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第2章:算数0点、魔術100点
第13話:石細工(イシジェーク)
しおりを挟む「職人に腕輪がこわれていないか見てもらって、ついでにナナミの腕輪を作ってもらおう」
ぼくの部屋でいっしょにおひるねしたあと、リッカにぃにぃはぼくを職人のところへ連れて行ってくれた。
職人は、お城の中に作業のための部屋があって、そこにいたよ。
「マキラだ。入るぞ」
「どうぞ、お入り下さいませ」
ドアの前でリッカにぃにぃがよびかけると、すぐに返事があった。
部屋の中へ入るリッカにいにぃの後ろに、ぼくも続いた。
作業部屋には、灰色の髪の毛とヒゲのおじいがいる。
「おじい、これがこわれていないか見てくれ」
「どれどれ。特にこわれてはおりませんな」
「そうか。赤く光るのがおそかったので、こわれたかとおもったんだが」
「光りはしたのですな? 光った後に魔術を使われましたかな?」
「ああ使ってみた。火球5回でねむくなったのでやめた」
「では正常にはたらいておりますな。もしやマキラさまの魔力が増えたのではありませんか?」
「魔力は1日でいきなり増えるものか?」
「ふつうは成長と共に少しずつですな」
って、リッカにぃにぃと職人のおじいが話している間、ぼくはキョロキョロと部屋の中を見回していた。
珍しい道具がいっぱいあって、さわってみたくてウズウズするけど、おこられそうだからやめとこう。
ぼくは近付かないように、見るだけでガマンした。
アニメに出てくる魔法の道具みたいなものかな?
あれはどんなふうに使うんだろう?
「マキラさまは成長期ですから、急に魔力が増えたのではないですかな?」
「できればもっと早く成長したいものだ。せっかく覚えたのに、まだ使えぬ魔術があるからな」
「あせってはなりませんぞ。マキラさまは魔術の才能をお持ちですから、いずれは大魔術師になられるでしょう」
リッカにぃにぃは、やっぱりすごい人みたいだ。
魔術を覚えても、魔力が少ない人には使えないのか。
ぼくの魔力、どれくらいあるんだろう?
「そうそう、ナナミにも腕輪を作ってやってくれ」
「異世界のシロマさまは、魔力をお持ちなのですか?」
「魂の鏡で調べたときは、よく見なかったそうだが魔力があるとでたらしいぞ。それで今日から魔術の勉強をはじめている」
「そういうことでしたら、腕輪が必要ですな」
おじいは、ぼくの腕輪を作ってくれるらしい。
部屋の中には大小さまざまな箱があって、おじいは小さい箱の中からキレイな色の小石をいくつか取り出して机の上に置いた。
「石細工」
おじいが言うと、机の上の小石が光りはじめたよ。
小石は空中にうかび上がってクルクルと回ったあと、ひとつの腕輪になった。
すごいなぁ、これも魔術なのかな?
「できましたぞ。シロマさま、お受け取りくだされ」
「えっと、ぼくはお金をもっていないよ?」
おじいに腕輪を差し出されたとき、ぼくは1円も持っていないことを思い出して聞いた。
腕輪は欲しいけど、買えないよ。
「ナナミ、おじいは国からお金をもらっているから、今ここではらうことはないんだ」
「そうなの? よかったぁ」
リッカにぃにぃが教えてくれた。
おじいは職人としてお給料をもらっていて、お城の人たちに道具を作ったり直したりするのが仕事らしい。
「これは着けたらその人に合った大きさに変わるんだ」
そう言いながら、リッカにぃにぃが腕輪をぼくの手首に着けると、スーッとサイズが変わってピッタリになった。
便利な腕輪だなぁ。
「明日の授業は、それを着けて行くんだぞ」
「うん」
明日からは、魔術を使う練習が始まる。
ぼくは早く魔術を使ってみたくて、ワクワクしていた。
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