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別行動しようぜ
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「そういや魔王を倒すって目的はあっけどさ、どこ行けばいいの?」
ふと思い出したようにレトナがそう言い、俺たちは全員揃って「あ」と声を漏らした。
「……そういえばそうだったな。町から出たはいいけど進む方向が定まってなかった」
「いや、それどうすんのよ?」
最近のゲームであれば次にどこへ行けばいいのか、何をすればいいのかなどが表示されるけれど……それがない辺りちょっと難しめか?
「……ま、どのゲームにもヒントってのはあるはずだ。とりあえず町に戻ってから手分けして片っ端から話を聞いてみようか」
「手分け……ってあたしたちも?」
予想外だと言わんばかりに目を丸くして驚くヴェルネに「そりゃあな」と答える。
「別に直接話すわけじゃなく適当に突っつくなりすればいいだけだからな。ってことでしばらくしたらまたここ集合でな」
――――
―――
――
―
「――で、どうだった?」
そこまで大きな町じゃないというのと、人がせいぜい数十人程度しかいなかったから聞き込みも結構すぐに終わって俺たちは集まることができていた。
「そこの宿屋、男女で泊まると安くしてくれるらしいから後で行かない?」
「ルルア、違うそうじゃない。俺が聞いてほしかったのは次の目的の目安なだけでそういうお得情報じゃないんだよ。一応HPとMPが減ってるから泊まってもいいんだけどさ……レトナたちは?」
目的と違うルルアの情報に肩を落としつつもヴェルネたちの情報に期待して聞いてみる。
「あたしも色々理解したわ。『武器や防具は装備しないと意味がない』って奴がいて何のことかと思ったんだけど、あんたたちがさっきやってたみたいなことをしないと数値的な変化がないってことだったのね。それと魔物……外のモンスターを倒せばレベルって力が上がることもわかったわ!」
「……そか」
なんというか、レトナと同様に「違う」と否定したかったのだけれど、ここまで自信満々に胸を張られると彼女の気分を害さないようにしたくなってしまう。ゲームの基本を覚えることは良いことだしな……だからもう何も言わないよ。
んで、最後にレトナだが……大丈夫なのか?
いつもしっかりして頼もしいと思っていた二人が違う情報しか持ち帰らなかったことにレトナも同様のことをするんじゃないかという不安しかなかった。
「俺はここから北の方に町があって、そこが魔族に襲撃されたって話を聞いたぞ」
「核心やないかーい」
芸人のツッコミみたいなことを緩やかにしてしまった。彼女には失礼だけど、正直期待してなかっただけにコントみたいになってしまった気がする。
「なら次の目的地は北の町か」
「その前に。あたしらのこと色々言ってるけど、カズは何か情報取ってきたわけ?」
せめてもの足の引っ張り合いをしようというのか、ヴェルネがそんなことを言い出すが俺は彼女の問いにニヤリと笑って返す。
「レトナが言った方角とは逆、南の方に凶悪なモンスターが住む洞窟があるらしい……で、どうだ?」
「どうって……?」
レトナの聞き返しにニッと笑い、ヴェルネは俺が何が言いたいのか察したように苦笑いで溜め息を吐く。
「そのモンスター、挑んでみないか?」
「……マジで言ってる?」
俺の言葉にレトナも苦笑いになってしまう。
「割とな。ターン制の戦いだったら勝ち目はないかもしれないけど、ある程度動けるならどうとでもなるかなって思ってる」
「まぁ、カズなら弱くなってもできそうなんだよな……あ、そうだ!」
レトナが何かを思い付いた様子で声を上げた。さてさて、今度はどんな変なことを思い付いたのか……
「ちょっと勝負しようぜ!」
「「「勝負?」」」
その提案に彼女以外が首を傾げる。
「そ、勝負。カズがその南の洞窟でモンスターを倒しに行く、そんで俺たちは次の町に進んでストーリーを進める。そんで俺たちが強い敵を倒すまでに合流できればカズの勝ち、先にこっちが倒してしまえば俺たちの勝ち、でどうだ?」
「なるほどな、強い敵っていうとストーリー的なボスのことだな?それにただ一緒に行動するだけじゃなく別行動で勝負か……たしかに面白そうだ。ちょいと距離的なハンデはあるのは……ま、俺のことを信用してくれてるってことにしとくよ」
俺が承諾するとレトナは「よっしゃ!」と嬉しそうにする。
「なら早速行くか!さっさと行かないとすぐに追い付かれそうだし……な?」
レトナが俺を一瞥し、言葉通りすぐに行動を開始する。
「……あたしたち、やるなんて一言も言ってないのに」
「ルルアもお兄ちゃんと一緒にいたいのにー……」
二人もブーブーと文句を言いながらもレトナの後をちゃんと付いて行った。なんか……ゴメンな?
