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【個人の感想】ウルトラマントリガーへの不満①
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ウルトラマンブレーザーも最終回を迎えたことだし(!?)あれについて触れることにしよう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%BC_NEW_GENERATION_TIGA#%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』がいかに酷かったか。
◎思い出を裏切る、絶望の二次創作
アンチの立場から本作を評するならこの一言に尽きる。
最初の期待は物凄く高かった。
『ウルトラマンティガ』はウルトラファンの間で人気が高いシリーズだと確信している(実際、いつぞやのNHKの投票企画で始まりの男マン兄さんを抜いての1位を獲得)。
トリガー放送開始の年、その4月1日に円谷の公式Twitterにウルトラマンティガと彼にそっくりな姿の戦士のシルエットが映った画像が投稿されたのだ。
今思えば「嘘であって欲しかった」と心から願うのだが、何も知らない当時の筆者含むオタクは「ティガのリメイクなのか……!?」とざわついた。
この頃が一番楽しかった。期待は青天井、wktkが止まらなかった。
『ウルトラマンティガ』といえばクトゥルー神話要素マシマシの世界観。途中で登場するいくつかの怪獣デザインにもそれを感じさせるものがあるし、終盤に登場するゾイガー、ガタノゾーアなんかそのまんまだ。
なぜかガタノゾーアはルルイエに封印されていたのだが、そのずらしはいいだろう。
クトゥルー神話の認知度は『ティガ』の後にエロゲや『這いよれ!ニャル子さん』などにより向上、『FGO』に限った話ではないがソーシャルゲームにも邪神の影は忍び寄っている。『女神転生』シリーズにもまた収録してほしいなぁ。『ペルソナ5R』を筆者はまだ触ってないが、ネクロノミコンはどうもアニメを見ただけではノーカン扱いだ。名前だけ借りているようにしか見えなかった。ゲームではどうなんだろうな。
ともかく、圧倒的に認知の広がったクトゥルー神話要素を令和に「返歌」としてどう扱うのか。
テラフォーミングされた火星から物語が始まる、という情報が開示された後では火星に縁のある神性が登場するのではないか、と予想で盛り上がったりもした。
そんな盛り上がりの中、最初に嫌な予感がしたのはキャストなどのビジュアルが公開されたときだった。
◎フュージョン要素を無理にカバーするな
『ウルトラマンオーブ』以降のニュージェネ戦士は、過去のウルトラ戦士の力が封じられたアイテムを組み合わせて変身またはフォームチェンジを行う戦士が多く見られた。
『オーブ』劇中でのセリフを引用して、ファンの間では俗に「お借りします」と呼ばれている。
動詞化しており「お借りしますするな」などと使われる。
『オーブ』『ウルトラマンジード』は2人のウルトラ戦士の力を組み合わせて使用。
『ウルトラマンR/B』は属性の象徴としてウルトラ戦士の刻印された、任意のメダル1枚を使用。それぞれ火水風土などの形態になったり、技を発動したりする。また同じメダルでも兄弟2人ごとに発現する能力が違うなどバラエティー豊かな感じだ。
『ウルトラマンタイガ』ではレジェンドの力は技を撃つときに使うだけだったな。ちょっと特殊なので割愛。
『ウルトラマンZ』では、フォームチェンジや技の使用に3枚のメダルを使用。変身アイテムが壊れた状態で客演したジードも同じアイテムで新しいフォームを披露した。
トリガーは『ティガ』が「マルチタイプ」「パワータイプ」「スカイタイプ」の3タイプに変身するというコンセプトをリスペクトして、「お借りします」なしで行くことが発表されていた。
解釈一致だ。それはいい。誰だってそーする、おれもそーする。
だが、割を食った存在がいる。
それが超古代闇怪獣ゴルバーである。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC
なんやこのゴジハムくんはぁっ!?
『ティガ』の第1話で、超古代の巨人の石像を破壊してウルトラマンの復活を阻止しようとした怪獣、それがゴルザとメルバである。石像は3体あり、ティガ以外の2人の石像はこの2体に破壊されている。
それがどうしてフュージョン、というかメルバを被ったゴルザなんてものがお出しされているんです????
