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ミルボラさんが里親になった仔猫「リカ」
しおりを挟むリカは、2021年8月に畑で鳴いていたところを発見された仔猫。
生後2週を過ぎたくらいの乳飲み子で、ミルクボランティアに託された。
2021年11月、保護施設に入る前の検査で白血病(FeLV)キャリアと判明。
「陰転することもあるから、また検査に来て」
検査した獣医師は、そう言ったけれど。
実際に陰転した猫(前エピソードの「テンコー」)もいる。
しかし残念ながら2ヶ月後、避妊手術ついでの検査でもリカのFeLVは陽性のままだった。
「感染力・致死率が高いから、隔離は続けた方がいい」
獣医師のアドバイスを受けて、引き続き隔離生活となったリカ。
育ててくれた方が引き続き預かってくれることになり、1人のミルクボランティアが活動を休止する代わりにリカの隔離預かりボランティアとなった。
石垣島では2019年頃から白血病陽性の猫が見つかるようになった。
獣医師は「2018年以前は検査で見つかったことがない」と言う。
2021年は、リカ以外にあと2匹、仔猫からFeLVが検出されている。
FeLVは、猫の身体に白血病を誘発するウイルス。
イエネコ(祖先はリビアヤマネコ)に近い種であるイリオモテヤマネコにも感染する可能性があり、希少な生物の絶滅を警戒する西表島では、野良猫を全て捕獲して島外へ送り出したり、飼い猫にはウイルス検査と完全室内飼いを義務付けたりしている。
白血病は血液のがんで、白血球系細胞が無限に増加する病気。
白血病細胞が骨髄を占拠し、正常造血機能を抑えるために、正常の血液細胞(赤血球、白血球、血小板)ができなくなる。
結果、赤血球減少による貧血症状や、正常白血球の減少(特に好中球減少)による感染症状(発熱)や、血小板減少による出血症状が現われる。
猫白血病ウイルスは唾液、尿、涙液、母乳、血液そして胎盤を通じて感染する。
リカは乳飲み子からの保護でこのウイルスが検出されたから、感染源は母猫と思われる。
感染特有の症状というのはないが、ウイルスにより免疫力が低下するため、いろんな病気にかかりやすく治りにくくなる。
感染猫によくみられる症状としては「貧血」「下痢が続く」「口内炎が治らない(難治性口内炎)」「病気や傷が治りにくい」などがある。
白血病発症の可能性が高いことを承知の上で、預かりボランティアTさんは里親になってくれた。
保護猫から飼い猫に変わったリカは「ふーちゃん」という名前をもらっている。
赤ちゃんの頃から愛情を注いでくれている「ママ」がずっとの家族になってくれたことは、リカにとって幸せだったと思う。
リカはFeLV陽性と判明してから3年後の2024年、肺に大きな腫瘍ができた。
それは不治の病で、看病は治療目的ではなく、苦痛を減らす「緩和ケア」。
里親さんはリカの苦しみを和らげるために、酸素室を用意してくれた。
そうして1ヶ月が過ぎた頃……
「残念ながら力尽きちゃいました」
……2024年6月22日、リカ(ふーちゃん)永眠。
3歳の若さで逝ってしまったけれど、ずっと愛され続けた幸せな猫生だったと思う。
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