【猫画像あり】島猫たちのエピソード

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【猛猫リンネの物語】2024.4.15〜

第37話:TNRボラ所有ロング皮手袋

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「ウアーオ! カッ! (やんのか! オラッ!)」
「って、後ろのミニデッキブラシは完全スルー?」

 リンネは今日も元気に猛猫アタック。
 日に日に激しさが増している。
 その割に、ケージの掃除のため差し込むミニデッキブラシは完全無視。
 ケージの前に立つ人間にのみ反応して飛び掛かる。

「もうそろそろ慣れてくれない?」
「シャーッ! ウゥゥ~ッ! (人間なんかと慣れ合うつもりは無い!)」
「と言いながら、ちゅーるは手渡しで食べるじゃないか」
「アーオゥ~ (ちゅーるは敵じゃない)」

 掃除のためケージに近付くたびに飛び掛かってくるリンネ。
 その割に、ちゅーるを差し出すとあっさり静まるから不思議だ。
 カップ入りのウエットフードも好むようで、ちゅーると同じ鎮静効果がある。

 荒ぶる猛猫の動画を見せたら、たいていの人が「怖っ!」と言う。
 ここまで狂暴だと譲渡には向かない。
 リンネがパンチしなくなる日はくるのだろうか?

 TNRのため捕獲された野良猫には、このくらい狂暴な猫が割といる。
 去年捕獲したオス猫は、グルングルン回転しながら威嚇して大暴れだった。
 5~6年前に捕獲したオス猫は、捕獲機の中で突進を繰り返した後、手術を終えてケージの中で目を覚ました直後からリリースまで猛烈パンチを放っていた。
 そういう猫を扱う際に、負傷するボラもいる。
 石垣市ではそうしたボランティアの負傷の際に、ボランティア保険というのを適用して医療費を出してくれる。
 猫にひっかかれる噛まれるはTNRではよくあること、行政が治療費を負担してくれるのは頼もしい。

 TNR活動で猫を扱う人は、破傷風ワクチンを打っておいた方がいい。
 屋外で何を食べているか分からない野良猫たちの口の中に、破傷風菌が潜んでいたら大変だ。
 破傷風菌は世界中の土壌や汚泥に芽胞として存在し、傷口から空気に触れない体内に入ると増殖、排出毒素で人体を害する。
 日本では、破傷風ワクチンを加えた三種混合ワクチンの予防接種が全国化された1968年以前に産まれた世代は、発症リスクが高い。
 予防接種のみによって免疫を獲得出来るが、獲得した免疫は10年程度で減弱するため、追加接種を推奨する。

 僕は今年破傷風ワクチン接種を済ませたので、破傷風発症の危険は無さそうだけど、噛まれたり引っかかれたりしたら痛いのは変わらない。
 リンネの猛烈パンチや噛みつき攻撃は、防げるなら防ぎたい。

「TNR用の皮手袋、使いますか?」

 リンネのことを聞いたTNRボラさんが、ロングタイプの皮手袋を貸してくれた。
 肘までガードする長さは、飛び掛かられた際に腕を守るためのもの。
 荒々しい猫が多いTNR現場の必需品だ。

 6~7年前、捕獲機で捕まえた猫の移し替えに失敗した際に、保護部屋内で飛び回って逃げる猫を皮手袋した手で捕まえたボラが、皮手袋に覆われていない場所、腕を噛まれたことがあった。
 その皮手袋が肘まで覆う物だったなら、怪我をせずに済んだかもしれない。
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