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第5章:猫の時代
第48話:お土産
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「このお肉は、モリオン博士たちへのお土産にどうぞ。ジル陛下にもお裾分けしてあげてね」
ピカリャー王国からの帰り際、俺はマーヤ女王様からイノシシ肉を大量に貰った。
背負えるようにリュック付きだ。
美味しいお肉だから、きっとみんな大喜びするだろう。
キングサイズな王様はいっぱい食べそうだからか、お裾分けも多かった。
「では私はタマを研究所まで送るよ」
「知っている場所だから自分で帰れるよ?」
「つれないことを言わないでくれよ。名残を惜しみたいんだ」
「あ~っ! ズルイ! 私も行く!」
マーレー王子が見送りと称して俺の腕の中に納まったら、クーラ王女まで飛び込んできた。
双子らしいけど、未熟児のクーラ王女はマーレー王子の半分にも満たないチビッコだから、2匹セット抱っこもそんなに重くはない。
って思っていたら……
「じゃあ、私も行こうかしら」
「え? マーヤ様も?!」
……マーヤ様まで飛び込んできたよ。
しかも、息子を踏んでるし。
よくあることなのか、マーレー王子は平然としている。
「では、護衛の我々も」
「はいはい、もうみんなまとめて行こう」
護衛のみなさんまで言い出すから、俺はまた床に座って猫まみれだ。
来た時より2匹追加、背負ったリュックの重量もプラスされている。
足が痺れる前に、自分のフォースで研究所へ転移しよう。
「おかえり~」
「おやおや、賑やかだねぇ」
研究所の談話室へ転移したら、休憩中のみんながいた。
イリオモテヤマネコまみれの俺を見ても、誰も驚かない。
到着してすぐ、護衛のみなさんはサッと降りて俺の周囲の床でオスワリ待機した。
ちょうどいいから、ここで土産を渡そう。
「ただいま。お土産もらってきたよ」
「肉の予感がするぞ」
「お! もしかしてイノシシか?!」
「正解。凄く美味しかったよ」
「やったぁ!」
「ピカリャー王国万歳!」
俺は抱っこしていた3匹の王族を膝の上に乗せて、背負ってきたリュックを床に置いた。
すぐに目を輝かせてテンション上がるのは、食いしん坊のミノルとアババ。
メタボな巨体で、踊りながら喜んでいるぞ。
「リュックに保存のフォースをかけてあるから、鮮度は維持されているわ」
「「「ありがとうございます!」」」
俺の膝の上に乗ったまま、マーヤ様が微笑む。
ミノルとアババを含めた研究チーム一同が、背筋ピンッ!とさせて(猫背どこいった?)お礼を言った。
「マーヤ陛下、クーラ殿下、毛ヅヤがよくなられましたね」
「お体の調子はいかがですか?」
「ええ。もう健康そのものよ」
「タマのおかげで快癒したわ」
モリオン博士は、女性王族たちの体調の変化に気付いて言う。
薬師でもあるハチロウ博士が問いかけると、マーヤ様もクーラ様もニッコリ笑って完治を告げた。
以来、ピカリャー王国で大物のイノシシが獲れると、俺にもお裾分けが届くようになった。
というか、お裾分けを理由に、王族御一行様が俺に会いに来るんだけど。
研究チーム曰く「タマの抱っこはメイピスカリャー王家御用達」だそうで。
たまに俺の部屋に泊まってベッドで一緒に寝てたりするけど、王族それでいいのか?
ピカリャー王国からの帰り際、俺はマーヤ女王様からイノシシ肉を大量に貰った。
背負えるようにリュック付きだ。
美味しいお肉だから、きっとみんな大喜びするだろう。
キングサイズな王様はいっぱい食べそうだからか、お裾分けも多かった。
「では私はタマを研究所まで送るよ」
「知っている場所だから自分で帰れるよ?」
「つれないことを言わないでくれよ。名残を惜しみたいんだ」
「あ~っ! ズルイ! 私も行く!」
マーレー王子が見送りと称して俺の腕の中に納まったら、クーラ王女まで飛び込んできた。
双子らしいけど、未熟児のクーラ王女はマーレー王子の半分にも満たないチビッコだから、2匹セット抱っこもそんなに重くはない。
って思っていたら……
「じゃあ、私も行こうかしら」
「え? マーヤ様も?!」
……マーヤ様まで飛び込んできたよ。
しかも、息子を踏んでるし。
よくあることなのか、マーレー王子は平然としている。
「では、護衛の我々も」
「はいはい、もうみんなまとめて行こう」
護衛のみなさんまで言い出すから、俺はまた床に座って猫まみれだ。
来た時より2匹追加、背負ったリュックの重量もプラスされている。
足が痺れる前に、自分のフォースで研究所へ転移しよう。
「おかえり~」
「おやおや、賑やかだねぇ」
研究所の談話室へ転移したら、休憩中のみんながいた。
イリオモテヤマネコまみれの俺を見ても、誰も驚かない。
到着してすぐ、護衛のみなさんはサッと降りて俺の周囲の床でオスワリ待機した。
ちょうどいいから、ここで土産を渡そう。
「ただいま。お土産もらってきたよ」
「肉の予感がするぞ」
「お! もしかしてイノシシか?!」
「正解。凄く美味しかったよ」
「やったぁ!」
「ピカリャー王国万歳!」
俺は抱っこしていた3匹の王族を膝の上に乗せて、背負ってきたリュックを床に置いた。
すぐに目を輝かせてテンション上がるのは、食いしん坊のミノルとアババ。
メタボな巨体で、踊りながら喜んでいるぞ。
「リュックに保存のフォースをかけてあるから、鮮度は維持されているわ」
「「「ありがとうございます!」」」
俺の膝の上に乗ったまま、マーヤ様が微笑む。
ミノルとアババを含めた研究チーム一同が、背筋ピンッ!とさせて(猫背どこいった?)お礼を言った。
「マーヤ陛下、クーラ殿下、毛ヅヤがよくなられましたね」
「お体の調子はいかがですか?」
「ええ。もう健康そのものよ」
「タマのおかげで快癒したわ」
モリオン博士は、女性王族たちの体調の変化に気付いて言う。
薬師でもあるハチロウ博士が問いかけると、マーヤ様もクーラ様もニッコリ笑って完治を告げた。
以来、ピカリャー王国で大物のイノシシが獲れると、俺にもお裾分けが届くようになった。
というか、お裾分けを理由に、王族御一行様が俺に会いに来るんだけど。
研究チーム曰く「タマの抱っこはメイピスカリャー王家御用達」だそうで。
たまに俺の部屋に泊まってベッドで一緒に寝てたりするけど、王族それでいいのか?
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