このビジュアルの衝撃に、一気に不安がかき立てられた。
あれ? 約束された傑作のリメイクだよね? どうしてこんなに不安になるんだろう。
また、サクマテッシン役の水野直氏の参加にも不安を覚えた。
彼は『ジード』にも出演しているのだが、そのときは問題なく世界観に溶け込んでいた。
だが『ティガ』をモチーフとする世界観には、ちょっと合わないのではないか。
この直感はシリーズが始まってから確信に変わっていった。それについては後述する。
◎怪獣には勝てても、時代には勝てない(と思い込んでいる)
強烈な不安に襲われながらも、観てみないことには始まらない。
いや、大丈夫だろ。あの『ティガ』のリメイクだぞ。
ニュージェネは2クールだが、ダイジェストをそのまま流したって面白いのが『ティガ』だ。
自分にそう言い聞かせて放送開始を待った。
だが、始まって早々に面食らってしまった。
物語のテンポが速すぎるのだ。
21歳で植物学者をしているケンゴ。植物のために土が欲しくなり、母親の職場である遺跡発掘現場へ勝手に侵入。なんやかんやあって前述のゴルバーと遭遇。不思議な力を使ったことでシズマ財団のトップ、ミツクニに目をかけてもらう。怪我人が出ている中で「みんなを笑顔にしたい」と放言(具体的な行動はしない)。なんとミツクニから防衛隊であるガッツ‐セレクトの装備であるガッツスパークレンスを譲渡される。
いやいやいやいやいや! 早いって。
若いとは思ったがWikipedia見て初めて21歳って知ったけど、その歳で学者なの!? 学部生でも院生でもなく?
ちなみに地球でガッツセレクトに入った後、植物学者要素はまったく活かされない。
「ルルイエ」と名付けて可愛がっている蕾に水をやるのと、唐突に花言葉を持ち出してなんやかんや言うのをそうだと言ったら真面目に植物学者をされている方に失礼すぎる。花言葉なんか言ったもん勝ちの文系領域だし、一般人の範疇だ。
いや、もうさぁ……『罠の戦争』の海老沢君に謝れよ。こんなやつより彼を植物学者にしてやってくれ……!
そうじゃなくて、非戦闘員に最先端の武装をホイホイ渡すのが早すぎるんだよ。
なぜかというと、これがウルトラマントリガーへの変身アイテムだからなんだけどね。
何を隠そう、ガッツハイパーキーは18歳の現役高校生のガッツセレクト隊員、超古代遺跡の研究をしている天才科学者ヒジリアキトが「自分がウルトラマンになるため」に開発したものなのだ。
※なお、アキトくんはプロット変更により変身できないことになりました。
何なの? 日本はちょっと前までポル・ポト政権下だったの?
それとも超高校級の〇〇が流行っていた2010年代前半が舞台なの?
ラノベの設定を実写ドラマに持ち込むと、だいぶ痛いぞ……。
あと花に「ルルイエ」って名前つけるのやめろ。
不穏すぎる名前の割に、トリガー作中では咲く以外の展開はなし。
同じ世界観で展開された翌年の『ウルトラマンデッカー』の世界では、『ティガ』にも登場した破滅を呼ぶ植物ギジェラに似た植物怪獣ギジェランが登場する。
しかし、ルルイエは似ているだけで、それが巨大化したわけではないと判明。
いや、マジで何のために出てきたの? この不穏な名前の花は。
ネームドなのに存在意義の希薄すぎるキャラクターが多いトリガーだから、らしいっちゃらしいですけどね(皮肉)。
ともかく、それを持ったまま地下の遺跡で闇の戦士カルミラに襲われるケンゴ。
地上では再出現したゴルバーが暴れている。
みんなを笑顔にしたいbotことケンゴの脳裏に、過去のイメージが流れ込む。
アキト博士がシズマの娘ユナを守るヒーローになりたくて開発したガッツハイパーキーを構え、ウルトラマントリガーの力を宿すUSBメモリを手にして、変身を果たすのだった。
って、NTRじゃねえかあああああああああああああああああああああっ!!!!!111
土曜の朝から脳を破壊しにくるんじゃねえええええええええええええええええっ!!!!
