8 / 92
第1章:最後の人類
第6話:古代の研究施設
しおりを挟む
高台に広がる多くの建物。
頑丈そうな灰色の建物と、リゾート施設のような赤瓦の建物、その向こうには青い海が見える。
その建物群には見覚えがあった。
何故ならそこは、俺が被験者となった研究施設だったから。
沖縄県国頭郡恩納村にあった、「沖縄科学技術大学院大学」通称、「OIST」。
世界トップクラスの教育研究機関だったのを覚えている。
5年一貫制の博士課程を有する私立の大学院大学で、学生の大半は外国人、日本人は1~2割程度、沖縄が所在地なのに、沖縄県民の合格率は1%以下というトンデモナイ大学。
西暦2222年、その大学の研究ユニットの1つに、冷凍睡眠の研究があった。
ちなみに、俺が入試で落ちたのは沖縄科学技術大学院大学ではない。
俺は 沖縄県那覇市首里にある沖縄県立芸術大学の音楽学部を目指して、落ちた人。
オヤジには「落ちたら就職しろ」と言われていたよ。
半分ヤケになりながらハロワに行ったら、コールドスリープの被験者募集なんていう募集項目があり、面接(ほとんど健康診断だった)を経て被験者になった。
健康チェックと凍結を繰り返して、何回目かもう忘れたけど10年の予定が2000年経ってて、現在に至る。
そういえば、人類は何故滅亡したんだろう?
「ねえモリオン博士、人類は何が原因で滅亡したんだ?」
「人間と暮らしていた祖先からの言い伝えによると、ある日たくさんの流れ星が地上に降り注ぎ、人間だけが死んでいったらしいよ」
「隕石かな? それに未知のウイルスが付着していたのかもしれないな」
話しながら、俺は二千年以上ぶりに研究棟へ続くスロープを歩く。
ロビーから研究棟への入り口は1つだけだから、久しぶりでも迷わなかった。
「タマの冷凍睡眠装置と、先日組み立ててもらったキャットタワーも、この遺跡から発掘したものだよ」
「そういえばコールドスリープの他に様々な物の長期保存研究もしていたな。どうりで段ボール箱も中身も、二千年経っても経年劣化がほとんど無かったわけだ」
保存実験では、いろんな物を試していると聞いたことがある。
俺はずっとこの施設にいたけど、コールドスリープ中なことがほとんどで、他にどんな実験をしていたのか、よく知らない。
キャットタワーを実験に使ったのも知らない。
所員に猫好きでもいたんだろうか?
「世界各地にある古代遺跡の中でも、この遺跡は特に保存状態が良いんだ」
「多分、建物や設備も保存実験対象にしてたんだと思うよ」
二千年前の物とは思えないくらいにしっかり残っている内装。
キョロキョロと見回しながら、モリオン博士と俺を含む調査チームは建物の中を進んでいった。
【第6話の裏話】
沖縄科学技術大学院大学も沖縄県立芸術大学も実在の大学です。
が、コールドスリープの研究をしているか否かは不明です(2024.9.3現在)
頑丈そうな灰色の建物と、リゾート施設のような赤瓦の建物、その向こうには青い海が見える。
その建物群には見覚えがあった。
何故ならそこは、俺が被験者となった研究施設だったから。
沖縄県国頭郡恩納村にあった、「沖縄科学技術大学院大学」通称、「OIST」。
世界トップクラスの教育研究機関だったのを覚えている。
5年一貫制の博士課程を有する私立の大学院大学で、学生の大半は外国人、日本人は1~2割程度、沖縄が所在地なのに、沖縄県民の合格率は1%以下というトンデモナイ大学。
西暦2222年、その大学の研究ユニットの1つに、冷凍睡眠の研究があった。
ちなみに、俺が入試で落ちたのは沖縄科学技術大学院大学ではない。
俺は 沖縄県那覇市首里にある沖縄県立芸術大学の音楽学部を目指して、落ちた人。
オヤジには「落ちたら就職しろ」と言われていたよ。
半分ヤケになりながらハロワに行ったら、コールドスリープの被験者募集なんていう募集項目があり、面接(ほとんど健康診断だった)を経て被験者になった。
健康チェックと凍結を繰り返して、何回目かもう忘れたけど10年の予定が2000年経ってて、現在に至る。
そういえば、人類は何故滅亡したんだろう?
「ねえモリオン博士、人類は何が原因で滅亡したんだ?」
「人間と暮らしていた祖先からの言い伝えによると、ある日たくさんの流れ星が地上に降り注ぎ、人間だけが死んでいったらしいよ」
「隕石かな? それに未知のウイルスが付着していたのかもしれないな」
話しながら、俺は二千年以上ぶりに研究棟へ続くスロープを歩く。
ロビーから研究棟への入り口は1つだけだから、久しぶりでも迷わなかった。
「タマの冷凍睡眠装置と、先日組み立ててもらったキャットタワーも、この遺跡から発掘したものだよ」
「そういえばコールドスリープの他に様々な物の長期保存研究もしていたな。どうりで段ボール箱も中身も、二千年経っても経年劣化がほとんど無かったわけだ」
保存実験では、いろんな物を試していると聞いたことがある。
俺はずっとこの施設にいたけど、コールドスリープ中なことがほとんどで、他にどんな実験をしていたのか、よく知らない。
キャットタワーを実験に使ったのも知らない。
所員に猫好きでもいたんだろうか?
「世界各地にある古代遺跡の中でも、この遺跡は特に保存状態が良いんだ」
「多分、建物や設備も保存実験対象にしてたんだと思うよ」
二千年前の物とは思えないくらいにしっかり残っている内装。
キョロキョロと見回しながら、モリオン博士と俺を含む調査チームは建物の中を進んでいった。
【第6話の裏話】
沖縄科学技術大学院大学も沖縄県立芸術大学も実在の大学です。
が、コールドスリープの研究をしているか否かは不明です(2024.9.3現在)
41
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる