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武人祭
敵対する日本人
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黒い外套を被った若い声を発する男に声をかけられる。
「ああ、そうだけど……お前は?」
立ち振る舞いがどことなく達人のそれを匂わせている。強いな、こいつ……
「僕は――」
外套のフードを脱ぎ、幼さを残した優男を印象付ける顔の黒髪黒目をした少年が表れる。
「――コノハと言います」
「コノハ……ああ、お前が」
カイトが言ってた名前と一致したことを思い出す。
すると不思議に思ったのか、コノハが首を傾げた。
「あれ、僕のことを知ってるんですか?」
「俺の弟子と学園長から聞いた。学園長の方はルビアって言うんだがな」
俺がそう言った瞬間にコノハの表情が曇ったのがすぐにわかった。
学園長の話ではコノハという存在は死んだということになっていたらしいが、こいつが同一人物なのであれば矛盾した話になるけれど……
「ルビアさんか……懐かしいな。彼女は元気かな?」
嬉しくも同時に悲しい表情を浮かべるコノハ。やっぱり学園長の言ってた奴で間違いないようだ。
「元気っちゃ元気かな……胃以外は。俺からはとりあえず二つくらい聞いていいか?」
「二つと言わず、いくつでもいいよ。何かな?」
懐が深いというか、気前よく答えてくれようとするコノハ。なら素直に甘えさせてもらおう。
「そうだな……まずは興味本位の方を聞こう。あんたは学園長と知り合いだと聞いたが、それは二十年前の話だ。にしてはずいぶん若いなと思ってな。話し通りならあんたは四十くらいだと思うんだが……」
「そう?そう言ってくれるのは嬉しいけど、僕自身は何もしてないよ。ちょっと鍛えてはいるけどね」
軽く笑って答えるコノハに嘘を吐いている様子はない。別に不老不死になったとか、そういうわけじゃなさそうだ。
「そうか。学園長といい、なんだか年齢に比例しない奴が俺の周りに多くてな……いや、そっちは本当に興味本位だからどうでもいいわ。それよりも気になるのはもう一つの方だ。っとその前に……コノハって言ったよな?米食うか?」
「えっ……いや、今は別に……?」
と俺が突然差し出した米を勧められたことに戸惑うコノハ。話の流れに置いていかれてしまっているメアとミーナも、俺の行動に疑問を持ってしまっている。
「そうか?さっきまで丁度合う食いもんがあったから買ったが、量が多くて残っちまった。やっぱ『日本人』ってだけじゃ食いきれないもんだな」
「っ……」
「日本人」という言葉に過剰に反応したコノハ。
「……なんで僕が日本人だって……!?」
「おや~、俺はコノハが日本人だなんて一言も言ってないんだが?……なんて意地悪は言わなくていいか」
言葉通り意地悪な笑みを浮かべて言う俺の言葉に、コノハは頬を膨らませながら睨んでくる。これが四十近くの顔か……ノクトに近い何かを感じるな。
「そうだな……簡単に証明するなら、これか――」
自分の言葉の途中でコノハに向けて攻撃する。
座った状態からほぼ呼び動作無しで貫手を放ったのだが、それを二本の指で受け止められる。
俺の行動にまた驚くメアとミーナだが、コノハは感情の大きな起伏が見られなかった。
「……いきなりなんです?」
「一見我流っぽいが、根底には空手や柔道といったイメージが見えるんだよ。たとえ習ったことがなくても、『自分はこれを見たことがある』っていう無意識が働いちまってな。それだけで少なくとも異世界出身だとわかったんだよ」
俺の説明を理解したコノハはパッと表情を明るくなる。
「なーんだ、そうだったんですね!わざわざこんなことしなくても、口で言えばいいのに……」
コノハは口を尖らせて、拗ねたような態度を取る。