カルミラを地下に置き去りに、地上のゴルバーの前に顕現するウルトラマントリガー。
坂本監督の十八番、下からのぐるぐる回るアングルで大迫力の戦闘が繰り広げられる。
そこへ巨大化したカルミラが参戦。
闇の巨人が参戦するとか、『ウルトラマンネクサス』を彷彿とさせていいじゃないか。
連携の苦手なヴィランのようで、片方とトリガーが戦っている間、片方は画面外で待機ということが散見される。
女性型であるカルミラとの戦闘中に雨が降り出す。
火星の雨は自然現象なのか、人工的なものなのか。筆者の知るところではないがともかく降り出す。
カルミラがトリガーを押し倒し、絡み合うような泥んこ戦闘が始まる。
坂本監督といえばアクションとお色気で有名な方なので、「始まったな」という感じである。
もちろん、ピンチを打開するのは武器──つまり販促タイムである。
サークルアームズという3種類に変形する武器を、剣の姿で遺跡の中から「アクシオ、来い!」するのである。
ちなみに3種類の武器はトリガーの変身する各タイプ、マルチ(剣)、パワー(鋏)、スカイ(弓)に対応して姿を変える。
鋏とか、実写『デビルマン』の飛鳥了かよ。
無論、グロテスクな戦闘はできない。パワータイプの鋏はあんまり有効活用されず、空気だった。
カルミラの拘束を振り切ったトリガーは、突如として技を繰り出してゴルバーに襲い掛かり、ダウンに追い込む。
次はお前だ、と振り返るとカルミラのビームウィップと打ち合いになる。
光の鞭を破壊すると、サークルアームズを地面に突き立て、『ティガ』と同じ必殺技ゼペリオン光線を放つ。
しかし、カルミラはダウンしたゴルバーを呼び寄せて盾にして逃げるのだった。
ちなみに『ティガ』第1話は、ウルトラマンティガに変身したところで終わる。
怪獣2体を相手に、タイプチェンジを駆使するというコンセプトを魅せるのは第2話から。
もうね、トリガーは最後まで見てもらう自信のなさが滲み出てるよね。
倍速視聴や物語の導入を「読者の共通理解」に依存して瞬間的に済ませる、なろうの流行を受けてなのか異様に駆け足に感じた。気が付いたら火星の植物学者がウルトラマンに変身していて、なんか地球防衛軍入りが決定していた。
な、なんだこれは……。
◎怪獣が噛ませ犬
火星でのウルトラマントリガー初戦闘において、ゴルバーがカルミラの盾として爆砕されたのはコンセプト紹介だったと後に知ることになる。
異様なテンポの速さは本作がウルトラマン初参加にして、メインライターを務めるハヤシナオキ氏の持ち味だということも明らかになる。3話まで彼の脚本が続き、やはりテンポが速かったので確信した。
使える怪獣リストから選出されたお馴染みの怪獣が地球で暴れると、すかさずウルトラマントリガーが登場。
戦うのだが、怪獣は早々に退場して闇の巨人が出現する。
カルミラの仲間(上下関係がある。ちなみにカルミラがトップ)であるダーゴンとヒュドラムである。
女首魁と男2人の構成から、「withB」とも当時呼ばれていた。
3話までは実質、闇の三巨人と呼ばれる彼らの顔見せである。
これに関しては、怪獣よりもヒーローが好きだと言われる坂本監督の影響もあるかもしれないが、ともかく怪獣の扱いが雑だった。30分枠の番組に要素を詰め込みすぎなのだ。
顔見せならいっそ、怪獣をダシにすることなく闇の巨人を最初から出す方がいいような気がしなくもない。
どうしてそこまで思うのかというと、本作は『ティガ』からの怪獣がガゾートとキリエロイドしか登場しないのだ。
ゴルバー? あれは新規だよ。新規とも『ティガ』由来とも認めたくはないのが本心なのだが。
だというのに、貴重な『ティガ』世界と共通の怪獣ガゾートがヒュドラムの登場回で消費されてしまっているのだ。
しかも、スーツの造詣がよくない。思わずスーツアクターのスニーカー履きの足が、スーツ下部から突き出してないか確認してしまった。レッドファイッ!!
