オムライス食べたい ~ゲーム漫画アニメの感想、それからオカルトや都市伝説について思ったこと書く意識の低いエッセイ~

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Xのトレンドの「完全版商法」で何の話か一発でわかる件

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 ニンテンドーダイレクトで「真・女神転生5 Vengeance」(以下「5V」)が発表されたことについての不満の投稿が主だ。

 メガテンの完全版商法は今に始まった話ではない。
「真・女神転生Ⅲ NOCTURNE」(※こちらはサブタイトルがあるがオリジナル)に「同マニアクス」が数量限定で発売され、それがプレ値のつくほどの人気が出た「成功体験」が根底にある。そうに違いない。

「Ⅲ」は今やメガテンやペルソナで当たり前になったバトルシステム、プレスターンバトルが初めて実装されたタイトルだ。
 プレスターンバトルとは何か。
 書いて字のごとく、“相手のターンを潰す”バトルである。
 まず、敵味方に毎ターンにそれぞれパーティ人数分の行動回数が付与される。
 それが相手の弱点を突くorクリティカルを発動させることで行動回数の消費が1→0.5となり、行動回数を増やせるというシステムだ。「0.5」のプレスターンアイコンは点滅するため、行動回数の把握は難しくはない。
 例えば、味方が4人で主人公が敵の弱点を突いたとしよう。
 すると、主人公の次に行動優先順位が高いキャラクターの行動はその「0.5」の行動回数を消費して行動することができる。
 つまり、その後普通にパーティーが行動回数を消費していけば味方の行動回数が「5」回となり、主人公にもう一度行動権が帰ってくるというものだ。もちろん、仲間の悪魔(仲魔)がさらに弱点やクリティカルを突けばさらに行動回数が増える。
 デフォルトの4→弱点突いて残り行動回数を稼いで実アイコン3+点滅アイコン1=残り4(合計5回行動)→さらに弱点突いて残り行動回数を稼いで実2+点滅2=4(合計6回行動)……というわけだ。
 ただし、最大でパーティー人数の2倍までしか行動回数を稼ぐことはできない。
 主人公に加えて仲魔が3体の4人パーティーなら、最大8回行動できるわけだ。
 アイテムの使用も同様の処理がなされる。回復やバフ・デバフを発動するアイテムなら1消費、攻撃魔法を発動するアイテムなら敵の防御相性に即してアイコン消費量が変化する。
 反対に、防御相性で無効化または吸収されるor攻撃を回避されるとターン消費が2倍になって行動回数の消費が「1→2」となる。
 弱点を突いて「0.5」になった行動の消費で上記の失敗パターンを犯した場合も結果は同じで、行動回数の消費が「0.5→2」となる。
 さらに、攻撃を反射された場合はすべてのターンを一度に消費してしまう。
 例えば6体の敵が現れたとして、敵の火炎魔法を味方の悪魔が無効化すると敵の残り行動回数は「6→6-(
 1×2)=4」となる。
 そこへ別の敵悪魔が今度は味方の悪魔が氷結魔法を撃つも、味方の悪魔がそれを反射した場合、すべてのプレスターンアイコンが消費され、敵のターンは終了となる。
 ちなみに敵悪魔も氷結魔法を反射できる防御相性を持っていたとしても、反射の反射は発生しない。
 敵の行動回数が「4→0」になって、氷結魔法を反射できる敵悪魔には反射ダメージが入らないという結果になる。

 複雑なようで楽しい、雑魚戦ですらスリリングにするこのシステムから「無人島に1本だけゲームを持っていくなら?」という(「電源の確保はどうするんだ」をはじめとするツッコミだらけの)質問に「真・女神転生Ⅲ」と即答させるだけの名作たらしめた。

 その画期的なアイデアもあり、さらに「マニアクス」には追加シナリオ上で「デビルメイクライ」からの客演キャラクター、ダンテが登場する。
 高確率で相手を即死させるスティンガーを操り、主人公こと「最強の裏ボス」と言われる「人修羅」の前に立ち塞がる。
 RPGなのになぜかダンジョン内をダンテから逃げ回るという謎アクションを強要されたりするのだが、イベントをクリアするとなんとダンテを仲魔にすることができる。
 いざ仲魔になると「ソシャゲのコラボキャラ」くらいのポジションに収まり、上述のスティンガーも高クリティカル技くらいにナーフされる。

