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武人祭
倒壊
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「あんたは……?」
意識が朦朧としながらも、俺を見て疑問を呟くオカマ。
相手のリーダーも苦い顔をしていた。
「また邪魔者かよ……なんなんだよ、今日は?」
混乱気味に言う男。
「『今日は』じゃない。アルニアを誘拐した時点で、お前らの命運は尽きてんだよ」
「はぁ?何女の前だからって格好付けてんだよ、この優男様はよっ!」
近くにいた男が、斬りかかってくる。
その男に対して俺は、額にデコピンを放つ。
「くぺっ?」
デコピンを食らった奇妙な悲鳴を上げ、勢いよく縦回転しながら後ろに吹っ飛んでいき、そのまま壁に突っ込んで埋もれてる。
「なん……!?」
「さぁ、お前ら……俺の知り合いに手を出した覚悟はできてんだろうな?」
そう言って威圧すると、男たちから小さな悲鳴が上がる。
「何ビビってんだ!?あいつもただの馬鹿力ってだけだ、同じように数で押せば――」
リーダーの男が発破をかけようとしたところで、壁に埋もれていた男が抜けて落ちる。
そいつの状態を見ようと駆け寄った男が、派手に尻もちを突いて悲鳴を上げた。
「ひぃぃぃっ!?アニャ、アニキ、こここい、こいつ……し、死んでます……!」
「……は?」
動揺のし過ぎで噛みまくっていた部下が言葉にした突然の死亡発言が理解できず、リーダーの男がその方向に振り向く。
「さっきそいつにデコピンされた奴が……死んでいます」
「何言ってんだ、お前……ただのデコピンだろ?デコピンで死ぬなんてあるわけ……」
そう言いながらもリーダーの男は、俺がデコピンした男を見る。
そこには首があらぬ方向へ曲がり、息をしていない男が抱えられていた。
リーダーの男の顔色が段々と悪くなり、息も荒々しくなってくる。
俺が一歩を踏み出すと、全員の肩が飛び跳ねた。あ、これ面白いかも。
「お、お前ら……外にいる奴らも全員集めろ!」
「ダメです、アニキ!さっきオカマをリンチするために集めたのが全部です!」
「何ィ!?」
何やらコントみたいなやり取りをしている男たち。
ほう、なるほど。これで全部か……
「い、嫌だ……ぶっ飛ばされるだけなら我慢できるけど、殺されるのは嫌だっ!」
中の一人が恐怖に駆られて逃げ出す……が。
「っだ!……な、なんだコレ……なんで何も無いのに出られない!?」
そう言って出入口となる場所を叩く。
そこには男の言う通り、扉も何もないはずなのに叩く音すら聞こえてくる。
その理由は、俺が空間魔術を使って見えない壁を作っているからである。
そしてそれは、普通の出入口だけではない。
「ダメです、アニキ!どこの穴も何かに阻まれて通れません!」
「こっちも……地下への扉が開きません!」
「クソ……一体どうなってやがる?……テメェのせいか!?」
リーダーの男がそう言って睨んできたので、俺は笑って答える。
「だとしたら?」
「テメェを殺して逃げるに決まってんだろ!」
威勢よく斬りかかってくる……かと思いきや、あらぬ方向へと歩き出して身の丈より大きな赤黒い斧を手に取った。
どうやら、それがその男が扱っている専用武器のようだ。しかもただの武器じゃないみたいだな……
武器からは禍々しい雰囲気が溢れていた。妖刀ならぬ妖斧とでも言おうか。
「テメェらがどれだけ力自慢だろうと、この斧の前じゃ赤子みてぇなもんよぉ……」
斧を持ったリーダーの男は酔ったようにフラフラとし、様子がおかしくなっていた。
その急変した男に、周囲の奴らがさらに怯える。
「最悪だ……どの道俺たちはここで死ぬ運命なんだぁ……」
「お、おい!本当に出口はねえのかよ!?」
「うるせぇ!お前も探せっ!」