このガゾートという怪獣は人気のある怪獣なのが、タチが悪い。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AC%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%88
『ティガ』における登場回では、防衛軍医療スタッフ女性の兄が飛行機に搭乗している際にガゾートに襲われ、死亡してしまうことから物語が始まる。
ガゾートは電離層に生息する生物「クリッター」が、電磁波やマイクロ波の影響を受けて群れごと融合した怪獣だ。
言語体系が存在し、劇中では動物の声を人間の言葉に翻訳する機械を使って会話を果たしている。
意思の疎通が取れるにも拘わらず、ガゾートは市街地で人間を食べる。
そこで「トモダチ」という言葉があることから、GUTSが「トモダチ」だから人類を食べないでくれと訴えるも無駄。
彼らの言葉で「トモダチ」とは捕食対象のことなのだ。
そんなガゾートの前に、謎のライダーが現れる。
彼はガゾートを誘導し、街から遠ざけるではないか。
プラズマの異常によって現世にひととき帰ってきたのか、謎のライダーは医療スタッフ女性の兄に酷似していた。
最終的にガゾートは、ティガスカイタイプによって倒された。
うろ覚えだが、こんなエモいドラマまである回の怪獣が望まない形で蘇ってしまい、当時は怒りを通り越して落胆を感じたものだ。おいおい、もうこれ打ち切って次のシリーズ見せてくれ、と。
キリエロイドについては、スーツのクォリティーの酷さなどはなかった。
異世界からウルトラマンティガが出現して、トリガーとともにキリエロイドの陰謀を打ち砕く。そんな熱い回を担当したのは、我らが田口監督だった。
しかし、ティガがやってくる過程の描き方はあまり納得のいくものではなかったかもしれない。
何より、あの特徴的なティガ登場時に流れるファンファーレが流れなかったのが残念でならない。許可が下りなかったのだろうか。
とはいえ戦闘はやってほしいことを全部やってくれたので、おおむね満足だった。
「ティガ、ついでにトリガーも倒してくれ!」と思ったことは強く記憶に残っている。
子供泣くわ。
田口監督回なら普通にウルトラマンZ客演回や、監督の愛するパワードダダ登場回の方が純粋に面白かった。
特に客演回はマナカ・ケンゴの鼻につく口癖「スマイルスマイル」の使い方が、他の回(特にハヤシナオキ脚本回)に比べて圧倒的にスマートだった。口癖がトレードマークだとしても、ただ言えばいいというものではない。
上で『ウルトラマンZ』にジードが客演した際に、Z用の変身アイテムで変身したと述べた。
同様に、Zの変身者ナツカワハルキがガッツハイパーキーで変身するくだりは(『Z』本編でも初変身がとてもコミカルだったように)また視聴者をいい意味で笑わせてくれた。あの2人、本当に大好きなんだよなぁ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%BC_NEW_GENERATION_TIGA#%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』がいかに酷かったか。
◎思い出を裏切る、絶望の二次創作
アンチの立場から本作を評するならこの一言に尽きる。
最初の期待は物凄く高かった。
『ウルトラマンティガ』はウルトラファンの間で人気が高いシリーズだと確信している(実際、いつぞやのNHKの投票企画で始まりの男マン兄さんを抜いての1位を獲得)。
トリガー放送開始の年、その4月1日に円谷の公式Twitterにウルトラマンティガと彼にそっくりな姿の戦士のシルエットが映った画像が投稿されたのだ。
今思えば「嘘であって欲しかった」と心から願うのだが、何も知らない当時の筆者含むオタクは「ティガのリメイクなのか……!?」とざわついた。
この頃が一番楽しかった。期待は青天井、wktkが止まらなかった。
『ウルトラマンティガ』といえばクトゥルー神話要素マシマシの世界観。途中で登場するいくつかの怪獣デザインにもそれを感じさせるものがあるし、終盤に登場するゾイガー、ガタノゾーアなんかそのまんまだ。
なぜかガタノゾーアはルルイエに封印されていたのだが、そのずらしはいいだろう。
クトゥルー神話の認知度は『ティガ』の後にエロゲや『這いよれ!ニャル子さん』などにより向上、『FGO』に限った話ではないがソーシャルゲームにも邪神の影は忍び寄っている。『女神転生』シリーズにもまた収録してほしいなぁ。『ペルソナ5R』を筆者はまだ触ってないが、ネクロノミコンはどうもアニメを見ただけではノーカン扱いだ。名前だけ借りているようにしか見えなかった。ゲームではどうなんだろうな。
ともかく、圧倒的に認知の広がったクトゥルー神話要素を令和に「返歌」としてどう扱うのか。
