【完結】猫の惑星〜この星の人類は滅亡しました~

BIRD

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第6章:秘められたもの

第56話:ケニアへの転送カード

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 黒猫ヤマトの郵便屋が俺の返事を届けに行った翌朝。

「おはよう、タマ」
「お、おはようございます。っていうかベル殿下、用事があるなら起こしてくれていいんですよ?」
「急ぎの用じゃないから大丈夫だよ」

 俺は昨日に続き、今日もロイヤルモフモフに包まれて目が覚めた。
 多分早朝に来たであろうベル王子は、ちゃっかり俺の布団に潜り込んで一緒に寝ている。
 俺の枕は、肌触りの良い毛皮に変わっていた。
 人間に腕枕できる猫なんて、ベル王子くらいじゃなかろーか?

「ベル殿下、またお手紙持ってきたの?」

 俺のうなじ付近で寝ていたミカエルが、目を覚まして問いかけた。
 横向きに寝ていた俺は、前に長毛巨大猫、後ろに短毛3キロサイズ白猫、猫に挟まれた川の字の真ん中にいる。

「今日は、タマを迎えに来たんだよ。アフリカへ行くには、王家が所有するワープゲートを使うからね」

 と、ベル王子が言った直後、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
 どうぞ~と応えつつ、俺がフォースを使って扉を開けると、扉の前でオスワリして待つヤマトの姿が見える。

「ケニアの現国王シンバ様から、お手紙を届けにきたよ」
「ありがとう」

 ヤマトはフォースを使ってリュックの中から手紙を取り出し、空中に浮かべて俺の方へと運ぶ。
 俺はそれを受け取り、ヤマトに礼を言って手紙を開封した。
 手紙には、いつでも来ていいと書いてあり、1枚のカードが同封されている。

「そのカードをお城にあるワープゲートにかざせぱ、登録された場所へ転移できるんだ。早速試しに行こうか」
「あ、その前に王都でお土産を買いたいです」
「ボクも行く~!」

 俺はベル王子に付き添われ、ミカエルを抱っこして、王都へと瞬間移動テレポートした。
 お土産は「ルイベ」にしよう。
 ルイベは、サケやマスなどの魚を冷凍させてから、解凍せずに刺身にして食べる北海道の郷土料理だ。
 冷凍することで、保存性が高まると同時に広節裂頭条虫サナダムシやアニサキスなどの寄生虫が死滅する。
 王都では、北海道の人間たちの技術から猫たちに役立つものが再現されていた。
 ルイベを凍ったまま持ち運ぶ保冷容器は、ハチロウが作ってくれた物を使う。

「お土産もバッチリ。そろそろ行きます」
「OK、ワープゲートはこっちだよ」
「いってらっしゃ~い!」

 手土産を用意した俺は、ベル王子の案内で王城の正門前まで来た。
 そこにある石造りの円陣にカードをかざすと、淡く発光し始める。
 飛行機に乗らずに瞬時に移動できるのは素晴らしい。

 こうして、俺は人生初の外国行き、東アフリカのケニアに転送された。
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