「ああ、神様……!」
集団パニックに陥ってしまっている男たち。
人を誘拐するような奴らが神頼みってどうよ?そして頼んだところで気紛れな神が、そんな祈り一つで助けてくれるわけがないのを俺は知っているわけだが。
そんなことはお構い無しに、リーダーの男は斧を振りかぶって襲ってくる。
「ヒャッハーッ!」
さっきまでの落ち着いた態度とは一変、血走った目でハイテンションとなっていた。
だが、テンションが高過ぎるのか斧を雑な振り下ろし方をし、俺たちのいる場所より少し横にズレたところへと落ちる。
しかしその瞬間、爆発でも起きたのではないかというくらいの威力で地面が抉られた。
「――っと」
間一髪、破片などが被弾しないようにオカマとアルニアを掴んで飛び、距離を取った。
やはりあの武器は普通じゃなかったようだ。
「ハッハハハハハハハハハッ!やっぱりこれはいつやっても最高だぁ……この圧倒的破壊力と万能感に酔いしれて、何もかもをぶっ壊せちまう!これならたとえ相手がSSランクの冒険者様でも……いや、伝説級や神話級にも勝てちまうよ!」
「なら試してみるか?」
俺が口を挟むと、男は「良い気分だったのに邪魔しやがって」と言わんばかりの表情で睨んでくる。
SSランク冒険者だったら俺もそうなのだが、ここはあいつに任せた方がいいだろう。
俺の横に空間の裂け目を作り出す。
そんな不可解な現象を目撃した男たちは、怪しむどころか何かを期待した目をする。
「出口……?出口か!?もうなんでもいい、ここから出してくれぇっ!」
焦りや恐怖からか、とにかくその場から逃げたかった男たちは、その裂け目の正体が何なのかを考えずに突っ込んできた。
俺はその男たちを止めもせず、させるがままにして裂け目に通した。
「お、俺も……!?」
さらにあとに続こうと、その裂け目に向かう男。だがその直後、裂け目の中からさっき入っていった男たちが数名、吹き飛ばされる形で裂け目から戻ってきた奴らに押し潰される。
「な、なんだぁっ!?」
上に降ってきた男を退かし、疑問の声を上げる男。
すると裂け目の中から、他の突っ込んで行った男の首を持った手が出てくる。
ゆっくりとこちらに姿を現そうとしたのは、甲冑を身に纏ったミランダだった。
大の男ですら片手で軽々と持ち上げるミランダは、今にも人を殺してしまえそうなほどに殺気をだだ漏れにしていた。
「ひっ……SSランクの冒険者……ミランダ・ワークラフト!?」
「ほ、本物かよ!?」
ミランダの顔を一目見て、誰であるかを理解する男たち。その殺気に当てられ、腰を抜かす。
雰囲気が初めて会った時のような、ピリピリとしたものを感じるミランダの横に並ぶ。
「さすがに数が多いだろうから分担するぞ。上と下、どっちがいい?」
「私はそこの元締めと周辺の奴らを相手する」
冷たい声でそう言い放つミランダ。
俺は「了解」と返事をし、アルニアとオカマを担いでさっき作った裂け目の中に入る。
――――
「「アルニアッ!」」
裂け目の繋げた先、ワークラフトの家に戻ると我先にとミランダとアルニアの両親が迫ってきた。
アルニアをゆっくりと下ろしながら彼らに引き渡す。
「ああ、アルニア……アルニア……!」
涙をポロポロと流し、アルニアの頭を撫でながら自らの頬で無事を確認するように擦り付けるフィア。
リンドールもそんな二人を包み込むように抱き、僅かに涙を浮かべていた。その目を俺に向ける。
「ありがとう、アヤト君……娘を助けてくれて……!」
「まぁ……友達、だからな……」
自分から『友達』とという言葉を出すのに少し恥ずかしさを感じながらも、笑って言う。
その恥ずかしさが爆発しないうちに、オカマをその場に置いてその場を離れようとする。
「そいつもアルニアを助けようとしたんだ、労ってやってくれ」
俺はそれだけ言い残して、裂け目の中へと再び戻っていった。