テラフォーミングされた火星から物語が始まる、という情報が開示された後では火星に縁のある神性が登場するのではないか、と予想で盛り上がったりもした。
そんな盛り上がりの中、最初に嫌な予感がしたのはキャストなどのビジュアルが公開されたときだった。
◎フュージョン要素を無理にカバーするな
『ウルトラマンオーブ』以降のニュージェネ戦士は、過去のウルトラ戦士の力が封じられたアイテムを組み合わせて変身またはフォームチェンジを行う戦士が多く見られた。
『オーブ』劇中でのセリフを引用して、ファンの間では俗に「お借りします」と呼ばれている。
動詞化しており「お借りしますするな」などと使われる。
『オーブ』『ウルトラマンジード』は2人のウルトラ戦士の力を組み合わせて使用。
『ウルトラマンR/B』は属性の象徴としてウルトラ戦士の刻印された、任意のメダル1枚を使用。それぞれ火水風土などの形態になったり、技を発動したりする。また同じメダルでも兄弟2人ごとに発現する能力が違うなどバラエティー豊かな感じだ。
『ウルトラマンタイガ』ではレジェンドの力は技を撃つときに使うだけだったな。ちょっと特殊なので割愛。
『ウルトラマンZ』では、フォームチェンジや技の使用に3枚のメダルを使用。変身アイテムが壊れた状態で客演したジードも同じアイテムで新しいフォームを披露した。
トリガーは『ティガ』が「マルチタイプ」「パワータイプ」「スカイタイプ」の3タイプに変身するというコンセプトをリスペクトして、「お借りします」なしで行くことが発表されていた。
解釈一致だ。それはいい。誰だってそーする、おれもそーする。
だが、割を食った存在がいる。
それが超古代闇怪獣ゴルバーである。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC
なんやこのゴジハムくんはぁっ!?
『ティガ』の第1話で、超古代の巨人の石像を破壊してウルトラマンの復活を阻止しようとした怪獣、それがゴルザとメルバである。石像は3体あり、ティガ以外の2人の石像はこの2体に破壊されている。
それがどうしてフュージョン、というかメルバを被ったゴルザなんてものがお出しされているんです????
このビジュアルの衝撃に、一気に不安がかき立てられた。
あれ? 約束された傑作のリメイクだよね? どうしてこんなに不安になるんだろう。
また、サクマテッシン役の水野直氏の参加にも不安を覚えた。
彼は『ジード』にも出演しているのだが、そのときは問題なく世界観に溶け込んでいた。
だが『ティガ』をモチーフとする世界観には、ちょっと合わないのではないか。
この直感はシリーズが始まってから確信に変わっていった。それについては後述する。
◎怪獣には勝てても、時代には勝てない(と思い込んでいる)
強烈な不安に襲われながらも、観てみないことには始まらない。
いや、大丈夫だろ。あの『ティガ』のリメイクだぞ。
ニュージェネは2クールだが、ダイジェストをそのまま流したって面白いのが『ティガ』だ。
自分にそう言い聞かせて放送開始を待った。
だが、始まって早々に面食らってしまった。
物語のテンポが速すぎるのだ。
21歳で植物学者をしているケンゴ。植物のために土が欲しくなり、母親の職場である遺跡発掘現場へ勝手に侵入。なんやかんやあって前述のゴルバーと遭遇。不思議な力を使ったことでシズマ財団のトップ、ミツクニに目をかけてもらう。怪我人が出ている中で「みんなを笑顔にしたい」と放言(具体的な行動はしない)。なんとミツクニから防衛隊であるガッツ‐セレクトの装備であるガッツスパークレンスを譲渡される。
いやいやいやいやいや! 早いって。
若いとは思ったがWikipedia見て初めて21歳って知ったけど、その歳で学者なの!? 学部生でも院生でもなく?
ちなみに地球でガッツセレクトに入った後、植物学者要素はまったく活かされない。
「ルルイエ」と名付けて可愛がっている蕾に水をやるのと、唐突に花言葉を持ち出してなんやかんや言うのをそうだと言ったら真面目に植物学者をされている方に失礼すぎる。花言葉なんか言ったもん勝ちの文系領域だし、一般人の範疇だ。
いや、もうさぁ……『罠の戦争』の海老沢君に謝れよ。こんなやつより彼を植物学者にしてやってくれ……!
そうじゃなくて、非戦闘員に最先端の武装をホイホイ渡すのが早すぎるんだよ。
なぜかというと、これがウルトラマントリガーへの変身アイテムだからなんだけどね。
何を隠そう、ガッツハイパーキーは18歳の現役高校生のガッツセレクト隊員、超古代遺跡の研究をしている天才科学者ヒジリアキトが「自分がウルトラマンになるため」に開発したものなのだ。
※なお、アキトくんはプロット変更により変身できないことになりました。
何なの? 日本はちょっと前までポル・ポト政権下だったの?
