優しい人

mami

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高橋斗真

7.

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「ねぇ、斗真大丈夫~?ちょっと落ち込みすぎなんじゃないの?」優が気にかけて顔をのぞき込んでくる。
「うるせぇ」
俺はというと、昨日のあいつが健人の弟の拓馬ではないことを知り、軽く、、、いや激しくショックを受けていて、さっきからずっと俯き、何回ため息をついたかわからない。

「お前がそんな気にする奴って珍しいな」
健人は、俺と優から少し距離を置いて寝ていたはずだが、不意に声をはっした。「そんな気にいってんの?」

「気に入ってるっていうか、心配っていうか。だってあいつ、すげぇ色々溜め込んでて。凄い素直なやつで。ほっとけないっていうか、なんっていうか……わーもう俺もよくわかんねぇーよー」
そう言いながら顔を手でおおいうなだれる。
「なんなのそれ、斗真もしかしてその子に恋でもしてんの?」優が、訝しむ。
「何言ってんだよ。んなわけないだろ。相手男だぞ?」
意味が分からない事を言う優に真顔で答えた。

「でも、結局誰か全くわかんないんでしょ~?好きかどうか以前の問題だよね」優の言葉がぐさりと胸に刺さる。
「いや、でも全くわかんねぇってこともないんだ。俺たしかあの顔どっかで見たような気がするんだよな、、、」

俺があいつを拓馬だと勘違いしたのには理由がある。

まずあの顔を、どっかで見たことがあると思った。そして俺の知り合いであんな真面目そうで小柄なやつは拓馬しか思い浮かばなかった。っていても拓馬もニ年前の拓馬だが。
それで、まぁ、勝手に拓馬だと思い込んでしまった。
自分の軽率な考えに今更ながら落ち込む。

「会ったことあるんだ。じゃあ何処で会ってるのかさえ分かればいいんじゃない?」優がピンっと人差し指を立て言うが。
「それがすんなり分かれば、こんなになってねぇだろ」
ゴロ寝していた健人が上半身を起こしながら言った。全くそのとおりである。
「じゃあ、どやって探す?」
結局、話は振り出しに戻った。

「そいつ、どんな奴だったんだ?」
健人に言われて、何が?というようなう感じに見返すと。
「もしかしたら、俺たちも知ってる奴かもしんねぇだろ?俺らよく一緒にいるし見かけてても不思議じゃない」
「あぁ、なるほど。」
少しの希望が出てきた。健人は呆れた顔をする。

「どんな奴かと言われたら、うーん。真面目な感じで、、、顔は可愛い感じで、結構小柄だったな。あと、髪がフワフワのサラサラだった」
「何だそれ、そんなんでわかるわけねぇーだろ」
「いや、だって……」
「推定年齢は。」健人がため息を吐いて聞く。
「多分、俺らより下かな?下手したら中坊だなあれは」
俺がそういうと健人は少し考え出した。
「中学生何て俺、知り合いにいないや~」優は考える間もなくそう言った。

「いや、まだ中坊とは限らねぇだろ。もしかしたらそいつ同じ学校の奴かもしれないな」考えた末、健人はそう言った。
「健人、誰か分かったのか?」俺は健人に詰め寄った。
「いや、別に誰か特定できたわけじゃない。」両手を前に広げ言い直す健人に、なーんだ。と、元の位置に体を戻す。
「ただ、斗真のそいつへの認知度が見たことあるって程度ということは、知り合い以下か、もしかしたら話したことがある程度の可能性か、、、で、そいつの真面目キャラからして、俺らがよく行く店とかで合う確率も低い。年齢的にも高校生で通用するようなら、真面目そうな小柄な奴なんてここにはゴロゴロいるだろ?」健人は前で開いていた手を横へ移動させ、手の平を返してみせる。

「まぁ、そうだよね~。案外、学校中探してみたらすぐ見つかるかもよ?」
「結局、しらみつぶしか、、、、」
健人と優の言葉で、見つけ出す方法を定める。

「もしかしたら、同じクラスの子だったりして~」
「流石にそれはないだろ~、クラスの奴だったら顔くらい覚えてるし」
優と一緒に冗談を言い合う。

もう一度会えるなら会いたい。拓馬が別人だと分かった時は絶望的だったが、健人の話を聞くと学校の可能性は十分にある。

会って、あのあと無事に家入れたのか聞きたいし、本当の名前だってしんないし、これからの事とかも一緒に考えてやりたい、、、
泣いている顔が目に浮かぶ。
早く何とかしてやりたい、と強くおもった。

まずは、同期のクラス回ってみるかな。
そうと決めたらすぐ実行だ。
「健人、優サンキューな」
二人に礼をいい、俺は立ち上がり屋上の扉へと向かう。


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