――――
裂け目を通って元の場所に戻ると、すでにミランダが男と戦い始めていた。
「フッ!」
「ハッ、甘ぇ!」
ミランダと男の周りには、すでに縦や横に真っ二つにされた部下たちの死体が複数転がっていた。十中八九、ミランダがやったのだろう。
生き残っている数人も腰を抜かしたまま失禁していたりする。
そしてミランダは悪鬼のような怒りの表情を浮かべながら、リーダーの男と打ち合っていた。
ミランダの剣速は以前より早い。しかし妹に手を出された怒りからか雑念が混じり、剣筋がかなりブレていた。
ミランダらしくないというよりも、最初のミランダに戻りつつあるように感じる。
とはいえ、冷静さを失いそうになっても、男と打ち合えるくらいではあるようだ。
「互角?SSランク様と互角ってか!やっぱ俺って強えぇっ!」
己が持つ仮初の強さに酔いしれる男。事実、ミランダの斬撃を全て斧で相殺する。
負けているわけではない。しかしこんな下衆な男に打ち勝てないという苛立ちに歯軋りし、剣の振り方がさらに雑になる。
だが、そのうちの一太刀が男の懐に届く。
「っ……ってぇなぁっ!」
「っ!?」
男が斧を横に思い切り振るい、ギリギリのところを剣で防いだミランダはボールのように吹き飛んでいってしまう。
そしてミランダは壁に叩き付けられるようにしてぶつかり、地面に落ちる。
「ぐ、うぅ……!」
「ハハハッ、SSランクっつっても大したことねぇな!これなら最近話題の『アヤト』って奴も簡単に殺せちまうんじゃねえのか!?」
気分が向上し、どんどんと調子に乗る男。
そいつに呼ばれた俺は、その目の前に姿を見せる。
「呼んだ?」
「は……っ!?」
その俺の姿を見て、男は息を飲む。
今の俺は相当に血塗れで、誰かの頭部を右手に持っている状態だからだと思う。
「お前が言うSSランク冒険者のアヤトは俺だ」
「テメェ……俺の部下たちはどうした……?」
俺の言葉など無視するように質問するリーダーだった男。
その男の足元に、持っている頭部を放り投げた。
「……ダズ……!」
男は再び冷静さを取り戻し、斧を捨てて頭だけになった男の名前であろう言葉を口にして近寄る。
いつの間にか周囲は静まり返っている。
なぜかというと、俺が奴らをすでに皆殺しにしたからだ。
投げた頭部の男はその一人である。
「ああ悪い、親しい仲だったか?適当に持ってきただけだったんだがな」
「て……めぇ……!」
憎々しげに俺を睨む男。
「……まさか、俺の仲間に手を出した自分のことを棚に上げて『よくも仲間を!』……なんて言いたいのか?どうせお前らも他の奴らに似たようなことをしてきただろうに。今更被害者ぶるなよ」
「くっ……そがぁぁぁぁっ!」
男は相当頭に血が上っているのか、武器も持たずにただ飛び付いてきた。
力も速さもさっきとは段違いに下がっているので余裕で避けられてしまい、男は何も無いところで躓いて転んでしまう。
こうなると、もはや哀れだな。
すると、男の前にはミランダがいつの間にか立ちはだかっていた。
さっき壁にぶつかった衝撃で片腕が折れてしまっているが、ミランダは据わった目で剣を振り上げ、冷たい声で言い放つ。
「……死ね、クズが」
「ひっ!?」
ミランダが振り下ろした剣を避けようと体を逸らす男。
脳天からの直撃は避けたものの、左腕の肩から先が斬り落とされてしまった。
「あ……あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ……!?お、俺の腕……腕がぁぁぁぁ……」
「外してしまったか。安心しろ、次は確実に殺す」
殺気をさらに増して剣を構えるミランダ。
その彼女の肩を少し強引に掴んで引き寄せると、一気に殺気が消えて驚いた表情をする。
「あ、アヤト殿?」
「そこまでだ。撤収するぞ」
