上 下
86 / 86

〝強い女〟概念への雑感

しおりを挟む
 ポリコレハリウッドの間違った〝強い女性〟像は米民主党のメタファーだったのだろう。

 Twitterで“強い女性”として描写されるポリコレハリウッドの〝単に粗暴なだけの女〟への批判、バイデン政権下アメリカへの批判を読んでいて筆者は両者が繋がった感触を得た。
 ポリコレハリウッドやESG投資欲しさにDEIにこびへつらう卑しい海外ゲーム企業(およびゲームメディア)の〝強い女性〟像を肯定する者共は、何が強さなのか考えたことがないからあのような女をお出ししてしまう。
 簡単に言うとそんな風に言われていた。
 果ては、「女は女殴ってそうな男を好きになる」という謎の答えとまで言われていた。
 その文脈で“強い女”を語ろうとするから、あの手のコンテンツでは「単に粗暴で弱者を包摂しない(=男の社会では嫌われるだけの乱暴者)」のだし、「男を執拗に不要と否定する」キャラクター像がお出しされるのだろう。

 ここで“包摂”されるべき弱者というのは、非常にハイコンテクストなものだ。
 最近だと『仮面ライダーガヴ』第3話「ソーダパンチは罪な味」の中でかつて工場長に拾ってもらった(空腹で倒れそうなショウマ=ガヴにメシを奢った人。また、恩義ある工場の操業資金を得るために業者を装って空き巣に入り、しかもそれをショウマに手伝わせた)あの柄の悪いおじさんのような人だろう。
 結局おじさんは工場を救えず、おじさんはそのことと悪事に手を染めたことをも親父と慕う工場長に謝る。
 そこでも工場長は、おじさんに「(空き巣に入った家に)一緒に謝りに行こう」と言ってくれる。
 おそらく、Twitterで弱者と言われていたのはこのおじさんのような人のことであろうし、〝強い〟人とはこの工場長のような人であろう。

 米民主党に限らず移民政策をやって移民難民を受け入れて「弱者を包摂しました」とホクホク顔をして、裏では「これでブラウニーポイントたんまりじゃ! ハイル、世界政府!」とかやってる連中は、全然弱者を包摂できていない。
 たんまり入ってきた不法移民が悪事をはたらいても無罪放免、それで迷惑を被る自国民を放置しているからだ。
 これが筆者には〝強い女性〟を騙る〝単に粗暴なだけの女〟と重なって見えた。
 弱者を包摂どころか、不法移民の流入を許すことは闇バイトの募集呼びかけと同じだ。
 あろうことか、そんなリベラル政党を応援したヒーロー映画俳優がいたというのだから、目も当てられない。

『【海外の反応】マーベルのスターが「アベンジャーズ」を完全に政治利用。そのあまりの寒い内容に全米がサノスの気持ちを理解してしまう。エンドゲーム、キャプテンアメリカ、ブラックパンサー全てが私物化へ』
 https://www.youtube.com/watch?v=5MoMEXBzJGA
(プク太の世界時事ニュース様)


 〝強い女〟概念いいよね、と聞くようになって、具体的にどういうキャラクターなのだろうと、筆者は疑問に思っていた。
 ちょうどポリコレハリウッドの(以下略)への批判が広まってきた時期と重なる(ように思う時期に聞こえてきた)からだ。
 日本でもあのような粗暴で不快なだけのオッサンを女にしただけのキャラクターがもてはやされているなら、由々しき事態だからだ。どうこうできるかは別として、起きていることを把握する必要はある。
 そこで、ネットでコンタクトの取れる女性に雑談の中で、具体的な〝強い女〟概念のキャラクターを聞いてみた。得られた回答の中では、『ブラックラグーン』のバラライカというキャラクターの名を挙げるときの声には熱が籠っていたように思う。
 筆者が「これだろう」と思う上で例に挙げた『仮面ライダーガヴ』に登場した工場長とはきっと違う〝強さ〟な気がするが、〝単に粗暴なだけの女〟とも違うのだろう。
 バラライカについては筆者は知らないが、『電波的な彼女』『紅』に登場する柔沢紅香の元ネタだろうと筆者は勝手に思っている。ゆえに特に『紅』での柔沢紅香のようなキャラクターだと思っている。知らんけど(念押し)。

