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3章
10話目 中編 判断
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「ヤタ!」
「ヤタッ!」
報告を終え外へ出ると、俺を呼ぶ二つの声が聞こえてきた。
振り向いた先にはレチアと肩に黒猫を乗せたイクナ、そしてララがいた。
まず最初にダイブするように飛び込んできたイクナを受け止め、レチアたちの方を見る。
「どうしたんだ、お前ら?それに……ララも……」
連合内にいなかったララの姿を見て少し戸惑いながらもそう聞いた。
「そりゃあんだけ大騒ぎしてれば誰だって気付く二!何が起きてるか見に行こうとしたら偶然さっきララちと会って……ヤタはどうしたのって聞いたら騒ぎのしてる方向を指差したから……ああ、またかと思ったの二」
事件の渦中に俺あり!ってか?……嫌な見出し文句だな。
でもホント、毎度すいません……
「ところでそいつは誰二?」
レチアの視線がガカンに向けられる。
「あ、う、へ、へぇっ!あっしはガカンと申します!ヤタの旦那には命を救ってもらいまして……あの、あなたは旦那の奥さんで?」
「にゃっ!?」
「っ!」
「アウ?」
「ニャ?」
予想外なガカンの発言にレチアとララは顔を赤くして動揺し、イクナと黒猫は首を傾げる。
「んなっ、んなわけないにゃ!何を考えてるにゃ!?」
「そうだぞ。俺と一生を添い遂げようなんて頭のおかしい考えをしてる奴なんてこの世にもあの世にもいるわけないだぶぉっ!?」
レチアの言葉に同意しようとした俺の言葉を突然レチア自身が蹴りで遮ってきた。
「それで問題は解決した二か?」
冷たい視線で見下してきながら聞いてくるレチア。やだ……癖になっちゃいそう!
「全く。それどころか犯人には逃げられた」
「何してるにゃか……」
呆れて大きな溜め息を吐くレチア。コラコラ、語尾が素に戻ってるゾ☆
「まぁ、進展がなかったわけじゃない。少なくとも相手の正体がわかったんだからな」
お互いの無事が確認できたことだしこの辺りで「んじゃ帰るか」と言いたいのだが……ララがいるこの状況を無視するわけにはいかないよな。
でもこのまま飯……って雰囲気でもないし。
「ほんじゃま、今日のところはここまでってことで解散しようそうしましょう。ってことでまたなララ――ぐへっ!?」
早口でそう言ってその場を立ち去ろうとしたのだが、レチアに襟首掴まれて阻止されてしまった。
「なーに逃げようとしてるにゃ?そもそも時間的に解散には早いはずにゃ。一体何をやらかしたにゃ?」
「やだなーレチアさん、やらかしたなんて人聞きの悪い……ちょっと色々事件に巻き込まれてそれどころじゃないから今日のところはって話ですよー」
あまりにも雑な誤魔化し方だったためか、レチアから道端に落ちてた生ゴミでも見るかのような目を無言で向けられ続けた。
そ、そんな目で見られたって負けないんだからねっ!……泣いていい?
――――
結局ララも一緒に宿屋へ戻ることになったのだが、その間も超乳幼女からジト目で睨まれ続け、ついには白状してしまった。
それから俺が知ってる今までの経緯を話したが、レチアは何を言うでもなく黙っていた。
……それそうと今現在は正座して怒られている状態なのだが、座ってる状態でレチアの顔を見上げても大きな胸が邪魔で彼女の顔が見えないのです。これを役得と言っていいかは複雑な気分だな……
「……どこを見てるにゃ?」
語尾も元に戻して俺を威圧するレチア。
さっきまで黙ってたのは口を開いたら素の語尾で話しそうになるからか?
というか俺が胸を見てたことがバレた?そっちからも見えてなさそうなのに?