ただでさえ驚いていたミランダの目が一気に見開く。
そして徐々に、苦々しい表情へと変わる。
「なぜだ?アルニアは服を剥がされていた……こいつらに色んなものを奪われそうになっていたのだぞ!?」
「ああ、そうだな。だからここまでだ」
理解ができないといった風に眉をひそめるミランダ。
構わず無理矢理肩に担ぎ、閉じていた裂け目を再び開けて中に入ろうとする。
そこに小さく呟く声が、聞こえてきた。
「……ぼえ、てろよ……」
「ん?」
振り返って聞き返すと、男は痛みに涙を浮かべて耐えながらも、怒りに満ちた表情で俺を睨んだ。
「覚えてろよ、この貸しは必ず倍にして……いや、十倍にして返してやる!絶対だ!」
腕からドクドクと血が流れ出ているのを気にも止めずに、血走った目と歪んだ笑みを浮かべていた。
「この俺を生かしたことをいつの日か後悔させてやる!!まずはミランダ……テメェの家族からだ!殺して犯す……それにあのガキも!特にその男もだ!全員……殺してくれと泣き叫ぶまで痛め付けてやるっ!」
「~~~~っ!アヤト殿っ!早くそいつを……そいつを殺させてくれ!じゃなければ、その毒牙が妹にまで……!」
全くこいつらは……放っておけばいつまでも言い合ってそうだな。
「いいから行くぞ、ミランダ。あいつはもう終わりだ」
そう言っても尚、暴れ続けるミランダを強引に連れていく。
裂け目を通り抜け、ミランダを下ろすと透かさずビンタをお見舞いされる。
その顔には涙を浮かび、悔しそうに唇を噛んでいた。
「……うん、やっぱお前はあの変態顔よりそっちの方がいいな」
「茶化さないでくれ。なぜ奴を逃がすような真似をした?」
そこにいたミランダにはいつもの変態的な言動はなく、真剣な顔で怒りを含んでいた。
「逃がす?誰を?」
「茶化さないでくれと言ったはずだ!あの元締めの男を殺さず、ましてや衛兵にすら渡さないなどと……」
ミランダの言葉に頭を掻いて、やれやれと溜め息を吐く。
「俺はあいつをただ放置する気はねえよ」
「何……?ではどうすると――」
「なぁ、ミランダ」
ミランダの言葉を遮って、俺は違う方向に目を向ける。
「今、俺たちがいるこの場所がどこだかわかるか?」
「……え?」
素っ頓狂な声を出して、辺りを見渡すミランダ。
周辺にはさっき俺たちがいた場所を含めた倉庫が複数あるのだが、ミランダは空間魔術で飛んでいるからわからないだろう。
「その目の前にある建物、そこがさっきまで俺たちのいた倉庫だ」
「そう、なのか?だがそれが一体――」
――バキッ!
再びミランダの言葉を遮るように、大きな音が立つ。発信源はさっきまで俺たちがいた倉庫からだった。
次第に音は増えていき、建物が一気に崩壊する。
「な……ぁ!?」
「おー、爽快だな」
崩れる建物を眺め呟く。
中からはまだ生きていた男の断末魔が聞こえてきた。他の奴らは死んでいるので、消去法で十中八九親玉の男のものだ。
「な?もう手を下す必要はなかったんだよ」
「まさかこれを人為的に引き起こしたと?」
「元々この倉庫には、あいつらを逃がさないように空間魔術で周りを固定してたんだ。そんでお前らが戦いに熱中してる間に支柱を全部壊しておいて、その魔術をたった今解いたってわけだ」
そして何の支えもなくなった建物は、当然崩壊する。
ギリギリ生きているのか男の恨み辛みが木霊して聞こえ、それを聞いた俺は思わず笑ってしまう。
「このまま生きていたとしても、出血で死ぬ……どうせ恨みを晴らすなら、苦しみながら死んでもらった方がいいだろ?まぁ、瓦礫やらに押し潰されて死んでもらってもいいが」
「……」
「不満か?自分の手で屠れなかったのが」
感情を押し殺すように黙っているミランダを見て、俺はそう問いかける。
「……いや、これでいい。騎士道精神を問われれば悪と言われるかもしれないが、アヤト殿のおかげで少し心が晴れた」