 やりたいのに入手困難でできない、という事態を勘案したのか後年、救済処置がなされる。
 それが「デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王」の「真・女神転生ⅢNOCTURNEマニアクスクロニクル」同梱版(普通にソフト2本分ほどの値段)の発売である。
 実際に「アバドン王」と「マニアクスクロニクル」のソフト2枚組だからである。
「マニアクスクロニクル」ではダンテの続投は大人の都合もあって断念された。
 そのためダンテは同梱版の主である「十四代目デビルサマナー葛葉ライドウ」に差し替えられている。
 ダンテとライドウは別人であるから、イベントのセリフやスキル演出こそ違うものの、性能はまったく同じである。
 デビルハンターやデビルサマナーが悪魔使いの仲魔にされてどうする!
 とツッコミたいが、スキル演出が凝っていてどちらも戦闘映えするのは必至。
 ライドウは「アバドン王」には登場するが「Ⅲ」には登場しない悪魔「ツチグモ」「モー・ショボー」「ヨシツネ」「モコイ」などが大暴れして面白かった。
(※ライドウシリーズはアクションRPGなのでプレスターンバトルではない。)

「マニアクス」の成功を受け、メガテンの派生の派生である「ペルソナ」シリーズにも完全版商法の波は訪れる。
「ペルソナ3」など一度やっているのに、今年二回目の完全版が出ている。意味がわからない。
 DLCで「ペルソナ4」や「ペルソナ5」の固有ペルソナやキャラクター衣装、さらには作中BGMを「4」や「5」のものに変えるサービスが買えるらしい。
「ペルソナ3」に思い入れのあるメンバーは「わかってねぇなぁ」と文句を言いながらDLCまでしっかり購入していた。
「P4G」や「真・女神転生ディープストレンジジャーニー」(以下「DSJ」)、そして「5V」でも謎の女が登場して新しいシナリオが追加、展開されていくパターンが敷かれている。「P5R」は何もわからん。積んでる。
「DSJ」の追加女キャラは、凄まじく主人公に対して敵対的だ。新ヒロインなどと、口が裂けても言えない。まだデメテル女神のほうが……いや、ダメか。恋愛云々みたいなうわついた話じゃないんだよ、「DSJ」は!

 余談だが、メガテンはルート次第では一緒に旅してきたヒロインを戦って殺すことができる作品がいくつかある。
「真Ⅰ」は少なくとも1人は男の仲間を主人公の手で殺すことになるのは有名だと思うが、選択肢次第でヒロインも殺せる。
 他にもあるので、そういうのが好きな人はぜひ。
 メガテンは「戦闘で倒す」ことと「息の根を止める」ことがほぼ同義なので、「FGO」などで「おい、倒したのに敵がぴんぴんしてるテキストが流れるの、意味が分からん!」と鬱憤をためている人におすすめだ。
「こんなやつ、殺す価値もない」という漫画のセリフにもやもやしている人にもおすすめ。害虫を躊躇なく殺すのが我々人類だ。それよりも「殺す価値」のない人間なんていない。
 戦闘後に「とどめを刺しますか?」という選択肢の出ることもあるが、「はい」「YES」を選べばいいだけなので問題ない。
 主人公が見逃したところで他人が殺したりするので、「いいえ」「NO」を選ぶのはオフラインのゲーム内ですら自分の手を汚したくない卑怯者のすることだ。

 さて、「5V」の完全版商法が叩かれる理由について散見されたのは「そもそも「V」が面白くなかったから」というもの。
 筆者の私見を述べさせてもらえば、面白くないなんてことはない。
「遅まきながら」「都市伝説系Youtuberの動画で」と情けない前置きが付きながらも神話について学びだしたメガテニストには、牛神の系譜を辿るサブクエストや物語は実に興味深かった。「5」から急に悪魔合体の施設、邪教の館の主が女性になったことにも、ちゃんと理由があった。
 最初のボス、邪龍ヒュドラの登場演出も凝っており、初見時の感動は凄まじかった。
 最初に接敵するレベルでは、とてもじゃないが倒せないレベルの強敵がマップを闊歩していることで、シンボルエンカウントを採用することで薄れる緊張感を補強しているのも(ストレスに感じることもあったが)世界観としては良かった。

