ノンフィクション短編集

BIRD

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空から降ってきたヒヨコ

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それは石垣島に移住して間もない頃のこと。
買い物に行こうと車を走らせていたら、空から何かが降ってきた。
某有名アニメでは空から少女が降ってきていたけれど。
石垣島で降ってきたのは違うもの。
それは、黒いヒヨコ。
全身真っ黒い毛で覆われた、モフモフした小さい生き物。
シロハラクイナの雛だった。
ちなみに、シロハラクイナはペンギンみたいにお腹側は白く、背中は黒い鳥。

ヒヨコが降ってきたのは、走行中の車の真ん前。
ぶつからなかったのは奇跡だと思う。
タイヤが通る位置には落ちなかった幸運なヒヨコ。
落ちた後、バックミラーごしに見たら、ヒヨコは立ち上がっていた。

まだ飛ぶための羽根が無いヒヨコが、なぜ空から降ってきた?!
答えは、カラスに咥えられて連れ去られる途中、落ちてしまったから。

後ろから来ている車にも轢かれず、道路の真ん中に立つヒヨコ。
一時停止出来る場所が無かったので、そのまま通り過ぎたけど。
買い物帰りに同じ場所を通った時には、影も形も無かった黒ヒヨコ。
母鳥と合流できたらいいなと思う。
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