ミランダはそう言いつつも、スッキリしていないような顔をしていた。
意識が朦朧としながらも、俺を見て疑問を呟くオカマ。
相手のリーダーも苦い顔をしていた。
「また邪魔者かよ……なんなんだよ、今日は?」
混乱気味に言う男。
「『今日は』じゃない。アルニアを誘拐した時点で、お前らの命運は尽きてんだよ」
「はぁ?何女の前だからって格好付けてんだよ、この優男様はよっ!」
近くにいた男が、斬りかかってくる。
その男に対して俺は、額にデコピンを放つ。
「くぺっ?」
デコピンを食らった奇妙な悲鳴を上げ、勢いよく縦回転しながら後ろに吹っ飛んでいき、そのまま壁に突っ込んで埋もれてる。
「なん……!?」
「さぁ、お前ら……俺の知り合いに手を出した覚悟はできてんだろうな?」
そう言って威圧すると、男たちから小さな悲鳴が上がる。
「何ビビってんだ!?あいつもただの馬鹿力ってだけだ、同じように数で押せば――」
リーダーの男が発破をかけようとしたところで、壁に埋もれていた男が抜けて落ちる。
そいつの状態を見ようと駆け寄った男が、派手に尻もちを突いて悲鳴を上げた。
「ひぃぃぃっ!?アニャ、アニキ、こここい、こいつ……し、死んでます……!」
「……は?」
動揺のし過ぎで噛みまくっていた部下が言葉にした突然の死亡発言が理解できず、リーダーの男がその方向に振り向く。
「さっきそいつにデコピンされた奴が……死んでいます」
「何言ってんだ、お前……ただのデコピンだろ?デコピンで死ぬなんてあるわけ……」
そう言いながらもリーダーの男は、俺がデコピンした男を見る。
そこには首があらぬ方向へ曲がり、息をしていない男が抱えられていた。
リーダーの男の顔色が段々と悪くなり、息も荒々しくなってくる。
俺が一歩を踏み出すと、全員の肩が飛び跳ねた。あ、これ面白いかも。
「お、お前ら……外にいる奴らも全員集めろ!」
「ダメです、アニキ!さっきオカマをリンチするために集めたのが全部です!」
「何ィ!?」
何やらコントみたいなやり取りをしている男たち。
ほう、なるほど。これで全部か……
「い、嫌だ……ぶっ飛ばされるだけなら我慢できるけど、殺されるのは嫌だっ!」
中の一人が恐怖に駆られて逃げ出す……が。
「っだ!……な、なんだコレ……なんで何も無いのに出られない!?」
そう言って出入口となる場所を叩く。
そこには男の言う通り、扉も何もないはずなのに叩く音すら聞こえてくる。
その理由は、俺が空間魔術を使って見えない壁を作っているからである。
そしてそれは、普通の出入口だけではない。
「ダメです、アニキ!どこの穴も何かに阻まれて通れません!」
「こっちも……地下への扉が開きません!」
「クソ……一体どうなってやがる?……テメェのせいか!?」
リーダーの男がそう言って睨んできたので、俺は笑って答える。
「だとしたら?」
「テメェを殺して逃げるに決まってんだろ!」
威勢よく斬りかかってくる……かと思いきや、あらぬ方向へと歩き出して身の丈より大きな赤黒い斧を手に取った。
どうやら、それがその男が扱っている専用武器のようだ。しかもただの武器じゃないみたいだな……
武器からは禍々しい雰囲気が溢れていた。妖刀ならぬ妖斧とでも言おうか。
「テメェらがどれだけ力自慢だろうと、この斧の前じゃ赤子みてぇなもんよぉ……」
斧を持ったリーダーの男は酔ったようにフラフラとし、様子がおかしくなっていた。
その急変した男に、周囲の奴らがさらに怯える。
「最悪だ……どの道俺たちはここで死ぬ運命なんだぁ……」
「お、おい!本当に出口はねえのかよ!?」
「うるせぇ!お前も探せっ!」
「ああ、神様……!」
集団パニックに陥ってしまっている男たち。
人を誘拐するような奴らが神頼みってどうよ?そして頼んだところで気紛れな神が、そんな祈り一つで助けてくれるわけがないのを俺は知っているわけだが。