「悪いな、最初のアレは確信のないブラフみたいなもんだったら確証が欲しかったんだよ」
それだけ言って体勢を解くと、周囲がざわついてることに気付く。まぁ、当然か。
「おい、何事だ!?」
と、騒ぎを聞き付けた警備員みたいな男がやってきた。
「ああいや、すまん。知り合いと久しぶりに顔を合わせたからはしゃいじまってな」
「ええ、ホントに。お騒がせしてすいません……」
適当に吐いた嘘に即座に合わせてきたコノハ。警備員はそんな俺たち二人の顔色を窺い、訝しげな表情をする。
「全く紛らわしい……この祭りは各地の荒くれ者も集まるから、こういう騒ぎはよく起こるんだ。だからあまりそういうことしていると、次は捕まるぞ?」
「忠告どうもありがとう。肝に銘じておくよ」
手を振りながらそう言うと、男は去って行く。
男の姿が遠くなったところで、コノハが溜息を吐いた。
「全く、怒られちゃったじゃないですか……」
「いや、すまん。お詫びに米いる?」
「いりません」
呆れられて言うコノハに謝りながら米を差し出したが、ピシャリと断られてしまう。押し付けるのは失敗か……
「ところであんた、俺たちに用事があって近付いて来たんじゃないのか?」
メアが俺たちの間に割って入ってきて、俺と腕を組みながらコノハの方を見る。コノハの方も「用事……?」と一瞬首を傾げるが、すぐに「ああ」と思い出したように零す。
「用事というか、ただの挨拶なんですけど……宣戦布告ってことになるかもしれませんね」
「「宣戦布告?」」
メアとミーナが声を揃えて口にする。
「そう。アヤトさんとは剣魔祭で戦うことになります」
「アヤトと?じゃあ、あんたもSSランクの冒険者なのか?」
メアの言葉にコノハは首を横に振る。
「僕は最初の勝ち抜き戦から始めます。その上で君に挑みに行くよ」
不敵な笑みを浮かべて自信あり気な目で俺を見るコノハ。それが傲慢からではなく、実力に絶対の自信があることが窺えた。
「そうか。ちなみに今更聞くけど、コノハはカイトの対戦相手の……」
「そう、グリフィン王国のジスタ様に仕えていて、彼の師をしていると同時に護衛を請け負ってるんだ」
王族の子供の師匠と護衛を請け負っている……なんか親近感が沸くな。
その親近感の元であるメアは「へー」と他人事みたいな反応していた。
「……それと――」
すると言葉を続けるコノハの雰囲気が重いものへと変わり、今度こそ僅かな殺意を含んだ敵意ある視線を向けてきた。
「君を殺さなきゃいけない立場にもなってる」
「――っ!?」
突然向けられた敵意に反応したメアたちがその場で武器を抜き放とうとし、俺がそれを阻止する。今注意されたばっかりなのに、早速騒ぎを起こしたら出禁になりそうだし。
「心当たりはあるよね?」
「こっちに来てからも早々、色々心当たりを作っちまったから検討はつかないな。でも最近で言えば……グウェントの奴か?」
コノハはスッと柔らかな笑みに戻る。
「当たりです。グリフィンの国に彼から暴力的な文が届きました。かの者を殺せと。さもなくば貴国も敵と見なす……なんてものがね。そして僕はルビアさんの言う通り死んだ、ということにされています。つまり非公式の存在となっており、しかも今大会中は審判が止める前の死亡は事故扱いとなる。これだけ都合のいい条件はないでしょう?」
まるで自分を道具として見ているかのような言い方をするコノハ。
「従うのか?お前くらいの強さを持ってるなら従う必要なんてないだろ?何で……」
「グリフィン国は僕にとって恩を返さなくてはならない相手なんです。守るものが少ないあなたと違って、多いんですよ、僕は……!」
コノハは優しい顔に反して棘のある言葉を投げかけてきた。見た目に反して言いたいことをずいずい言ってくるな……
「ま、互いに守るもんがあるには違いないんだ。俺の守るもんが数人でお前の守るもんが国だったとしても、俺はお前の国を壊すつもりで勝ちにいかせてもらうぞ」