それとも超高校級の〇〇が流行っていた2010年代前半が舞台なの?
ラノベの設定を実写ドラマに持ち込むと、だいぶ痛いぞ……。
あと花に「ルルイエ」って名前つけるのやめろ。
不穏すぎる名前の割に、トリガー作中では咲く以外の展開はなし。
同じ世界観で展開された翌年の『ウルトラマンデッカー』の世界では、『ティガ』にも登場した破滅を呼ぶ植物ギジェラに似た植物怪獣ギジェランが登場する。
しかし、ルルイエは似ているだけで、それが巨大化したわけではないと判明。
いや、マジで何のために出てきたの? この不穏な名前の花は。
ネームドなのに存在意義の希薄すぎるキャラクターが多いトリガーだから、らしいっちゃらしいですけどね(皮肉)。
ともかく、それを持ったまま地下の遺跡で闇の戦士カルミラに襲われるケンゴ。
地上では再出現したゴルバーが暴れている。
みんなを笑顔にしたいbotことケンゴの脳裏に、過去のイメージが流れ込む。
アキト博士がシズマの娘ユナを守るヒーローになりたくて開発したガッツハイパーキーを構え、ウルトラマントリガーの力を宿すUSBメモリを手にして、変身を果たすのだった。
って、NTRじゃねえかあああああああああああああああああああああっ!!!!!111
土曜の朝から脳を破壊しにくるんじゃねえええええええええええええええええっ!!!!
カルミラを地下に置き去りに、地上のゴルバーの前に顕現するウルトラマントリガー。
坂本監督の十八番、下からのぐるぐる回るアングルで大迫力の戦闘が繰り広げられる。
そこへ巨大化したカルミラが参戦。
闇の巨人が参戦するとか、『ウルトラマンネクサス』を彷彿とさせていいじゃないか。
連携の苦手なヴィランのようで、片方とトリガーが戦っている間、片方は画面外で待機ということが散見される。
女性型であるカルミラとの戦闘中に雨が降り出す。
火星の雨は自然現象なのか、人工的なものなのか。筆者の知るところではないがともかく降り出す。
カルミラがトリガーを押し倒し、絡み合うような泥んこ戦闘が始まる。
坂本監督といえばアクションとお色気で有名な方なので、「始まったな」という感じである。
もちろん、ピンチを打開するのは武器──つまり販促タイムである。
サークルアームズという3種類に変形する武器を、剣の姿で遺跡の中から「アクシオ、来い!」するのである。
ちなみに3種類の武器はトリガーの変身する各タイプ、マルチ(剣)、パワー(鋏)、スカイ(弓)に対応して姿を変える。
鋏とか、実写『デビルマン』の飛鳥了かよ。
無論、グロテスクな戦闘はできない。パワータイプの鋏はあんまり有効活用されず、空気だった。
カルミラの拘束を振り切ったトリガーは、突如として技を繰り出してゴルバーに襲い掛かり、ダウンに追い込む。
次はお前だ、と振り返るとカルミラのビームウィップと打ち合いになる。
光の鞭を破壊すると、サークルアームズを地面に突き立て、『ティガ』と同じ必殺技ゼペリオン光線を放つ。
しかし、カルミラはダウンしたゴルバーを呼び寄せて盾にして逃げるのだった。
ちなみに『ティガ』第1話は、ウルトラマンティガに変身したところで終わる。
怪獣2体を相手に、タイプチェンジを駆使するというコンセプトを魅せるのは第2話から。
もうね、トリガーは最後まで見てもらう自信のなさが滲み出てるよね。
倍速視聴や物語の導入を「読者の共通理解」に依存して瞬間的に済ませる、なろうの流行を受けてなのか異様に駆け足に感じた。気が付いたら火星の植物学者がウルトラマンに変身していて、なんか地球防衛軍入りが決定していた。
な、なんだこれは……。
◎怪獣が噛ませ犬
火星でのウルトラマントリガー初戦闘において、ゴルバーがカルミラの盾として爆砕されたのはコンセプト紹介だったと後に知ることになる。
異様なテンポの速さは本作がウルトラマン初参加にして、メインライターを務めるハヤシナオキ氏の持ち味だということも明らかになる。3話まで彼の脚本が続き、やはりテンポが速かったので確信した。
使える怪獣リストから選出されたお馴染みの怪獣が地球で暴れると、すかさずウルトラマントリガーが登場。
戦うのだが、怪獣は早々に退場して闇の巨人が出現する。