そんなことはお構い無しに、リーダーの男は斧を振りかぶって襲ってくる。
「ヒャッハーッ!」
さっきまでの落ち着いた態度とは一変、血走った目でハイテンションとなっていた。
だが、テンションが高過ぎるのか斧を雑な振り下ろし方をし、俺たちのいる場所より少し横にズレたところへと落ちる。
しかしその瞬間、爆発でも起きたのではないかというくらいの威力で地面が抉られた。
「――っと」
間一髪、破片などが被弾しないようにオカマとアルニアを掴んで飛び、距離を取った。
やはりあの武器は普通じゃなかったようだ。
「ハッハハハハハハハハハッ!やっぱりこれはいつやっても最高だぁ……この圧倒的破壊力と万能感に酔いしれて、何もかもをぶっ壊せちまう!これならたとえ相手がSSランクの冒険者様でも……いや、伝説級や神話級にも勝てちまうよ!」
「なら試してみるか?」
俺が口を挟むと、男は「良い気分だったのに邪魔しやがって」と言わんばかりの表情で睨んでくる。
SSランク冒険者だったら俺もそうなのだが、ここはあいつに任せた方がいいだろう。
俺の横に空間の裂け目を作り出す。
そんな不可解な現象を目撃した男たちは、怪しむどころか何かを期待した目をする。
「出口……?出口か!?もうなんでもいい、ここから出してくれぇっ!」
焦りや恐怖からか、とにかくその場から逃げたかった男たちは、その裂け目の正体が何なのかを考えずに突っ込んできた。
俺はその男たちを止めもせず、させるがままにして裂け目に通した。
「お、俺も……!?」
さらにあとに続こうと、その裂け目に向かう男。だがその直後、裂け目の中からさっき入っていった男たちが数名、吹き飛ばされる形で裂け目から戻ってきた奴らに押し潰される。
「な、なんだぁっ!?」
上に降ってきた男を退かし、疑問の声を上げる男。
すると裂け目の中から、他の突っ込んで行った男の首を持った手が出てくる。
ゆっくりとこちらに姿を現そうとしたのは、甲冑を身に纏ったミランダだった。
大の男ですら片手で軽々と持ち上げるミランダは、今にも人を殺してしまえそうなほどに殺気をだだ漏れにしていた。
「ひっ……SSランクの冒険者……ミランダ・ワークラフト!?」
「ほ、本物かよ!?」
ミランダの顔を一目見て、誰であるかを理解する男たち。その殺気に当てられ、腰を抜かす。
雰囲気が初めて会った時のような、ピリピリとしたものを感じるミランダの横に並ぶ。
「さすがに数が多いだろうから分担するぞ。上と下、どっちがいい?」
「私はそこの元締めと周辺の奴らを相手する」
冷たい声でそう言い放つミランダ。
俺は「了解」と返事をし、アルニアとオカマを担いでさっき作った裂け目の中に入る。
――――
「「アルニアッ!」」
裂け目の繋げた先、ワークラフトの家に戻ると我先にとミランダとアルニアの両親が迫ってきた。
アルニアをゆっくりと下ろしながら彼らに引き渡す。
「ああ、アルニア……アルニア……!」
涙をポロポロと流し、アルニアの頭を撫でながら自らの頬で無事を確認するように擦り付けるフィア。
リンドールもそんな二人を包み込むように抱き、僅かに涙を浮かべていた。その目を俺に向ける。
「ありがとう、アヤト君……娘を助けてくれて……!」
「まぁ……友達、だからな……」
自分から『友達』とという言葉を出すのに少し恥ずかしさを感じながらも、笑って言う。
その恥ずかしさが爆発しないうちに、オカマをその場に置いてその場を離れようとする。
「そいつもアルニアを助けようとしたんだ、労ってやってくれ」
俺はそれだけ言い残して、裂け目の中へと再び戻っていった。
――――
裂け目を通って元の場所に戻ると、すでにミランダが男と戦い始めていた。
「フッ!」
「ハッ、甘ぇ!」