「わかってる、僕だって君の立場だったら同じことするつもりだろうし。だからお互い本気でやろう。手心無しの殺し合いを」
コノハは笑顔で躊躇無くそう言い、俺が頷いて「もちろんだ」と答えるとその場で溶けるように消えてしまった。
緊張感の原因がいなくなったからか、左右のミーナたちから大きく溜息が吐かれたのが聞こえる。そしてメアが腕に抱き着いている腕にさらに力が入る。
「アヤト、今の奴って本当に学園長が言ってたのだよな?……あいつの強さってもしかして……」
なんとなく俺やエリーゼと同じ雰囲気を感じたメアが、心配そうな表情をする。
「達人、だろうな……しかも実力を比べるなら俺と同じくらいじゃねぇか?」
「……殺されないでくれよ?死んだら怒るからな」
我が儘を言う子供のように頬を膨らませて、俺の腕に顔を埋めるメア。ミーナも指を絡めながら手を繋いできた。
「アヤトが死んだら私も死ぬ。だから死んじゃダメ」
「そ、そうだぜ!だから本気で勝ちに行けよ!?」
「なんと。自分を人質に脅すとはなんと狡猾な……」
そう言いながら軽く笑い飛ばすよう冗談めかしたような言い方をすると、メアとミーナからポコポコ殴られる。あ、メアの力が意外と強い。
「んなもん、言われずともってやつだ。負ける気なんかサラサラねぇよ」
そう言って二人の頭をいつもより少し強引に撫で回す。
すると二人とも安心したのかニヘラと表情が崩れる。
そろそろ食べ歩きを始めようかと歩き出そうとしたところで、ノワールが普通に帰ってきた。
「……ただいま戻りました。相手の方、私よりも上手で取り逃がしてしまいましたが……」
「外套を着た奴のことだろ?分が悪い相手だからしょうがないって。ほら、米でも食っとけ」
「……ありがたく頂戴します」
落ち込んだノワールに冗談半分で差し出した残り物は受け取られ、パクパクと口に運ばれる。初めて見る弱気なその珍しい姿に、俺たちは笑いを浮かべて互いに顔を合わせた。
「ああ、そうだけど……お前は?」
立ち振る舞いがどことなく達人のそれを匂わせている。強いな、こいつ……
「僕は――」
外套のフードを脱ぎ、幼さを残した優男を印象付ける顔の黒髪黒目をした少年が表れる。
「――コノハと言います」
「コノハ……ああ、お前が」
カイトが言ってた名前と一致したことを思い出す。
すると不思議に思ったのか、コノハが首を傾げた。
「あれ、僕のことを知ってるんですか?」
「俺の弟子と学園長から聞いた。学園長の方はルビアって言うんだがな」
俺がそう言った瞬間にコノハの表情が曇ったのがすぐにわかった。
学園長の話ではコノハという存在は死んだということになっていたらしいが、こいつが同一人物なのであれば矛盾した話になるけれど……
「ルビアさんか……懐かしいな。彼女は元気かな?」
嬉しくも同時に悲しい表情を浮かべるコノハ。やっぱり学園長の言ってた奴で間違いないようだ。
「元気っちゃ元気かな……胃以外は。俺からはとりあえず二つくらい聞いていいか?」
「二つと言わず、いくつでもいいよ。何かな?」
懐が深いというか、気前よく答えてくれようとするコノハ。なら素直に甘えさせてもらおう。
「そうだな……まずは興味本位の方を聞こう。あんたは学園長と知り合いだと聞いたが、それは二十年前の話だ。にしてはずいぶん若いなと思ってな。話し通りならあんたは四十くらいだと思うんだが……」
「そう?そう言ってくれるのは嬉しいけど、僕自身は何もしてないよ。ちょっと鍛えてはいるけどね」
軽く笑って答えるコノハに嘘を吐いている様子はない。別に不老不死になったとか、そういうわけじゃなさそうだ。
「そうか。学園長といい、なんだか年齢に比例しない奴が俺の周りに多くてな……いや、そっちは本当に興味本位だからどうでもいいわ。それよりも気になるのはもう一つの方だ。っとその前に……コノハって言ったよな?米食うか?」