「V」が面白くなかったとされる理由としては希薄なメインクエスト、そして「これは未完成で発売されたものだ」と強く認識された原因である急展開すぎる終盤にあるだろう。
「Ⅰ」の時、筆者も「何をしたらストーリーが進むのかわからない」という壁にぶつかり、金剛神界(中盤で転移する異世界)で詰んでしまった。わけがわからさすぎてゲームを何度か最初からやり直した挙句、攻略本を買ってやっとゲームを進められた記憶がある。マルチエンディングが目玉の一つなのに「筆者の好きなカオスルートだと詰むのか?」というあり得ない推測まで立てていたので、子供にはかなり不親切なゲームだったのかもしれない。
 実は「中身がない」のような批判は名作「Ⅲ」の頃からあり、古参メガテニストの中には「Ⅲ」を毛嫌いする人もいる。
 その原因は「Ⅲ」の舞台が「東京受胎現象によって滅び、外界と隔絶したボルテクス界」だったことだと筆者は考えている。
 このボルテクス界、主人公を含めて選ばれた数人の人間を除いて人間は死滅している。
 思念体、つまり幽霊は各所にいるのだが肉体がないので彼らはもはや人間としての営みを行っていない。
 少なくとも、悪魔と戦うレジスタンスや「Ⅰ」で人間と悪魔が共存する世界を構想したゴトウや「Ⅱ」の統治機構となったメシア教といった、融和にしろ排除にしろ積極的に悪魔と関わるモブや、社会的な影響力を持つ人間が出てこないのだ。
 これによりドラマが悪魔主導、もしくは限られたメインキャラによるものとなり奥行きが足りないと感じて彼らは「中身がない」という感想を持つのではないか。
「Ⅲ」の発売当時は、まだまだセカイ系の時代だったのではないかと思うのでメガテンもその影響を受けた、と筆者などは考えるのだが……彼らは「魔界に飲み込まれた学校からの脱出」を目的とする「if…」をどう評価するのだろうか。「脱出」というメインクエストはかなりはっきりしているので、オッケーなのか。人間のパートナーを選んで一緒に脱出する性質上、その内面を掘り下げる要素もあるし、ガーディアンシステムという「ペルソナ」の元となったシステムもあってライトノベル的な面白さもある。だからオッケーなのかな?
「Ⅰ」でヒロインすら殺して人間の同行者を伴わないエンディングを俗に「修羅ルート」と呼ぶが、「Ⅲ」の主人公は東京受胎直後に目覚めて「人修羅」へと変貌する。謎の老婆を伴った少年ショタによって、悪魔の力を秘めて虫のようなもの「マガタマ」を飲まされたことでそれへと変わるのだ。
 前述したように、ボルテクス界には人間の生存者もいるが彼らが人修羅の旅の仲間となることは一度もない。
 どう転んでも修羅なのである。
 彼らのほとんどが新しい世界の方針を決める思想「コトワリ」を抱き、強大な神の力を得て創世をなさんとする。
 主人公は彼らのうち誰かのコトワリに賛同して、その露払いをすることもできるし、すべてを薙ぎ払って元の世界を取り戻すことも……「マニアクス」とつくシリーズなら悪魔の世界を創ることもできる。
 イベントごとに生存者を掘り下げるシナリオは多少あるものの、仲間にはならないので絆は感じない。
 旅の仲間は、合体で如何様にも姿の変わる悪魔たちだけなのだ。
 筆者としては、そこに何の不満もない。
 そもそもRPGに「ポケモン」から入って、クラスメイトとの人間関係が劣悪だった筆者にとって「人間の仲間と旅をする」ことに嫌悪感すらあった。幼稚な少年である当時の筆者は、同程度に幼稚なクラスメイトではなく人外の何かなら良好な関係が築けるという強い幻想を持っていた。うん、この話は別の稿で掘り下げよう。脱線が過ぎる。
 ともかく、プレスターンバトルは面白いし、同行させる悪魔たちとのシナリオはなくとも戦いの中で生まれる絆を捏造して筆者は楽しんでいた。言語化すらせず、レベル上げやボス攻略や合体にストーリーを見出してメインクエストで描かれないドラマを補完していた。
 強いスキルを継承した強い悪魔を作ることが、これならハードモードでもボスを倒せるという悪魔を作るのが最高に楽しい。
(こんな筆者なので「モンハン」とか「ドラゴンズドグマ」とかをソロでやっていると、全然強敵に挑まずに秘薬の材料集めしたり拠点近隣でバザーで売るものを集めて売るとかいう、採集民か商人のようなプレイを続けてしまう。プレイヤースキルがないから、回復アイテムの消費がえぐいのよ。んで、強いプレイヤーにけん引してもらって寄生させてもらって、自力では得られない強い装備を獲得してやっと主人公が戦闘職であることを思い出す。基本的にアクションゲームで「強敵に挑んで負ける」ことは時間の無駄としか感じられないので、楽しくないのだ。)