カルミラの仲間(上下関係がある。ちなみにカルミラがトップ)であるダーゴンとヒュドラムである。
女首魁と男2人の構成から、「withB」とも当時呼ばれていた。
3話までは実質、闇の三巨人と呼ばれる彼らの顔見せである。
これに関しては、怪獣よりもヒーローが好きだと言われる坂本監督の影響もあるかもしれないが、ともかく怪獣の扱いが雑だった。30分枠の番組に要素を詰め込みすぎなのだ。
顔見せならいっそ、怪獣をダシにすることなく闇の巨人を最初から出す方がいいような気がしなくもない。
どうしてそこまで思うのかというと、本作は『ティガ』からの怪獣がガゾートとキリエロイドしか登場しないのだ。
ゴルバー? あれは新規だよ。新規とも『ティガ』由来とも認めたくはないのが本心なのだが。
だというのに、貴重な『ティガ』世界と共通の怪獣ガゾートがヒュドラムの登場回で消費されてしまっているのだ。
しかも、スーツの造詣がよくない。思わずスーツアクターのスニーカー履きの足が、スーツ下部から突き出してないか確認してしまった。レッドファイッ!!
このガゾートという怪獣は人気のある怪獣なのが、タチが悪い。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AC%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%88
『ティガ』における登場回では、防衛軍医療スタッフ女性の兄が飛行機に搭乗している際にガゾートに襲われ、死亡してしまうことから物語が始まる。
ガゾートは電離層に生息する生物「クリッター」が、電磁波やマイクロ波の影響を受けて群れごと融合した怪獣だ。
言語体系が存在し、劇中では動物の声を人間の言葉に翻訳する機械を使って会話を果たしている。
意思の疎通が取れるにも拘わらず、ガゾートは市街地で人間を食べる。
そこで「トモダチ」という言葉があることから、GUTSが「トモダチ」だから人類を食べないでくれと訴えるも無駄。
彼らの言葉で「トモダチ」とは捕食対象のことなのだ。
そんなガゾートの前に、謎のライダーが現れる。
彼はガゾートを誘導し、街から遠ざけるではないか。
プラズマの異常によって現世にひととき帰ってきたのか、謎のライダーは医療スタッフ女性の兄に酷似していた。
最終的にガゾートは、ティガスカイタイプによって倒された。
うろ覚えだが、こんなエモいドラマまである回の怪獣が望まない形で蘇ってしまい、当時は怒りを通り越して落胆を感じたものだ。おいおい、もうこれ打ち切って次のシリーズ見せてくれ、と。
キリエロイドについては、スーツのクォリティーの酷さなどはなかった。
異世界からウルトラマンティガが出現して、トリガーとともにキリエロイドの陰謀を打ち砕く。そんな熱い回を担当したのは、我らが田口監督だった。
しかし、ティガがやってくる過程の描き方はあまり納得のいくものではなかったかもしれない。
何より、あの特徴的なティガ登場時に流れるファンファーレが流れなかったのが残念でならない。許可が下りなかったのだろうか。
とはいえ戦闘はやってほしいことを全部やってくれたので、おおむね満足だった。
「ティガ、ついでにトリガーも倒してくれ!」と思ったことは強く記憶に残っている。
子供泣くわ。
田口監督回なら普通にウルトラマンZ客演回や、監督の愛するパワードダダ登場回の方が純粋に面白かった。
特に客演回はマナカ・ケンゴの鼻につく口癖「スマイルスマイル」の使い方が、他の回(特にハヤシナオキ脚本回)に比べて圧倒的にスマートだった。口癖がトレードマークだとしても、ただ言えばいいというものではない。
上で『ウルトラマンZ』にジードが客演した際に、Z用の変身アイテムで変身したと述べた。
同様に、Zの変身者ナツカワハルキがガッツハイパーキーで変身するくだりは(『Z』本編でも初変身がとてもコミカルだったように)また視聴者をいい意味で笑わせてくれた。あの2人、本当に大好きなんだよなぁ。
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