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完全版商法ふざけるな

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「レインコード」発売から12.5か月ほど後である今年の7月、スパイクチュンソフトが「レインコードプラス」を発売することが告知された。
 といっても筆者は、ゲーム情報を投稿する人のYouTube動画でそれを知ったのだが。
 ソシャゲ、創作、はては他のコンシューマなどで時間が取れずにまだ「レインコード」をクリアできていない筆者なのだが、これには驚いた。
 こんなに早く完全版商法を仕掛けてくるとは。
 ロード時間の短縮、4k対応、追加エピソードを収録などするとのことだが……4kと聞いた瞬間に嫌な予感がした。

 なんと「レインコード」はSwitch専売だったのに、「レインコードプラス」はSwitch非対応なのだ。

 ここで思い出して欲しい。
 この冬に「真・女神転生VV」が「完全版商法」として大いに叩かれたことを。

 たしかにアトラスは「真・女神転生Ⅲ」で完全版商法に味を占めたようなところがあり、それをペルソナにも拡大するなどして非常に印象が悪いのはわかる。

 しかし、だ。
「真・女神転生VV」は既存の牛神の物語である「創世の女神」ルートに加えて、蛇神の物語である「復讐の女神」編という新しいルートが追加され、「真・女神転生V」未登場だった悪魔や新規描き下ろし悪魔が収録される。
 さらに「真・女神転生V」のDLCも最初から無料で収録するし、新しいDLCの販売もする。
 個々の悪魔に専用の必殺技のようなスキルが新たに追加され、縁のある悪魔同士(ex.スカアハとクー・フーリン、四大天使など)には合体技も実装されるとのこと。
 それでいて他のプラットフォームにも対応するが、もちろんSwitchにも対応している。
 ここまでやってもフルプライスで発売することが、Twitterのトレンドに載るほど批判された。

 曰く、「真・女神転生V」を買ったユーザーが馬鹿を見た、と。
 完全版商法があるから、新規ナンバリングを買うのは愚か、と。

 それに対して、オリジナルを買ってくれた人がいてくれたから、その収益で完全版が作れるんだから金ドブではないという擁護意見があった。

 そうだなぁ。
 もはやここまで完全版商法が定着してくると、完全版が出ないとシリーズの終焉を心配するレベルだよ。
 まだ発売されてないからわからないとはいえ、完全版で便利なものを取り上げられる(ポケモンで言えば「XY」で登場したメガシンカを「ORAS」で取り上げられるようなもの。後のシリーズで本当に没収されたけど)みたいなことが今のところないのも評価すべきだと思う。
 筆者は「真・女神転生Ⅳ」は色んな意味で良くない点が多すぎると思うし、「真・女神転生ⅣFINAL」は目を見張る傑作だと思う。
 しかし、「真・女神転生ⅣFINAL」は「真・女神転生Ⅳ」のDLCを最初から収録しないどころか継承できないし買えない(=強力なDLC限定悪魔を仲魔にできない、強力なスキルが使えない)、ニヤリシステムという「真・女神転生Ⅳ」固有のバトルを有利にする新要素(必ず回避やクリティカルが発生する)を改悪したのは本当に残念だった。
 無論、「真・女神転生V」にはニヤリシステムは最初からない。継承されていない。世界観がまったく違うので、そういうことを言っているのではない。ポケモンでノーマル以外のジュエルやメガシンカやZ技やダイマックスを没収されたのは許せないが、そういう話はしていない。
「真・女神転生V」のバトルを有利にする固有の新要素はマガツヒスキルという、戦闘中に上がるマガツヒゲージというものを消費してパーティー単位で強力なスキルを発動する(魔法含めてすべての攻撃が必中クリティカルになる、他にも仲魔の種族ごとに強力なスキルを発動可能)ものがあるが、見た感じこれが取り上げられそうな気配はない。
 上述した必殺技や合体技で、このマガツヒゲージの用途が広がる、と解釈している。

 で、「レインコードプラス」なのだが。

 これこそSwitchの既存版にも追加エピソードくらいは、無償で配信しないと筋が通らないよなぁ?
(4k対応とか、ロード短縮は無理だろうから言わんけど)
 文字通り、既存版をSwitch対応ソフトとして買ったユーザーから搾取した、と言っても過言ではあるまい。
 酷い。本当に酷い。


 話は変わるが「レインコード」の世界観はかなり都市伝説・陰謀論的だ。
 世界統一政府が存在していることが何の説明もなく最初から語られる。
 要するにニューワールドオーダーだ。
 年中雨の降り続ける街で探偵見習いとして事件を解決していく物語だが、そこはアマテラス社という大企業に支配されている。太陽神の名を冠するその企業と、止まない雨が密接というのも凄い設定だ。
 そのアマテラス社が治安機構も擁している。まあ警察が完全に腐敗しているディストピアからこそ、探偵が正義として活躍できるというかなり皮肉のきいた世界観でもある。
「アマテラス社」や地区の名前からして舞台はなんとなく日本がベースであろう街なのに、いたるところにハングル文字や中国語の看板があるのもなんとも暗い気分になる。
 キリスト教ベースであろうオリジナル宗教が登場するが、それも歴史・神話分野の都市伝説を追っていると「製作者はこれ知ってるな」と思えるものがある。
 Switchユーザーへの配慮がないのは許されざる背信行為だと強く感じるが、都市伝説や陰謀論に興味のある読者諸兄はこの期に「レインコードプラス」を購入するのも一興であろう。
 ぜひ、戦闘で長いロードの入らない快適な見習い探偵ライフを送り、死に神ちゃんのムフフな姿を目に焼き付けてほしい。

 あ、「レインコード」は構想ウン年という代物なので、死に神ちゃんはナチュラルにオタク蔑視発言を繰り返すので、【ドMの心得】もしくはスルースキルを持たないプレイヤーは気分を害する可能性があるのでそこは気を付けて欲しい。
 筆者はいつ頃「レインコード」をクリアできるだろうか。
 メガテンもあるし、サムレムも1周クリアしただけでDLCもまだできてないんだよなぁ。
 伊吹童子クッッッッッソエロいらしいし、若いりゅうたんもかっこいいよなぁ。
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