 コンタクトの取れる読者の一人が言うことには、筆者も〝強い女性〟が好きと思われている。
 その論拠として出されたのが、拙作『雷獣』の黄泉津シコ女というキャラクターだ。
 簡単に紹介すると、政府直属の秘密組織で働く天才科学者のエリートで、主人公をリクルートしにくる(痴女の)キャラクターだ。
 そういえばネットに公開していない作品含め、筆者が力を入れて書いた作品のヒロインは“守られるだけの女”だったことがないように思う。
 〝守られるだけの女〟ヒロインを設定するには、その思想や悩みに主人公が心底共感するとかいう流れが必要なんだよね。
 そうでなければ、ヒロインじゃなくてなんかの遺物の取り合いの話でよくね?
 痴女ないし積極的に好意を伝えてくるヒロインが好きで、「友達がいないからなんか人外を召喚できる魔術は習得できないものか」とひとりぼっちの休み時間を過ごしていた高校までの自分と連続である筆者としては……〝守られるだけの女〟ヒロインを軸にするのは、あまりモチベーションの上がるプロットではない。

 ネットというかTwitterの意見を元に上で“強い”とは何か〝強い女〟概念とは何かと紹介したり考えてみたりしたが、それら抜きに筆者はどう思っているのか。
 昔の作品になるが『天地無用!』シリーズの魎子こそが、筆者の中の〝強い女〟概念を持つヒロインだと思う。
 〝強い女〟概念を語る上でヒロインかどうかはあまり関係ないかもしれないが、まあ筆者は男なので理想の話なら、ということでヒロインに限って挙げてみる。
 強さにもワイルドとか、地位とか色々あると思うが魎子はワイルド寄りだ。
『ハイスクールD×D』のリアス・グレモリーなどは、地位寄りだと思う。
『這いよれ!ニャル子さん』のニャル子は、中間?
 今期にアニメを放送中の『最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える』のアルマは、ワイルド寄りかつ……お姉ちゃん?
 姉は強し(謎の強弁)。
『FGO』やってるせいで、「もしもカイニスが主人公しゅきしゅきヒロインだったら」という、ない概念を振り払いながら見ている。

 ぐだぐだと書いて来ましたが、まとめに入りましょう。
 〝強い女〟概念、〝強さ〟には弱者の包摂が必要、とくればもう結論は一つでしょう。
 なぜ〝母は強し〟と言われるのか。これが答えでしょう。
 〝単に粗暴なだけの女〟ではそれは毒親だ。虐待だ。ネグレクトだ。
 なんか一時、範馬勇次郎と差し替えたコラが出回った漫画のおかんとか強いじゃん。
 あの、自分を犠牲にして息子を逃がす、と見せかけて自宅に乗り込んできた兵士を返り討ちにするおかん。
 あれだよ(ド雑)!
 おかん以外の〝強い女〟概念が欲しい、とか、わけがあって共感できない向きもおろう。
 あくまで〝単に粗暴なだけの女〟に強さを見る向きを正面からぶん殴るための正論パンチであり、フィクションにおける理想化されたキャラクターテンプレの話である。そう捉えてもらえれば幸いだ。
 ヒロインとおかんを結びつけるのは、一部では禁忌だからな。
 たとえ主人公と結ばれて、順当にいけばあらゆるヒロインはおかんになる可能性があるとしても、だ。
 SMにおけるSとはサービスのSである、という興の醒める言葉がある。
 かみ砕いて言えば、それと同じように〝強さ〟の根幹には愛がなければならない。
 きっと、そういうことなのだ。
 無論、女性に限ったことではない。
 ウルトラマンの強さの根源は、いつだって愛だから。
 筆者はそう思っている。
 (「Brave Love, TIGA」を聞きながら)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活

坂崎文明
エッセイ・ノンフィクション
カクヨム、noteを中心に小説新人賞やクリエーター関連のエッセイを書いていきます。 小説家になろう、アルファポリス、E☆エブリスタ、ノベラボなどのWeb小説サイト全般の攻略法も書いていきます。 自動バックアップ機能がある『小説家になろう』→カクヨム→noteの順に投稿しています。note版がリンク機能があるので読みやすいかも。 小説家になろう版 http://ncode.syosetu.com/n0557de/ カクヨム版(567関連で公開停止) https://kakuyomu.jp/works/1177354054880246141 【続編】カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活2 作者 坂崎文明 https://kakuyomu.jp/works/16816700427247367228 note版 https://note.mu/sakazaki_dc/m/mec15c2a2698d E☆エブリスタ版 http://estar.jp/_howto_view?w=24043593 小説家になるための戦略ノート 作者:坂崎文明《感想 130件  レビュー 2件 ブックマーク登録 1063 件 総合評価 2,709pt文字数 958441文字》も人気です。 http://ncode.syosetu.com/n4163bx/

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】

松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。 スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。

昨日19万円失った話(実話)

アガサ棚
エッセイ・ノンフィクション
19万円を失った様とその後の奇行を記した物

処理中です...