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【猛猫リンネの物語】2024.4.15〜
第38話:日本語が通じるようになった
しおりを挟む最近、保護部屋へ行くと仔猫たちがケージの前に陣取るのでリンネが見えない。
リンネにちゅーるをあげると、我も我もと仔猫たちが押し寄せる。
頭や顔を踏まれたり、間に割り込まれたり、仔猫の身体にちゅーるが付いたり、なかなかのわちゃわちゃぶりだ。
好物を食べるのを邪魔されてもリンネは怒らず、時折優しい声で鳴きながら仔猫たちに付いたちゅーるを舐め取っている。
母猫って寛大だなぁと思う今日この頃。
できれば、その寛大さを保護主にも!
そんな願いが猫神様に通じたのか、猛猫令嬢に変化が訪れた。
「リンネ~、掃除するよ~」
「……」
「ちょっとトイレ(容器)取らせてね」
「……」
掃除の際に、いつもリンネに話しかけていたら、パンチする回数が減ってきた。
リンネはまるでこちらの言葉が分かるかのように、「事前に言った行動」は容認してくれる。
以前は毎回激しい攻撃を仕掛けてきたトイレ容器の出し入れ時も、マジックハンドを使うようになってからはパンチしなくなった。
ケージの扉を開けるために手を近付ける際も、「開けるよ」と言えばパンチはしてこない。
それどころか、スッと身を引いて掃除の邪魔にならないように配慮してくれる。
しかし、代わりに仔猫たちがわらわらと押し寄せるので、やりづらいのは変わらなかった。
「キュー、キュー (ごはん、ごはん)」
「ミィィィ~ッ! (はやく~っ!)」
特に騒がしいのは白茶のジョイとルスト。
ジョイは声がデカくて、グイグイ迫ってくるタイプ。
ルストは扉を開けると飛び出して、保護部屋内でソロ運動会を開催する。
「リンネ、ちゅーる食べる?」
「ニャーン (いただくわ)」
ちゅーるという単語を覚えたらしいリンネは、声をかけると穏やかな声で返事をするようになった。
液状オヤツが繋ぐ、保護主と猛猫の絆……
……になる筈が、割り込むジョイに台無しにされる。
「ミイッ! ミイッ! (ボクも! ボクも!)」
「リンネ、食べづらそうだね」
「ンニャッ (気にしないで)」
「ウマウマウマ (←日本語?)」
「ルストは食べたらケージに戻ってね」
必死で割り込むジョイに、リンネは押しのけられたり踏まれたりしている。
上下2段の食器に交互にちゅーるを絞り出すと、ジョイとはシェアできるものの他の仔猫が押し寄せるので、食べづらいのは変わらない。
ケージから飛び出したルストはといえば、小皿に入れてあげた仔猫ちゅーるを悠々と食べていた。
食べ終わってからケージの前まで歩いてきたので扉を開けたら、ハウスと言われたワンコみたいにケージにIN!
もしかして、オヤツを独り占めするために出てきたのか?
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