「どこも見てないぞ。強いて言えばこの先の未来を見据えてたくらいだ」
「そうかにゃ。で、何か見えたかにゃ?」
「何も。お先真っ暗」
冗談で少しでも空気を和ませようと努力したが、レチアの気分を損ねてしまったようでローキックを入れられてしまった。
「ふざけてる場合かにゃ?」
「ふざけないとイクナにこの空気は厳しいだろ」
「ウゥ……」
レチアのピリピリした雰囲気を感じているのか、怯えて俺の背中に抱き着いてくるイクナ。
レチアはその様子を見てたじろぎ、溜め息を吐く。
「……ごめんにゃ。見てるだけなのがもどかしくてイライラしちゃってたにゃ」
「その気持ちはわからないでもないけどな……だけど俺たちの事情も事情だから納得してくれ。それとこれからさらにムカつくことを言うかもしれないけれど、黙って聞いててくれるか?」
俺の言葉にレチアたちは肯定も否定もせず俺をジッと見る。
「ララ、お前は前の町に帰れ」
「っ……」
「ヤタッ!」
報告を終え外へ出ると、俺を呼ぶ二つの声が聞こえてきた。
振り向いた先にはレチアと肩に黒猫を乗せたイクナ、そしてララがいた。
まず最初にダイブするように飛び込んできたイクナを受け止め、レチアたちの方を見る。
「どうしたんだ、お前ら?それに……ララも……」
連合内にいなかったララの姿を見て少し戸惑いながらもそう聞いた。
「そりゃあんだけ大騒ぎしてれば誰だって気付く二!何が起きてるか見に行こうとしたら偶然さっきララちと会って……ヤタはどうしたのって聞いたら騒ぎのしてる方向を指差したから……ああ、またかと思ったの二」
事件の渦中に俺あり!ってか?……嫌な見出し文句だな。
でもホント、毎度すいません……
「ところでそいつは誰二?」
レチアの視線がガカンに向けられる。
「あ、う、へ、へぇっ!あっしはガカンと申します!ヤタの旦那には命を救ってもらいまして……あの、あなたは旦那の奥さんで?」
「にゃっ!?」
「っ!」
「アウ?」
「ニャ?」
予想外なガカンの発言にレチアとララは顔を赤くして動揺し、イクナと黒猫は首を傾げる。
「んなっ、んなわけないにゃ!何を考えてるにゃ!?」
「そうだぞ。俺と一生を添い遂げようなんて頭のおかしい考えをしてる奴なんてこの世にもあの世にもいるわけないだぶぉっ!?」
レチアの言葉に同意しようとした俺の言葉を突然レチア自身が蹴りで遮ってきた。
「それで問題は解決した二か?」
冷たい視線で見下してきながら聞いてくるレチア。やだ……癖になっちゃいそう!
「全く。それどころか犯人には逃げられた」
「何してるにゃか……」
呆れて大きな溜め息を吐くレチア。コラコラ、語尾が素に戻ってるゾ☆
「まぁ、進展がなかったわけじゃない。少なくとも相手の正体がわかったんだからな」
お互いの無事が確認できたことだしこの辺りで「んじゃ帰るか」と言いたいのだが……ララがいるこの状況を無視するわけにはいかないよな。
でもこのまま飯……って雰囲気でもないし。
「ほんじゃま、今日のところはここまでってことで解散しようそうしましょう。ってことでまたなララ――ぐへっ!?」
早口でそう言ってその場を立ち去ろうとしたのだが、レチアに襟首掴まれて阻止されてしまった。
「なーに逃げようとしてるにゃ?そもそも時間的に解散には早いはずにゃ。一体何をやらかしたにゃ?」
「やだなーレチアさん、やらかしたなんて人聞きの悪い……ちょっと色々事件に巻き込まれてそれどころじゃないから今日のところはって話ですよー」
あまりにも雑な誤魔化し方だったためか、レチアから道端に落ちてた生ゴミでも見るかのような目を無言で向けられ続けた。
そ、そんな目で見られたって負けないんだからねっ!……泣いていい?
――――
結局ララも一緒に宿屋へ戻ることになったのだが、その間も超乳幼女からジト目で睨まれ続け、ついには白状してしまった。
それから俺が知ってる今までの経緯を話したが、レチアは何を言うでもなく黙っていた。
……それそうと今現在は正座して怒られている状態なのだが、座ってる状態でレチアの顔を見上げても大きな胸が邪魔で彼女の顔が見えないのです。これを役得と言っていいかは複雑な気分だな……
「……どこを見てるにゃ?」
語尾も元に戻して俺を威圧するレチア。
さっきまで黙ってたのは口を開いたら素の語尾で話しそうになるからか?
というか俺が胸を見てたことがバレた?そっちからも見えてなさそうなのに?
「どこも見てないぞ。強いて言えばこの先の未来を見据えてたくらいだ」
「そうかにゃ。で、何か見えたかにゃ?」
「何も。お先真っ暗」
冗談で少しでも空気を和ませようと努力したが、レチアの気分を損ねてしまったようでローキックを入れられてしまった。
「ふざけてる場合かにゃ?」
「ふざけないとイクナにこの空気は厳しいだろ」
「ウゥ……」
レチアのピリピリした雰囲気を感じているのか、怯えて俺の背中に抱き着いてくるイクナ。
レチアはその様子を見てたじろぎ、溜め息を吐く。
「……ごめんにゃ。見てるだけなのがもどかしくてイライラしちゃってたにゃ」
「その気持ちはわからないでもないけどな……だけど俺たちの事情も事情だから納得してくれ。それとこれからさらにムカつくことを言うかもしれないけれど、黙って聞いててくれるか?」
俺の言葉にレチアたちは肯定も否定もせず俺をジッと見る。
「ララ、お前は前の町に帰れ」
「っ……」
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