「えっ……いや、今は別に……?」
と俺が突然差し出した米を勧められたことに戸惑うコノハ。話の流れに置いていかれてしまっているメアとミーナも、俺の行動に疑問を持ってしまっている。
「そうか?さっきまで丁度合う食いもんがあったから買ったが、量が多くて残っちまった。やっぱ『日本人』ってだけじゃ食いきれないもんだな」
「っ……」
「日本人」という言葉に過剰に反応したコノハ。
「……なんで僕が日本人だって……!?」
「おや~、俺はコノハが日本人だなんて一言も言ってないんだが?……なんて意地悪は言わなくていいか」
言葉通り意地悪な笑みを浮かべて言う俺の言葉に、コノハは頬を膨らませながら睨んでくる。これが四十近くの顔か……ノクトに近い何かを感じるな。
「そうだな……簡単に証明するなら、これか――」
自分の言葉の途中でコノハに向けて攻撃する。
座った状態からほぼ呼び動作無しで貫手を放ったのだが、それを二本の指で受け止められる。
俺の行動にまた驚くメアとミーナだが、コノハは感情の大きな起伏が見られなかった。
「……いきなりなんです?」
「一見我流っぽいが、根底には空手や柔道といったイメージが見えるんだよ。たとえ習ったことがなくても、『自分はこれを見たことがある』っていう無意識が働いちまってな。それだけで少なくとも異世界出身だとわかったんだよ」
俺の説明を理解したコノハはパッと表情を明るくなる。
「なーんだ、そうだったんですね!わざわざこんなことしなくても、口で言えばいいのに……」
コノハは口を尖らせて、拗ねたような態度を取る。
「悪いな、最初のアレは確信のないブラフみたいなもんだったら確証が欲しかったんだよ」
それだけ言って体勢を解くと、周囲がざわついてることに気付く。まぁ、当然か。
「おい、何事だ!?」
と、騒ぎを聞き付けた警備員みたいな男がやってきた。
「ああいや、すまん。知り合いと久しぶりに顔を合わせたからはしゃいじまってな」
「ええ、ホントに。お騒がせしてすいません……」
適当に吐いた嘘に即座に合わせてきたコノハ。警備員はそんな俺たち二人の顔色を窺い、訝しげな表情をする。
「全く紛らわしい……この祭りは各地の荒くれ者も集まるから、こういう騒ぎはよく起こるんだ。だからあまりそういうことしていると、次は捕まるぞ?」
「忠告どうもありがとう。肝に銘じておくよ」
手を振りながらそう言うと、男は去って行く。
男の姿が遠くなったところで、コノハが溜息を吐いた。
「全く、怒られちゃったじゃないですか……」
「いや、すまん。お詫びに米いる?」
「いりません」
呆れられて言うコノハに謝りながら米を差し出したが、ピシャリと断られてしまう。押し付けるのは失敗か……
「ところであんた、俺たちに用事があって近付いて来たんじゃないのか?」
メアが俺たちの間に割って入ってきて、俺と腕を組みながらコノハの方を見る。コノハの方も「用事……?」と一瞬首を傾げるが、すぐに「ああ」と思い出したように零す。
「用事というか、ただの挨拶なんですけど……宣戦布告ってことになるかもしれませんね」
「「宣戦布告?」」
メアとミーナが声を揃えて口にする。
「そう。アヤトさんとは剣魔祭で戦うことになります」
「アヤトと?じゃあ、あんたもSSランクの冒険者なのか?」
メアの言葉にコノハは首を横に振る。
「僕は最初の勝ち抜き戦から始めます。その上で君に挑みに行くよ」
不敵な笑みを浮かべて自信あり気な目で俺を見るコノハ。それが傲慢からではなく、実力に絶対の自信があることが窺えた。
「そうか。ちなみに今更聞くけど、コノハはカイトの対戦相手の……」
「そう、グリフィン王国のジスタ様に仕えていて、彼の師をしていると同時に護衛を請け負ってるんだ」