 そんな「Ⅲ」の希薄なメインクエストの反省から生まれたのが「ストレンジジャーニー」や「Ⅳ」であろう。
 目的もハッキリしているメインクエスト、次に何をすればいいかを主人公の端末が教えてくれる、おそらく「ライドウ」での手応えから採用された多彩なサブクエスト。
 それらはいいのだが、ま~~~あテキストが多い。メインイベントではフルボイス(「ストレンジジャーニー」はどうか知らんが「DSJ」はそう)だし。
 ハードはDSだったり3DSだったりするのだが、本当にテキストが多い。
 筆者は「ストレンジジャーニー」をパスしていきなり「DSJ」をやっているが、今作は今までのような普通の少年が神と悪魔の戦いに巻き込まれる話ではない。南極に発生した謎の穴が世界を滅亡させる穴であると判明し、その調査および解決に乗り出す特殊作戦に従事する世界的な組織の一員で、軍人である。
 軍人だが、人修羅のようにマガタマを飲まされて悪魔パワーが使えるわけではない。だから「if…」までの主人公のように剣と銃で武装するのだが、特別に少年たちより強いわけではない。軍人なのに、だ。その程度の差異、悪魔の前では有ってなきような物ということか。実にハードだ。
 部隊は装甲車のようなものに乗り込んで穴に入るため、拠点に素材を持ち帰ってそれを換金したり担当者に渡して新装備を開発してもらったりして強化を行う。
 定番のロウとカオスの属性システムも復活し、それぞれのアンバサダーには同じ作戦に従事する仲間が担当する。
 違う属性の悪魔もちゃんと召喚できるが、敵の隙を突いて一斉攻撃するシステムには主人公と同じ属性の悪魔しか参加できない(ニュートラルはどうだっけ?)という制限がついている。いい昇華だと思う。
 人間の愚かさを悪魔が指摘してくるときに環境問題に絡めてくるのが、筆者的には微妙だが全体としてのストーリーは面白い。
 伝統の一人称視点の3Dダンジョンで、罠だらけそして「今は入れないが後から入れるようになる」エリアが多数ある仕組みのため、「同じ場所に何度も潜る必要がある」というのがそこそこ億劫である。
 実質マス移動なので、三人称視点で主人公が走っているのを操作するよりも体感的に目的地が遠く感じるのだ。
 小説を書く気になれず、またソシャゲも虚無期間、体力と時間がまあまああるという隙間を見つけてプレイしていたが、そんな風にしているうちに「V」が発売、さらには「5V」も発表された。
 悪魔合体のスキル継承システムがいろいろと煩雑なのもあって、ちょっと腰が重くなるんだよなぁ。
 可処分時間を全ツッパする覚悟があるなら、面白いことは確実だと思う。
「Ⅳ」はかつて東京にI.C.B.M.が飛来した際に、平将門公が巨大化して顕現。その身を挺して爆撃から東京を守ったが、その遺骸で包まれた東京は太陽を失い悪魔の跋扈する世界に成り果てた。一方、将門公の遺骸の上には東のミカド国という中世ヨーロッパ風の国家が誕生していた。主人公フリン少年は東のミカド国で18歳を迎えて、「サムライ衆」に選抜されるかどうかの試験「ガントレットの儀」を受ける──というなろう隆盛の影響を明らかに受けた世界観である。
 サムライ衆に選ばれた彼は仲間たちと任務の中でナラクという悪魔の跋扈するダンジョンを下り、下界に広がる東京を目の当たりにする。そこでの冒険を通して、フリンは神と悪魔の最終戦争に巻き込まれていくのだった。
 ……正直、あんまり面白くなかった。
 外部のイラストレーターやデザイナーを招き、その新規デザインの悪魔が投入されていたのだがどうもそれに魅力を感じなかった。しかもそれの色違い(例えばミノタウロスに対してその色違いがアステリオス)の解放権がDLCで販売されたりした。別に強くもないがコレクター意識のようなものが働いてそれを買うも、あまり満足感はなかった。買わされている感がとても強かった。
 今作から本格参入?なのか知らんけど、土居さんのクエビコのデザインは好き。
 人気悪魔である大魔王ルシファーにまで、その影響は及びほぼ炎上騒動になっていた。
 筆者としてはルシファーの変わりようにも絶望したが、推しの夜魔リリスのデザインに一番怒りを覚えた。