ミランダと男の周りには、すでに縦や横に真っ二つにされた部下たちの死体が複数転がっていた。十中八九、ミランダがやったのだろう。
生き残っている数人も腰を抜かしたまま失禁していたりする。
そしてミランダは悪鬼のような怒りの表情を浮かべながら、リーダーの男と打ち合っていた。
ミランダの剣速は以前より早い。しかし妹に手を出された怒りからか雑念が混じり、剣筋がかなりブレていた。
ミランダらしくないというよりも、最初のミランダに戻りつつあるように感じる。
とはいえ、冷静さを失いそうになっても、男と打ち合えるくらいではあるようだ。
「互角?SSランク様と互角ってか!やっぱ俺って強えぇっ!」
己が持つ仮初の強さに酔いしれる男。事実、ミランダの斬撃を全て斧で相殺する。
負けているわけではない。しかしこんな下衆な男に打ち勝てないという苛立ちに歯軋りし、剣の振り方がさらに雑になる。
だが、そのうちの一太刀が男の懐に届く。
「っ……ってぇなぁっ!」
「っ!?」
男が斧を横に思い切り振るい、ギリギリのところを剣で防いだミランダはボールのように吹き飛んでいってしまう。
そしてミランダは壁に叩き付けられるようにしてぶつかり、地面に落ちる。
「ぐ、うぅ……!」
「ハハハッ、SSランクっつっても大したことねぇな!これなら最近話題の『アヤト』って奴も簡単に殺せちまうんじゃねえのか!?」
気分が向上し、どんどんと調子に乗る男。
そいつに呼ばれた俺は、その目の前に姿を見せる。
「呼んだ?」
「は……っ!?」
その俺の姿を見て、男は息を飲む。
今の俺は相当に血塗れで、誰かの頭部を右手に持っている状態だからだと思う。
「お前が言うSSランク冒険者のアヤトは俺だ」
「テメェ……俺の部下たちはどうした……?」
俺の言葉など無視するように質問するリーダーだった男。
その男の足元に、持っている頭部を放り投げた。
「……ダズ……!」
男は再び冷静さを取り戻し、斧を捨てて頭だけになった男の名前であろう言葉を口にして近寄る。
いつの間にか周囲は静まり返っている。
なぜかというと、俺が奴らをすでに皆殺しにしたからだ。
投げた頭部の男はその一人である。
「ああ悪い、親しい仲だったか?適当に持ってきただけだったんだがな」
「て……めぇ……!」
憎々しげに俺を睨む男。
「……まさか、俺の仲間に手を出した自分のことを棚に上げて『よくも仲間を!』……なんて言いたいのか?どうせお前らも他の奴らに似たようなことをしてきただろうに。今更被害者ぶるなよ」
「くっ……そがぁぁぁぁっ!」
男は相当頭に血が上っているのか、武器も持たずにただ飛び付いてきた。
力も速さもさっきとは段違いに下がっているので余裕で避けられてしまい、男は何も無いところで躓いて転んでしまう。
こうなると、もはや哀れだな。
すると、男の前にはミランダがいつの間にか立ちはだかっていた。
さっき壁にぶつかった衝撃で片腕が折れてしまっているが、ミランダは据わった目で剣を振り上げ、冷たい声で言い放つ。
「……死ね、クズが」
「ひっ!?」
ミランダが振り下ろした剣を避けようと体を逸らす男。
脳天からの直撃は避けたものの、左腕の肩から先が斬り落とされてしまった。
「あ……あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ……!?お、俺の腕……腕がぁぁぁぁ……」
「外してしまったか。安心しろ、次は確実に殺す」
殺気をさらに増して剣を構えるミランダ。
その彼女の肩を少し強引に掴んで引き寄せると、一気に殺気が消えて驚いた表情をする。
「あ、アヤト殿?」
「そこまでだ。撤収するぞ」
ただでさえ驚いていたミランダの目が一気に見開く。
そして徐々に、苦々しい表情へと変わる。
「なぜだ?アルニアは服を剥がされていた……こいつらに色んなものを奪われそうになっていたのだぞ!?」
