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頭が冴える
しおりを挟む『しょうちゃん。ぼくね。
なんかね…。』
そのとき僕は珍しく
落ち込んでいたんだ。
小学一年生になって
しょうちゃんと
2人きりの時間も減って…。
かっこいいしょうちゃんの
周りにはいつも女子がいて
僕は近寄れなくって。
やっとしょうちゃんの隣に
座ったとき、なんか糸が
切れたように力が抜けて
背中に頭をもたせかけた。
「どうしたの?たっくん?」
『しょうちゃんおんなのこに
もてもてだね…。』
「おれはおんなのこなんて
いらない。っていうか…。
たっくんいがいはいらない。」
『ほんと…?』
僕は目をぱちくりさせて
しょうちゃんを見た。
「あたりまえでしょ?」
こちらに向き直り怒ったように
呆れたように言う。
『あたり、まえ?』
そだよ!としょうちゃんは
えらく憤慨している。
「おれはたっくんひとすじ!
しってるだろ?」
『う、うん…。』
僕は顔を赤くして俯いた。
「たっくん!ほら!ちからを
あげるよ。」
そう言うとしょうちゃんは
僕の両手を握りしめ
目をじっと見つめる。
『ふぁ………。熱……い………。』
手からは熱い何かが流れ込んで
僕の頭はふうっ、と白くなった。
気がつくとぼぉっと光るふたつの
小さな瞳が僕を見上げていた。
僕はとても大きい木で…
ずっと待っていた。
『来てくれたんだね…。』
その小さな瞳は1匹の鹿だった。
両前足を僕の幹につけると
そこからあたたかい想いが
流れ込んでくる。
「木の妖精さん…。俺の気を
わけてあげる。だいぶ弱って
生気がなくなってる。」
『鹿さん…。ありがとう。』
「俺はずっと探していたよ。
あなたを。」
『僕はずっと待っていたよ…
あなたを。』
「ほら。元気出てきたでしょ?」
『ん…。あたたかい…。 鹿さん
ありがとう。来てくれて。』
「木の妖精さん。ありがとう。
いてくれて。」
「たっくん…げんき………。
でたでしょ?」
『しょうちゃんありがと…。
やっぱりいつもしょうちゃんは
きてくれる。』
「いくさ。だってたっくんが
たいせつだから。
ずっといっしょにいたいから。」
『これまでもこれからも
ずっとずっと…。』
「おれはたっくんにちからを
あげる。いつもいつのひも。
だからたっくんはしんじてて。
おれだけを。」
『しょうちゃんだけをみてる。』
「そ!それでよし!じゃあ
かえろう!かえってなにして
あそぶ?」
『おえかきは?』
「いいね!」
僕達は自然と手を繋ぎ
唖然としている女子たちを後目に
微笑みあって校門に向かった。
なんかね…。』
そのとき僕は珍しく
落ち込んでいたんだ。
小学一年生になって
しょうちゃんと
2人きりの時間も減って…。
かっこいいしょうちゃんの
周りにはいつも女子がいて
僕は近寄れなくって。
やっとしょうちゃんの隣に
座ったとき、なんか糸が
切れたように力が抜けて
背中に頭をもたせかけた。
「どうしたの?たっくん?」
『しょうちゃんおんなのこに
もてもてだね…。』
「おれはおんなのこなんて
いらない。っていうか…。
たっくんいがいはいらない。」
『ほんと…?』
僕は目をぱちくりさせて
しょうちゃんを見た。
「あたりまえでしょ?」
こちらに向き直り怒ったように
呆れたように言う。
『あたり、まえ?』
そだよ!としょうちゃんは
えらく憤慨している。
「おれはたっくんひとすじ!
しってるだろ?」
『う、うん…。』
僕は顔を赤くして俯いた。
「たっくん!ほら!ちからを
あげるよ。」
そう言うとしょうちゃんは
僕の両手を握りしめ
目をじっと見つめる。
『ふぁ………。熱……い………。』
手からは熱い何かが流れ込んで
僕の頭はふうっ、と白くなった。
気がつくとぼぉっと光るふたつの
小さな瞳が僕を見上げていた。
僕はとても大きい木で…
ずっと待っていた。
『来てくれたんだね…。』
その小さな瞳は1匹の鹿だった。
両前足を僕の幹につけると
そこからあたたかい想いが
流れ込んでくる。
「木の妖精さん…。俺の気を
わけてあげる。だいぶ弱って
生気がなくなってる。」
『鹿さん…。ありがとう。』
「俺はずっと探していたよ。
あなたを。」
『僕はずっと待っていたよ…
あなたを。』
「ほら。元気出てきたでしょ?」
『ん…。あたたかい…。 鹿さん
ありがとう。来てくれて。』
「木の妖精さん。ありがとう。
いてくれて。」
「たっくん…げんき………。
でたでしょ?」
『しょうちゃんありがと…。
やっぱりいつもしょうちゃんは
きてくれる。』
「いくさ。だってたっくんが
たいせつだから。
ずっといっしょにいたいから。」
『これまでもこれからも
ずっとずっと…。』
「おれはたっくんにちからを
あげる。いつもいつのひも。
だからたっくんはしんじてて。
おれだけを。」
『しょうちゃんだけをみてる。』
「そ!それでよし!じゃあ
かえろう!かえってなにして
あそぶ?」
『おえかきは?』
「いいね!」
僕達は自然と手を繋ぎ
唖然としている女子たちを後目に
微笑みあって校門に向かった。
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