 なぜ夜魔リリスを推しているかは、「Ⅰ」にまで遡るがぶっちゃけ「Ⅰ」のヒロインよりも女性として魅力的だと強烈に感じていたからだ。
 ルシファーから「Ⅰ」主人公をたぶらかせみたいな感じで「ゆりこ」として派遣されるも、アダムとのやり直し(リリスはアダムの最初の妻とされ、のちに悪魔となったという)をするように主人公に本当に惚れていった。しかし、敵対する運命となり彼女は主人公と結ばれることはない。終盤、彼女は主人公から離反した仲間とともにまた別の人間の女の姿で現れる。ルートによってこれは、主人公が殺すか、もう一人の離反した仲間が殺すかする。こうして「Ⅰ」主人公は(筆者の視点では)好きでもない女と目的を果たすか、好きでもない女だから殺して目的を果たすしかない哀れな男となるわけだ。
 そんなリリスを(I.C.B.M.投下シナリオから「Ⅰ」とのつながりを感じるのに)滅茶苦茶なデザインにされて、かなり憤ったのをよく覚えている。
(ただし後年、そのデザイン意図に高度に専門的な神話知識が用いられている痕跡は感じられたので、物凄く複雑な感情を抱いた)
 打って変わって「ⅣF」は面白かった。
「Ⅳ」と同じ世界観だが主人公は空を奪われた東京で、デビルハンター見習いとして暮らす少年、ナナシ。
 彼は強力な悪魔に先輩が殺されたことでそれに立ち向かい、しかしあっさり殺される。
 だが黄泉路を下る彼の前に、あるケルトの神が立ちはだかる。それが根強い人気を誇り「5V」へもDLCで登場することが発表された、魔神ダグザである。
 ダグザの手駒となって動くのと引き換えに蘇るという契約したナナシは悪魔の力を使えるようになり、自分を殺した悪魔を撃退する。
 幼馴染の少女アサヒや、デビルハンターでカメラ好きのお姉さんノゾミ、「Ⅳ」で頓死した嫌なサムライ衆の幽霊ナバール、デビルマン少年ハレルヤ、新規のサムライ衆の青年ガストン、ガイア教の仮面の巫女トキ、フリンの仲間イザボーなどと絆を結び、殺伐とした世界観なのにペルソナのような雰囲気という奇跡的なプレイ体験があった。
 ペルソナがメガテンのナンバリングを追い越し、「4」は面白かったけれどそれでもメガテンよりそちらがウケていることが気に入らない筆者だが、面白いものは面白い。
「Ⅲ」や「Ⅴ」が嫌いな人でも、「ⅣF」は好き……な人もいるかもしれない。
 女の子はみんな可愛かったけど、ノゾミ姉さんが好きすぎる。完全に余談だが、声優は園崎未恵さんで後年「FGO」で千利休/駒姫も演じられている。
 男キャラは、ナバールもいいんだがダグザが好きすぎる。一時、筆者が池田秀一さん(シャア役で有名なお方。最近は「コナン」でも人気)の声真似をして遊んでいたことを知る人よ、その理由はダグザの声優が池田さんだったからだ。
 いやぁ、「5V」にダグザDLCで出すのさぁ。なんとなく予感はしてたよ。「V」はルートによってはダグザの母、ダヌーンの合体解放できるからさ。(マリアとイナンナとの選択ってえぐいよね、ダヌーン。)だから完全版出るなら、やるとは思った。
「ⅣF」では外部から招いたデザイナー作の悪魔は、悪魔絵師を継ぐお方土居さんによってリファインされたり、そもそもなかったことにされたり、我らが元祖悪魔絵師金子一馬尊師デザインに戻ったりしていた。
 四大天使はあの不気味マックス異形でもよかったんだけどなぁ。ウリエルとラファエルのデザインしか覚えてないけど。あの外部デザイン版の四大天使、SD化したら「Among Us」の宇宙服みたいに可愛くなりそう。
 メデューサはマジで元を活かして改良されたし、黒卵ルシファーも「卵は尊重するんかーい」と思いつつ良くなったと思う。
 ペルソナと「ⅣF」の違うところは、「絆を結んだ仲間たち全員をぶっ殺せる」ことだ。
 筆者はあまりにノゾミ姉さんが好きで、あの人に銃を向けるのも向けられるのも耐えられず大団円ルートを選んでしまった。「Ⅳ」でイザボーは躊躇いなく殺したのに。
 イザボーは殺しても平気だけど、ノゾミ姉さんだけは無理だ。ノゾミ姉さんを殺すくらいなら、自分が死ぬくらいの感覚だった。
 アサヒもまっすぐに好意を向けてくる幼馴染だから、殺すのは忍びない。トキはかわいい。