「さて、俺も行動するとしようか」
というか勝負とは言ってたが、レトナは勝ち負けした時に何か賭ける気だったのか?……後で合流した時にでも聞けばいいか。
「……武器屋を覗いてみよ」
ふと思い出したようにレトナがそう言い、俺たちは全員揃って「あ」と声を漏らした。
「……そういえばそうだったな。町から出たはいいけど進む方向が定まってなかった」
「いや、それどうすんのよ?」
最近のゲームであれば次にどこへ行けばいいのか、何をすればいいのかなどが表示されるけれど……それがない辺りちょっと難しめか?
「……ま、どのゲームにもヒントってのはあるはずだ。とりあえず町に戻ってから手分けして片っ端から話を聞いてみようか」
「手分け……ってあたしたちも?」
予想外だと言わんばかりに目を丸くして驚くヴェルネに「そりゃあな」と答える。
「別に直接話すわけじゃなく適当に突っつくなりすればいいだけだからな。ってことでしばらくしたらまたここ集合でな」
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「――で、どうだった?」
そこまで大きな町じゃないというのと、人がせいぜい数十人程度しかいなかったから聞き込みも結構すぐに終わって俺たちは集まることができていた。
「そこの宿屋、男女で泊まると安くしてくれるらしいから後で行かない?」
「ルルア、違うそうじゃない。俺が聞いてほしかったのは次の目的の目安なだけでそういうお得情報じゃないんだよ。一応HPとMPが減ってるから泊まってもいいんだけどさ……レトナたちは?」
目的と違うルルアの情報に肩を落としつつもヴェルネたちの情報に期待して聞いてみる。
「あたしも色々理解したわ。『武器や防具は装備しないと意味がない』って奴がいて何のことかと思ったんだけど、あんたたちがさっきやってたみたいなことをしないと数値的な変化がないってことだったのね。それと魔物……外のモンスターを倒せばレベルって力が上がることもわかったわ!」
「……そか」
なんというか、レトナと同様に「違う」と否定したかったのだけれど、ここまで自信満々に胸を張られると彼女の気分を害さないようにしたくなってしまう。ゲームの基本を覚えることは良いことだしな……だからもう何も言わないよ。
んで、最後にレトナだが……大丈夫なのか?
いつもしっかりして頼もしいと思っていた二人が違う情報しか持ち帰らなかったことにレトナも同様のことをするんじゃないかという不安しかなかった。
「俺はここから北の方に町があって、そこが魔族に襲撃されたって話を聞いたぞ」
「核心やないかーい」
芸人のツッコミみたいなことを緩やかにしてしまった。彼女には失礼だけど、正直期待してなかっただけにコントみたいになってしまった気がする。
「なら次の目的地は北の町か」
「その前に。あたしらのこと色々言ってるけど、カズは何か情報取ってきたわけ?」
せめてもの足の引っ張り合いをしようというのか、ヴェルネがそんなことを言い出すが俺は彼女の問いにニヤリと笑って返す。
「レトナが言った方角とは逆、南の方に凶悪なモンスターが住む洞窟があるらしい……で、どうだ?」
「どうって……?」
レトナの聞き返しにニッと笑い、ヴェルネは俺が何が言いたいのか察したように苦笑いで溜め息を吐く。
「そのモンスター、挑んでみないか?」
「……マジで言ってる?」
俺の言葉にレトナも苦笑いになってしまう。
「割とな。ターン制の戦いだったら勝ち目はないかもしれないけど、ある程度動けるならどうとでもなるかなって思ってる」
「まぁ、カズなら弱くなってもできそうなんだよな……あ、そうだ!」
レトナが何かを思い付いた様子で声を上げた。さてさて、今度はどんな変なことを思い付いたのか……
「ちょっと勝負しようぜ!」
「「「勝負?」」」
その提案に彼女以外が首を傾げる。
「そ、勝負。カズがその南の洞窟でモンスターを倒しに行く、そんで俺たちは次の町に進んでストーリーを進める。そんで俺たちが強い敵を倒すまでに合流できればカズの勝ち、先にこっちが倒してしまえば俺たちの勝ち、でどうだ?」
「なるほどな、強い敵っていうとストーリー的なボスのことだな?それにただ一緒に行動するだけじゃなく別行動で勝負か……たしかに面白そうだ。ちょいと距離的なハンデはあるのは……ま、俺のことを信用してくれてるってことにしとくよ」
俺が承諾するとレトナは「よっしゃ!」と嬉しそうにする。
「なら早速行くか!さっさと行かないとすぐに追い付かれそうだし……な?」
レトナが俺を一瞥し、言葉通りすぐに行動を開始する。
「……あたしたち、やるなんて一言も言ってないのに」
「ルルアもお兄ちゃんと一緒にいたいのにー……」
二人もブーブーと文句を言いながらもレトナの後をちゃんと付いて行った。なんか……ゴメンな?
「さて、俺も行動するとしようか」
というか勝負とは言ってたが、レトナは勝ち負けした時に何か賭ける気だったのか?……後で合流した時にでも聞けばいいか。
「……武器屋を覗いてみよ」
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