「ああ、そうだな。だからここまでだ」
理解ができないといった風に眉をひそめるミランダ。
構わず無理矢理肩に担ぎ、閉じていた裂け目を再び開けて中に入ろうとする。
そこに小さく呟く声が、聞こえてきた。
「……ぼえ、てろよ……」
「ん?」
振り返って聞き返すと、男は痛みに涙を浮かべて耐えながらも、怒りに満ちた表情で俺を睨んだ。
「覚えてろよ、この貸しは必ず倍にして……いや、十倍にして返してやる!絶対だ!」
腕からドクドクと血が流れ出ているのを気にも止めずに、血走った目と歪んだ笑みを浮かべていた。
「この俺を生かしたことをいつの日か後悔させてやる!!まずはミランダ……テメェの家族からだ!殺して犯す……それにあのガキも!特にその男もだ!全員……殺してくれと泣き叫ぶまで痛め付けてやるっ!」
「~~~~っ!アヤト殿っ!早くそいつを……そいつを殺させてくれ!じゃなければ、その毒牙が妹にまで……!」
全くこいつらは……放っておけばいつまでも言い合ってそうだな。
「いいから行くぞ、ミランダ。あいつはもう終わりだ」
そう言っても尚、暴れ続けるミランダを強引に連れていく。
裂け目を通り抜け、ミランダを下ろすと透かさずビンタをお見舞いされる。
その顔には涙を浮かび、悔しそうに唇を噛んでいた。
「……うん、やっぱお前はあの変態顔よりそっちの方がいいな」
「茶化さないでくれ。なぜ奴を逃がすような真似をした?」
そこにいたミランダにはいつもの変態的な言動はなく、真剣な顔で怒りを含んでいた。
「逃がす?誰を?」
「茶化さないでくれと言ったはずだ!あの元締めの男を殺さず、ましてや衛兵にすら渡さないなどと……」
ミランダの言葉に頭を掻いて、やれやれと溜め息を吐く。
「俺はあいつをただ放置する気はねえよ」
「何……?ではどうすると――」
「なぁ、ミランダ」
ミランダの言葉を遮って、俺は違う方向に目を向ける。
「今、俺たちがいるこの場所がどこだかわかるか?」
「……え?」
素っ頓狂な声を出して、辺りを見渡すミランダ。
周辺にはさっき俺たちがいた場所を含めた倉庫が複数あるのだが、ミランダは空間魔術で飛んでいるからわからないだろう。
「その目の前にある建物、そこがさっきまで俺たちのいた倉庫だ」
「そう、なのか?だがそれが一体――」
――バキッ!
再びミランダの言葉を遮るように、大きな音が立つ。発信源はさっきまで俺たちがいた倉庫からだった。
次第に音は増えていき、建物が一気に崩壊する。
「な……ぁ!?」
「おー、爽快だな」
崩れる建物を眺め呟く。
中からはまだ生きていた男の断末魔が聞こえてきた。他の奴らは死んでいるので、消去法で十中八九親玉の男のものだ。
「な?もう手を下す必要はなかったんだよ」
「まさかこれを人為的に引き起こしたと?」
「元々この倉庫には、あいつらを逃がさないように空間魔術で周りを固定してたんだ。そんでお前らが戦いに熱中してる間に支柱を全部壊しておいて、その魔術をたった今解いたってわけだ」
そして何の支えもなくなった建物は、当然崩壊する。
ギリギリ生きているのか男の恨み辛みが木霊して聞こえ、それを聞いた俺は思わず笑ってしまう。
「このまま生きていたとしても、出血で死ぬ……どうせ恨みを晴らすなら、苦しみながら死んでもらった方がいいだろ?まぁ、瓦礫やらに押し潰されて死んでもらってもいいが」
「……」
「不満か?自分の手で屠れなかったのが」
感情を押し殺すように黙っているミランダを見て、俺はそう問いかける。
「……いや、これでいい。騎士道精神を問われれば悪と言われるかもしれないが、アヤト殿のおかげで少し心が晴れた」
ミランダはそう言いつつも、スッキリしていないような顔をしていた。
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