 ここまでド長文カマしてきた通り、「Ⅳ」以外は面白かったんだよ。
 面白かったんだけど、ふと気が付いたことがあって。
 メガテンでフィーチャーされるスタッフって、イラストレーター/デザイナーと音楽クリエイター、あとはディレクターくらいなんだよね、ってこと。
 もともと「女神転生」は西谷史氏の小説の後日談みたいなメディアミックスのゲームとして誕生し、「女神転生Ⅱ」以降は小説と関係ない物語になったという歴史がある。
 とはいえ、だ。
 あまりにもシナリオライターの影が薄い。
「ⅣF」や「ペルソナ」シリーズの物語は評価されているが、じゃあ誰がシナリオを書いたのか。
 まったく話題に上らない。筆者もまったく知らない。
 だいたい新作の広告を見ても、キャラクターデザインや音楽担当やディレクターの名前こそ踊っても、シナリオライターの名前はほぼ出ない。ディレクターが書いてるのかと思って探すと、一応、「V」のシナリオライター/イベントプランナーみたいなクレジットはある。
「V」はシナリオライターが逃げたという噂があるが、このクレジットにある人たちの誰かがそうなのか、本当に逃げたからクレジットされてないのか、果ては噂は嘘なのか。
 そして、そのクレジットされた人たちのことを筆者も一切知らない。
 日本人はたぶん、ゲームシナリオライターを奈須きのこと麻枝准と虚淵玄しか知らない(偏見)。
 クレジットにすら載らない無名のライターが、たくさんいることすらきっと知らない。
 学生の中にはきっと、ゲームのシナリオライターになりたいと思って「プランナー」などを目指す人もたくさんいるだろうに。
 こんなに報われないのか、ゲームシナリオライター。
 RPGなら、もっとゲームシナリオライターの扱いもよくしてしかるべきじゃないだろうか。

(おまけ)
「V」が面白くなかった人って、王道のビルディングスロマンとかお涙頂戴とか求めてる人なんすかね?
 メガテンの面白さって、絶句するような陰惨な事件を仕組んだ悪魔なりなんなりを斃して、でもそれで状態が回復するわけでもないことを悟って、一時プレイの手が止まるようなものなんだよね。
 最近のゲームで言えば、キャラはえっちなのにストーリー激重って言われるアジアのソシャゲとかが近いのよなぁ。
 一説によると、初めてえっちなエネミーを登場させたRPGがメガテンらしいからね。
「V」もそこが強かったか、っていうとそうでもないんだけど。
 胸糞度合いでいえば、「ⅣF」には大きく劣るし、人間との絆はそんなに濃くないし。
「Ⅲ」と同じでプレイしながらアンソロジーコミックを読むか、そのような何かを脳内で再生して補完して楽しむゲームだと思う。
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