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【猛猫リンネの物語】2024.4.15〜
第35話:マジックハンドを使ってみた
しおりを挟む仔猫防壁に阻まれて攻撃が届かないリンネ。
その鬱憤を晴らすためか、トイレ容器の出し入れ時に猛烈パンチが飛んでくる。
「シャーッ! ウアオゥ~ッ! (人間め! お前がみんな悪いんだ!)」
「それほとんど八つ当たりじゃないか?」
荒れ狂う猛猫が放つ高速猛烈パンチを、衣装ケースの蓋で防ぐ日々。
衣装ケースの蓋は防御力は高いが、ケージの中へ入れる際に仔猫がいてやりづらいことが多い。
おまけにリンネがこちらの手を読んで、衣装ケースの蓋をケージに入れる前にスッと進み出て扉の前に陣取ってしまうようになった。
「リンネ、後ろにオヤツがあるよ」
「シャーッ! (その手には乗らん!)」
猛猫は、予想以上に賢かった。
人間が何をするか観察していて、それを阻む行動をする。
こちらが戦略を立てても、それを封じるのがリンネだ。
君は本当に猫か?
前世はどっかの軍師だったんじゃないか?
猛猫対策に頭を使う日々。
こちらもリンネを観察しているうちに、あることに気付いた。
「みんなどいて~、ちょっと掃除するよ~」
ケージの天井部分からミニデッキブラシを差し入れても、リンネは攻撃しなくなった。
(代わりに仔猫たちが寄り集まってじゃれつく)
トングとティッシュでウォーターカップの掃除をしていても、噛みつきにこなくなった。
(代わりに仔猫たちが寄り集まってじゃれつく)
柄の長いワイパーをケージの中に差し入れても、触れないように避けるだけ。
(代わりに……以下同文)
「マジックハンドを使ってみたら?」
と、猛猫取扱技能高いベテラン保護主さんがアドバイスをくれた。
「うちにあるの貸しますよ」
TNRボラさんが、手持ちのマジックハンドを貸してくれた。
早速使ってみると、マジックハンドがケージ内に入るのを見たリンネは見るだけで攻撃をしない。
毎日色々試すから、リンネは猛猫対策グッズを見慣れたんだろう。
「シャーッ、ウゥゥ~ (また変なの持ってきた)」
見れば文句は言うけど。
猛烈パンチを放つのは、「人間の手がケージに近付いたとき」だけだ。
ケージの格子から5cm以内がシャーパンフィールド。
そこに無機物が入っても、猛猫は攻撃しなくなった。
以前はトングでもワイパーでもパンチしたり噛みついたりしていたのに。
今は完全スルーしている。
これも多分リンネの学習能力の高さか。
……って。
そこまで賢いなら、保護主も危険物じゃないって理解してくれないかな?
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