまるで流星のようで、カイトたちの周りに降り注いでいた。
サイやリナたちはそれぞれでその雨のように降り注ぐ魔法魔術を避けたり防いで対処していた。
「私たちの魔術を相殺するなんて生意気ー!」
「生意気生意気ー!なんであんな陰気な奴が王子に気にかけられてる上に強いのー?」
「「……生意気な奴にはちょっとくらいお仕置きしていいよねー?」」
双子が浮かべていた笑顔が歪む。そして同時にリナとリリスの足元に魔法陣が展開される。
「「っ!?」」
二人は直前で気付き逃げようとする。だが魔法陣からは爆発が起き、直撃はしなかったものの壁まで吹き飛ばされてしまう。
リナはミーナ並みの身軽さで受け身を取るが、リリスは地面に伏して動けなくなってしまった。
【戦闘開始から間もなく、いきなり脱落者か?コノハ学園側で凄まじい爆発が起き、後衛二名が吹き飛ばされてしまった!リナ選手はなんとか耐えたようだが、リリス選手は動く様子がない!どうやらリタイアのようだぁぁぁぁっ!!これでコノハ学園で残るは四名、この武人祭始まって初めての脱落者だ!】
「あーあ、残念。別の方をやっちゃったか」
「残念残念。でもいいんじゃない?あっちもムカつくおっぱいしてたし」
ニヒヒといやらしく笑うニーチェたち。
すると司会者の実況を聞いてしまったカイトがリナを心配する。
「リナ、大丈夫か!?」
「余との一騎打ちに余所見とは余裕だな?」
視線がズレた瞬間のカイトに、ジスタが即座に斬り込む。
カイトは体を逸らして反応し、鞘に納めていたもう一本の刀を抜き放つ。
ジスタもまた、腰に携えていた小刀を抜き、ガキンッと金属音を鳴らしながら防いだ。
「……おかしいですね、この刀って切れ味凄過ぎて地面とか岩がスパスパ切れちゃうやつなんだけど……なんで防げるの?」
「はっはっは、なんだ、お前もか。余も師から譲り受けたこの短剣でなぜ鍔迫り合いができていたのか不思議だったぞ。刃が片面しかない珍しい武器だが、レチロラや他の者と手合わせした時など防ごうとするだけで相手の武具が切り刻まれてしまっていたからな……ふむ、もう少し本気でもいいということか」
ジスタの言葉にカイトが「何?」と口にしようとしたところで、カイトの持つ剣と刀が上に弾かれてしまう。
「ほれ、がら空きだぞ」
隙だらけとなったカイトの胴体に、ジスタが剣と小刀を交差させて斬り付けた。
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