王族の子供の師匠と護衛を請け負っている……なんか親近感が沸くな。
その親近感の元であるメアは「へー」と他人事みたいな反応していた。
「……それと――」
すると言葉を続けるコノハの雰囲気が重いものへと変わり、今度こそ僅かな殺意を含んだ敵意ある視線を向けてきた。
「君を殺さなきゃいけない立場にもなってる」
「――っ!?」
突然向けられた敵意に反応したメアたちがその場で武器を抜き放とうとし、俺がそれを阻止する。今注意されたばっかりなのに、早速騒ぎを起こしたら出禁になりそうだし。
「心当たりはあるよね?」
「こっちに来てからも早々、色々心当たりを作っちまったから検討はつかないな。でも最近で言えば……グウェントの奴か?」
コノハはスッと柔らかな笑みに戻る。
「当たりです。グリフィンの国に彼から暴力的な文が届きました。かの者を殺せと。さもなくば貴国も敵と見なす……なんてものがね。そして僕はルビアさんの言う通り死んだ、ということにされています。つまり非公式の存在となっており、しかも今大会中は審判が止める前の死亡は事故扱いとなる。これだけ都合のいい条件はないでしょう?」
まるで自分を道具として見ているかのような言い方をするコノハ。
「従うのか?お前くらいの強さを持ってるなら従う必要なんてないだろ?何で……」
「グリフィン国は僕にとって恩を返さなくてはならない相手なんです。守るものが少ないあなたと違って、多いんですよ、僕は……!」
コノハは優しい顔に反して棘のある言葉を投げかけてきた。見た目に反して言いたいことをずいずい言ってくるな……
「ま、互いに守るもんがあるには違いないんだ。俺の守るもんが数人でお前の守るもんが国だったとしても、俺はお前の国を壊すつもりで勝ちにいかせてもらうぞ」
「わかってる、僕だって君の立場だったら同じことするつもりだろうし。だからお互い本気でやろう。手心無しの殺し合いを」
コノハは笑顔で躊躇無くそう言い、俺が頷いて「もちろんだ」と答えるとその場で溶けるように消えてしまった。
緊張感の原因がいなくなったからか、左右のミーナたちから大きく溜息が吐かれたのが聞こえる。そしてメアが腕に抱き着いている腕にさらに力が入る。
「アヤト、今の奴って本当に学園長が言ってたのだよな?……あいつの強さってもしかして……」
なんとなく俺やエリーゼと同じ雰囲気を感じたメアが、心配そうな表情をする。
「達人、だろうな……しかも実力を比べるなら俺と同じくらいじゃねぇか?」
「……殺されないでくれよ?死んだら怒るからな」
我が儘を言う子供のように頬を膨らませて、俺の腕に顔を埋めるメア。ミーナも指を絡めながら手を繋いできた。
「アヤトが死んだら私も死ぬ。だから死んじゃダメ」
「そ、そうだぜ!だから本気で勝ちに行けよ!?」
「なんと。自分を人質に脅すとはなんと狡猾な……」
そう言いながら軽く笑い飛ばすよう冗談めかしたような言い方をすると、メアとミーナからポコポコ殴られる。あ、メアの力が意外と強い。
「んなもん、言われずともってやつだ。負ける気なんかサラサラねぇよ」
そう言って二人の頭をいつもより少し強引に撫で回す。
すると二人とも安心したのかニヘラと表情が崩れる。
そろそろ食べ歩きを始めようかと歩き出そうとしたところで、ノワールが普通に帰ってきた。
「……ただいま戻りました。相手の方、私よりも上手で取り逃がしてしまいましたが……」
「外套を着た奴のことだろ?分が悪い相手だからしょうがないって。ほら、米でも食っとけ」
「……ありがたく頂戴します」
落ち込んだノワールに冗談半分で差し出した残り物は受け取られ、パクパクと口に運ばれる。初めて見る弱気なその珍しい姿に、俺たちは笑いを浮かべて互いに顔を合わせた。
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